「離婚しよう」と軽く言われ了承した。わたくしはいいけど、アナタ、どうなると思っていたの?

あとさん♪

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番外編(4)【終】

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 ※注※この回は、大人の方のみ閲覧してくださいませ(たいしたことはありませんが、念の為)
 
 
 ミゲルさまは泣き続けるわたくしを抱き上げて、部屋に運んでくださいました。
 お膝の上に乗せて、わたくしが落ち着くまでずっと背を撫でてくださいます。
 時折降ってくるキスが優しくて嬉し過ぎて、なかなか泣き止むことが出来ませんでした。

 少し落ち着いてから、どうして泣いてしまったのかをお話ししました。
 嬉しくて嬉しくて、ミゲルさまが愛おし過ぎて、こんな優しい方がわたくしの旦那さまだなんて、こんな幸運、あってもいいのでしょうか。
 そう言えば、ミゲルさまが困ったようなお顔をされます。

「それは逆だろう? こんな素晴らしい女性が、私のような男の後添いになるなんて、私はどれだけ幸運の元に生まれたのだろうと、日々、思っているのだよ?」

 ミゲルさまのアイスブルーの瞳を覗き込めば、とても嘘を言っているような雰囲気には見えません。
 でも。
 わたくしは、嘘でも構わないのです。
 こんな優しい嘘なら、騙されてもいい。
 だって、嬉しくて堪らないのだから。

「ミゲルさま……わたくしのおねだり、叶えてくださる?」

 わたくし、ミゲルさまの過去の女性たちに負けたくないのです。
 わたくしもミゲルさまの中の『最高の女』になりたいのです。
 そうなる為に頑張るなら、今しかないのです!

「あぁ。なんでも言いなさい。私に出来ることなら、すべて叶えてあげるよ」

 お優しいミゲルさまがわたくしを拒否なさるはずがない。そんな確信を持ちながらのおねだりですもの、わたくしはズルい女なのです。

「ミゲルさまにしか、こんなおねだり、致しません……」

 わたくしはミゲルさまの首に腕を回して抱き着きました。
 ちょっと恥ずかしいけれど、わたくしのこのお願い、ミゲルさまでないと叶えて貰えません。
 いいえ、そうではないですね。ミゲルさまだけにする、特別なお願い、なのです。

 形のいい耳に口を近づけ、そっと囁きます。

「……抱いて、くださいませ……」

 自分の言った言葉の、あまりの恥ずかしさに顔をあげることが出来ません。
 自分から閨事を言いだすなんて、はしたないって解っています。
 ミゲルさまの首にギュッと抱き着いたまま、永遠かと思う時間(もしかしたらあっという間だったかも)を経て。
 一度、強く抱き締められたあと、ミゲルさまがわたくしを抱き上げてベッドへ運んでくれました。


 まだちょっと、お外が明るかったけど。
 お風呂、使う前だったけど。
 どうしても、どうしてもミゲルさまが欲しかったのです。

 なのに、閨でのミゲルさまはとてもイジワルなのです。
 散々、わたくしを焦らしに焦らしまくって、ミゲルさまご自身をわたくしにくださらない。
 けれど、多彩なテクニックをお持ちのミゲルさまの手にかかれば、わたくしなど赤子も同然。何度も簡単に気をやってしまいます。
 もう指は嫌です、ミゲルさまが欲しいの、と泣いて訴えて、ようやくミゲルさまご自身を頂けたときは嬉しくて嬉しくて。
 仔猫が鳴いてるみたいな、変な声、しか出なくて。

「……イキっぱなし、か……」

 ミゲルさまの美声も、意味をなさなくて。
 あとは、もう、訳が分からなくなってしまって。

 またいっぱい泣いてしまったけれど、わたくしが泣くとミゲルさまの微笑みが男らしくて。
 零れ落ちる汗、とか。
 上気したお身体、とか。

 素敵……としか思えなくて。

 手も足も、全部でミゲルさまに抱き着いて離れたくなくて。
 もう離さないでくださいまし、抜いちゃ、嫌ですと訴えて。

「私の妻が小悪魔過ぎる……」

 というミゲルさまの謎の呟きを耳の奥に聞きながら、わたくしの意識は遠くなったのでした。






 その後、すぐに妊娠が判明したのですが、ミゲルさまを始め、邸の使用人たちの過保護度がパワーアップ致しました。
 悪阻つわりが治まる頃には、お紅茶はカフェインの少ないハーブティーに変更されていました。
 お食事内容も、量は少ないけれど栄養価が高く、いつでも摘まめるものになったり。
 馬に乗れないどころか、ひとりで気軽にお庭の散歩も出来なくなってしまいまして。
 領地の見回りに行くときは、必ずミゲルさまが同乗する箱馬車で、ミゲルさまのお膝の上です。
 お陰で(?)なんだか太ったような気がします。大丈夫なのかしら、とファナに相談すると、彼女はいつものにっこり笑顔で、こう答えてくれました。

