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【4】女子三人に襲いかかる盗賊達。エイジャー怒りの『円盤光輪』!
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元女神の妹から「光の力は神の力」と急に言われても!
略して『もといも』です。
東岡忠良(あずまおか・ただよし)
【4】女子三人に襲いかかる盗賊達。エイジャー怒りの『円盤光輪』!
※この小説へのご意見・ご感想・誤字脱字・等がありましたら、お気軽にコメントして下さい。
お待ちしています。
──1──
「ねえ。こうして兄妹で馬車で旅するのって初めてじゃない?」
「そうですね、お姉様。特に私はヘルムス領から出たことがなかったので、見るものすべてが珍しいです」
「段々と道が悪くなってきているから、しっかりと捕まっているんだぞ」
「それにしてもダーリンは御者(ぎょしゃ)の腕前はなかなかだな。揺れも少ないし、快適だ」
「アユットさん。頼むからその『ダーリン』はやめてくれないか。正直、恥ずかしい……」
と馬車の車輪がカラカラと音を立てている。晴天の空には小鳥が舞い、小麦畑の風景がいつまでも続いていた。
「うわ~。見て下さい。あそこに白い教会が見えます」
とイーナが指差した時に、車輪が轍に入り込み、ガタリと傾いた。
「あっ!」
と身体のバランスを崩してしまったイーナだったが、傍らにいたアユットが、軽々とイーナの小柄な身体を捕まえ、支えた。
「危ねえぞ、イーナ」
「ありがとう、アユット」
とお互いに顔を見合わせて「フフッ」と笑う。
「イーナを助けてくれて、ありがとう。アユットさん」
とエイジャーは声をかける。
「ヘヘッ。お礼なんて。照れるじゃねぇかよ、ダーリン」
と答えた。
「なあ。アユットさん。そのダーリンはやめてくれないか」
と再び言うと、
「ならダーリンもあたいのことを『アユットさん』をやめて欲しいものだな」
と怒って見せる。
「なら何て呼べばいい?」
「そうだな~」
と少し考えるふりをして、
「出来たら優しく『アユット』と呼び捨てがいいかな~」
と言うと、
「あ。アユットさん、頬が赤いよ」
とマザリーが指摘する。
「な! そんなことねえ!」
と意地を張った。
「分かったよ。じゃあ、アユット」
とエイジャーがそう呼ぶと、
「なんだい……。エイジャー……。キャッ! やだ~!」
と両手で顔を隠した。
人に好かれることはまんざらではないが、「妹二人の前なのでやめて欲しいんだけど」
とエイジャーは苦笑した。
今日の宿泊先は、朝から夕方まで馬車で走ってたどり着く『ニカル』という村だった。
そこで一番よい宿に宿泊することができた。
他の旅行客と一緒に、食堂で温かい夕食を食べる。
「この宿はいいな。馬屋があって馬達も休めるし、馬車専用の小屋があるから、屋外に置かずに済むので、盗難にも遭わない」
とエイジャー。
「お部屋も一人一人別々で取れてよかったです」
とイーナ。
「あたいは不満だな。エイジャーと同じ部屋じゃないことが」
と言って、横目でエイジャーの表情を伺(うかが)う。
「アユット。それは許してくれよ。さすがに……」
と苦笑すると、
「ハハッ! 冗談。冗談だって!」
とバンバンとエイジャーの背中を叩いた。
思わず、むせて咳をすると、
「強いよ、アユット。もう少し手加減して欲しいな」
と返すと、
「わりい、わりい。何だかさあ~。楽しくってさあ~」
と笑顔でスープを飲み干した。
「この辺りはまだ、ヘルムス領だからね。比較的治安はいいんだけど、問題は明日の宿泊先だ」
とエイジャーは引き締まった顔をする。
「そうですね」
とマザリーとイーナが頷いた。
「え? 何だ? 明日の宿泊先って何かあるのか?」
と不思議そうにするアユット。
「恐らく、いや確実に森の中の道の片隅の広い場所を見つけての、野宿になる予定なんだ」
「野宿? あたい、したことねえから楽しみだな」
と今は毎日が新鮮で何を聞いてもアユットは喜んだ。
「明日の御者はマザリーに頼もうと思う。僕は悪いが馬車の中で寝かせてもらうよ」
「ええ。そうしてちょうだい、兄さん」
「え? 何だ? エイジャーは今日、一日中御者をやったんで、疲れてしまったのか?」
と訊いた。
「アユット。違うんです。明日、抜けようとしている『魔物の森』はこの旅の一番危険な場所なんです」
とイーナ。
「あ~。あのだだっ広い森かあ~。そんなに危険ならあたいが知り合いに頼んで、荷物もみんなも運んでやったのによう」
とアユットが言うと、
「それは余りに悪いからいいよ」
とエイジャー。
「何を言ってんだよ。『剣の山』を迂回なんてしているから、馬車で三日もかかっちまうんだからさ」
「それは仕方がないよ。人間の生活とはそういうものだからさ」
と肩をすくめると、
「へえ~。そういうもんかねえ~」
とアユット。
「それにしても不思議よね。私、覚悟をしていたんだけど怪物(モンスター)が一匹も出てこなかったわ」
とマザリーが言うと、
「そりゃ、あたいが乗っているからだよ」
と少し自慢げに自分を指差す。
「えっ。アユットさんが?」
「ああ。怪物連中は敏感だからな。ドラゴンのあたいが居るとなると、恐ろしくて襲ってこねえんだ」
とアユットが胸を張ると、
「へえ~。そうだったのね。アユットさん、凄いわ」
とマザリーは感心した。
「でもさ。怪物は襲ってこないかもしれないけど、他の者達が来るんじゃないかな?」
とエイジャーは言った。
──2──
朝になった。今日もよい天気である。
エイジャーは朝早くから起き出して、朝の散歩なのか宿の周りを歩いていた。
旅の初日のせいか、三人はぐっすりと眠った後、戻ったエイジャーと共に美味しい朝食を頂くと、
「サーダスト樣! お気をつけて」
「サーダスト樣! よい旅を」
と店の店主らに見送られながら、出発した。
「なあ。一つ訊いていいか?」
「いいわよ」
と隣りに座るアユットはイーナに訊いた。
エイジャーは馬車車内の長椅子へ横になって目を閉じている。
今日の御者はマザリーだった。
「何で『サーダスト』なんて偽名を使うんだ? それに、あたいはなぜか『姉』になっているし」
と不満なのか頬を膨らませている。
「それは仕方がないわよ。アユットは見た目は人と、ほとんど変わらないのたから。もし『竜人』だと話したりしたら、怖がられたり、大騒ぎになりかねないもの」
