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もう全部どうでもいい
しおりを挟む「あぁあっ……!」
突然、レースのカーテンのようになっているベビードールの中の春人の昂ぶりに、彼の女性のような綺麗な指が触れた。足の指が開く。結露したガラスにするようになぞられて、体がびくびく跳ねた。背が逸れ、首にしがみついていた腕に力が入らなくなっていく。
「はあ、っ、う、あ、あぁあ」
芒が春人の耳に唇を寄せてくる。
「触ってほしいですか?」
耳殻を食まれて、耳に舌を入れられる。背筋がぞくぞくした。もうなにも考えられなくなる。今のこととか、これからのこととか、明日のこととか、もう全部どうでもいい。
「さわ、っ、てぇ!」
芒の手が春人の昂ぶりから離れていく。春人は刺激が恋しくて発狂しそうだった、もうとっくに射精したいのをずっと耐えていた。苦しさとは裏腹に出したいのに出せない悶絶する気持ちは、春人をもっと快楽の虜にしていく。自分が分からなくなる。
「こっちのほうが好きなのに?」
刺激を惜しんでいた瞬間、それを越える悦に頭が一瞬真っ白になる。
「ああっ! だ、っめぇ……」
芒の指に胸を勢いよく摘ままれた。春人は同じくらい自分の中ものを締め付ける。それがまた春人の体を痙攣させてやまない。
「なにがだめなんですか? 教えてください」
「ああぁっ……うっ、や、やああ!」
もうだめだ、と思った瞬間、芒の指は乳首を離れて春人の性器の根本を強く抑えた。
「っ、アぁっ」
「まだイくんじゃありません」
涙と一緒に唾液が滝のように零れて、芒の鎖骨を濡らしていった。腕を掴まれて、自らの胸の尖りに手をもっていかれる。
「自分で弄って見てください? ねえ、気持ちいんでしょう? ここ、ほら、イけるかもしれませんよ?」
春人は一心不乱に自分の胸を弄った。中では少しの間止まっていた律動がまた始める。それなのに根本を抑えられ、どうしようもなくなっていた。言葉もうまく思い起こせない。どんなに刺激しても昇天するほど気持ちいいのに苦しさしか生まない。苦しさが痛みに変わり、最後にその痛みがまた春人を感じさせた。
「イ、きた、い! いき、た……ぁあ……」
「ダメ、芒をいかせてから、当たり前でしょう? なにを自分だけ気持ちよくなっているんですか?」
無意識に腰は自分が感じたい場所を擦るように動く。しかし芒がそれをさせてくれない。どうしても一番いいところに当ててくれない。それならと春人は自分からも激しく腰を振る。目の前の快楽のことしか考えられなかった。
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