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25 帰り道
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予言を聞いた後、俺は魔女にお礼を伝えてから馬車に戻った。この後は城に行き、王に予言の内容を伝える流れである。城に戻る道すがら、俺は魔女とのお茶会をグレンノルトに話した。
「なるほど、魔女が転移者様を家に招くのは、異世界の話を聞きたいからなんですね」
「はい。予言と異世界の話をお互いするって感じですね」
予言された5つのことについても話した。時計塔の時計、宝剣、大樹の新芽、川の氾濫、そしてリス。グレンノルトも川の氾濫とリス以外は、おおよそ見当がつくと言った。
「時計塔は、王都にあるものだと思います。確か、国で一番大きな時計塔です。宝剣は……そうですね、城の宝物庫かどこかに保管されているはずです」
「大樹って言うのは? 普通の木じゃないんですか?」
「聖なる力が宿った大きな木を大樹と呼ぶんです。この国には、南と東に1本ずつあります。大樹に新芽が出ることは、すごく縁起の良いことなんです」
なるほど、どれも建物の位置や場所が分かっているのか。それなら、対処もしやすそうだ。反対に、他2つは少し対処が難しそうだと思った。
「川の氾濫は……?」
「うーん、場所までは流石に……しかし、大雨が川の氾濫の原因と言うなら、一か所だけでなく複数個所、氾濫する可能性もあります」
「確かに! 大雨と川の氾濫に警戒して、危険がありそうなところは事前に対策しておくのが良いんですかね」
グレンノルトは「そうですね」と頷いた。大雨が起きるとなれば、川の氾濫も危険だが、他にも発生する問題はありそうだ。今回の予言の中で一番重要そうだと、個人的には感じる。
「あと、リスにつてですけど」
「正直、これが一番分かりません。逃げ出す、ということは生き物ですから、あのリスのことだとは思うのですが……リス、リスですか……」
グレンノルトは本気で悩んでいるようだった。リスが逃げ出す、この予言は何を示すんだろう。何かを暗示してたり、違う意味があったりとか? いや魔女ははっきりと「リスが逃げ出す」と言っていた。この言葉は額面通り受け取った方が良いのかな。しかし、そうは言ってもリスがどこから逃げ出すと言うんだ。グレンノルトは「そういえば」と言って俺の方を見た。
「初めての仕事、お疲れさまでした。何か問題などはありませんでしたか?」
「ありがとうございます。魔女様もお茶や甘いものを振舞ってくれて優しかったし、問題はとくに。グレンノルトさんは待ち時間が長くて、大変ですよね」
「大丈夫ですよ。トウセイ様が楽しんで仕事ができたようで何よりです」
そう話すグレンノルトは、俺の目を見て優しく微笑んでいた。彼の不意の表情に俺は思わずドキリとしてしまう。彼と初めて会ったときこんなイケメンがいるのかと驚いたが、2日3日で慣れることができるものでもない。グレンノルトと話している時やふとした時に、今みたいに心臓を跳ねさせることは何度かあった。そこまで考えて、俺は咳払いをする。気持ちを切り替えよう。
「あ! そういえば、魔女様に転移者の前任について少し話を聞いたんです。どんな方だったんですか?」
「前任者については少し事象がありお話しできないんです」
「そ、そうなんですか」
事情……そうか、理由が合って誰も俺に前任者の話をしなかったのかと、俺はそこで気付いた。話せないと言われたことを、ずけずけと何度も尋ねるのも悪いだろう。俺は「分かりました」と呟く。それにしても、事情とはどんなことなんだろうか。昨日も感じたが、この世界に来たばかりの俺は、「実はこんなことがあったんです」とか「こういう事情があって、だからこうなんです」とか、そこら辺のことが全く分からない。疎外感、とは少し違うが、早くこの世界に詳しくなりたいなと思った。馬車がガタゴトとと揺れ、もうすぐ王都に到着する。俺は魔女の予言をメモした紙を握って、外の風景を見ていた。
「なるほど、魔女が転移者様を家に招くのは、異世界の話を聞きたいからなんですね」
「はい。予言と異世界の話をお互いするって感じですね」
予言された5つのことについても話した。時計塔の時計、宝剣、大樹の新芽、川の氾濫、そしてリス。グレンノルトも川の氾濫とリス以外は、おおよそ見当がつくと言った。
「時計塔は、王都にあるものだと思います。確か、国で一番大きな時計塔です。宝剣は……そうですね、城の宝物庫かどこかに保管されているはずです」
「大樹って言うのは? 普通の木じゃないんですか?」
「聖なる力が宿った大きな木を大樹と呼ぶんです。この国には、南と東に1本ずつあります。大樹に新芽が出ることは、すごく縁起の良いことなんです」
なるほど、どれも建物の位置や場所が分かっているのか。それなら、対処もしやすそうだ。反対に、他2つは少し対処が難しそうだと思った。
「川の氾濫は……?」
「うーん、場所までは流石に……しかし、大雨が川の氾濫の原因と言うなら、一か所だけでなく複数個所、氾濫する可能性もあります」
「確かに! 大雨と川の氾濫に警戒して、危険がありそうなところは事前に対策しておくのが良いんですかね」
グレンノルトは「そうですね」と頷いた。大雨が起きるとなれば、川の氾濫も危険だが、他にも発生する問題はありそうだ。今回の予言の中で一番重要そうだと、個人的には感じる。
「あと、リスにつてですけど」
「正直、これが一番分かりません。逃げ出す、ということは生き物ですから、あのリスのことだとは思うのですが……リス、リスですか……」
グレンノルトは本気で悩んでいるようだった。リスが逃げ出す、この予言は何を示すんだろう。何かを暗示してたり、違う意味があったりとか? いや魔女ははっきりと「リスが逃げ出す」と言っていた。この言葉は額面通り受け取った方が良いのかな。しかし、そうは言ってもリスがどこから逃げ出すと言うんだ。グレンノルトは「そういえば」と言って俺の方を見た。
「初めての仕事、お疲れさまでした。何か問題などはありませんでしたか?」
「ありがとうございます。魔女様もお茶や甘いものを振舞ってくれて優しかったし、問題はとくに。グレンノルトさんは待ち時間が長くて、大変ですよね」
「大丈夫ですよ。トウセイ様が楽しんで仕事ができたようで何よりです」
そう話すグレンノルトは、俺の目を見て優しく微笑んでいた。彼の不意の表情に俺は思わずドキリとしてしまう。彼と初めて会ったときこんなイケメンがいるのかと驚いたが、2日3日で慣れることができるものでもない。グレンノルトと話している時やふとした時に、今みたいに心臓を跳ねさせることは何度かあった。そこまで考えて、俺は咳払いをする。気持ちを切り替えよう。
「あ! そういえば、魔女様に転移者の前任について少し話を聞いたんです。どんな方だったんですか?」
「前任者については少し事象がありお話しできないんです」
「そ、そうなんですか」
事情……そうか、理由が合って誰も俺に前任者の話をしなかったのかと、俺はそこで気付いた。話せないと言われたことを、ずけずけと何度も尋ねるのも悪いだろう。俺は「分かりました」と呟く。それにしても、事情とはどんなことなんだろうか。昨日も感じたが、この世界に来たばかりの俺は、「実はこんなことがあったんです」とか「こういう事情があって、だからこうなんです」とか、そこら辺のことが全く分からない。疎外感、とは少し違うが、早くこの世界に詳しくなりたいなと思った。馬車がガタゴトとと揺れ、もうすぐ王都に到着する。俺は魔女の予言をメモした紙を握って、外の風景を見ていた。
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