「まあ、確かにそうかもな。でも何で私が一番年上になるんだよ。エイジャーとマザリーと同じ歳なのに」
と口を尖らせる。
「だってこれだけ大人っぽい顔で、おっぱいとお尻がこんなに大きいのよ」
と言いながら、イーナはアユットの胸と腰を触った。
「ちょっと。くすぐったい~」
と二人はじゃれる。
「偽名もそれと同じよ。ヘルムス家の子息(しそく)と子女(しじょ)だと知られたら、特別扱いも嫌だし、何よりいつ命を狙われるかも分からないでしょう」
とマザリー。
「そんなものなのか?」
「そんなものなのよ。特にこういう地方の村や、治安の悪い地域はね」
すると、横になり目を閉じていたエイジャーが、目を開けて座った。
「このまま馬車で半日も行けば『魔物の森』に到着する。魔物の森の外で野宿をすると、野盗に襲われかねない。だから魔物の森で野宿をするつもりだ」
「なるほど。野盗がいるのだな」
とアユットは微笑む。
「最初はお兄様とお姉様で交代で夜中を走る予定だったのですが」
とイーナが言うと、
「馬達が休めなくて、逆に追われた時に逃げられないと思ったから、野宿になったのよ」
と馬を操りながら、マザリーは言った。
「この辺りはヘルムス家の勢力からは外れて、ハーブラブル王国の軍や警察の勢力が届きにくい土地なんだ。だから怪物(モンスター)はもちろん、質(たち)の悪い人間も多いんだよ」
とエイジャーは続けて、
「今朝、朝早く起きて宿の周りを見てみたら、いくつか人の足跡があった」
と話した。
「えっ! 兄さん、それって!」
「恐らく、僕達は付けられていると思う。相手はうわさの『剣山(つるぎやま)の盗賊』だと思う……」
妹二人の顔色が変わった。
アユットはニヤリと笑っている。
「なので、暗くなったら『魔物の森』の出来るだけ深いところで野宿する。食事は馬車で走りながら食べることにする。マザリーは食べたい時は教えてくれ。交代するから」
「分かったわ」
「どんなタイミングになるかは分からないけど、森に入る前に僕が御者を交代する。で森に入ったら馬車の轍(わだち)をマザリーは魔力で消して欲しいんだ」
「分かったわ。お安いご用よ」
「なるほど。そうやって賊から逃げるつもりなんだな」
「そうだ。それで森の奥深くに隠れて、物音は立てないようにする。もちろん、火も使わない」
「何事もなく、朝になってくれたら嬉しいんだけど」
と少し不安になったのかイーナが言う。
「僕が一晩の見張りをやる。だけど見つかったり、戦闘になれば」
「あたいの出番か!」
とアユットは嬉しそうに右腕を前に出した。
「いや。僕が戦う」
とエイジャー。
「え? なんだ? 楽しみを独り占めする気か?」
とアユットは不満げだ。
エイジャーは微笑んで、
「光力(ビームパワー)の練習がしたいんだ。相手が賊でみんなを守るためなら……」
と言うと、
「躊躇(ちゅうちょ)なく殺すつもりだ……」
と覚悟を示した。
「轍を消すのはいいけど、相手が『魔法痕跡発見器』を持っていたらどうするの?」
とマザリーが言うと、
「レアまでいかないが、そんな珍しい魔法アイテムを持っていたとしたら確かにまずいな。よし、轍を消すのは途中までにしようか」
と作戦は決まった。
──3──
「ちきしょう! どこだ!」
「確か、このへんでさあ!」
「相手は馬車だそ! 見失うなんてあり得ないからな!」
部下達全員が松明を持っていて、森の中は微かだが明るい。
その光に照らされて、最も大柄な男は無精髭(ぶしょうひげ)を蓄えた顎を触りながら、一人の部下の胸ぐらを掴んで言った。
「馬車みたいに大きなモノを見失うなんざ、てめえ、どこまで間抜けなんだ」
「おっ、お許しを! 団長! 仕方ねえんだ。なんせ、馬車の轍をキレイに消されちまったんだから! だからよう……。 ヒッ!」
とゴミでも捨てるように、その部下の胸ぐらを離した。部下は勢いよく尻もちをついて、痛みで立てない。
「おい。『魔法痕跡発見器』は持ってきてるよな」
「もちろんでさあ。親方」
と青銅でできた真四角で、そこには半円に目盛りがあり、その目盛りを刺す針がついている。
「で、偵察したのは貴様か」
「へえ」
「若い女が三人というのは間違いないな」
「もっ、もちろんでさあ。それも三人とも乳がこんなんで」
と部下は自らの胸の前で、両手を前に出した。
「そうか。なら一番始めに三人は俺が頂く。終わったらお前達、好きにしていいぞ」
すると別の部下が、
「いつもいつも、親方が使った後というのもなあ~」
と言うと、
「いいじゃねえか。俺達、兄弟って訳さ」
と言うと、低くて品のない笑いが起きた。
「反応ありましたぜ」
と『魔法痕跡発見器』を持っていた小柄な男が言った。
「馬車の轍を魔法で消していやがったのか。なかなか頭の良さそうな奴だが」
と隣の男に笑いかけると、
「ヘヘッ。奴らまさかこちらに『魔法痕跡発見器』があるとは思ってもみないでしょうな」
と右の広角を上げた。
「相当、魔法に自信のある連中なのかもしれんが」
と言い、
「それにこちらには『これ』があるからな。魔法なんぞ、怖くはない」
と紫色に光る石を取り出した。
三十人を越える男達が、月夜の森を捜索している。
時々怪物(モンスター)とばったり遭って、戦闘になったりしてた。
「ザコ(モンスター)はさっさと片付けろ! ただし、ヤバい怪物(モンスター)が出たら、全員で囲んで炎で焼き殺せ」
「親方。そんなことをしたら、森が火事になってしまいやせんか?」
と痩せた部下が言うと、
「森が焼けようが、山が焼けようが、俺達に何か関係があるのか?」
と睨みつけると、
「そうでございやしたね。ヘヘッ」
と痩せた部下は頭を掻(かい)いた。
すると軽装の一人の部下が走ってきて、
「見つけやしたで! 道から外れた奥に隠れていやした!」
「でかしたぞ。すぐ案内しろ! 者共、俺についてこい!」
と叫ぶと、盗賊達は大柄な親方を目印に、集まってきた。
連中は口々に、
早くやりてえ~。
聞いたか! 三人共、乳がデカいらしいぞ。
今いる女共は、みんな乳が小せえからな。
仕方ねえって。親方がデカ乳好きだからな。
あの親方にもて遊ばれたら、耐えられる女なんていねえからな。
気の毒に。毎日親方の相手をさせられるんだな。
そして馬車にたどり着くと三人の女、いや二人の若い女と一人の幼女が馬車を背にして立っていた。
おい、見ろよ。三人共、どえらいベッピンだぜぇ!
