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26 これからのこと
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城に戻った俺は、そのまま王の元へと行き。予言の報告をした。時計塔の時計、宝剣、大樹の新芽、大雨と氾濫、そしてリス……俺のたどたどしい説明を、王は目を伏せながら聞き、そして説明が終わると壁の方で待機してたグレンノルトのことを呼んだ。
「まず、時計塔に関してだが、城下町にあるものことで間違いないな」
「はい、私の方もそのように解釈しております」
グレンノルトがそう答える。王は目を伏せ、1度口を閉じてから、また話し始めた。
「技師を派遣し、時計が故障する原因を探させる。もし、調査に人手が必要とあれば町から人を募ろう。宝剣についてだが、おそらくこの城に保管されている、宝剣ノヴァのことだろう。宝物庫の警備を厳重にするとともに、騎士団は城へ入る侵入者にも備えるように。大樹の新芽については、学者を使って調べさせる。大雨と氾濫は国一丸となって対処しよう。星読みたちの力を借り、大雨の時期を割り出させ、国全体に被害が及ぶようなら警告を出す。氾濫については、とくに被害が出そうなところを騎士団に対処してもらう」
「承知しました」
王はその後、「リスについては情報が足りん。いつ、何が起こっても対処できるように備えておくように」と言い、予言の報告は終わった。「失礼します」と言ってから、俺はグレンノルトに続いて部屋を出る。後半、俺は王とグレンノルトの会話を聞いていただけだったが、それでも、あの威厳ある王と対面するのはなんだか疲れた。
「お疲れ様です、トウセイ様。部屋までお送りします」
「え、大丈夫ですよ。すぐそこなんで」
「私がそうしたいのです」
「迷惑でしょうか?」と聞かれて、俺は言葉がつまる。別に迷惑とかそう言うことではないのだけれど……なんと言えばいいか、グレンノルトの紳士然とした振舞は、俺を少しむず痒い気持ちにさせる。嫌じゃないけど、気になると言うか。でも、ここで断るのも悪い気がして、「じゃあ、お願いします」と俺は伝えた。時間にして、数分とない、謁見の間から俺の部屋までの道を、俺はグレンノルトと話しながら歩いた。
*
魔女の家を訪ねた翌日、俺は普段よりも少し遅い時間に起きた。久しぶりに出かけたからななのか、自分でも疲れていたのは感じたが、寝坊するまでだったとは。気を利かせてくれたのか、誰も俺を起こさなかったし仕方がない。俺はいつもより遅い朝食を部屋で一人で食べ、これからどうするか考えた。これからと言うのは、一日の予定のことでなく、今後の生活についてだ。
「ぶっちゃけ、城に居てもやることないよな……」
転移者としての仕事は、月の初めの一日だけ。それ以外は自由に過ごしていいと言われているが、仕事がないからこそ俺は暇を持て余していた。やりたいことは多分沢山ある。まず、この世界についてもっとたくさん知りたいし、せっかく異世界に来たんだからいろんなところを見て回りたい。広いとはいえ、この城の中だけでで過ごすのはもったいない気がした。
(問題は、誰に頼むかだよな)
異世界から来たばかりの俺は、知識に関しては赤ちゃんみたいなものだ。この世界の文化や常識と言ったものを全く持って分かっていない。もちろん、字の読み書きだってできなかった。今はまだ俺を転移者と理解してくれている人たちとしか触れあっていないから、向こうが俺に合わせてくれるが、グレンノルトから、転移者の存在は一般には公開されないと教えられている。この世界における最低限の知識やマナーを身に付けなければ、城の外には出ない方が良いと言うことだった。
「誰か俺に教えてくれる人は……」
悲しいかな、この世界で俺は知り合いと言える人は数えるほどしかいなかった。その中から「友人」と定義する人を探すともっと少なくなる。メイドとか、仕事中の人に頼むのも迷惑だと思われそうだ。独学でどうにかしようにも、本が読めなければ仕方がない。俺は先行きの悪さにため息を吐いた。
「まず、時計塔に関してだが、城下町にあるものことで間違いないな」
「はい、私の方もそのように解釈しております」
グレンノルトがそう答える。王は目を伏せ、1度口を閉じてから、また話し始めた。
「技師を派遣し、時計が故障する原因を探させる。もし、調査に人手が必要とあれば町から人を募ろう。宝剣についてだが、おそらくこの城に保管されている、宝剣ノヴァのことだろう。宝物庫の警備を厳重にするとともに、騎士団は城へ入る侵入者にも備えるように。大樹の新芽については、学者を使って調べさせる。大雨と氾濫は国一丸となって対処しよう。星読みたちの力を借り、大雨の時期を割り出させ、国全体に被害が及ぶようなら警告を出す。氾濫については、とくに被害が出そうなところを騎士団に対処してもらう」
「承知しました」
王はその後、「リスについては情報が足りん。いつ、何が起こっても対処できるように備えておくように」と言い、予言の報告は終わった。「失礼します」と言ってから、俺はグレンノルトに続いて部屋を出る。後半、俺は王とグレンノルトの会話を聞いていただけだったが、それでも、あの威厳ある王と対面するのはなんだか疲れた。
「お疲れ様です、トウセイ様。部屋までお送りします」
「え、大丈夫ですよ。すぐそこなんで」
「私がそうしたいのです」
「迷惑でしょうか?」と聞かれて、俺は言葉がつまる。別に迷惑とかそう言うことではないのだけれど……なんと言えばいいか、グレンノルトの紳士然とした振舞は、俺を少しむず痒い気持ちにさせる。嫌じゃないけど、気になると言うか。でも、ここで断るのも悪い気がして、「じゃあ、お願いします」と俺は伝えた。時間にして、数分とない、謁見の間から俺の部屋までの道を、俺はグレンノルトと話しながら歩いた。
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魔女の家を訪ねた翌日、俺は普段よりも少し遅い時間に起きた。久しぶりに出かけたからななのか、自分でも疲れていたのは感じたが、寝坊するまでだったとは。気を利かせてくれたのか、誰も俺を起こさなかったし仕方がない。俺はいつもより遅い朝食を部屋で一人で食べ、これからどうするか考えた。これからと言うのは、一日の予定のことでなく、今後の生活についてだ。
「ぶっちゃけ、城に居てもやることないよな……」
転移者としての仕事は、月の初めの一日だけ。それ以外は自由に過ごしていいと言われているが、仕事がないからこそ俺は暇を持て余していた。やりたいことは多分沢山ある。まず、この世界についてもっとたくさん知りたいし、せっかく異世界に来たんだからいろんなところを見て回りたい。広いとはいえ、この城の中だけでで過ごすのはもったいない気がした。
(問題は、誰に頼むかだよな)
異世界から来たばかりの俺は、知識に関しては赤ちゃんみたいなものだ。この世界の文化や常識と言ったものを全く持って分かっていない。もちろん、字の読み書きだってできなかった。今はまだ俺を転移者と理解してくれている人たちとしか触れあっていないから、向こうが俺に合わせてくれるが、グレンノルトから、転移者の存在は一般には公開されないと教えられている。この世界における最低限の知識やマナーを身に付けなければ、城の外には出ない方が良いと言うことだった。
「誰か俺に教えてくれる人は……」
悲しいかな、この世界で俺は知り合いと言える人は数えるほどしかいなかった。その中から「友人」と定義する人を探すともっと少なくなる。メイドとか、仕事中の人に頼むのも迷惑だと思われそうだ。独学でどうにかしようにも、本が読めなければ仕方がない。俺は先行きの悪さにため息を吐いた。
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