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46.帰還
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「お帰りなさいませ。お早いお戻りでしたね」
家令に出迎えられ、カントリーハウスへと足を踏み入れる。
「ミカエラが頑張りすぎて疲れてしまったので。それにある程度成果があったから外周は十分かな」
ミカエラはもう少し色々なものを見て回りたかった気もするが、「観光はまた今度ね」とフレデリックに言われたので納得することにした。
社交シーズンを早めに切り上げ、領地に戻っていたらしいジュリエッタ夫人が満面の笑みで部屋に招き入れる。
「旅の話は晩餐の時に聞くわ。今伯爵とローは隣町の橋の様子を見に行っているのだけど、そろそろ戻ってくるはずよ」
「橋? 壊れたのですか?」
「4日前に大雨があったから確認と補強にね。建築士と補強方法を決めたらすぐ帰ってくるわ」
「領地内のことも色々教えて貰わないとなりませんね」
フレデリックは嘆息した。ラエドニア王族に安易に居場所を辿られないよう、連絡を控えていたツケは大きそうだ。
一行が旅の埃を落といし、身綺麗にしたところでマクレガー伯爵とローヴァンが戻ってきた。
「フレッド、ミカエラ、お帰り。少しやせたかな?」
「父上、ただいま戻りました」
「アネッサとヤルマールもよく戻ってきてくれた。5日ほど休んで羽を伸ばしてくれ」
「「ありがとうございます」」
「せっかくウチにいる間に肌や髪が綺麗になってたのに…ミカエラはまた無理のない範囲で食事量を増やさないとだな」
「すぐ元に戻りますよ、月義兄様」
再会を喜び、晩餐は料理長の食事を旅の話を肴にして進める。
「いくつかの貴族に借りを作ってきたわけか。…上位貴族に恩が売れるともっと良かったが、逆らえない相手だとミカエラを召し上げられてしまうだけだろうしな」
「サンドレア国王に目通り叶ったのは快挙だと思ってください。…それでこの国では何かありましたか?」
するとマクレガー伯爵はいつになく厳しい顔つきになる。
「まずクリスヴァルト王子の婚約が白紙に戻された。マガタ国の姫…婚約者は流行病から一命を取り留めたものの、歩くことが出来ないそうなんだ。公務は困難とされ婚約者を外された。
それからリンツ国の聖女様がこの国を訪問されるそうだ。おそらくクリスヴァルト王子の婚約者候補になるのだろう」
リンツ国の聖女…。フレデリックとミカエラは顔を見合わせた。
「ん? 旅先で会ったのか?」
「いえ。ただたまたま機会があって聖女を調べることになったのです」
フレデリックはサンドレア国王の依頼とヤルマールの調査内容を語った。
「王家は聖女を渡り人だと思って取り込もうとしているのなら好都合だ。…それは他言無用にしておくこと。いいな?」
「良いのですか? リンツ国が我が国を騙そうとしているのに」
伯爵の決定にジュリエッタ夫人が口をはさむ。
「リンツ国王は本当に渡り人だと思っているのではないかな? 騙すつもりではないかもしれない。 まぁその辺はニコラスたちが見極めるだろう。敢えて騙されたフリをして利を取るかもしれないし、裏付けを明らかにしてリンツ国に借りを作るかもしれない。ランシア家が忠言せずとも何とでもするさ」
進言することで他の貴族に睨まれるかもしれないしな と呟き、マクレガー伯爵はグラスに残ったワインを流し込む。
新興貴族なので、しゃしゃり出たくはないようだ。
「婚約話が出るかどうか分からないけれど、当分はミカエラは目立たないようにした方がいいわね」
ジュリエッタ夫人の頭の中で観劇や奉仕活動への同行がキャンセルされているのだろう。なんとも寂しげな顔をする。
「ああ、それからミカエラに求婚しました。…返事はまだ当分いただけないでしょうが」