特に背の高い女を見ろよ。いい乳。いい尻(けつ)してるぜえ。
そうか? オレはあの清楚そうなのが美味(うま)そうだがよう。
あの幼女も堪(たま)んねえな。泣き叫ぶところを楽しみてえ~。
そして親方と呼ばれている男が前に出た。
「おい、お前達。悪いようにはしねえ。優しくしてやるから、おじさん達と一緒に来ないか~」
と言うと、
「結構です。それ以上、近づいたら攻撃します!」
とマザリーが力強く言うと、
親方と呼ばれた男は、三人見えないように、頑丈そうな箱から、紫に光る石を取り出した。
親方、フラれちまったな~。
親方、もっと上手く誘わねえと~。
と低い笑いが起きた。
「お嬢ちゃんみたいに可愛い子達はなあ~。黙って男の言うことを聞くもんだ」
と盗賊の親方は無造作に距離を縮めた。
「それ以上、近づいたら攻撃します!」
とマザリーは両手のひらを前方に突き出した。
「ほお。勇敢で気の強い女だな。いや、まだ女の子か。まあ、美味しい食べ頃ってかんじかな」
と盗賊の親方はマザリーの警告を無視して、間合いを詰めた。
「そっちがその気なら! ファイヤー!」
とマザリーは両手のひらを相手に向けて声を出したが、
「あれ? 出ない? どうして?」
と先程の余裕はなくなり、一気に顔色が変わった。
「ファイヤー! ファイヤー! え? どうして……」
と慌てるマザリー。
「残念だったな、お嬢ちゃん。多分、魔法が使えない理由は」
と紫色に光る石を取り出して見せた。
「まさか! それは『魔力無効化石』! 何でそんな物を貴方が持っているの?」
と慌てるマザリー。
「魔法に自信があるようだが『魔力無効化石』があったら、ただの力と力の勝負。これだけの男達と三人のかわい子ちゃんだと、どっちが強いかねえ~」
と盗賊らはヘラヘラと笑う。
「力と力の勝負だってよ」
と嬉しそうにアユットは小声で話す。
盗賊の親方はゆっくりと近づき、
「まあ、悪いようにはしねえ。痛いのは最初だけでえ。後はお前達も気持ちよくなるってもんだ」
と美味しそうなご馳走を選ぶ表情で、三人を舐めるように見て、
「真ん中のヤツ。俺達と戦おうだなんて勇敢で可愛いお嬢ちゃんだ。気に入ったぞ。まずはお前から楽しませてもらおう」
と履いていたズボンのベルトを緩めようとした時だった。
「もう、そのくらいにして立ち去れ!」
と盗賊らの背後から声がした。
「誰だ!」
と盗賊ら全員が振り返ると、そこにはエイジャーが立っていた。
「僕は人を殺したくない。常々、そう思って生きてきた。でもそれは今日、捨て去る! 特に貴様!」
と集団の中から頭一つ飛び出ている盗賊の親方に言った。
「貴様はこの場で殺す!」
と言うと、親方は高らかに笑い出した。
「バカか、貴様! 今、あの可愛い子ちゃんの魔法が、この石で封じられたのを見たばかりだろう。それとも腰に差したその剣で、これだけの人数と闘うつもりか? あ~!」
と笑った瞬間だった。
「『円盤光輪!』」
と叫ぶと、立てたエイジャーの右手に光の円盤が現れた。
「な! なぜだ! 魔法は! 魔法はこの『魔力無効化石』のために使えないはず……」
と言い終わる前に、エイジャーの右手から放たれた光の円盤は、親方と呼ばれた男の首を通った。すると親方は動かなくなり、ゆっくりと前に倒れると、胴体から首が離れて動かなくなった。血は一滴も出なかった。
──4──
親方!
ウソだろ!
何で『魔力無効化石』があるのに、魔法が使えるんだ!
すると、
「ちきしょう! こうなったら女達を人質にすれば!」
と数人の男達がマザリーとイーナに近づこうとしたが、
「おっと! あたいもお前達には容赦しないぜ!」
とアユットは一人の男に、開いた手のひらで目にも留まらぬ速さで胸を貫(つらぬ)くと、閉じたアユットの手のひらには、賊の男の心臓があった。
悲鳴を上げながら、アユットから逃げ惑う賊もいれば、
ふざけるな!
一斉に飛びかかればなんとかなるぞ!
とエイジャーに襲いかかったが、
「全員、焼き殺す」
と立てた右手の手首辺りに、左手先を添えると、白い熱線が発射された。
その光線を浴びた者は瞬時に燃え上り、地面に倒れた。一人二人と逃げ惑う連中に浴びせていく。アッと言う間に十人ほどが黒焦げになり、数人は森へ逃げ込んだ。
それは余りに一方的な光景だったためか、
「お兄様。お怒りはごもっともですが、そのくらいでお許しになさって下さい!」
と見かねたイーナが言い続けて、
「今からでも遅くありません! 武器を捨てて手を頭の上に置いて座りなさい。そうすれば許して差し上げます」
とイーナが叫ぶと、
分かった!
降参する!
許してくれ!
とその場にいる賊達は武器を捨てて、手を上げて座り込んだ。
エイジャーは大きく深呼吸をして、
「アユット。悪いがこいつらを縛るのを手伝ってくれ」
と言いながら、盗賊が持っていたロープを手渡した。
「え? こいつら、殺さないのか?」
とアユットが言うと、賊達は震え上がる。
「どうするかは後で決める。まずはこいつらを動けなくしないと」
「分かった。旦那様の言うことは、嫁として快く聞き入れないとな」
と恥ずかしそうに言うと、
「ダーリンの後は旦那様かよ。やめてくれ。こっちが恥ずかしい」
とエイジャーが照れるのを見て、
「よかった。いつもの兄さんだわ」
とマザリーは安堵していた。
「それにしても、厄介な石だな」
と紫色の『魔力無効化石』をエイジャーは手に取った。
「本当に魔力が使えなかったのか?」
とマザリーに訊くと、
「うん。本当に何も出来なくなったわ。正直、驚いた」
とマザリーはエイジャーに近づき、石を覗き込んだ。
一方、アユットの方は、
「イテテッ! もっと優しく縛ってくれよ! 姉ちゃん」
という声が聞こえる。
「何、言ってんだい。緩かったら、簡単に逃げられちまうだろうが~よっ!」
と言いながら、きつく縛ると、
「痛っ! イテテテ!」
と賊の男は悲鳴を上げた。
「交代しよう。アユット」
とエイジャーは言い、
「別にいいぜ。お安いご用だよ」
と機嫌よく縛っていたが、
「アユットには頼みたいことがあるんだ」
と言うと、
「この『魔物の森』は正確には首都『ユースル』の管轄下なんだ。なので、ひとっ飛びしてもらって騎士隊に知らせて欲しいんだ」
「何だ? 結局、こいつらを本当に殺さないのか?」
「うん。ダメかな」
「そりゃ、構わねえけど」
と盗賊達の顔をまじまじと見て、
「生かしておいていいのか? エイジャーの光力(ビームパワー)のことが、世間にバレちまうぞ」
と心配そうに言うと、
「目立たないようにはするつもりだけど、こういうのって隠しても隠しきれるものじゃないからね。これから学校にも通うんだ。知られるのも時間の問題だからね」
アユットは納得したようで、
「分かった。じゃあ、ひとっ飛びしてくる」
「頼むよ。出来るだけ多くの人手がいることも伝えて欲しい。それに……」
と続けた。
「連中の話していた内容からすると、どうも数人の女性が囚(とら)われているようだから、そちらの救出もお願いしたいんだ」
と付け加えた。
「なるほど。確かにそうだな!」
と言うと、アユットは近くで縛られている賊の男の胸ぐらを掴み持ち上げた。
