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姿を見せない婚約者。
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こんな夢を見た。
「あなたの事をお嬢様はずっと推したいしております。それでお嬢様はあなたとぜひ、婚約したいとのことです」
と言う手紙が来た。
だが白い封筒に入っているのは、便箋に書かれたこの文のみ。
「こんなの誰かの悪戯(いたずら)だろう」
と無視していたら、
「明日の十二時に○○書店でお待ちしています」
と書かれた一文が白い封筒の便箋にあった。
半信半疑で次の日の十二時に○○書店に行く。○○書店は大型店舗でビルそのものが本屋になっている。
一応、その店内を一通り回ってみたが、それらしき女性はいなかった。
それでも一時間は探したが、店内には女性の姿すらない。
「時間の無駄だったな」
と帰宅すると夕方に、
「書店であなたの姿を見られたお嬢様は、とてもあなたの事を気に入られました。明日は△△ビルの屋上で背広姿でお待ち下さい」
という内容の手紙が来た。
「今度は時間すら書いてないのかよ」
と思い無視しようかと思ったが、○○書店と同じ十二時に△△ビルの屋上へ、背広姿で立つことにした。
△△ビル屋上の真ん中で、ぼんやりと待っていると、スマートフォンにメールがきた。
読んでみると、
「お嬢様が乱れた服装では困るので、ズボンを直して欲しい」
と書いてあった。正直、服装は乱れていない。無視して立っていると、
「お嬢様がその乱れた服装を直して欲しいとおっしゃっています」
とまたメールが送られてきた。
何が何だか分からないが、このビルよりも高いところから、自分を観察していることは確実なので、仕方なくベルトを外して、乱れていない服装を正すと、またメールがきた。
「お嬢様はおっしゃっています。あなたはお嬢様に相応しくないそうです」
と書かれていた。
僕は内心ホッとして△△ビルから離れた。
というところで目が冷めた。
終わり。
令和5年6月25日。
※当サイトの内容、テキスト等の無断転載・無断使用を固く禁じます。
また、まとめサイト等への引用をする場合は無断ではなく、こちらへお知らせ下さい。許可するかを判断致します。
「あなたの事をお嬢様はずっと推したいしております。それでお嬢様はあなたとぜひ、婚約したいとのことです」
と言う手紙が来た。
だが白い封筒に入っているのは、便箋に書かれたこの文のみ。
「こんなの誰かの悪戯(いたずら)だろう」
と無視していたら、
「明日の十二時に○○書店でお待ちしています」
と書かれた一文が白い封筒の便箋にあった。
半信半疑で次の日の十二時に○○書店に行く。○○書店は大型店舗でビルそのものが本屋になっている。
一応、その店内を一通り回ってみたが、それらしき女性はいなかった。
それでも一時間は探したが、店内には女性の姿すらない。
「時間の無駄だったな」
と帰宅すると夕方に、
「書店であなたの姿を見られたお嬢様は、とてもあなたの事を気に入られました。明日は△△ビルの屋上で背広姿でお待ち下さい」
という内容の手紙が来た。
「今度は時間すら書いてないのかよ」
と思い無視しようかと思ったが、○○書店と同じ十二時に△△ビルの屋上へ、背広姿で立つことにした。
△△ビル屋上の真ん中で、ぼんやりと待っていると、スマートフォンにメールがきた。
読んでみると、
「お嬢様が乱れた服装では困るので、ズボンを直して欲しい」
と書いてあった。正直、服装は乱れていない。無視して立っていると、
「お嬢様がその乱れた服装を直して欲しいとおっしゃっています」
とまたメールが送られてきた。
何が何だか分からないが、このビルよりも高いところから、自分を観察していることは確実なので、仕方なくベルトを外して、乱れていない服装を正すと、またメールがきた。
「お嬢様はおっしゃっています。あなたはお嬢様に相応しくないそうです」
と書かれていた。
僕は内心ホッとして△△ビルから離れた。
というところで目が冷めた。
終わり。
令和5年6月25日。
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