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・創作裏話その14(2023.12)

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※今までで一番長い裏話になりましたorz

 
 ◇◆死に戻りのクリスティアナは悪妻となり旦那さまを調教する(2023.12.16~25)(全二十話。64,137文字)

『愚かな夫とそれを見限る妻』というコンセプトで書いた第三弾『妻の死で思い知らされました。』のスピンオフ話。あるいはIF話。
 死に戻りの元さや話(身も蓋もない表現だな!)

 前作(メリーバッドエンド)と違いラブコメ風の救済ハピエン。
 基本的な人間関係などは前作と同じ。


 女神のテコ入れに行き着いたのは、前作をご高覧の読者さまの「クリスティアナが可哀想すぎる」という感想から。
 どの時点にまで巻き戻ったらやり直しが成功するのか、考えるきっかけになりました。
 だから、感想をくださった皆々さま = 神々。


 やり直しって、双方の意識改革が必要だと勝手に思っていまして。
 クリスティアナだけが今までの自分は捨てる! と思ってもイカンでしょう、と思ったので、ジュリアンには悪夢をプレゼント。
 
 最愛の妻に死なれ、成長した子どもらに罵られ&見捨てられ、途方に暮れる……という夢と、神の声で『妻が不満を持ち続けるとストレスで早死にするぞ』と脅されました。
 今までの生活を繰り返したらダメだ! と心底思い立ってくれた模様。

 ◇

 最後まで入れるかどうか迷ったエピソードが三点。
➀ジュリアンの育てられ方。
②彼の婚約事情。
③前作でジュリアンに猛アタックした【姫】の存在。

 ➀育てられ方、というか教育方針?
『安易な謝罪をしてはいけない』ということ。外交官が安易に謝罪を口にしたら、足下見られどんな無理難題を背負わされるか知れたものではないので。
 たとえ間違ったことをしても、国の利益のために押し通す姿勢でいるように教育されました。

 ジュリアン、前作ではたくさん後悔してるけど謝罪の言葉は一切言ってません(苦笑)
 今作でもその傾向が強かった。どうにかして彼から謝罪の言葉を引き出すために、悪夢をプレゼントした次第。そしたらやっと謝罪らしき言葉を言ってくれました。
 今後のジュリアンは、妻にだけは絶対服従の、彼女だけにはすぐ謝るマンになります。

 ②婚約事情の件。幼少時からジュリアンは女性に、というより人間全般に興味を持たない子どもだった、ということ。
 顔合わせの場で双方の親のいる前でご令嬢に『キミに爪の先ほども興味が持てない』とハッキリ言って泣かせること毎回。(6~7歳の頃)
 両親には、『あなたたちは、わざと私の嫌いなタイプの令嬢を用意しているのですか?』と言って怯ませ、『結婚相手は自分で探します』と宣言していた。(10歳前後の頃)
 ポール相手にこっそり『私に愛する女性なんてこの先も現れないから、親族の中から養子にできそうな優秀なこどもを選定しておけ』などと命じていた。(15~6歳の頃)

 クリスティアナに一目惚れ(21歳のとき)したのは、彼にとってまさに青天の霹靂。今までの常識を全部覆した奇跡の存在だった。
 ポールたち周囲の人間にとっても、クリスティアナという存在は奇跡の救世主(公爵家存続の為の)だった。

③前作でのジュリアンの浮気(?)相手。『花の楽園』の高級娼婦のひとり。けっこう本気でジュリアンを狙っていた。
 クリスティアナが領地にいた六ヶ月の間に、ジュリアンを『花の楽園』に宿泊させることに成功。(深夜に馬車を出すのは危険だからとかなんとか理由をつけて)
(ジュリアンにしても、帰っても邸に妻がいないからどこで寝ても同じと承諾。一人で寝た)
 朝立ちを握られた。
 寝起きを強襲され、手こきでイカされたジュリアン。そうか、随分溜まってたなぁと、なんだかひとごと。でも私的利用しちゃったからと、お金を払うことに。
 ジュリアンは、基本、人嫌いなので、無理やりするようなこの【姫】を嫌い、避けるようになる。
 そして早朝の寝室に忍び込む行為は、たとえ不埒なことをしなくとも不審者と同じと気が付き、妻の寝室に忍び込むことを止める。5年後くらいに不全インポの相談で【花の楽園】を私的利用する……のだが、本作ではすべて「訪れなかった不確かな未来」。未遂。
 クリスティアナが早々に王都帰還したので、ジュリアンはたとえ深夜であろうと妻のいる邸宅へ戻る選択をしましたので。
 
