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24.異様な魔法
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ミカエラの部屋に4人がそろうと、ミカエラは折形を一つ取り出し床に置いた。それはシンプルな戸板になる。
「場所を知っている日義兄様か月義兄様がその場を思い浮かべてドアノブを回すと、繋がるはずです」
半信半疑でフレデリックがドアノブを回すと、扉の向こうに画廊の保管庫が現れたのだ。
「こんな魔法があるなんて…」
中を覗き見たローヴァンも呆然としている。
アネッサは戸板の向こう側に回り込んでみたりしている。
「あまり長くは持たないので、早く荷物を中に」
ミカエラの声に我に返った3人はすぐさま作業に取り掛かる。
衣装などを扉の向こう…画廊の方に運び込み、ミカエラ、ローヴァン、アネッサも移動するとフレデリックは扉を閉めた。
扉は透けるように消え、部屋にはフレデリック1人だけになる。
(行き先を想像できる…知っている必要はあるが、とんでもなく便利な魔法だ。王家の面々に対し、できれば秘匿しておきたい。…いいように利用される未来しか見えない事象だ。ミカエラも切羽詰まってから提案してきたから、易々と使っていいものだとは思ってないのだろう)
念のためミカエラの部屋には鍵をかけ、フレデリックは父の元へと向かった。
「アネッサ、さきほど見た魔法は誰にも言うな。僕も見なかったことにする」
「もちろんです。そもそもお嬢様の魔法について口にすることは我々は禁じられておりますので」
転移魔法はあるにはあるが、運ぶ対象の質量に比例して多くの魔力…複数の魔導士が必要になる。とても大がかりな魔法だ。
折形はミカエラが薄く伸ばした魔力が元なので、わずかな魔力で作られている。使うのは折る時間とその労力くらいか。非常に手軽な部類になるのだ。
(アレを使わないとこっそり抜け出すことは出来なかっただろうが…王家の目に留まったら飼い殺しにされ兼ねないな…。僕も二属性や高火力魔法に憧れたりはしたが…ミカエラのようにここまで次元が違う魔法を持つことになると悲劇だろう。周囲の人間層によって神と崇められるか、奴隷のように使われるか…とにかくあまりいい思いはしないことになる)
ミカエラも今回の件で感じていた。自分が使う魔法は”一風変わっている”ではなく”異常”なのだと。
小さな体を両腕で抱きしめる。
母の元を離れてからはなるべく目立たないよう個性も己の意見も殺してきたが、母と作り上げた独自の魔法がどうしようもないほど注目されてしまうことになるだろう。
そして母はこの魔法の異常性を知っていた。
「寒いかい?」
自分の体を抱きしめているミカエラに、ローヴァンが上着を掛ける。
「ごめんな。数日我慢してもらえるかな? そんなに居心地悪くはないはずだから」
(謝るのは私の方なのに…。私が原因なのに)
ミカエラの目にじわりと涙が浮かぶ。かけてもらった上着をローヴァンに返すように差し出す。
「…母が使っていた家に帰ります。お世話になりました。…迷惑かけて申し訳ありませんでした」
「場所を知っている日義兄様か月義兄様がその場を思い浮かべてドアノブを回すと、繋がるはずです」
半信半疑でフレデリックがドアノブを回すと、扉の向こうに画廊の保管庫が現れたのだ。
「こんな魔法があるなんて…」
中を覗き見たローヴァンも呆然としている。
アネッサは戸板の向こう側に回り込んでみたりしている。
「あまり長くは持たないので、早く荷物を中に」
ミカエラの声に我に返った3人はすぐさま作業に取り掛かる。
衣装などを扉の向こう…画廊の方に運び込み、ミカエラ、ローヴァン、アネッサも移動するとフレデリックは扉を閉めた。
扉は透けるように消え、部屋にはフレデリック1人だけになる。
(行き先を想像できる…知っている必要はあるが、とんでもなく便利な魔法だ。王家の面々に対し、できれば秘匿しておきたい。…いいように利用される未来しか見えない事象だ。ミカエラも切羽詰まってから提案してきたから、易々と使っていいものだとは思ってないのだろう)
念のためミカエラの部屋には鍵をかけ、フレデリックは父の元へと向かった。
「アネッサ、さきほど見た魔法は誰にも言うな。僕も見なかったことにする」
「もちろんです。そもそもお嬢様の魔法について口にすることは我々は禁じられておりますので」
転移魔法はあるにはあるが、運ぶ対象の質量に比例して多くの魔力…複数の魔導士が必要になる。とても大がかりな魔法だ。
折形はミカエラが薄く伸ばした魔力が元なので、わずかな魔力で作られている。使うのは折る時間とその労力くらいか。非常に手軽な部類になるのだ。
(アレを使わないとこっそり抜け出すことは出来なかっただろうが…王家の目に留まったら飼い殺しにされ兼ねないな…。僕も二属性や高火力魔法に憧れたりはしたが…ミカエラのようにここまで次元が違う魔法を持つことになると悲劇だろう。周囲の人間層によって神と崇められるか、奴隷のように使われるか…とにかくあまりいい思いはしないことになる)
ミカエラも今回の件で感じていた。自分が使う魔法は”一風変わっている”ではなく”異常”なのだと。
小さな体を両腕で抱きしめる。
母の元を離れてからはなるべく目立たないよう個性も己の意見も殺してきたが、母と作り上げた独自の魔法がどうしようもないほど注目されてしまうことになるだろう。
そして母はこの魔法の異常性を知っていた。
「寒いかい?」
自分の体を抱きしめているミカエラに、ローヴァンが上着を掛ける。
「ごめんな。数日我慢してもらえるかな? そんなに居心地悪くはないはずだから」
(謝るのは私の方なのに…。私が原因なのに)
ミカエラの目にじわりと涙が浮かぶ。かけてもらった上着をローヴァンに返すように差し出す。
「…母が使っていた家に帰ります。お世話になりました。…迷惑かけて申し訳ありませんでした」
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