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第一章
兄弟
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急だった。
「ただいま~」
現れたのは、私より少々年上だろうか。男子である。
「三郎君、今日はうちの息子達が帰って来る予定だったのよ。紹介するわね。二男の勝人よ。緊張しなくてもいいわよ。」
(息子?そういえば、母上がおっしゃっていたな)
「君が三郎君か~宜しく。このばか妹がうるさくないか!」
(するどい)
「いえ!そんなことないです」
突然の出会いと質問に思わず気後れして上手く言葉が出ない。
「ちょっと!なによ!ばか妹ですって!ばか兄貴がなに言ってんのよ!」
歌奈が怒り出す・・
「もう、いい加減にしなさい!顔合わせるとすぐそうなんだから。もう夕飯にするから、歌奈はパパを呼んで来て頂戴。お兄ちゃんはまだ遅くなるらしいから。勝人は早く着替えてらっしゃい!」
思いがけない展開に歌奈の背中を見つめたまま固まっていたところにまた勝人が話し始めた。
「びっくりした?安心して。仲が悪い訳じゃなんだよ。変な話だけど可愛くていじめたくなるってあるじゃない?歌奈には言うなよ。たった一人の妹だからな。いじりたくなる訳よ。」
「そうですか・・私にも妹がいて・・なんか分かります。」
「えっ!?妹いたの?思い出したの?」
「いいえ!違います。もしいたら同じ気持ちになるだろうから分かりますってことです。」
(あ~危なかった~)
いつの世も兄と妹はあまり変わりはないようで少し安心した。
「孝人はちょっと遅れるみたい。この間話した長男ね。」
「今日は、ママの誕生日なのよ。誕生日って三郎分かる?」
(そのくらい、知ってるわ!)
「そうだったんですか!めでたい日なんですね。で、その祝いでみんな集まったんですね。」
そんなことを賑やかに話していると・・
「ただいま~」
「あっ、お兄ちゃん帰って来た~思ったより早かったね!」
「お帰りなさい。ほんとね。早かったじゃない?」
「まあね。今日は特別ゲストもいるから、興味深々で急いで帰って来たよ。初めまして三郎君。長男の孝人です。よろしく。」
そう言ってにこやかにあいさつをしてくれた。
何だか照れくさくて、思いのほかもじもじしてるのが自分でも分かった。
孝人は24歳。勝人は22歳で二人共専門は違うが父上のように医者を目指して勉強しているらしい。
歌奈は歳の離れた妹だという事だった。
和気あいあいとした家族の風景に心が和んだ。
(家族はこんなに仲が良いいんだな。それも長男と二男で・・)
羨ましいと思った。見ていて悲しくもなった。
この家族のように、私の家族も円満に暮らせることが出来たならどんなに幸せだろう・・
そんな事を考えていた。
「ちょっと、庭に出てゆっくり話そうよ。」
兄弟と男3人、庭に出て他愛もない会話が始まる。
孝人も勝人も色んな話をしてくれた。
私はただ、うなずき聞くだけだった。
当然、全てが初めて聞く話しばかりなので、興味深いというのもあったが、何よりも平野兄弟が、仲良く色んな話しを私にしてくれているこの光景が私にはまぶしくて仕方なかった。
「何か困った事があったらいつでも言ってくれよ。君のご両親のことは父がなんとかするだろうから、それ以外ってことだけどね。」
「そうさ。同じ男同士なんだから、兄貴だけじゃなくて俺にも言ってくれよな!」
『男同志』いい響きだ。今までこんなに頼もしい言葉を本心から聞いたことは無かったな・・
この夜、私は存分に男同士を味わった。
「ただいま~」
現れたのは、私より少々年上だろうか。男子である。
「三郎君、今日はうちの息子達が帰って来る予定だったのよ。紹介するわね。二男の勝人よ。緊張しなくてもいいわよ。」
(息子?そういえば、母上がおっしゃっていたな)
「君が三郎君か~宜しく。このばか妹がうるさくないか!」
(するどい)
「いえ!そんなことないです」
突然の出会いと質問に思わず気後れして上手く言葉が出ない。
「ちょっと!なによ!ばか妹ですって!ばか兄貴がなに言ってんのよ!」
歌奈が怒り出す・・
「もう、いい加減にしなさい!顔合わせるとすぐそうなんだから。もう夕飯にするから、歌奈はパパを呼んで来て頂戴。お兄ちゃんはまだ遅くなるらしいから。勝人は早く着替えてらっしゃい!」
思いがけない展開に歌奈の背中を見つめたまま固まっていたところにまた勝人が話し始めた。
「びっくりした?安心して。仲が悪い訳じゃなんだよ。変な話だけど可愛くていじめたくなるってあるじゃない?歌奈には言うなよ。たった一人の妹だからな。いじりたくなる訳よ。」
「そうですか・・私にも妹がいて・・なんか分かります。」
「えっ!?妹いたの?思い出したの?」
「いいえ!違います。もしいたら同じ気持ちになるだろうから分かりますってことです。」
(あ~危なかった~)
いつの世も兄と妹はあまり変わりはないようで少し安心した。
「孝人はちょっと遅れるみたい。この間話した長男ね。」
「今日は、ママの誕生日なのよ。誕生日って三郎分かる?」
(そのくらい、知ってるわ!)
「そうだったんですか!めでたい日なんですね。で、その祝いでみんな集まったんですね。」
そんなことを賑やかに話していると・・
「ただいま~」
「あっ、お兄ちゃん帰って来た~思ったより早かったね!」
「お帰りなさい。ほんとね。早かったじゃない?」
「まあね。今日は特別ゲストもいるから、興味深々で急いで帰って来たよ。初めまして三郎君。長男の孝人です。よろしく。」
そう言ってにこやかにあいさつをしてくれた。
何だか照れくさくて、思いのほかもじもじしてるのが自分でも分かった。
孝人は24歳。勝人は22歳で二人共専門は違うが父上のように医者を目指して勉強しているらしい。
歌奈は歳の離れた妹だという事だった。
和気あいあいとした家族の風景に心が和んだ。
(家族はこんなに仲が良いいんだな。それも長男と二男で・・)
羨ましいと思った。見ていて悲しくもなった。
この家族のように、私の家族も円満に暮らせることが出来たならどんなに幸せだろう・・
そんな事を考えていた。
「ちょっと、庭に出てゆっくり話そうよ。」
兄弟と男3人、庭に出て他愛もない会話が始まる。
孝人も勝人も色んな話をしてくれた。
私はただ、うなずき聞くだけだった。
当然、全てが初めて聞く話しばかりなので、興味深いというのもあったが、何よりも平野兄弟が、仲良く色んな話しを私にしてくれているこの光景が私にはまぶしくて仕方なかった。
「何か困った事があったらいつでも言ってくれよ。君のご両親のことは父がなんとかするだろうから、それ以外ってことだけどね。」
「そうさ。同じ男同士なんだから、兄貴だけじゃなくて俺にも言ってくれよな!」
『男同志』いい響きだ。今までこんなに頼もしい言葉を本心から聞いたことは無かったな・・
この夜、私は存分に男同士を味わった。
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