「奥様は、今までが痩せ過ぎだったのでございますよ。丁度良くなったと思います。お胸のマッサージもお続けなさいませ。大旦那様に、よぉく申し伝えておきますからね、大丈夫ですよ♡」

 ……言葉もございません……。




 わたくしのお側には、常に愛するミゲルさま。
 こんなに嬉しいことはありません。

「ミゲルさま。いつもありがとうございます」

「私の愛しいリーア。今日のおねだりはなんだい?」

「このご本の朗読をお願いしたいです。ミゲルさまのお声、とっても素敵ですもの」

「リーアは、甘えん坊さんになったね。よかろう。さぁ、私の膝においで」

 毎日がご褒美。
 嬉しくて嬉しくて。
 神様とミゲルさまと、わたくしたちを取り巻く全ての周囲の皆さまに感謝を捧げつつ、わたくしは今日もミゲルさまの美声にうっとりとしてしまうのでした。




【おしまい】











※背中が痒い上に、砂糖吐きそう……吐いた人いたら、作者としては成功なのですが。
※誠に勝手ながら、ミゲルさまのお声は森〇智之氏のお声(FFのセフィロスといえば通じます?)で脳内補完してくださいまし……
※ミゲル様視点も書こうかと思いましたが、完全エロになってしまうので断念。削除対象になるのは(/ω\)イヤン
※エミリアちゃんは、『ミゲルさまはイジワル』などと言ってますが、ミゲル様的には回数をこなせないので……ゴニョゴニョ
幼妻エミリアの小悪魔度が急成長してご満悦のミゲル様なのです。
※ご高覧、誠にありがとうございました<(_ _)>
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感想 36

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みんなの感想(36件)

rei☆yamato
2022.04.01 rei☆yamato

はじめまして。
大変面白く拝見いたしました。
エミリアさんが出来た方だ。
ミゲル様、グッジョブです!
番外編では、ご夫婦のラブラブ堪能させていただきました♪
リーアって呼び方がたまらん!
ミゲル様のお声は井上和彦様で囁かれてもヤバいです。(*´▽`*)

あとさん♪
2022.04.01 あとさん♪

rei☆yamato様

はじめまして!
面白いというお言葉いただきました!なによりも励みになります♡
ご堪能いただけたようで作者冥利につきます。ありがとうございます!
リーア呼び、可愛いでしょ? 溺愛が伝わって嬉しいです♡

>井上和彦様

おぉぅ……それはとてもナイスでグーな人選……(妄想)(うっとり)(あのお声はタラシ)(囁かれたら耳から堕ちる)ヤバいですネ。(*´▽`*)
実はミゲルさま視点のお話もありますが色々事情があって(笑)ムーンライトというところにあります。

感想ありがとうございました!
<(_ _)>

解除
エイル
2022.01.24 エイル

楽しく拝見しました
おぉ、ナルトのみなとパパのお声ですね、それは素晴らしいお声ですね(うっとり)
甘やかさらたらドロドロになりますねぇ
逃した魚は大きい、ざまぁですね

あとさん♪
2022.01.24 あとさん♪

エイル様

お楽しみ頂けたようでなによりです!
そうです! ミナトパッパのお声だってばよ!
あの声で「おいで」って両手を広げられたらハチ公より忠実になるってもんですよ!(落ち着け)

>逃した魚は大きい、ざまぁですね

ざまぁ、ちゃんと出来たようでホッとしてます!
感想ありがとうございました!
<(_ _)>

解除
ゆきみだいふく

はじめまして。とても素敵なお話で、エミリアさんの可愛さにほっこりしました。
再婚後の二人が幸せそうで、周りの人たちも優しく自分も幸せな気分にさせていただきました。


ミゲル様素敵なオジサマ枠私の中でNo.1の中田譲治さんか大塚明夫さんの声を想像してました。
ミゲル様視点もあるならぜひ読みたいです。

あとさん♪
2022.01.22 あとさん♪

ゆきみだいふく様

はじめまして。
お楽しみいただいたようでホッとしています。
ご高覧ありがとうございました。

>幸せな気分に

みんな幸せになーれ!
大丈夫、ワタシの背中が痒いくらいっ!(笑)

そしてまた素敵オジサマ枠の声優さんの情報がっ!!
わたくしめもこのおふたかた、大好きです♥
えぇ、ご自身のお好みステキボイスでお愉しみ下されば、ワタクシ的には大満足でございます。
えろミゲル様視点……ムーンライトかなぁ……

感想ありがとうございました!
<(_ _)>

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