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41.終焉

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しばらくすると魔獣たちの体が縮み、比較的大人しい性質の魔獣は正気に戻ったようにその場を去るものも出てくる。

「何が起こったんだ…?」

果敢に挑んでくるゴブリンたちを切り伏せながらも傭兵たちは呆気に取られている。

「お嬢様が用意した偵察兵が、無事にコアを見つけて破壊したのでしょうね」

ヤルマールはオーガの首を落とし、ハルバードを素早く振るいって刃についた血を飛ばす。
終わりが見えたことで活力が上がった私兵たちが残党狩りに精を出す。

「これでようやく夜安心して眠れるな」

怪我人たちがいる場所にも安堵の空気が流れ込んで来た頃、小型のオオスズメバチ2匹が戻ってきた。

「アネッサ、この子たちコアがあった場所に案内してくれるみたい」
「では若様とヤルマールを呼びましょう。…伯爵の私兵のエラい人も」

ミカエラの言葉にアネッサが素早く動き、小1時間ほどで調査隊が組まれる。
ミカエラ、フレデリック、アネッサ、ヤルマール、それと伯爵の私兵数名から成る調査隊は、多くの魔獣が沸いていた森を抜け、そこに広がる山裾から横穴を発見した。
遭遇したいつもの大きさの魔獣は私兵やアネッサたちが難なく倒し、蜂の案内に従い小上がりになった窓のような通路を這って最奥に進むとやや開けた場所に出た。

「小上がりになっているため、小柄な魔獣では届かず、体の大きな魔獣は通り抜けられない…。人間が作ったものじゃないだろうが、魔獣を寄せ付けないようにする何らかの意図がありそうだ」

私兵団の副長が感心したように、今しがた通り抜けた通路を見た。
蜂は正面の石壁に近づき、黒い液体が滴る虚のような場所を飛び回る。

「ここにコアがあったの?」

ミカエラが問うと蜂は彼女の回りをぐるりと回った。

「この液体を採取してギルドか魔塔に研究してもらうようにしよう。シグヘイム子爵のお客人よ、感謝する」

私兵たちが4人に向かって敬礼する。
ミカエラは頷き、役目を終えた蜂の折形を解放した。


「…もう大丈夫でしょうか」

ミカエラがぽつりと漏らした呟きに、フレデリックが近付き優しく背を撫でる。

「後は必要に応じて領主や国が動いていくよ。この場所やあの核には秘密があるのかもしれないけれど、それを探っていくのは私たちの物語ではない」
「…そうですね」
「お嬢様は十分大活躍なさいましたよ! 戦闘時の兵たちの負担を減らしスタンピートコアも壊したですから」
「兵の負担を減らしたのは俺の功績もあるがな」
「皆が協力してくれたからだわ…。私の我儘に付き合ってくれてありがとう」

ミカエラは心から礼を述べた。
張っていた緊張の糸が切れたのか。
ミカエラの世界は暗転した。
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