 こーゆー因縁(?)のある【姫】と、クリスティアナを会わせようとしました。
 クリスティアナは誤解したままね。
 あーでもない、こーでもないと考えている脳内に、マダムフルールがひょっこり『お待ちなさい』とばかりに登場しましてね。実現しなかったという。

 マダムのビジュアルイメージは落ち着いた感じの峰不二子。
 インパクト大の謎多き女性。
 護衛兼見張り兼つなぎ役だった男性と……なんかあったらしい。

 ◇

 本作【おしまい】後のジュリアンは、妻の意見を尊重しつつ、仕事を部下に割り振り(もともと、全部自分で抱え込む傾向でハリスン卿辺りから注意を受けていた)、セーブすることに。
 妻が嫌がるからという理由で娼館へも外務省の部下を派遣し、自分は足を運ばなくなるし、国外への外遊頻度も減らした。
 そのせいで、国王から「あいつは腑抜けになった」という評価を貰ったり、直接苦言も貰ったけれど、本人はとくに気にしていない。
「私が直接出向いていないだけで、仕事そのものはちゃんとしてますがなにか?」というスタンス。国王を前にしても動じない強心臓。

 前作では、がむしゃらに仕事をし、引退後は領地で妻とふたりのんびりしよう……などと夢想していたけど、それは今作でも実現しなかった。
 前作同様、長男ダミアンが成人し結婚した辺りで爵位譲渡。議員職も引退したが、肝心の妻クリスティアナが「あなたの行った国々をわたくしも見たいわ」と希望したため。

 今までの外交官は妻同伴で外遊していたが、ジュリアンはそれだけは忌避した。
 大切でだいじで何よりも尊い妻(ジュリアンの弱点)を危険の伴う外国へ連れていきたくなかったから。
 万が一、妻が誘拐でもされ彼女の命を盾に脅されたら、国を裏切ることもする自分を知っていたから。

 とはいえ、引退後ならば政務もないし、四六時中、自分が側にいればいいかと許可。
 むしろ、ルンルンで旅行して、各地で妻を描き入れた絵画制作。
 領地で過ごすことはあまりなかった。

 ◇

 前作では影も形もなかったのが、若き女性騎士アビゲイル。
 短髪ブルネットの目がくりくりした可愛い十八歳。力持ちで剣の腕もいいし、気遣いもできる子。
 のちに、エリカ嬢の専属護衛に抜擢される……予定。

 クリスティアナに同行した騎士三名のうち、残り二名は夫婦(隊長と副隊長)でした。
 有能侍女のジャスミンが、独身男性を奥さまに近寄らせたりしないからね!

 ◇

 前作では姿はあったけど名前もセリフもなかったのが、公爵の秘書官ハリスン卿。
 彼も、ジュリアンが小さいころからの従者のひとり。
 ジュリアンと一緒に登城するので前公爵から爵位を貰っている。
(無爵位のままだと入れないエリアがあるから)
 ので、他者から『卿』をつけて呼ばれている。

 彼にまつわる没エピソード。
 いつも登城するとき、ハリスン卿はジュリアンと同じ馬車に乗り、仕事の打ち合わせなどしていた。
 あるときからスケッチブックを持ち込んだジュリアンが、執拗にハリスン卿を質問攻めにする。
「クリスティアナの変顔とはどのような顔だ?」
「え」
「言ってみろ。描くから」
「えー、いや、忘れましたー」
「いいから言ってみろ」
 身振り手振りつきで、しぶしぶと伝えるとサラサラとスケッチブックに描いて
「こんな顔だったか?」
「あ、はい。こんなかんじでした(うまいなーそっくりだ)」
「ほかには?」
「え?」
「ほかには?」
「えぇぇぇぇぇ?(まだ続くの?)(うんざり)」

 スケッチブック一冊分繰り返すはめに。

「次に○○国を訪問するときには、あの国の名物の時計台の絵を描いて奥さまへ贈るのはいかがでしょう」
 などと、ハリスン卿がアドバイスしたので、それ以降クリスティアナの手元に絵手紙が届くようになった。


