雪解けの朝に

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　怒っているような悲しんでいるような失望したような声だった。

　僕は血の気が引いていくのを感じる。

「これが答え……？」

　レオは今にも泣きそうな顔で笑っていた。

　答え、って、なにが？　なにが起こっている？　世界のスピードについていけない。

　だけど漠然と僕の言葉はレオに届いていないんだということを感じた。

　そして僕たちの雪だるまを粉々にしたのも彼じゃないということも伝わった。

　そして僕でもない。

　僕は首を横に振ったけど、レオの目には、入らないみたいだった。

「俺の手紙、迷惑だったよね」

　……？

「読んでもいないかな。もしかして」

　なに？

「頑張って書いたんだけどな……。せめて、読んで欲しかった」

　なにを言ってるの？

「朝、ルカが俺を見て通り過ぎた理由が分かった」

　いや分かっていたらそんな反応しないと思うんだけど。

　恥ずかしくて通り過ぎたんだけど、乙女の恥じらいのようなアレなんだけど。

　なんでレオ、泣きそうなの？

　泣きたいのは僕の方だよ。僕を見てよ。僕じゃないよ、僕。

　僕雪だるま壊してないよ！

　レオの瞳は濁ったようだった。僕をまるで、見てくれない。

「分かった……もうルカに、近付かない。今までごめんね」

　何が何だか分からないよ。

　じゃあね、と言って彼は駆け出してしまった。

　待って！

「……！」

　僕の喉は空気を震わせることができない。

　彼はあっけなく僕の前から消えた。

　僕はレオに誤解されている気がする。

　これが答え？　ってなに？　手紙、迷惑だったよねって、ふざけんな手紙なら読んだよ！擦り切れるくらい読んだよ！ 

　どうして……？　全然伝わらない。

　答えを弁明する余地もない。そもそも僕は喋れない。

　引き止めることすら、たったそれだけのことすら、他の人なら簡単にできてしまうことすら僕はできない。できない。できないできないできないできないできない！