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【1-2】不運にも捕虜となるヘリオスだが、アーリ将軍から熱いアプローチを受けて困惑する。
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女ばかりのアマゾネス軍の捕虜になり死を覚悟した勇者だがモテて仕方がないのだが!
東岡忠良(あずまおか・ただよし)
※この小説へのご意見・ご感想・誤字脱字・等がありましたら、お気軽にコメントして下さい。
お待ちしています。
【1-2】不運にも捕虜となるヘリオスだが、アーリ将軍から熱いアプローチを受けて困惑する。
──2──
特注の切っ先の長い薙刀を抱えて、馬上の人となったヘリオスは死を覚悟し、一万ものアマゾネス軍を率いるアーリと名乗る将軍の方へ向かった。
「一つ、聞いてよいか」
とアーリ。
「なんだ?」
「お前は『プロテクション』が使えるほどの魔法使いだろう。なぜ、我が軍との戦(いくさ)の時に使わなかったのか?」
と訊いてきた。
兵を率いる第二王子のマイケルが間抜けだっただけだ。
と言いたかったが、
「こちらには、こちらの都合というものがあるのだ。お前達には関係ない」
と薙刀の刀身をアーリに向けた。
「そうか、わかったわ。ならばお前の薙刀の腕前を見せてもらうとするか!」
と言い終わると同時に、馬を走らせ向かってきた。
「望むところ!」
と打ち込んでくるアーリの薙刀の尖先を受け流すと、自らの薙刀を回転させて、大きく外側から切りつけた。だがそれは柄で軽くあしらわれた。
「やるな!」
「それはこっちが言うことよ!」
と激しい切り合いが始まった。お互いに左右上下から色々な攻撃をしかけ、時には柄の下の石突で突いたりもしたが、腕前が拮抗しているのかなかなか勝負がつかない。
見ているアマゾネスの兵士らから、いつの間にか感嘆の声が漏れる。
アーリ様と互角に闘っているわ!
何ということ! 信じられないわ!
という声。
その後もアーリが仕掛ける攻撃をことごとく受けては交わしていく。その見事なヘリオスの腕前に、いつの間にか歓声に変わっていった。
勝負は一向につかず、ヘリオスの額や腕には汗が光り出した時である。
「しばし、待て!」
とアーリが闘いを止めた。
「なんだ? 命乞いか?」
と言ったが、ヘリオス側が有利な訳ではない。ただの強がりである。
「甲冑が邪魔だわ! それに汗でべとつく。脱いでから再開よ!」
と馬上から降りた。
だがヘリオスは馬から気軽に降りることはできない。馬上なら隙を見つけて、逃げる機会があるかもしれないからだ。
「今のうちに少しでも呼吸を整えよう。せめてこの将軍の首を取ってから身の振り方を考えればよい」
とアーリから少し離れた場所で呟いた。
「もし、逃げるとしたら、もうフロンティアには戻れぬだろう。逃げるとしたら、隣国のコスコかミラージュ辺りか……」
と言った時に目が釘付けになった。
いかつい甲冑を一つ一つ脱いでいくアーリ将軍だったが、取られた肘(ひじ)当てからは、たくましいが長くて色白の美しい手が出てきた。
足の脛当(すねあて)を外すと、ムチムチの太腿に真っ白で長い美脚が現れた。
胸の甲冑を脱ぐと、服なのか下着なのか分からない、胸だけを隠した晒(さらし)のような布が現れ、そこから豊かで大きな胸が限界近くまで盛り上がっている。
当然、可愛らしいヘソが丸見えになっていた。
寸法が合っていないのか?
それともアーリの胸が大き過ぎるのか?
