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しおりを挟むハッと我に返った時、朝のHRにはだいぶ余裕がある時間だった。内容を頭の中で反芻したら、レオには難しい文章もいくつかあったかもしれないと思った。僕はまた彼に苦労させてしまうかもしれない。でも、したためた手紙を今一度推敲するとなると、読み返した瞬間に羞恥心で破って捨ててしまいそうだと思ったのでやめた。
だからこの場から離れることにした。立ち上がって教室に向かう。二歩歩いて振り返り、やっぱり手紙なんて渡すのやめようと踵を返す。雪だるまの下の丹精こめたレポート用紙に手を伸ばして、でもこれは僕の本当の気持ちだからと手を引っ込め、また歩き出しては止まり、ちょっといっときのテンションに身を任せているかもしれないなんて思い返して花壇に戻り、でもレオの気持ちに応えたいと手を引っ込め、を何度か繰り返して、僕は身を切るような思いで校舎裏を後にした。
レオに会った時、どんな態度をとればいいのかわからない。
自分の気持ちをこんなにシンプルで直球な言葉で文字にしたことは初めてで、感じたことのない気持ちになっている。
あの時間帯に校舎裏に彼が現れなかったということは、今朝彼は真っ直ぐに自分の教室に向かったようだった。
あそこで会うことができていれば、直接渡してもう後戻りできないことになっていたのにな。
あれを読んだらどんな反応をするだろう。引かれるかな。
それでもいい。
どんな僕でも好きだと書いてくれた彼の気持ちを信じたい。
レオは変わらずに僕を抱きしめてくれるかな。別に楽しみになんてしてないけどね。
上履きを履いて階段を登り教室を目指した。三日も高校を休んだ僕に声をかける人はいない。僕などいてもいなくてもまるで関係ないのだ。それで別に構わない。
まだ心臓が少しドキドキしている。小さなため息をついた。暖かい室内のせいで急にかゆくなった頬をかきながらふと目前を見たら、レオが立っていた。
「……ルカ」
僕は目を見開く。
いざ本人を目の前にすると恥ずかしすぎて、おはよう、とはにかむ彼の横を風のように駆け抜ける。真っ赤な顔を見られてやしないだろうか。耳まで熱い。
早く彼があの手紙に気づいてくれるといいな。
*.○。・.: * .。○・。.。:*
その後音沙汰もなく昼を過ぎ、五限目と六限目は劇の練習だった。隣のクラスと合同だから嫌でもレオと顔を付き合わせることになる。いつも昼休みは息を止めて過ごしているけど、今日はなおさら緊張した。
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