「ヒッ!」と男から悲鳴がでる。
「捕まえた女達はどこだ? 今、教えろ……」
と言ったが、
「へっ。舐めてもらっちゃ困るぜ。俺様はこう見えても口が堅いんだ」
と不敵な笑いを浮かべると、
「そうか」
と言うと、目にも留まらぬ速さで、捕虜の男の胸を右手が突き抜けた。手には動く心臓があり、それをすぐに握り潰した。
即死させた男を、まるでゴミのように投げ捨てると、近くに縛られている男の胸ぐらを掴んで起こし、
「捕まえた女達はどこだ? 今、教えろ……」
と言うと、
「教える! 教えるから許してくれ! 『剣の山』の麓にある洞窟の隠れ家だ。何なら俺が道案内をする! だから許してくれ!」
と半べそをかきながら訴えた。
「分かった。じゃあ、そういうことで」
と言うと、男を離して、ゆっくりと空中に浮いていくと、光に包まれて真っ赤なドラゴンになった。
「じゃあ、行ってくる。何人かは私が連れてくるからな」
と数回羽ばたくと、都市『ユースル』の方へ消えていった。
「……あの女。ドラゴンだったのか……」
「俺達はなんて連中に手を出しちまったんだ!」
「ということは! お前もドラゴンなのか!」
とエイジャーを恐れだした。
「違うよ。ただの学生さ」
と言った。
登場人物。
エイジャー・ヘルムス。
ハーブラブル王国御三家貴族の一つ、ヘルムス公爵家の父カロンデロス・ヘルムスと、母ソフィアの両親から生まれたヘルムス家唯一の嫡男。
十五歳現在の能力値(ステータス)は、
知力『一三〇』。
体力『一二〇』。
精神力『一一五』。
防御力『一〇八』。
神力『一』。
魔力『一』。
そして能力計測器には現れない能力。
光力『二九九九』
を持っている。
神力『一』魔力『一』は宿無しか奴隷くらいしかいないほど最弱の数字。
しかし、実際には神しか持たない光力(ビームパワー)を中級の神レベルほど持っている。
セブンの技。
『エメリー光線』アユットを一撃で死に追いやった必殺技。光力(ビームパワー)を圧縮した額から出る光線技。
ウルトラの技。
『円盤光輪』イーナから教わった光力(ビームパワー)を使った技。思ったところに投げられ、物を簡単に切り裂くことができる。生き物を切ると高熱のために血は一滴も出ない。
『スペシュー光線』
立てた右手の手首辺りに、左手先を添え発射される白い熱線。
ユースル高等魔法学校に姉妹のオマケ同然の状態で合格し、妹ら二人と通う。
旅をする場合は、危険を避けるために偽名「サーダスト」を使っている。
現在、馬車で首都『ユースル』に向かっている。一日目はヘルムス領『ニカル村』で宿泊。二日目は『剣の山』を避けて『魔物の森』での野宿をした。
マザリー・ヘルムス。
エイジャー・ヘルムスの双子の妹。
赤ん坊時の能力計測器の数値は、
知力『一二八』。
体力『一二〇』。
精神力『四〇』。
防御力『一三』。
神力『ニ三〇』。
魔力『ニ〇九』。
献身的に兄エイジャー・ヘルムスを助ける秀才。男性から見て、胸と腰のサイズが大きいのが魅力だが、本人は気にしている。
イーナ・ヘルムス。
エイジャー・ヘルムスの三つ下の妹。
イーナ・ヘルムスの正体はエイジャーの転生を担当した女神イーナ。
女神時代の記憶と光力を持つが、まだ新人である下級神であるために、
能力計測器の数値は、
知力『一〇〇』。
体力『一三〇』。
精神力『一〇〇』。
防御力『一〇〇』。
神力『二〇〇』。
魔力『一〇〇』。
光力『七五』。
駆け出しの神であるために、元々神力『一七五』であったが、人として転生するために、光力『五〇』を神力『二〇〇』に、光力『五〇』を魔力『一〇〇』に変換して、この世界の平均値に合わせている。
このため光力が使える人間は現在、エイジャー・ヘルムスと妹イーナ・ヘルムスだけである。
イーナが人間として転生した理由は「エイジャーに光力の使い方を教えるため」だった。
十二歳で可愛い顔立ちでまだ幼(おさな)さが残るが、その歳にしては大きな胸なのが悩み。
アユット・フォン・レッドドラゴン(レッドドラゴン竜族)。
竜人族でもブラック・ホワイト・レッドが存在し、最も神に近い知的ドラゴン種族の一人。
ヘルムス兄妹を突然襲うが、それはイーナに頼まれて、エイジャーの光力を目覚めさせるためだったが、エイジャーの光力(ビームパワー)が余りに強く死亡してしまう。
だがエイジャーの光力を神力へ変換して、蘇生により生き返る。
エイジャーは命の恩人であり、そして蘇生時に男子のエイジャーに胸を直接触られたこと(不可抗力でエイジャーに罪はない。)を運命の出会いだと感じている。
胸のサイズはマザリーよりも大きくて立派。スタイルは完全に大人の女性で、顔も美しい。
能力値(ステータス)は、
知力『?』。
体力『一〇〇〇』。
精神力『?』。
防御力『一三〇〇』。
神力『?』。
魔力『?』。
光力はない。
※実際には体力と防御力を合わせた数値を、攻撃によってマイナスにされると死亡する。
※防御力は防具によって上昇する。実際、銀の鎧の力で防御力は『九〇』上がっていた。
竜人族を蘇生させるには、神力『七〇〇〇』が必要。
言葉遣いは場面によって使い分けている。
レッドドラゴンの村長(むらおさ)の娘であり、姫なのだが本人は粗暴で普段は「あたい」を使う。だが大切な場面や目上の者や重要な場面では「私」に変化する。
カロンデロス・ヘルムス。
カロンデロス・ヘルムス公。通称カロン公爵と呼ばれている。
ハーブラブル王国の御三家の一つのヘルムス家の現領主。
慈悲深く、家族と領民を大切にする名君。 王宮の政(まつりごと)には関心があるが、宮廷内の謀略や陰謀などには、ほとんど興味がなく、逆に疎(うと)ましいと思っている。真面目で誠実で正義感が強い。
ソフィア。
カロンデロス・ヘルムス公爵の正妻。他の貴族らには当たり前に存在する側室や妾がカロン公にはおらず、子供は全員、ソフィアから生まれた。心優しく慈悲深く絵に描いたような良妻賢母である。
キャスター。
ヘルムス公爵家に使えるメイド。二十代後半の未婚女性で住み込みで働いている。
家事は完璧で、特に料理が得意で、よくカロン公の妻ソフィアと共に、台所に立つことが多い。
剣山(つるぎやま)の盗賊。
男ばかりの盗人(ぬすっと)の集団。
『魔法痕跡発見器』という青銅でできた真四角で、そこには半円に目盛りがあり、その目盛りを刺す針がついている魔法道具を持つ。
『魔力無効化石』という紫色に光る石を持つ。この石の大きさだと半径二十メートル内では魔力を源とする魔法が使えなくなる。石の大きさにより、影響範囲が変わる。
普段は特殊な鉛製の箱に入れられている。理由は魔力を無力化する力は鉛を通さないからである。
二つ共、レアまでいかないが、珍しい魔法道具である。
2023年9月15日
※当サイトの内容、テキスト等の無断転載・無断使用を固く禁じます。
また、まとめサイト等への引用をする場合は無断ではなく、こちらへお知らせ下さい。許可するかを判断致します。
略して『もといも』です。
東岡忠良(あずまおか・ただよし)
【4】女子三人に襲いかかる盗賊達。エイジャー怒りの『円盤光輪』!
