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15.アネッサ
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私はミカエラお嬢様付のメイド、アネッサ。
実のところはランシア家の私兵で、『侍女』ほどの振る舞いは出来ないのでメイド兼護衛ということになっています。勿論『アネッサ』も偽名です。
ミカエラお嬢様は貴族然とした所が全く無いお方。渡り人様の遺児とは言え平民なのでわがままも言わず、使用人に優しい、とても楽なご主人様です。
言い方が少し悪いですが、育ちが悪かったので勘弁していただきたい。
兎に角お嬢様のことは気に入っています。
今使用人仲間では、ミカエラ様が2人と婚約するという話を聞き齧ったものがいて、その話で持ち切りです。
フットマンたちは最終的にどちらと結婚するか賭けをし出す始末。
将来的な身分や資産を考えればフレデリック様が良いと思います。様々な事業を展開するやり手で人脈もかなりのものです。欲しいものは何でも手に入るでしょう。
ローヴァン様は騎士団にいたので強く、希少な魔法戦士。平民の騎士でも分け隔てなく接するので領民の…特に平民からの支持が厚い方。
でもお嬢様は花の顔にはご興味ないようで、お二人の顔を見て顔を赤らめるような姿は見たことがありません。
鋼の精神力をお持ちなのでしょう。私兵団に加わってほしいくらいです。
「アネッサ。旦那様がお呼びだ」
掃除中、私の正体を知る執事のネイゼルさんから声が掛かったので旦那様の執務室へ向かうことにしましょう。
「明日、フレデリック、ローヴァン、ミカエラの3人で出かけさせることにした。ミカエラには2人の色を使った…他者の目を引く装いをさせてくれ。護衛は目立たぬよう2人つけてくれ」
「かしこまりました」
おめかしですか。腕が鳴りますね。
「気合は分かったから指をゴキゴキ鳴らすな。いいか? 勝負に行くわけではないからな!? 年相応の可愛らしさでまとめろよ?」
「分かっております。書店にあるモード誌を参考にして仕上げます」
お嬢様付きのメイドをやる上でファッションの勉強は毎日しています。
今まで着飾ったものも評判は上々です。
「お嬢様、本日はお出掛けされるのですよね?」
「昨日公演場に行くことが決まったのです。」
こっくりと頷くお嬢様。
「王都の歌劇ほどじゃありませんが、面白い舞台をやっているそうですよ。楽しんできてください」
「はい」
ドレスは冬でもぬくもりが感じられそうな金糸のレースで縁取られた暖色系にしました。ケープコートを羽織ってしまうのであまり見てもらえないのは残念でですが、スタンドカラーの襟元は可愛らしい意匠です。
長い黒髪はツインテールにして銀糸のリボンを結び、お嬢様を送り出します。
お嬢様の花嫁姿は是非見てみたいものですが…それは坊ちゃま方の頑張り次第ですかねぇ…。
実のところはランシア家の私兵で、『侍女』ほどの振る舞いは出来ないのでメイド兼護衛ということになっています。勿論『アネッサ』も偽名です。
ミカエラお嬢様は貴族然とした所が全く無いお方。渡り人様の遺児とは言え平民なのでわがままも言わず、使用人に優しい、とても楽なご主人様です。
言い方が少し悪いですが、育ちが悪かったので勘弁していただきたい。
兎に角お嬢様のことは気に入っています。
今使用人仲間では、ミカエラ様が2人と婚約するという話を聞き齧ったものがいて、その話で持ち切りです。
フットマンたちは最終的にどちらと結婚するか賭けをし出す始末。
将来的な身分や資産を考えればフレデリック様が良いと思います。様々な事業を展開するやり手で人脈もかなりのものです。欲しいものは何でも手に入るでしょう。
ローヴァン様は騎士団にいたので強く、希少な魔法戦士。平民の騎士でも分け隔てなく接するので領民の…特に平民からの支持が厚い方。
でもお嬢様は花の顔にはご興味ないようで、お二人の顔を見て顔を赤らめるような姿は見たことがありません。
鋼の精神力をお持ちなのでしょう。私兵団に加わってほしいくらいです。
「アネッサ。旦那様がお呼びだ」
掃除中、私の正体を知る執事のネイゼルさんから声が掛かったので旦那様の執務室へ向かうことにしましょう。
「明日、フレデリック、ローヴァン、ミカエラの3人で出かけさせることにした。ミカエラには2人の色を使った…他者の目を引く装いをさせてくれ。護衛は目立たぬよう2人つけてくれ」
「かしこまりました」
おめかしですか。腕が鳴りますね。
「気合は分かったから指をゴキゴキ鳴らすな。いいか? 勝負に行くわけではないからな!? 年相応の可愛らしさでまとめろよ?」
「分かっております。書店にあるモード誌を参考にして仕上げます」
お嬢様付きのメイドをやる上でファッションの勉強は毎日しています。
今まで着飾ったものも評判は上々です。
「お嬢様、本日はお出掛けされるのですよね?」
「昨日公演場に行くことが決まったのです。」
こっくりと頷くお嬢様。
「王都の歌劇ほどじゃありませんが、面白い舞台をやっているそうですよ。楽しんできてください」
「はい」
ドレスは冬でもぬくもりが感じられそうな金糸のレースで縁取られた暖色系にしました。ケープコートを羽織ってしまうのであまり見てもらえないのは残念でですが、スタンドカラーの襟元は可愛らしい意匠です。
長い黒髪はツインテールにして銀糸のリボンを結び、お嬢様を送り出します。
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