東岡忠良の奇想天外な夢日記

東岡忠良

文字の大きさ
上 下
14 / 20

ちょっとエッチな、謎の介護施設バス

しおりを挟む
 こんな夢を見た。
 斜め向かいの空き家に、大きなバスが停まった。停まるのはいいが、いくら経っても動く気配がない。
 見てみると真っ白なボディに肌色のラインの入った大型バスである。
「いつまで停まっているのだろう?」
 と見ていると、向かいの家のすでに亡くなった祖父の人が車椅子に乗って出てきた。
 そしてその車椅子を押しているのが、最近亡くなった息子さんだった。
「あれ? あのお二人って確か亡くなったはずなのに?」
 と不思議に思うよりも、その様子が余りに自然なために、こちらはただ眺めているだけだった。
 車椅子の父親と、それを押す息子はバスの側面から乗車した。
 するとバスから人相の悪いヒゲ面の中年男が降りてきて、僕のところに近づいてきた。
「こんにちは」
「はい。何でしょう?」
「あなたもこのバスに乗ることになっています。どうぞ」
 と言われる。
「え? 僕もですか?」
 と言うと、
「はい。そうです。お急ぎ下さい」
 すでに亡くなった近所の親子を乗せるバスに、自分も乗らないといけないのか?
 正直、乗りたくなかったが……。
「そんなに待っていられないから、急いでくれますか!」
 と半分脅され気味に言われる。
 仕方がないので、いつも出かける時に持ち歩く鞄を持って、バスの側面の出入り口から入ろうとしたが、必ずバスに付いているはずの出入り口がない。
 僕が「おかしいな?」とバスのボディを触っていると、
「ああ~。あなたは、こっちから入って」
 と言われたので、バスの運転席側に回ると、大きな生き物が口をあけるように、バスの全面が大きく開いて、そこに車内へ続く数段の階段が現れた。
「さあ。早く乗って」
 人相の悪いヒゲ面中年の運転手は、この出入り口が当たり前のような顔をした。
 僕は乗り込んだ。
 車内の両端にはバスのボディと平行に、長椅子があった。等間隔にバスによくある掴まるための鉄の棒がある。
 だが車内の真ん中にはスナックやバーでよく見る背もたれのないスタンドチェアが並んでいた。
 こんな椅子だと出だしやブレーキをかけたら、椅子から落ちて倒れないだろうかと思った。
「出発します」
 と髭面の中年運転手が言うと、エンジン音がしてバスは走り出したのだが、全く揺れない。
 窓を見ると、景色が後ろに流れていくので、確かに進んではいるはずなのだが、全く揺れなかった。
 どうして揺れないのか不思議に思いながら乗客を見ると、先程乗り込んだ斜め向かいの、亡くなっている車椅子の親子が隅に立っている。
 ──知り合いなので声をかけた方がいいかな? 
 と思ったのだが、その二人は一点を見つめたまま、微動座にせず動かない。まるでポスターの写真を見ているかのようである。そういう人達が数人存在した。
 その動かない人達は、何だかこちらが話しかけられない空気感と、まるで別次元の人達のように感じて、自分は仕方なくバスのボディへ平行に備えつけられた長椅子に座ったが、
「そこはあなたの席じゃないですよ」
 と運転手がバックミラーを見ながら言ってきた。
 確かに僕の横を見ると、杖をついた顔色が真っ白の老人がピクリとも動かず座っているのだ。
「どこに座ればいいですかね?」
 と強面の中年運転手に声をかけると、
「私の横に座ればいいわ」
 と言う声がした。
 そちらを向くと、バスの中央に設置されたスタンドチェアに座っている二十歳前後の女性だった。
「ここに座ればいいわ」
 と自分の右側のスタンドチェアを、ポンポンと叩く。彼女の背後には黒服のガッシリとした男が二人立っている。
 二十歳前後の彼女は目が大きく、若かりし時の吉川ひなのに似ていた。
 ちなみに僕は吉川ひなののファンではない。
「では失礼します」
 と吉川ひなの似の彼女の隣に座ったのだが、正直「えっ!」と反応してしまった。
 スラリと細くて長い足が、超ミニスカートから伸びている。手も細くてしなやかで身体も細い。それなのになぜか胸は結構大きくて、そんな彼女が小声で、
「あのう……。良かったら……。触ってくれませんか?」
 と言ってきた。
 僕は「え?」と言ったまま、驚きの余りに固まってしまう。
「私、実はあなたみたいな男性がタイプなんです。よかったら触ってくれませんか?」
 とまた、言ってくる。
 僕は、
「ははは。からかうのはよしてよ。君みたいに綺麗な女性から、そんなことを言われたら、こちらは動揺してしまうよ」
 と微笑みながら言うと、
「そうやってすぐに触ってこないところも素敵です。ねえ、触って下さい……」
 とまた言ってきた。
 僕は思案した結果。
「なら両足に両手を置いて」
 とお願いすると、細くて綺麗な手を、細いが弾力のありそうな太ももに載せた。
 僕はその細い手に、自分の左手を優しくと載せた。
「これでいいかな?」
 と言うと、
「やっぱり……。優しくて素敵です……」
 と僕の肩に顔を持たれさせて、
「あのう……。もし、よかったら……」
 と彼女は自分の左手を、自分の胸の辺りに持ってくると、襟首のところに人差し指をかけて、軽く引っ張った。
 すると細い身体なのに、アンバランスなくらいに大きな胸の谷間が見えて、
「あなたになら自由にしてくれてもいいです」
 と言われ、僕もさすがに、
「え? 君、初対面なのに大丈夫?」
 と僕の方が不審者でも見るような表情で、彼女の顔を覗き込んだところで、目が覚めました。
 夢診断をネットで調べてみると、美女が出てくる夢と言うのは吉夢だそうです。
 でも今のところ、特に「運が良かったなあ~」
 と思うことはありません。