フレデリックの発言に、疲れ顔の伯爵も愁い顔の夫人も喜色満面となり場が沸く。
ただ1人ローヴァンの戸惑いを残して。
家令に出迎えられ、カントリーハウスへと足を踏み入れる。
「ミカエラが頑張りすぎて疲れてしまったので。それにある程度成果があったから外周は十分かな」
ミカエラはもう少し色々なものを見て回りたかった気もするが、「観光はまた今度ね」とフレデリックに言われたので納得することにした。
社交シーズンを早めに切り上げ、領地に戻っていたらしいジュリエッタ夫人が満面の笑みで部屋に招き入れる。
「旅の話は晩餐の時に聞くわ。今伯爵とローは隣町の橋の様子を見に行っているのだけど、そろそろ戻ってくるはずよ」
「橋? 壊れたのですか?」
「4日前に大雨があったから確認と補強にね。建築士と補強方法を決めたらすぐ帰ってくるわ」
「領地内のことも色々教えて貰わないとなりませんね」
フレデリックは嘆息した。ラエドニア王族に安易に居場所を辿られないよう、連絡を控えていたツケは大きそうだ。
一行が旅の埃を落といし、身綺麗にしたところでマクレガー伯爵とローヴァンが戻ってきた。
「フレッド、ミカエラ、お帰り。少しやせたかな?」
「父上、ただいま戻りました」
「アネッサとヤルマールもよく戻ってきてくれた。5日ほど休んで羽を伸ばしてくれ」
「「ありがとうございます」」
「せっかくウチにいる間に肌や髪が綺麗になってたのに…ミカエラはまた無理のない範囲で食事量を増やさないとだな」
「すぐ元に戻りますよ、月義兄様」
再会を喜び、晩餐は料理長の食事を旅の話を肴にして進める。
「いくつかの貴族に借りを作ってきたわけか。…上位貴族に恩が売れるともっと良かったが、逆らえない相手だとミカエラを召し上げられてしまうだけだろうしな」
「サンドレア国王に目通り叶ったのは快挙だと思ってください。…それでこの国では何かありましたか?」
するとマクレガー伯爵はいつになく厳しい顔つきになる。
「まずクリスヴァルト王子の婚約が白紙に戻された。マガタ国の姫…婚約者は流行病から一命を取り留めたものの、歩くことが出来ないそうなんだ。公務は困難とされ婚約者を外された。
それからリンツ国の聖女様がこの国を訪問されるそうだ。おそらくクリスヴァルト王子の婚約者候補になるのだろう」
リンツ国の聖女…。フレデリックとミカエラは顔を見合わせた。
「ん? 旅先で会ったのか?」
「いえ。ただたまたま機会があって聖女を調べることになったのです」
フレデリックはサンドレア国王の依頼とヤルマールの調査内容を語った。
「王家は聖女を渡り人だと思って取り込もうとしているのなら好都合だ。…それは他言無用にしておくこと。いいな?」
「良いのですか? リンツ国が我が国を騙そうとしているのに」
伯爵の決定にジュリエッタ夫人が口をはさむ。
「リンツ国王は本当に渡り人だと思っているのではないかな? 騙すつもりではないかもしれない。 まぁその辺はニコラスたちが見極めるだろう。敢えて騙されたフリをして利を取るかもしれないし、裏付けを明らかにしてリンツ国に借りを作るかもしれない。ランシア家が忠言せずとも何とでもするさ」
進言することで他の貴族に睨まれるかもしれないしな と呟き、マクレガー伯爵はグラスに残ったワインを流し込む。
新興貴族なので、しゃしゃり出たくはないようだ。
「婚約話が出るかどうか分からないけれど、当分はミカエラは目立たないようにした方がいいわね」
ジュリエッタ夫人の頭の中で観劇や奉仕活動への同行がキャンセルされているのだろう。なんとも寂しげな顔をする。
「ああ、それからミカエラに求婚しました。…返事はまだ当分いただけないでしょうが」
フレデリックの発言に、疲れ顔の伯爵も愁い顔の夫人も喜色満面となり場が沸く。
ただ1人ローヴァンの戸惑いを残して。
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