はっきりと半円の形の良い胸が分かる。
そして兜と仮面を同時に取ると、長い金髪の髪が溢(こぼ)れた。
その髪をかき上げると、二重瞼に大きな目と瞳があり、鼻筋の通った形のよい鼻と、丁度よい大きさの唇が付いていた。
正直、ヘリオスはこんな美しい女を見たことがなかった。
「な……!」
急に身体が震え出し、緊張が増してきた。何とか落ち着こうとしたが、女性に対する恐怖心から、心臓の鼓動が早くなってきていた。
「まずい……。まずいぞ……」
と心臓が頭に移動したかのように鼓動が激しくなる。
「誰か髪留めを持っていないか?」
と仮面を外して、声が籠(こ)もらなくなったせいか、とても澄(す)んだ色気のある美声であった。
身近にいた部下の一人が髪留めを渡すと、その髪留めを口に咥(くわ)えた。その間に長い金髪を両手で束ねると、器用に口元にあった髪留めを取って素早く留めた。
その仕草が何とも美しく、ヘリオスは身体中が熱くなるのを感じた。
「さあ。準備はできたわ。勝負よ!」
と薙刀を構えたが、ヘリオスはアーリの美しさと、本人は全く自覚のない髪を留めるまでの色気に満ちた仕草に、完全に参ってしまった。
「さあ! ヘリオス! 続きよ!」
と薙刀を脇に抱えて馬を走らせ、ヘリオスの真ん前に来た。
「覚悟!」
と上段に振りかぶったが、ヘリオスは構えるどころか、全く動こうとしない。
「どうした! 勝負だ!」
とアーリが言うと、
「……美しい」
とヘリオスは呟いた。
「は? 何を言っている?」
アーリはヘリオスが何を言っているのか聞き取れない。ボソボソ言う呟(つぶや)きを聞くために薙刀を構えながら近づいた。
「美しい。美し過ぎる……。こんな美しい女を斬ることなど出来ぬ。いや、その輝く白い肌に傷をつけることもしたくない……」
と夢心地なのか、焦点の合わない目で呟いた。
アーリは、
「きっ貴様! 何を言っておるか!」
と頬を赤らめながら、薙刀を構えたまま近くにに寄った。
「素敵だ……。好きだ……。愛してしまった……。アーリ殿を傷つけるくらいなら、この命、どうなっても……よい……」
と言ったところで、持っていた薙刀を手放してしまったところで、夢から現実に戻った。
「はっ! オレは一体!」
と幻想から目覚めると、ヘリオスの理想とも言える美しい女が、今まさに薙刀の切っ先をヘリオス目がけて振り下ろそうとしていた。
ヘリオスは慌てて、薙刀で防御しようとしたが、すでにヘリオスの薙刀は地面に落ちていた。
「ここまでか……」
と目を閉じたが、一向に切りつけてこない。ゆっくりと目を開けると、アーリは自らの薙刀の切っ先を下に下ろして、
「お前は……。私のことが……。そっ、その……。すっ、好きなのか……? 愛しているのか……?」
と頬と耳を赤らめながら訊いてきた。
「えっ……」
と突然のことに慌てるヘリオス。
「好きなのかと訊いている!」
と丸腰のヘリオスに強い口調で言うと、
「ま・さ・か、この私をからかったのではあるまいな~!」
と段々と鬼の形相になってきていた。
ヘリオスは武器を持たない。
そしてこんなに女を怒らせたこともない。
生き残るためには答えは一つしかなかった。
「好きになった女と一騎打ちなど出来ぬ。この愛を分かってもらうためには、死しかないのなら討ち取るがよい!」
とアマゾネス軍全体に響き渡るくらいの大声で言った。本人は命乞いのつもりであった。
するとそれを聞いたアーリ将軍は、一度俯いてから顔を上げた。目には涙があった。
「なんて熱い求婚(きゅうこん)だ。気に入ったぞ」
と言うと、薙刀をくるりと半回転させ、地面に突き刺すと、晒(さらし)と腰巻きという、ほとんど裸に近い姿で、馬を寄せてヘリオスに近づき、
「実はな。一目見た時から私の好みの男だった……。両思いだったとは、心から嬉しいぞ……」
と言って抱きついた。
「いや……。あの……」
とヘリオスは何をどうすればいいのか分からない。
これはこちらも抱き返せばいいのか?
これは接吻をするべきなのか?
大きな胸が当たっているけどいいのか?
頭の中でそんな言葉がぐるぐると回る。
アーリはヘリオスの肩に手を置いたまま、身体を離すと、
「お主、私が抱きついても、抱き返さないのだな?」
と言った。
し! しまった! 抱き返さないといけなかったのか!
と後悔していると、
「好意を持った女が抱きついても、抱き返さずに素っ気ない態度を取る。お主は女好きではないのだな。強くて真面目な男……。ますます気に入ったぞ」
と再び抱きついてきた。
え~! これってまたどうすればいいの~?