終わり。

令和5年6月30日。
    
※当サイトの内容、テキスト等の無断転載・無断使用を固く禁じます。
 また、まとめサイト等への引用をする場合は無断ではなく、こちらへお知らせ下さい。許可するかを判断致します。 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

【Vtuberさん向け】1人用フリー台本置き場《ネタ系/5分以内》

小熊井つん
大衆娯楽
Vtuberさん向けフリー台本置き場です ◆使用報告等不要ですのでどなたでもご自由にどうぞ ◆コメントで利用報告していただけた場合は聞きに行きます! ◆クレジット表記は任意です ※クレジット表記しない場合はフリー台本であることを明記してください 【ご利用にあたっての注意事項】  ⭕️OK ・収益化済みのチャンネルまたは配信での使用 ※ファンボックスや有料会員限定配信等『金銭の支払いをしないと視聴できないコンテンツ』での使用は不可 ✖️禁止事項 ・二次配布 ・自作発言 ・大幅なセリフ改変 ・こちらの台本を使用したボイスデータの販売

人工知能でif歴史〜もしもの歴史シミュレーション〜

静風
エッセイ・ノンフィクション
もしもの歴史があった場合、それには独自の魅力があるかもしれません。本書の目的は、そうしたもしもの歴史について、人工知能を使って再現し、その魅力を伝えることです。この文章自体も、人工知能が生成したものです。本書では、手作業を極力避け、人工知能を活用して文章を作成していきます。

【フリー台本】朗読小説

桜来
現代文学
朗読台本としてご使用いただける短編小説等です 一話完結 詰め合わせ的な内容になってます。 動画投稿や配信などで使っていただけると嬉しく思います。 ご報告、リンクなどは任意ですが、作者名表記はお願いいたします。 無断転載 自作発言等は禁止とさせていただきます。 よろしくお願いいたします。

【ショートショート】おやすみ

樹(いつき)@作品使用時は作者名明記必須
恋愛
◆こちらは声劇用台本になりますが普通に読んで頂いても癒される作品になっています。 声劇用だと1分半ほど、黙読だと1分ほどで読みきれる作品です。 ⚠動画・音声投稿サイトにご使用になる場合⚠ ・使用許可は不要ですが、自作発言や転載はもちろん禁止です。著作権は放棄しておりません。必ず作者名の樹(いつき)を記載して下さい。(何度注意しても作者名の記載が無い場合には台本使用を禁止します) ・語尾変更や方言などの多少のアレンジはokですが、大幅なアレンジや台本の世界観をぶち壊すようなアレンジやエフェクトなどはご遠慮願います。 その他の詳細は【作品を使用する際の注意点】をご覧下さい。

リアル男子高校生の日常

しゅんきち
エッセイ・ノンフィクション
2024年高校に入学するしゅんの毎日の高校生活をのぞいてみるやつ。 ほぼ日記です!短いのもあればたまに長いのもだしてます。 2024年7月現在、軽いうつ状態です。 2024年4月8日からスタートします! 2027年3月31日完結予定です! たまに、話の最後に写真を載せます。 挿入写真が400枚までですので、400枚を過ぎると、古い投稿の挿入写真から削除します。[話自体は消えません]

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

処理中です...