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20 転移者の仕事
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案内された部屋にひとしきり驚いた後、俺はこの世界や自分のことについてグレンノルトに尋ねた。彼の話によれば、今俺にいる国の名前はエルス王国と言うらしい。異世界より人を召喚する技術を保有し、世界で3本の指に入るほど大きな国なのだそうだ。そして、その異世界から召喚された人間が「転移者」、つまり俺のことだった。
「転移者であるトウセイ様には、魔女から予言を授かってもらいます」
グレンノルトは、自分も詳しいことまでは分からないがと前置きしてから、転移者の仕事について話した。魔女は、王都の外にある森に住んでいるということだった。転移者は、月に一度そこに訪ね、その後1か月の中で起きる出来事を予言してもらう。そして、聞いた予言を国に戻り王に報告することまでが仕事と言うことだった。
「……転移者の仕事、それだけですか?」
「はい。魔女の元には、城から馬車が出ます」
月に一度、魔女の元に行くのが仕事と言うなら、つまり他の日は仕事のない休みと言うことだ。正直、王から「魔女から予言を授かって欲しい」と言われ、魔女を探す旅でもしなくちゃいけないのかと思っていたから少し拍子抜けだ。そもそも、魔女の居場所が分かっているなら誰が言っても予言を教えてくれるんじゃないか。そう考えていると、グレンノルトが小さく笑い声を上げた。
「すみません。トウセイ様は、その……分かりやすい方ですね」
「……もしかして、顔に出てましたか?」
グレンノルトは、笑いそうになるのを堪えながら「はい」と頷いた。何となく、この部屋を見てからテンションが上がってしまい、考えていることが顔や態度に表れやすくなってしまっている気がする。反省していると、「魔女からの指示なんです」とグレンノルトは説明した。
「自分が予言を授けるのは転移者だけと、魔女自身が言ってきかず……」
「ちなみに、転移者が魔女の元ですることって具体的に分かったりしますか……?」
そう聞くと、グレンノルトは「残念ながら」と首を振った。ここにきてちょっと不安要素が出てきたぞ。魔女の元へ行き、いざ予言を聞こうと思ったら、「私は異世界の人間の肉が大好物なんだよ!」とか言われて襲われたらどうしよう。もう、俺の中の魔女のイメージは、牙が肉食獣みたいに尖った山姥みたいな老婆だ。これで良い人だったら申し訳ないな。そう考えていると、扉がコンコンコンと叩かれた。
「失礼します」
そう言って部屋に入って来たのは、一人のメイドだった。彼女は、静かに俺の前まで歩いてきて、深々とお辞儀する。
「アリシア・リントナーと申します。トウセイ様のお世話をさせていただきます」
アリシアと名乗った女性は「よろしくお願いします」ともう一度頭を下げた。どうしよう、本当に金持ちになったみたいだ。現実感が無くて惑ってしまう。俺は、顔を上げてくださいと彼女にお願いした。アリシアがお茶の用意をしてくれている傍ら、グレンノルトが今後のことについて説明してくれる。俺の初めての仕事は、3日後と言うことだった。
(3日後か……魔女って、どんな人なんだろう)
「転移者であるトウセイ様には、魔女から予言を授かってもらいます」
グレンノルトは、自分も詳しいことまでは分からないがと前置きしてから、転移者の仕事について話した。魔女は、王都の外にある森に住んでいるということだった。転移者は、月に一度そこに訪ね、その後1か月の中で起きる出来事を予言してもらう。そして、聞いた予言を国に戻り王に報告することまでが仕事と言うことだった。
「……転移者の仕事、それだけですか?」
「はい。魔女の元には、城から馬車が出ます」
月に一度、魔女の元に行くのが仕事と言うなら、つまり他の日は仕事のない休みと言うことだ。正直、王から「魔女から予言を授かって欲しい」と言われ、魔女を探す旅でもしなくちゃいけないのかと思っていたから少し拍子抜けだ。そもそも、魔女の居場所が分かっているなら誰が言っても予言を教えてくれるんじゃないか。そう考えていると、グレンノルトが小さく笑い声を上げた。
「すみません。トウセイ様は、その……分かりやすい方ですね」
「……もしかして、顔に出てましたか?」
グレンノルトは、笑いそうになるのを堪えながら「はい」と頷いた。何となく、この部屋を見てからテンションが上がってしまい、考えていることが顔や態度に表れやすくなってしまっている気がする。反省していると、「魔女からの指示なんです」とグレンノルトは説明した。
「自分が予言を授けるのは転移者だけと、魔女自身が言ってきかず……」
「ちなみに、転移者が魔女の元ですることって具体的に分かったりしますか……?」
そう聞くと、グレンノルトは「残念ながら」と首を振った。ここにきてちょっと不安要素が出てきたぞ。魔女の元へ行き、いざ予言を聞こうと思ったら、「私は異世界の人間の肉が大好物なんだよ!」とか言われて襲われたらどうしよう。もう、俺の中の魔女のイメージは、牙が肉食獣みたいに尖った山姥みたいな老婆だ。これで良い人だったら申し訳ないな。そう考えていると、扉がコンコンコンと叩かれた。
「失礼します」
そう言って部屋に入って来たのは、一人のメイドだった。彼女は、静かに俺の前まで歩いてきて、深々とお辞儀する。
「アリシア・リントナーと申します。トウセイ様のお世話をさせていただきます」
アリシアと名乗った女性は「よろしくお願いします」ともう一度頭を下げた。どうしよう、本当に金持ちになったみたいだ。現実感が無くて惑ってしまう。俺は、顔を上げてくださいと彼女にお願いした。アリシアがお茶の用意をしてくれている傍ら、グレンノルトが今後のことについて説明してくれる。俺の初めての仕事は、3日後と言うことだった。
(3日後か……魔女って、どんな人なんだろう)
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