※この小説へのご意見・ご感想・誤字脱字・等がありましたら、お気軽にコメントして下さい。
お待ちしています。
──1──
「ねえ。こうして兄妹で馬車で旅するのって初めてじゃない?」
「そうですね、お姉様。特に私はヘルムス領から出たことがなかったので、見るものすべてが珍しいです」
「段々と道が悪くなってきているから、しっかりと捕まっているんだぞ」
「それにしてもダーリンは御者(ぎょしゃ)の腕前はなかなかだな。揺れも少ないし、快適だ」
「アユットさん。頼むからその『ダーリン』はやめてくれないか。正直、恥ずかしい……」
と馬車の車輪がカラカラと音を立てている。晴天の空には小鳥が舞い、小麦畑の風景がいつまでも続いていた。
「うわ~。見て下さい。あそこに白い教会が見えます」
とイーナが指差した時に、車輪が轍に入り込み、ガタリと傾いた。
「あっ!」
と身体のバランスを崩してしまったイーナだったが、傍らにいたアユットが、軽々とイーナの小柄な身体を捕まえ、支えた。
「危ねえぞ、イーナ」
「ありがとう、アユット」
とお互いに顔を見合わせて「フフッ」と笑う。
「イーナを助けてくれて、ありがとう。アユットさん」
とエイジャーは声をかける。
「ヘヘッ。お礼なんて。照れるじゃねぇかよ、ダーリン」
と答えた。
「なあ。アユットさん。そのダーリンはやめてくれないか」
と再び言うと、
「ならダーリンもあたいのことを『アユットさん』をやめて欲しいものだな」
と怒って見せる。
「なら何て呼べばいい?」
「そうだな~」
と少し考えるふりをして、
「出来たら優しく『アユット』と呼び捨てがいいかな~」
と言うと、
「あ。アユットさん、頬が赤いよ」
とマザリーが指摘する。
「な! そんなことねえ!」
と意地を張った。
「分かったよ。じゃあ、アユット」
とエイジャーがそう呼ぶと、
「なんだい……。エイジャー……。キャッ! やだ~!」
と両手で顔を隠した。
人に好かれることはまんざらではないが、「妹二人の前なのでやめて欲しいんだけど」
とエイジャーは苦笑した。
今日の宿泊先は、朝から夕方まで馬車で走ってたどり着く『ニカル』という村だった。
そこで一番よい宿に宿泊することができた。
他の旅行客と一緒に、食堂で温かい夕食を食べる。
「この宿はいいな。馬屋があって馬達も休めるし、馬車専用の小屋があるから、屋外に置かずに済むので、盗難にも遭わない」
とエイジャー。
「お部屋も一人一人別々で取れてよかったです」
とイーナ。
「あたいは不満だな。エイジャーと同じ部屋じゃないことが」
と言って、横目でエイジャーの表情を伺(うかが)う。
「アユット。それは許してくれよ。さすがに……」
と苦笑すると、
「ハハッ! 冗談。冗談だって!」
とバンバンとエイジャーの背中を叩いた。
思わず、むせて咳をすると、
「強いよ、アユット。もう少し手加減して欲しいな」
と返すと、
「わりい、わりい。何だかさあ~。楽しくってさあ~」
と笑顔でスープを飲み干した。
「この辺りはまだ、ヘルムス領だからね。比較的治安はいいんだけど、問題は明日の宿泊先だ」
とエイジャーは引き締まった顔をする。
「そうですね」
とマザリーとイーナが頷いた。
「え? 何だ? 明日の宿泊先って何かあるのか?」
と不思議そうにするアユット。
「恐らく、いや確実に森の中の道の片隅の広い場所を見つけての、野宿になる予定なんだ」
「野宿? あたい、したことねえから楽しみだな」
と今は毎日が新鮮で何を聞いてもアユットは喜んだ。
「明日の御者はマザリーに頼もうと思う。僕は悪いが馬車の中で寝かせてもらうよ」
「ええ。そうしてちょうだい、兄さん」
「え? 何だ? エイジャーは今日、一日中御者をやったんで、疲れてしまったのか?」
と訊いた。
「アユット。違うんです。明日、抜けようとしている『魔物の森』はこの旅の一番危険な場所なんです」
とイーナ。
「あ~。あのだだっ広い森かあ~。そんなに危険ならあたいが知り合いに頼んで、荷物もみんなも運んでやったのによう」
とアユットが言うと、
「それは余りに悪いからいいよ」
とエイジャー。
「何を言ってんだよ。『剣の山』を迂回なんてしているから、馬車で三日もかかっちまうんだからさ」
「それは仕方がないよ。人間の生活とはそういうものだからさ」
と肩をすくめると、
「へえ~。そういうもんかねえ~」
とアユット。
「それにしても不思議よね。私、覚悟をしていたんだけど怪物(モンスター)が一匹も出てこなかったわ」
とマザリーが言うと、
「そりゃ、あたいが乗っているからだよ」
と少し自慢げに自分を指差す。
「えっ。アユットさんが?」
「ああ。怪物連中は敏感だからな。ドラゴンのあたいが居るとなると、恐ろしくて襲ってこねえんだ」
とアユットが胸を張ると、
「へえ~。そうだったのね。アユットさん、凄いわ」
とマザリーは感心した。
「でもさ。怪物は襲ってこないかもしれないけど、他の者達が来るんじゃないかな?」
とエイジャーは言った。
──2──
朝になった。今日もよい天気である。
エイジャーは朝早くから起き出して、朝の散歩なのか宿の周りを歩いていた。
旅の初日のせいか、三人はぐっすりと眠った後、戻ったエイジャーと共に美味しい朝食を頂くと、
「サーダスト樣! お気をつけて」
「サーダスト樣! よい旅を」
と店の店主らに見送られながら、出発した。
「なあ。一つ訊いていいか?」
「いいわよ」
と隣りに座るアユットはイーナに訊いた。
エイジャーは馬車車内の長椅子へ横になって目を閉じている。
今日の御者はマザリーだった。
「何で『サーダスト』なんて偽名を使うんだ? それに、あたいはなぜか『姉』になっているし」
と不満なのか頬を膨らませている。
「それは仕方がないわよ。アユットは見た目は人と、ほとんど変わらないのたから。もし『竜人』だと話したりしたら、怖がられたり、大騒ぎになりかねないもの」
「まあ、確かにそうかもな。でも何で私が一番年上になるんだよ。エイジャーとマザリーと同じ歳なのに」
と口を尖らせる。
「だってこれだけ大人っぽい顔で、おっぱいとお尻がこんなに大きいのよ」
と言いながら、イーナはアユットの胸と腰を触った。
「ちょっと。くすぐったい~」
と二人はじゃれる。
「偽名もそれと同じよ。ヘルムス家の子息(しそく)と子女(しじょ)だと知られたら、特別扱いも嫌だし、何よりいつ命を狙われるかも分からないでしょう」
とマザリー。
「そんなものなのか?」
「そんなものなのよ。特にこういう地方の村や、治安の悪い地域はね」
すると、横になり目を閉じていたエイジャーが、目を開けて座った。
「このまま馬車で半日も行けば『魔物の森』に到着する。魔物の森の外で野宿をすると、野盗に襲われかねない。だから魔物の森で野宿をするつもりだ」
「なるほど。野盗がいるのだな」
とアユットは微笑む。
「最初はお兄様とお姉様で交代で夜中を走る予定だったのですが」
とイーナが言うと、
「馬達が休めなくて、逆に追われた時に逃げられないと思ったから、野宿になったのよ」
と馬を操りながら、マザリーは言った。
「この辺りはヘルムス家の勢力からは外れて、ハーブラブル王国の軍や警察の勢力が届きにくい土地なんだ。だから怪物(モンスター)はもちろん、質(たち)の悪い人間も多いんだよ」
とエイジャーは続けて、
「今朝、朝早く起きて宿の周りを見てみたら、いくつか人の足跡があった」
と話した。
「えっ! 兄さん、それって!」
「恐らく、僕達は付けられていると思う。相手はうわさの『剣山(つるぎやま)の盗賊』だと思う……」
妹二人の顔色が変わった。
アユットはニヤリと笑っている。
「なので、暗くなったら『魔物の森』の出来るだけ深いところで野宿する。食事は馬車で走りながら食べることにする。マザリーは食べたい時は教えてくれ。交代するから」
