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第41話 夢の影

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 中にいたジノ兄さんは、外の明かりに照らされて、顔がよく見える。珍しく少しばかり無精髭が目立っており、髪の毛も少しぼさぼさだ。すでにフラットになって、周りに見られないように運転席側との仕切りカーテンまでされていた。そのフラットになった後部座席に座って待っていたジノ兄さん。
 
「シグレ……」
 
 いつもの余裕がある雰囲気が薄れ、隈がくっきりしている。そのジノ兄さんが、扉を開けた一瞬だけまるで空腹の子供のような視線で俺を見た気がした。そして、まるでご馳走を見つけたようにぐっと手を伸ばしてきた。その手に答えるように、すぐに飛び込むように俺はバンに乗り込んで、扉を締める。
 ぎゅうっとその腕に抱きしめられる。暗い車内、タバコの匂いが染み付いた空間。少しばかり強い汗の臭いと、ホワイトムスクの香り。
 
「ジノ兄さん?」
「シグレ、シグレ」
 
 掠れた声のまま、俺を押し倒し、そのまま、服を捲られる。下唇は噛まれ、乳首もすぐにぎゅっと抓られた。
 
「あっ、ギッ!  あぅ……」
「痛い?」
 
 俺の呻き声にジノ兄さんは噛んでいた下唇から口を離す。
 
「んっ、いたいっ……」
「でも、シグレのが、俺の腹に挟まれたままピクピクしてるよ」
 
 その声と共に、グッとジノ兄さんが俺のを押し潰すように力を入れる。ただでさえ、筋肉や体格差で重いジノ兄さんに潰されて、お腹が苦しい。
 
「苦しい?」
「すこし苦しいです」
「そっか」
 
 ズボンと下着が脱がされ、下半身が丸出しになる。
 無防備な姿を晒してしまう。
 
「あっ、そうそう」
 
 ジノ兄さんは、車内に用意していた間接照明を着けた。オレンジ色のライトは、俺の痴態とジノ兄さんの顔を照らす。ジノ兄さんは慣れた手付きで、自分の首に巻いていたネクタイを外し俺の手首を頭の上で縛った。
 
「思えばさ、ボクサーパンツ禁止って言ったよね」
 
 意地悪なジノ兄さんは俺の首に手を掛けると、そのまま唇を奪う。余計に酸素が吸いづらくなり、身体も押し潰されていく。首の手の重み、体の重み、それが俺の中の酸素を奪っていく。
 
「うっ、ぁっあっ、ぁ……」
 
 苦しさのあまり呻き声を上げるたびに、酸素がなくなっていく。身体本能的に暴れるが、簡単に抑えつけられてしまう。ああ、死ぬかも。
 
 その直前に、ぱっと首から手が離された。
 
「ぁッ、はっ、はぁ、くる、し……」
 
 急に吸い込めるようになった身体、求めるがままに空気を吸い込む俺を見て、ジノ兄さんは満足そうだ。
 
「苦しかった?」
「はい……」
 
「藻掻くシグレ、可愛かったよ」
 
 ジノ兄さんはそんなこと言いながら、後部座席ポケットから手に何かを取り出した。それはまるで飴玉みたいな赤色の玉だ。
 
「セファンから、試供品貰ったんだよね」
 
 そう言って楽しそうに笑うジノ兄さんは、その飴玉を俺のお尻に入れようと、宛てがった。その感触はまるで柔らかいグミのようだ。
 
「すごいらしいよ、これ」
 
 ジノ兄さんはそういうと指に力を込めて、大した抵抗のできない俺の穴に押し込んだ。
 
 ぐっ
 
「あっ、ぁあっ! まっでぇ、んッ……」
 
 玉は指によって押し入れられ、自分の奥深くまで入り、最後はぶちゅっと潰れた。
 
 お腹の中で少し冷たい液体が広がる。社内で漏らさないよう、きゅっと肛門に力を入れた。
 
「大丈夫大丈夫、ちゃんと蓋してあげるから」
 
 そう言って、今度はアナルプラグを俺の尻に入れる。
 そして、ズボンだけを着させられた。
 
「思えば、もう時間切れになりそうだね、やっぱ車の中は難しいや。次会えるのいつかな?」
 
 次第にお腹の中でカッカッと熱くなってきた。そして、ムズムズと身体が何かを求め始める。
 
「おなぁ、かあッ…… ぁあっぅ、ぃッ!」
「熱い? そっかあ、これ熱くなるんだね。セファン、何も教えてくれないからさ」
 
 熱く燃え、急速にお腹の中がおかしくなる。
 暴れ叫びそうになる俺の口に、ジノ兄さんは近くにあった俺のボクサーパンツを突っ込んだ。
 
「バレるよ」
 
 その言葉に、熱で焼き切れそうだった自分の理性が少し戻る。すでに涙が零れ落ちる瞳をジノ兄さんに向けるが、少しだけ両眉が弧を描くように上がるだけ。
 熱さに浅ましく藻掻く姿を、楽しそうに見下ろしている。暫くして、ジノ兄さんの手が俺の張り詰めたそこを撫でた。
 
「ああ、そうだ、いい事を思いついた」
 
 そう呟いた声は、まさに無邪気な子供のように弾んでいた。
 
 
 
 
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