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第1話#01
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夏の夕日にヒグラシの声が響きます。薄らと陽が翳りだすと、よく耳にする学校のチャイムが再び鳴りました。
ここは現代の日本にして、とある高校。先ほどのチャイムは放課後を知らせる音です。しかし、学校には部活に励む生徒たちの活気ある声が響いていました。教室にも、お喋りに夢中で居残っている生徒も多々います。にも関わらず、校内の独特な静けさは人に不思議な感覚をさせました。物の擦れる音、靴音、どの動作も音は響き、反響し、まるで外からぽっかりと隔離されたような錯覚を起こさせました。
「鈴の音?」
誰かがぽつりと呟きました。1人の時、2人の時、その他大勢の時、透き通る鈴の音は確かに聞こえました。
誰もが振り返り、辺りを探しますが誰もいません。風が緩く吹いているだけです。
しかし、何も無いところに音は鳴りません。
故に彼女――岩崎《いわさき》篠《しの》は、影から悪戯に微笑むのです。誰の耳にも聞こえるように、誰の目にも薄らと映るように。黒髪のポニーテールに鈴の付いた赤い簪、普段見かけない白と赤の巫女服を着て、校内を巡るのです。それは正に、不審者でした。
ここは現代の日本にして、とある高校。先ほどのチャイムは放課後を知らせる音です。しかし、学校には部活に励む生徒たちの活気ある声が響いていました。教室にも、お喋りに夢中で居残っている生徒も多々います。にも関わらず、校内の独特な静けさは人に不思議な感覚をさせました。物の擦れる音、靴音、どの動作も音は響き、反響し、まるで外からぽっかりと隔離されたような錯覚を起こさせました。
「鈴の音?」
誰かがぽつりと呟きました。1人の時、2人の時、その他大勢の時、透き通る鈴の音は確かに聞こえました。
誰もが振り返り、辺りを探しますが誰もいません。風が緩く吹いているだけです。
しかし、何も無いところに音は鳴りません。
故に彼女――岩崎《いわさき》篠《しの》は、影から悪戯に微笑むのです。誰の耳にも聞こえるように、誰の目にも薄らと映るように。黒髪のポニーテールに鈴の付いた赤い簪、普段見かけない白と赤の巫女服を着て、校内を巡るのです。それは正に、不審者でした。
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