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異世界生活

第8話〜撃〜

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俺は宿で使った武器や防具の手入れをしていた。

状況を聞きにギルドへ行ったが、発表されている中間報告では少しづつ発生も緩やかになっており、事態の収集がつくのはそんなに時間はかからないだろうとのことだった。

それを聞いた俺は安心して宿へと戻っていた。

コボルトの血が付きっぱなしだと剣が錆びついてしまう為、しっかりと念入りに手入れをした。

今日は夕日が美しく晴れていて気持ちの良い空模様だったので、外に出てぶらつくことにした。

すると朝出ていったはずの冒険者達が険しい顔をしてギルドの方へ走っていくのが見えた。

まあそろそろ時間的には魔物大量発生スタンピードは終わっている頃だし、討伐の戦績が思うようなものでなかったか、誰かが怪我をしてピリついているのだろう。

夕焼けを見ながら食べ歩きをしていると、夕日に照らされてオレンジ色になった何かが遠くからこちらに向かっていた。

黒い粒はだんだんと近づいてきて、その姿が見えてきた。

あれはいわゆるドラゴンというやつだろうか?

何故こんなとこを飛行しているのかと考えているとまっすぐにこっちに向かっているのがわかった。

殆どの人が驚き慄いて、街の中心へ逃げ始める中、大して土地勘もない俺は立っていることしかできなかった。

その頃街の領主に事態を伝えに来た冒険者達は必死に説明を繰り返した。

冒険者A「今回のスタンピードは吸血鬼による人為的なものである可能性が高いです。
また、最後にドラゴンを生み出して研究のデータが取れたと言って消えてしまいました。」

領主「そうか、人為的なものであったのか。
それにドラゴンを生み出したと言ったが、ドラゴンはどうしたのだ?」

冒険者A「私達のグループは一瞬にして瀕死へと追い込まれ、洞窟から出て街の方へ向かっています。なんとかポーションを使って一命は取り留めましたが、非常に危ない所でした。」

領主「しかしお前達が軽くあしらわれるとなるといよいよSランクの冒険者を何人か呼ばねばなるまい。
領主権限で命令を出し、討伐に向かわせるから、お前達は街の住民の避難を手伝ってやってくれ。」

冒険者A「了解しました。
よし、お前達、聞いていただろう。
一刻も早く街のみんなを助けるんだ!」

冒険者達はすぐに部屋を飛び出して手伝いへと向かった。

領主「さて、どうしたものか。
話の通じる吸血鬼となると相当厄介だな。
中央の連中に相談するか。」

そしてすぐに助手からギルド経由でSランク冒険者に通達が出された。




人はだいぶ居なくなったが、ドラゴンはもう目の前に来ているな。

俺も外に出て逃げた方がいいのか?

荷物を収納で全てしまった俺は宿を出た。

その時大きな鳴き声で思わず耳を塞いだ。

ドラゴンが門のすぐそばに来て止まったのだ。

周りに人はいないため、ドラゴンはこちらを見ている。

これはまずい。

殺されてしまうと考えた俺は逃げ道を探した。

しかし街の方に逃げては逃げ遅れた他の人がどんどん殺されてしまうと思い、俺は門を出て急いで逃げた。

それを見るなりドラゴンは俺を追ってきて、火を吹き始め、強制的に戦闘が開始した。

防具はボロボロになりながらもなんとかステータスのお陰で軽いやけど程度で済んでいる。

だが流石にこの火を浴び続けたら、光属性の治癒魔導でも治らなそうなので、やけくそで迎え撃つことにした。

剣を力一杯振り回すも、届かなかったり、軽い切り傷を作るだけで致命傷は与えられず、ジリ貧であった。

ここでふとガイドで魔導はイメージが大事だということを思い出す。

もしかしたらと収納から魔杖を取り出し、ドラゴンと正対した。

そして強く念じながらドラゴンに向かって「消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ」と狂ったように言葉を発しながらドラゴンが消えるイメージをした。

ちょうどその時Sランク冒険者は現場へとたどり着き、動向をうかがっていた。

Sランク冒険者A「おい、あいつドラゴンと戦ってやがるぞ?」

Sランク冒険者B「本当だ、Aランクの冒険者を筆頭にもう街のみんなは避難させたと聞いたんだがな。
逃げ遅れた奴がいたのか。」

Sランク冒険者C「それにしても見てみろ。
ずっと何かを唱えているぞ?」

Sランク冒険者A「本当だな。でも何も起きていないぞ。このままでは殺されてしまいそうだ。
隙ができたら助けに行くぞ。」




何度も何度も消えろと唱えながらイメージを繰り返している俺だったが一向に効果は上がらない。

吐き出す炎は自分の体に当たる前にある程度消せるようになり、被ダメージは減ったものの、剣の時とは違って一向にダメージを与えることはできていなかった。

どうしようもできずに、死の瀬戸際のいる俺は何を思ったか、爆発しろ!と唱えた。

すると目の前で急に猛烈な光が放たれとてつもない爆音が聞こえてきた。

俺は薄れゆく意識の中で頭の中に何かが聞こえた気がした。

“レベルアップを確認。 潜在スキル鑑定を解放しました。”
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