「分かったわ」
「どんなタイミングになるかは分からないけど、森に入る前に僕が御者を交代する。で森に入ったら馬車の轍(わだち)をマザリーは魔力で消して欲しいんだ」
「分かったわ。お安いご用よ」
「なるほど。そうやって賊から逃げるつもりなんだな」
「そうだ。それで森の奥深くに隠れて、物音は立てないようにする。もちろん、火も使わない」
「何事もなく、朝になってくれたら嬉しいんだけど」
と少し不安になったのかイーナが言う。
「僕が一晩の見張りをやる。だけど見つかったり、戦闘になれば」
「あたいの出番か!」
とアユットは嬉しそうに右腕を前に出した。
「いや。僕が戦う」
とエイジャー。
「え? なんだ? 楽しみを独り占めする気か?」
とアユットは不満げだ。
エイジャーは微笑んで、
「光力(ビームパワー)の練習がしたいんだ。相手が賊でみんなを守るためなら……」
と言うと、
「躊躇(ちゅうちょ)なく殺すつもりだ……」
と覚悟を示した。
「轍を消すのはいいけど、相手が『魔法痕跡発見器』を持っていたらどうするの?」
とマザリーが言うと、
「レアまでいかないが、そんな珍しい魔法アイテムを持っていたとしたら確かにまずいな。よし、轍を消すのは途中までにしようか」
と作戦は決まった。
──3──
「ちきしょう! どこだ!」
「確か、このへんでさあ!」
「相手は馬車だそ! 見失うなんてあり得ないからな!」
部下達全員が松明を持っていて、森の中は微かだが明るい。
その光に照らされて、最も大柄な男は無精髭(ぶしょうひげ)を蓄えた顎を触りながら、一人の部下の胸ぐらを掴んで言った。
「馬車みたいに大きなモノを見失うなんざ、てめえ、どこまで間抜けなんだ」
「おっ、お許しを! 団長! 仕方ねえんだ。なんせ、馬車の轍をキレイに消されちまったんだから! だからよう……。 ヒッ!」
とゴミでも捨てるように、その部下の胸ぐらを離した。部下は勢いよく尻もちをついて、痛みで立てない。
「おい。『魔法痕跡発見器』は持ってきてるよな」
「もちろんでさあ。親方」
と青銅でできた真四角で、そこには半円に目盛りがあり、その目盛りを刺す針がついている。
「で、偵察したのは貴様か」
「へえ」
「若い女が三人というのは間違いないな」
「もっ、もちろんでさあ。それも三人とも乳がこんなんで」
と部下は自らの胸の前で、両手を前に出した。
「そうか。なら一番始めに三人は俺が頂く。終わったらお前達、好きにしていいぞ」
すると別の部下が、
「いつもいつも、親方が使った後というのもなあ~」
と言うと、
「いいじゃねえか。俺達、兄弟って訳さ」
と言うと、低くて品のない笑いが起きた。
「反応ありましたぜ」
と『魔法痕跡発見器』を持っていた小柄な男が言った。
「馬車の轍を魔法で消していやがったのか。なかなか頭の良さそうな奴だが」
と隣の男に笑いかけると、
「ヘヘッ。奴らまさかこちらに『魔法痕跡発見器』があるとは思ってもみないでしょうな」
と右の広角を上げた。
「相当、魔法に自信のある連中なのかもしれんが」
と言い、
「それにこちらには『これ』があるからな。魔法なんぞ、怖くはない」
と紫色に光る石を取り出した。
三十人を越える男達が、月夜の森を捜索している。
時々怪物(モンスター)とばったり遭って、戦闘になったりしてた。
「ザコ(モンスター)はさっさと片付けろ! ただし、ヤバい怪物(モンスター)が出たら、全員で囲んで炎で焼き殺せ」
「親方。そんなことをしたら、森が火事になってしまいやせんか?」
と痩せた部下が言うと、
「森が焼けようが、山が焼けようが、俺達に何か関係があるのか?」
と睨みつけると、
「そうでございやしたね。ヘヘッ」
と痩せた部下は頭を掻(かい)いた。
すると軽装の一人の部下が走ってきて、
「見つけやしたで! 道から外れた奥に隠れていやした!」
「でかしたぞ。すぐ案内しろ! 者共、俺についてこい!」
と叫ぶと、盗賊達は大柄な親方を目印に、集まってきた。
連中は口々に、
早くやりてえ~。
聞いたか! 三人共、乳がデカいらしいぞ。
今いる女共は、みんな乳が小せえからな。
仕方ねえって。親方がデカ乳好きだからな。
あの親方にもて遊ばれたら、耐えられる女なんていねえからな。
気の毒に。毎日親方の相手をさせられるんだな。
そして馬車にたどり着くと三人の女、いや二人の若い女と一人の幼女が馬車を背にして立っていた。
おい、見ろよ。三人共、どえらいベッピンだぜぇ!
特に背の高い女を見ろよ。いい乳。いい尻(けつ)してるぜえ。
そうか? オレはあの清楚そうなのが美味(うま)そうだがよう。
あの幼女も堪(たま)んねえな。泣き叫ぶところを楽しみてえ~。
そして親方と呼ばれている男が前に出た。
「おい、お前達。悪いようにはしねえ。優しくしてやるから、おじさん達と一緒に来ないか~」
と言うと、
「結構です。それ以上、近づいたら攻撃します!」
とマザリーが力強く言うと、
親方と呼ばれた男は、三人見えないように、頑丈そうな箱から、紫に光る石を取り出した。
親方、フラれちまったな~。
親方、もっと上手く誘わねえと~。
と低い笑いが起きた。
「お嬢ちゃんみたいに可愛い子達はなあ~。黙って男の言うことを聞くもんだ」
と盗賊の親方は無造作に距離を縮めた。
「それ以上、近づいたら攻撃します!」
とマザリーは両手のひらを前方に突き出した。
「ほお。勇敢で気の強い女だな。いや、まだ女の子か。まあ、美味しい食べ頃ってかんじかな」
と盗賊の親方はマザリーの警告を無視して、間合いを詰めた。
「そっちがその気なら! ファイヤー!」
とマザリーは両手のひらを相手に向けて声を出したが、
「あれ? 出ない? どうして?」
と先程の余裕はなくなり、一気に顔色が変わった。
「ファイヤー! ファイヤー! え? どうして……」
と慌てるマザリー。
「残念だったな、お嬢ちゃん。多分、魔法が使えない理由は」
と紫色に光る石を取り出して見せた。
「まさか! それは『魔力無効化石』! 何でそんな物を貴方が持っているの?」
と慌てるマザリー。
「魔法に自信があるようだが『魔力無効化石』があったら、ただの力と力の勝負。これだけの男達と三人のかわい子ちゃんだと、どっちが強いかねえ~」
と盗賊らはヘラヘラと笑う。
「力と力の勝負だってよ」
と嬉しそうにアユットは小声で話す。
盗賊の親方はゆっくりと近づき、
「まあ、悪いようにはしねえ。痛いのは最初だけでえ。後はお前達も気持ちよくなるってもんだ」
と美味しそうなご馳走を選ぶ表情で、三人を舐めるように見て、
「真ん中のヤツ。俺達と戦おうだなんて勇敢で可愛いお嬢ちゃんだ。気に入ったぞ。まずはお前から楽しませてもらおう」
と履いていたズボンのベルトを緩めようとした時だった。
「もう、そのくらいにして立ち去れ!」
と盗賊らの背後から声がした。
「誰だ!」
と盗賊ら全員が振り返ると、そこにはエイジャーが立っていた。
「僕は人を殺したくない。常々、そう思って生きてきた。でもそれは今日、捨て去る! 特に貴様!」
と集団の中から頭一つ飛び出ている盗賊の親方に言った。
「貴様はこの場で殺す!」
と言うと、親方は高らかに笑い出した。
「バカか、貴様! 今、あの可愛い子ちゃんの魔法が、この石で封じられたのを見たばかりだろう。それとも腰に差したその剣で、これだけの人数と闘うつもりか? あ~!」
と笑った瞬間だった。
「『円盤光輪!』」
と叫ぶと、立てたエイジャーの右手に光の円盤が現れた。
「な! なぜだ! 魔法は! 魔法はこの『魔力無効化石』のために使えないはず……」
と言い終わる前に、エイジャーの右手から放たれた光の円盤は、親方と呼ばれた男の首を通った。すると親方は動かなくなり、ゆっくりと前に倒れると、胴体から首が離れて動かなくなった。血は一滴も出なかった。
──4──
親方!