 ◇ 

 当初想定していたよりも長くなってしまったので、子ども関連のエピソードはカットした。
 領地でジュリアンとこどもらが、ぎこちなく仲良くなるエピを。
 ちょっと残念だった。かも。

 というわけで、没エピソード披露。
 ふたごはしばらく遠巻きにしていたけれど、ジュリアンが領地見回りの際、ミヤマクワガタケルヴスを捕まえてふたごに渡したことで一気に懐いた。
 エリカはとくに緊張していたが、母に勧められ、習いたてのピアノを披露。
 ジュリアンが、一度妻に背中をはたかれたあとで
「エリカはピアノの才がある。励みなさい」
 と伝えたので、ちょっとずつ歩み寄り、のちに連弾をするほどに打ち解ける。
 約一ヶ月は領地本邸宅にいたジュリアン、どうしても王城に出仕する必要が。涙ながらに出かけるジュリアンに、エリカが『おとうさま。さっさとお仕事して、とっとと帰ってきてください』
と激励(?)する。

 ◇

 じつはこのあと、子どもの数が増えるらしい。
 四人目のこども誕生のおり、ジュリアンは妻にキスし、彼女をねぎらい
「よく生まれた! よくやった!」
 のみを繰り返した。
 暴言を繰り返さないよう堪えるようすの当主の姿を、夫人専属の筆頭侍女ジャスミンは冷ややかな目(チベスナ顔)で観察していたとか、いないとか。
 懐妊発覚時から、ジュリアンは妻専属の医者の数を増やして対応したとか、しないとか。
 女医さんを増やそうと、医大の規模を充実させるため寄付金も増やしたとか。


 この四人目の子の、こども(孫)が、成長したのちにじいさまの若かりし日の日記を読み込む → 「屋根裏のクリスティアナ」を発見する。
 生前のおばあさまクリスティアナが、「おじいさまが最初に描いた絵画は、わたくしの若いころのものだったのよ」と言っていたのを覚えていたため、該当する絵画を探すのが彼のルーチンワークになっていたらしい。
(つまり、地道な【ひとり宝探しゲーム】をやっていた)
 彼本人には、じいさま生前の記憶はない。幼いころに亡くなっているため。でも、じいさまの遺した絵が大好き。
 絵の心得があったため、発見したじいさまの処女作品をすぐに取り出さず、国立美術館の学芸員専門家に取り出しを依頼した。
 絵を持ち出すため森の小屋を破壊する必要があった。
 当時の公爵家当主はダミアンの息子。彼は森小屋に郷愁など無かったため、すぐに森小屋破壊を了承。絵の保護を優先させた。
「屋根裏のクリスティアナ」は描かれてから約五十年ぶりに人目に晒されることになった。
 小屋破壊時、その場に駆け付けたダミアン&ハーヴェイは絵を見て「ねえさまの若いころにそっくり」と喜んだとか。
 その姉に後日、「なぜわたくしを呼ばなかったの」と怒られたとか。
「腰が悪いから長距離移動はもう無理って言ってたじゃないか!」
「おかあさまの絵でしょ? 話が違うわよっ」
 ……みたいな姉弟喧嘩があったとかなかったとか。

 奇跡的にほぼ損傷のない状態で発見されたが、やはり紫外線など外気に晒すのは絵画に悪いので、一般公開は期間限定になった。


+++++


 晩年のジュリアンが画家として生涯を終え、それをナレーション風で伝える……という終わり方は、当初から決めていました。
 前作での『屋根裏のクリスティアナ』の扱いの違いで、クリスティアナの人生の幸せ度がお分かりいただけたかと。


+++++


2023年12月24日、ホットランキング(女性向け)二位に載っててビビりました(笑)
開いたら、表紙に我が名が載ってる! と。w
思わず二度見したあとにスクショw
24hポイント的には全然足りないのに、なぜ? なんの間違いだ? と疑心暗鬼になりました。(小心者なので)
ホットランキングって、根拠がよく分からんものですね。
でもドキドキしました。ご高覧、ありがとうこざいましたm(_ _)m
善きX`masプレゼントをいただいた気分です。
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