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第二章

第三話

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「よいしょ。そろそろかな。」

「ギル!めちゃくちゃいい匂いするぞ!

最近干し肉とかパンばっかりだったから嬉しいぞ!」

美味しそうに焼けた魚を見てロビンが言った。

「本当だ。こんなに美味しそうな魚を私たちに3匹もくれるのはありがたいが、智也くんの分は大丈夫なのかい?」

「あ、全然大丈夫ですよ!

ほら、ここにまだ取った分があるんです。」

「そうか、ならよかった。

私は全然大丈夫なのだが、やはりロビンはまだ小さいし美味しくて栄養のあるものを食べさせてあげたかったところなんだ。

感謝するよ。」

頭を下げて智也に感謝を伝えた。

「いえいえ、色々聞きたいことがあるので、それでおあいこです!」

「あぁ、なんでも聞いてくれ。」

「そうですね、まずこの辺の地理と僕の行き先のパルムの街のこと、そしてハンターについて教えて欲しいです。」

「そうだな、まずは君が向かっているリース王国のパルムという街だ。

ここはこの国で2番目に大きい都市だ。

近くにある幾つかの国と隣接していることもあって、物流が盛んで非常に色んな種族が集まる街さ。

経済の中心地でもあるし、文化の中心地でもあるな。

もう一つ、ターリンという首都にもなっている1番の街もあるが、軍や貴族、王様などが住んでいるから大きいだけで大したのにはないな。

あとはダンジョンで栄えるケニーという都市や農業が盛んなワウスっていう都市みたいな地方都市がちょこちょこあるくらいだな。

殆どは名前があってないような村や集落ばかりさ。

地理についてはこんなものかな。

他国は流石にたくさんあるからとりあえずは割愛するよ。

次はハンターについてだな。

ハンターは基本的に魔物の討伐を主とする職業みたいなものだね。

ただ、職業って言うほどみんながみんな真面目に活動しているわけでは無いから基本的にはのらりくらりする奴らだと思われている。

七級から特級まで8つランクがあって、自分より上のランクに上がろうと多くの人が努力を重ねているよ。

魔物の討伐数や種類、貢献度等いろいろなことが加味されてランクの査定がされていく。

三級からランク降格もなくなるし、かなり世間的な地位が上がっていくんだ。

今僕は一級だけど、一級だと地方領主くらいの待遇は大体どこでもしてもらえるかな。

これがランクの話。

最後はハンタークラスの話だね。

ハンタークラスっていうのは簡単に言うとその人の戦闘タイプみたいなものかな。

例えば魔法を主としたソーサラー、近接格闘が得意なディーラー、回復が得意なヒーラー、攻撃を受けるタンカー、長距離が得意なアーチャーなんかが代表的かな。

まあ完全自己申告制だから偽りなんていくらでも出来るし、まあ軽い自己紹介みたいなものだと思ってよ。

ちなみに俺はディーラーを名乗らせてもらってるよ。」

「僕はソーサラーだよ!」

「そうなんですね~、僕は何が得意なんだろう。」

「まだ決めかねているならディーラーをとりあえずやるといい。

身のこなしが上手くなるし、筋力もつく。

筋力はどの職業でも必要だから、潰しが効くからね。」

「なるほど、そうなんですね。参考にさせてもらいます。」

「智也!全然驚いてなかったけど一級ハンターって凄いんだぞ!

ギルはもう半分化け物みたいなもんだよ!」

一級ハンターだということに智也がそれ程反応を示さなかったためにロビンが力説した。

「それよりもこの年で三級になってるロビンの方が私はすごいと思うがね。」

照れ臭かったのかギルバートがロビンを褒め返した。

お腹もいい感じに膨れ、眠くなったため、火を消してそれぞれが眠りについた。


************

ガシャ、ガシャ、ガシャ。

金属の音で目が覚める。

「あ、ギルバートさん、おはようございます。」

「おはよう、智也君。昨晩はしっかり眠れたかい?」

「はい!魔物の襲撃もなくてしっかり睡眠を取れました。」

「君の行き先はパルムだったね。

我々もパルムに向かおうと思っているんだが一緒に行かないかい?」

「ぜひお願いします!

詳しい道もよくわからなかったので助かります!」


こうして旅の仲間が出来るのであった。




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