ウソだろ!
何で『魔力無効化石』があるのに、魔法が使えるんだ!
すると、
「ちきしょう! こうなったら女達を人質にすれば!」
と数人の男達がマザリーとイーナに近づこうとしたが、
「おっと! あたいもお前達には容赦しないぜ!」
とアユットは一人の男に、開いた手のひらで目にも留まらぬ速さで胸を貫(つらぬ)くと、閉じたアユットの手のひらには、賊の男の心臓があった。
悲鳴を上げながら、アユットから逃げ惑う賊もいれば、
ふざけるな!
一斉に飛びかかればなんとかなるぞ!
とエイジャーに襲いかかったが、
「全員、焼き殺す」
と立てた右手の手首辺りに、左手先を添えると、白い熱線が発射された。
その光線を浴びた者は瞬時に燃え上り、地面に倒れた。一人二人と逃げ惑う連中に浴びせていく。アッと言う間に十人ほどが黒焦げになり、数人は森へ逃げ込んだ。
それは余りに一方的な光景だったためか、
「お兄様。お怒りはごもっともですが、そのくらいでお許しになさって下さい!」
と見かねたイーナが言い続けて、
「今からでも遅くありません! 武器を捨てて手を頭の上に置いて座りなさい。そうすれば許して差し上げます」
とイーナが叫ぶと、
分かった!
降参する!
許してくれ!
とその場にいる賊達は武器を捨てて、手を上げて座り込んだ。
エイジャーは大きく深呼吸をして、
「アユット。悪いがこいつらを縛るのを手伝ってくれ」
と言いながら、盗賊が持っていたロープを手渡した。
「え? こいつら、殺さないのか?」
とアユットが言うと、賊達は震え上がる。
「どうするかは後で決める。まずはこいつらを動けなくしないと」
「分かった。旦那様の言うことは、嫁として快く聞き入れないとな」
と恥ずかしそうに言うと、
「ダーリンの後は旦那様かよ。やめてくれ。こっちが恥ずかしい」
とエイジャーが照れるのを見て、
「よかった。いつもの兄さんだわ」
とマザリーは安堵していた。
「それにしても、厄介な石だな」
と紫色の『魔力無効化石』をエイジャーは手に取った。
「本当に魔力が使えなかったのか?」
とマザリーに訊くと、
「うん。本当に何も出来なくなったわ。正直、驚いた」
とマザリーはエイジャーに近づき、石を覗き込んだ。
一方、アユットの方は、
「イテテッ! もっと優しく縛ってくれよ! 姉ちゃん」
という声が聞こえる。
「何、言ってんだい。緩かったら、簡単に逃げられちまうだろうが~よっ!」
と言いながら、きつく縛ると、
「痛っ! イテテテ!」
と賊の男は悲鳴を上げた。
「交代しよう。アユット」
とエイジャーは言い、
「別にいいぜ。お安いご用だよ」
と機嫌よく縛っていたが、
「アユットには頼みたいことがあるんだ」
と言うと、
「この『魔物の森』は正確には首都『ユースル』の管轄下なんだ。なので、ひとっ飛びしてもらって騎士隊に知らせて欲しいんだ」
「何だ? 結局、こいつらを本当に殺さないのか?」
「うん。ダメかな」
「そりゃ、構わねえけど」
と盗賊達の顔をまじまじと見て、
「生かしておいていいのか? エイジャーの光力(ビームパワー)のことが、世間にバレちまうぞ」
と心配そうに言うと、
「目立たないようにはするつもりだけど、こういうのって隠しても隠しきれるものじゃないからね。これから学校にも通うんだ。知られるのも時間の問題だからね」
アユットは納得したようで、
「分かった。じゃあ、ひとっ飛びしてくる」
「頼むよ。出来るだけ多くの人手がいることも伝えて欲しい。それに……」
と続けた。
「連中の話していた内容からすると、どうも数人の女性が囚(とら)われているようだから、そちらの救出もお願いしたいんだ」
と付け加えた。
「なるほど。確かにそうだな!」
と言うと、アユットは近くで縛られている賊の男の胸ぐらを掴み持ち上げた。
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「捕まえた女達はどこだ? 今、教えろ……」
と言うと、
「教える! 教えるから許してくれ! 『剣の山』の麓にある洞窟の隠れ家だ。何なら俺が道案内をする! だから許してくれ!」
と半べそをかきながら訴えた。
「分かった。じゃあ、そういうことで」
と言うと、男を離して、ゆっくりと空中に浮いていくと、光に包まれて真っ赤なドラゴンになった。
「じゃあ、行ってくる。何人かは私が連れてくるからな」
と数回羽ばたくと、都市『ユースル』の方へ消えていった。
「……あの女。ドラゴンだったのか……」
「俺達はなんて連中に手を出しちまったんだ!」
「ということは! お前もドラゴンなのか!」
とエイジャーを恐れだした。
「違うよ。ただの学生さ」
と言った。
登場人物。
エイジャー・ヘルムス。
ハーブラブル王国御三家貴族の一つ、ヘルムス公爵家の父カロンデロス・ヘルムスと、母ソフィアの両親から生まれたヘルムス家唯一の嫡男。
十五歳現在の能力値(ステータス)は、
知力『一三〇』。
体力『一二〇』。
精神力『一一五』。
防御力『一〇八』。
神力『一』。
魔力『一』。
そして能力計測器には現れない能力。
光力『二九九九』
を持っている。
神力『一』魔力『一』は宿無しか奴隷くらいしかいないほど最弱の数字。
しかし、実際には神しか持たない光力(ビームパワー)を中級の神レベルほど持っている。
セブンの技。
『エメリー光線』アユットを一撃で死に追いやった必殺技。光力(ビームパワー)を圧縮した額から出る光線技。
ウルトラの技。
『円盤光輪』イーナから教わった光力(ビームパワー)を使った技。思ったところに投げられ、物を簡単に切り裂くことができる。生き物を切ると高熱のために血は一滴も出ない。
『スペシュー光線』
立てた右手の手首辺りに、左手先を添え発射される白い熱線。
ユースル高等魔法学校に姉妹のオマケ同然の状態で合格し、妹ら二人と通う。
旅をする場合は、危険を避けるために偽名「サーダスト」を使っている。
現在、馬車で首都『ユースル』に向かっている。一日目はヘルムス領『ニカル村』で宿泊。二日目は『剣の山』を避けて『魔物の森』での野宿をした。
マザリー・ヘルムス。
エイジャー・ヘルムスの双子の妹。
赤ん坊時の能力計測器の数値は、
知力『一二八』。
体力『一二〇』。
精神力『四〇』。
防御力『一三』。
神力『ニ三〇』。
魔力『ニ〇九』。
献身的に兄エイジャー・ヘルムスを助ける秀才。男性から見て、胸と腰のサイズが大きいのが魅力だが、本人は気にしている。