抱きつかないのが正解みたいだったけど、二回目はどうなの~?
とヘリオスの心の中で葛藤は続いた。
2023年12月9日
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特注の切っ先の長い薙刀を抱えて、馬上の人となったヘリオスは死を覚悟し、一万ものアマゾネス軍を率いるアーリと名乗る将軍の方へ向かった。
「一つ、聞いてよいか」
とアーリ。
「なんだ?」
「お前は『プロテクション』が使えるほどの魔法使いだろう。なぜ、我が軍との戦(いくさ)の時に使わなかったのか?」
と訊いてきた。
兵を率いる第二王子のマイケルが間抜けだっただけだ。
と言いたかったが、
「こちらには、こちらの都合というものがあるのだ。お前達には関係ない」
と薙刀の刀身をアーリに向けた。
「そうか、わかったわ。ならばお前の薙刀の腕前を見せてもらうとするか!」
と言い終わると同時に、馬を走らせ向かってきた。
「望むところ!」
と打ち込んでくるアーリの薙刀の尖先を受け流すと、自らの薙刀を回転させて、大きく外側から切りつけた。だがそれは柄で軽くあしらわれた。
「やるな!」
「それはこっちが言うことよ!」
と激しい切り合いが始まった。お互いに左右上下から色々な攻撃をしかけ、時には柄の下の石突で突いたりもしたが、腕前が拮抗しているのかなかなか勝負がつかない。
見ているアマゾネスの兵士らから、いつの間にか感嘆の声が漏れる。
アーリ様と互角に闘っているわ!
何ということ! 信じられないわ!
という声。
その後もアーリが仕掛ける攻撃をことごとく受けては交わしていく。その見事なヘリオスの腕前に、いつの間にか歓声に変わっていった。
勝負は一向につかず、ヘリオスの額や腕には汗が光り出した時である。
「しばし、待て!」
とアーリが闘いを止めた。
「なんだ? 命乞いか?」
と言ったが、ヘリオス側が有利な訳ではない。ただの強がりである。
「甲冑が邪魔だわ! それに汗でべとつく。脱いでから再開よ!」
と馬上から降りた。
だがヘリオスは馬から気軽に降りることはできない。馬上なら隙を見つけて、逃げる機会があるかもしれないからだ。
「今のうちに少しでも呼吸を整えよう。せめてこの将軍の首を取ってから身の振り方を考えればよい」
とアーリから少し離れた場所で呟いた。
「もし、逃げるとしたら、もうフロンティアには戻れぬだろう。逃げるとしたら、隣国のコスコかミラージュ辺りか……」
と言った時に目が釘付けになった。
いかつい甲冑を一つ一つ脱いでいくアーリ将軍だったが、取られた肘(ひじ)当てからは、たくましいが長くて色白の美しい手が出てきた。
足の脛当(すねあて)を外すと、ムチムチの太腿に真っ白で長い美脚が現れた。
胸の甲冑を脱ぐと、服なのか下着なのか分からない、胸だけを隠した晒(さらし)のような布が現れ、そこから豊かで大きな胸が限界近くまで盛り上がっている。
当然、可愛らしいヘソが丸見えになっていた。
寸法が合っていないのか?
それともアーリの胸が大き過ぎるのか?