イーナ・ヘルムス。
エイジャー・ヘルムスの三つ下の妹。
イーナ・ヘルムスの正体はエイジャーの転生を担当した女神イーナ。
女神時代の記憶と光力を持つが、まだ新人である下級神であるために、
能力計測器の数値は、
知力『一〇〇』。
体力『一三〇』。
精神力『一〇〇』。
防御力『一〇〇』。
神力『二〇〇』。
魔力『一〇〇』。
光力『七五』。
駆け出しの神であるために、元々神力『一七五』であったが、人として転生するために、光力『五〇』を神力『二〇〇』に、光力『五〇』を魔力『一〇〇』に変換して、この世界の平均値に合わせている。
このため光力が使える人間は現在、エイジャー・ヘルムスと妹イーナ・ヘルムスだけである。
イーナが人間として転生した理由は「エイジャーに光力の使い方を教えるため」だった。
十二歳で可愛い顔立ちでまだ幼(おさな)さが残るが、その歳にしては大きな胸なのが悩み。
アユット・フォン・レッドドラゴン(レッドドラゴン竜族)。
竜人族でもブラック・ホワイト・レッドが存在し、最も神に近い知的ドラゴン種族の一人。
ヘルムス兄妹を突然襲うが、それはイーナに頼まれて、エイジャーの光力を目覚めさせるためだったが、エイジャーの光力(ビームパワー)が余りに強く死亡してしまう。
だがエイジャーの光力を神力へ変換して、蘇生により生き返る。
エイジャーは命の恩人であり、そして蘇生時に男子のエイジャーに胸を直接触られたこと(不可抗力でエイジャーに罪はない。)を運命の出会いだと感じている。
胸のサイズはマザリーよりも大きくて立派。スタイルは完全に大人の女性で、顔も美しい。
能力値(ステータス)は、
知力『?』。
体力『一〇〇〇』。
精神力『?』。
防御力『一三〇〇』。
神力『?』。
魔力『?』。
光力はない。
※実際には体力と防御力を合わせた数値を、攻撃によってマイナスにされると死亡する。
※防御力は防具によって上昇する。実際、銀の鎧の力で防御力は『九〇』上がっていた。
竜人族を蘇生させるには、神力『七〇〇〇』が必要。
言葉遣いは場面によって使い分けている。
レッドドラゴンの村長(むらおさ)の娘であり、姫なのだが本人は粗暴で普段は「あたい」を使う。だが大切な場面や目上の者や重要な場面では「私」に変化する。
カロンデロス・ヘルムス。
カロンデロス・ヘルムス公。通称カロン公爵と呼ばれている。
ハーブラブル王国の御三家の一つのヘルムス家の現領主。
慈悲深く、家族と領民を大切にする名君。 王宮の政(まつりごと)には関心があるが、宮廷内の謀略や陰謀などには、ほとんど興味がなく、逆に疎(うと)ましいと思っている。真面目で誠実で正義感が強い。
ソフィア。
カロンデロス・ヘルムス公爵の正妻。他の貴族らには当たり前に存在する側室や妾がカロン公にはおらず、子供は全員、ソフィアから生まれた。心優しく慈悲深く絵に描いたような良妻賢母である。
キャスター。
ヘルムス公爵家に使えるメイド。二十代後半の未婚女性で住み込みで働いている。
家事は完璧で、特に料理が得意で、よくカロン公の妻ソフィアと共に、台所に立つことが多い。
剣山(つるぎやま)の盗賊。
男ばかりの盗人(ぬすっと)の集団。
『魔法痕跡発見器』という青銅でできた真四角で、そこには半円に目盛りがあり、その目盛りを刺す針がついている魔法道具を持つ。
『魔力無効化石』という紫色に光る石を持つ。この石の大きさだと半径二十メートル内では魔力を源とする魔法が使えなくなる。石の大きさにより、影響範囲が変わる。
普段は特殊な鉛製の箱に入れられている。理由は魔力を無力化する力は鉛を通さないからである。
二つ共、レアまでいかないが、珍しい魔法道具である。
2023年9月15日
※当サイトの内容、テキスト等の無断転載・無断使用を固く禁じます。
また、まとめサイト等への引用をする場合は無断ではなく、こちらへお知らせ下さい。許可するかを判断致します。
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この国では婚約破棄された令嬢は、キズモノとして扱われることから、なんとか自立しようと修道院回避のために幼いときから貯金していたみたいだった
足取り重く公爵邸に帰ったステファニーに待ち構えていたのが、父からの勘当宣告で……
エストロゲン家では、昔から異能をもって生まれてくるということを当然としている家柄で、異能を持たないステファニーは、前から肩身の狭い思いをしていた
修道院へ行くか、勘当を甘んじて受け入れるか、二者択一を迫られたステファニーは翌早朝にこっそり、家を出た
ステファニー自身は忘れているが、実は女神の化身で何代前の過去に人間との恋でいさかいがあり、無念が残っていたので、神界に帰らず、人間界の中で転生を繰り返すうちに、自分自身が女神であるということを忘れている
エストロゲン家の人々は、ステファニーの恩恵を受け異能を覚醒したということを知らない
ステファニーを追い出したことにより、次々に異能が消えていく……
4/20ようやく誤字チェックが完了しました
もしまだ、何かお気づきの点がありましたら、ご報告お待ち申し上げておりますm(_)m
いったん終了します
思いがけずに長くなってしまいましたので、各単元ごとはショートショートなのですが(笑)
平民女性に転生して、下剋上をするという話も面白いかなぁと
気が向いたら書きますね
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こちらの作品は、2023年12月28日から、カクヨム様でも掲載を開始しました。
今後、カクヨム様掲載用にほんのちょっとだけ内容を手直しし、1話ごとの文章量を増やす事でトータルの話数を減らした改訂版を、1日に2回のペースで投稿していく予定です。多量の加筆修正はしておりませんが、もしよろしければ、カクヨム版の方もご笑覧下さい。
※作者が適当にでっち上げた、完全ご都合主義的世界です。細かいツッコミはご遠慮頂ければ幸いです。もし、目に余るような誤字脱字を発見された際には、コメント欄などで優しく教えてやって下さい。
※検討の結果、「ざまぁ要素あり」タグを追加しました。

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