はっきりと半円の形の良い胸が分かる。
そして兜と仮面を同時に取ると、長い金髪の髪が溢(こぼ)れた。
その髪をかき上げると、二重瞼に大きな目と瞳があり、鼻筋の通った形のよい鼻と、丁度よい大きさの唇が付いていた。
正直、ヘリオスはこんな美しい女を見たことがなかった。
「な……!」
急に身体が震え出し、緊張が増してきた。何とか落ち着こうとしたが、女性に対する恐怖心から、心臓の鼓動が早くなってきていた。
「まずい……。まずいぞ……」
と心臓が頭に移動したかのように鼓動が激しくなる。
「誰か髪留めを持っていないか?」
と仮面を外して、声が籠(こ)もらなくなったせいか、とても澄(す)んだ色気のある美声であった。
身近にいた部下の一人が髪留めを渡すと、その髪留めを口に咥(くわ)えた。その間に長い金髪を両手で束ねると、器用に口元にあった髪留めを取って素早く留めた。
その仕草が何とも美しく、ヘリオスは身体中が熱くなるのを感じた。
「さあ。準備はできたわ。勝負よ!」
と薙刀を構えたが、ヘリオスはアーリの美しさと、本人は全く自覚のない髪を留めるまでの色気に満ちた仕草に、完全に参ってしまった。
「さあ! ヘリオス! 続きよ!」
と薙刀を脇に抱えて馬を走らせ、ヘリオスの真ん前に来た。
「覚悟!」
と上段に振りかぶったが、ヘリオスは構えるどころか、全く動こうとしない。
「どうした! 勝負だ!」
とアーリが言うと、
「……美しい」
とヘリオスは呟いた。
「は? 何を言っている?」
アーリはヘリオスが何を言っているのか聞き取れない。ボソボソ言う呟(つぶや)きを聞くために薙刀を構えながら近づいた。
「美しい。美し過ぎる……。こんな美しい女を斬ることなど出来ぬ。いや、その輝く白い肌に傷をつけることもしたくない……」
と夢心地なのか、焦点の合わない目で呟いた。
アーリは、
「きっ貴様! 何を言っておるか!」
と頬を赤らめながら、薙刀を構えたまま近くにに寄った。
「素敵だ……。好きだ……。愛してしまった……。アーリ殿を傷つけるくらいなら、この命、どうなっても……よい……」
と言ったところで、持っていた薙刀を手放してしまったところで、夢から現実に戻った。
「はっ! オレは一体!」
と幻想から目覚めると、ヘリオスの理想とも言える美しい女が、今まさに薙刀の切っ先をヘリオス目がけて振り下ろそうとしていた。
ヘリオスは慌てて、薙刀で防御しようとしたが、すでにヘリオスの薙刀は地面に落ちていた。
「ここまでか……」
と目を閉じたが、一向に切りつけてこない。ゆっくりと目を開けると、アーリは自らの薙刀の切っ先を下に下ろして、
「お前は……。私のことが……。そっ、その……。すっ、好きなのか……? 愛しているのか……?」
と頬と耳を赤らめながら訊いてきた。
「えっ……」
と突然のことに慌てるヘリオス。
「好きなのかと訊いている!」
と丸腰のヘリオスに強い口調で言うと、
「ま・さ・か、この私をからかったのではあるまいな~!」
と段々と鬼の形相になってきていた。
ヘリオスは武器を持たない。
そしてこんなに女を怒らせたこともない。
生き残るためには答えは一つしかなかった。
「好きになった女と一騎打ちなど出来ぬ。この愛を分かってもらうためには、死しかないのなら討ち取るがよい!」
とアマゾネス軍全体に響き渡るくらいの大声で言った。本人は命乞いのつもりであった。
するとそれを聞いたアーリ将軍は、一度俯いてから顔を上げた。目には涙があった。
「なんて熱い求婚(きゅうこん)だ。気に入ったぞ」
と言うと、薙刀をくるりと半回転させ、地面に突き刺すと、晒(さらし)と腰巻きという、ほとんど裸に近い姿で、馬を寄せてヘリオスに近づき、
「実はな。一目見た時から私の好みの男だった……。両思いだったとは、心から嬉しいぞ……」
と言って抱きついた。
「いや……。あの……」
とヘリオスは何をどうすればいいのか分からない。
これはこちらも抱き返せばいいのか?
これは接吻をするべきなのか?
大きな胸が当たっているけどいいのか?
頭の中でそんな言葉がぐるぐると回る。
アーリはヘリオスの肩に手を置いたまま、身体を離すと、
「お主、私が抱きついても、抱き返さないのだな?」
と言った。
し! しまった! 抱き返さないといけなかったのか!
と後悔していると、
「好意を持った女が抱きついても、抱き返さずに素っ気ない態度を取る。お主は女好きではないのだな。強くて真面目な男……。ますます気に入ったぞ」
と再び抱きついてきた。
え~! これってまたどうすればいいの~?
抱きつかないのが正解みたいだったけど、二回目はどうなの~?
とヘリオスの心の中で葛藤は続いた。
2023年12月9日
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