11 / 20
時々、見てしまうゾンビに襲われる夢。だが自分にはあの能力があった。
しおりを挟む
時々、見てしまうゾンビに襲われる夢。だが自分にはあの能力があった。
こんな夢を見た。
自分と見知らぬ数人が高層ビルの最上階まで追い詰められていた。
下の階では逃げ惑う人々の悲鳴が聞こえ、まさに阿鼻叫喚の様相である。
原因は人を喰う大量のゾンビだった。
大型ショッピングセンターが入っている、ビルに逃げ込んだのはいいが、街に溢れたゾンビ達は、開放されている一階の出入り口から、ビル内に侵入して来ていた。
屋上に逃げた人達もいたが、ここ最上階では下の階から助けを求める悲鳴が聞こえ、屋上からも悲鳴が聞こえ、開閉可能なガラス窓からは、ゾンビに喰われるくらいならと、飛び降りた人達が落ちていく。
階段や止まったエスカレーターから、人の血肉を喰らって口や手が真っ赤に汚れたゾンビが迫ってくる。
僕は決心して、最上階から思い切って飛び降りることにした。
勝算は正直、全くない。
しかし大型のガラス窓は固定されていて、開けることは出来ない。
ゾンビの群れはそこまで迫ってきている。
僕は狭い木製のベンチの下に身体を潜り込ませた。
扉が勢いよく開いて、ゾンビ達が入ってきた。その場に居た人達は逃げ惑い、男性の叫びと女性らの悲鳴が、肉と骨を齧り取る音に混じって聞こえてくる。
僕は上を向いたままベンチ下にいたが、何かが僕の左手を掴んだ。そちらに目をやると、老人のゾンビだった。
どうしたらいいか分からない。声を出したらゾンビ達に見つかり、殺到するだろう。
老人のゾンビは、ベンチの下に自分の頭を入れてきた。僕の腕を喰うつもりなのだ。
僕は咄嗟に特に理由もなく勝算もないのに、腹式呼吸をした。
すると僕の左腕に触れていたゾンビが悲鳴を上げた。何事かとそちらを見てみると、僕の左腕を掴んでいたゾンビの腕が溶け始めて、ドロドロの液体に変わっていた。
どういう理由かさっぱり分からなかったが、老人ゾンビの頭を掴んで、また腹式呼吸をすると、老人ゾンビは悲鳴と共に、頭が溶けて、そのまま液状になっていった。
その叫びを聞きつけた他のゾンビらが、僕が隠れている木製ベンチへ集まろうとしていた。
僕は急いでベンチから飛び出した。
迫ってくるゾンビ達。
走ると腹式呼吸が出来ないので、ゆっくりと歩きながら腹で息を吸い込み、ゆっくりと息を吐いていく。
すると僕に触れたゾンビ達は、一人残らず溶けて言った。ただただ、本能のように迫ってくるゾンビ達を、ひたすら溶かしながら出入り口に歩いて行く。
突然、噛み付いてくるゾンビらは一瞬で頭部が溶けて、僕を掴もうとするゾンビらは腕が溶ける。前方を塞ごうとしたゾンビらは、ぶつかった胸から溶けて崩れる。
出入り口を抜けて、ゆっくり歩いて廊下に向かう。
喰われた死体が点在しているが、何体かは死んでゾンビとなって生き返ろうとしていた。
それを気にしないように、ひたすら腹式呼吸で歩き続ける。
その時に気がついた。
「これって、もしや波紋では!」
と思ったところで、目が覚めました。
終わり。
令和5年6月10日。
※当サイトの内容、テキスト等の無断転載・無断使用を固く禁じます。
また、まとめサイト等への引用をする場合は無断ではなく、こちらへお知らせ下さい。許可するかを判断致します。
こんな夢を見た。
自分と見知らぬ数人が高層ビルの最上階まで追い詰められていた。
下の階では逃げ惑う人々の悲鳴が聞こえ、まさに阿鼻叫喚の様相である。
原因は人を喰う大量のゾンビだった。
大型ショッピングセンターが入っている、ビルに逃げ込んだのはいいが、街に溢れたゾンビ達は、開放されている一階の出入り口から、ビル内に侵入して来ていた。
屋上に逃げた人達もいたが、ここ最上階では下の階から助けを求める悲鳴が聞こえ、屋上からも悲鳴が聞こえ、開閉可能なガラス窓からは、ゾンビに喰われるくらいならと、飛び降りた人達が落ちていく。
階段や止まったエスカレーターから、人の血肉を喰らって口や手が真っ赤に汚れたゾンビが迫ってくる。
僕は決心して、最上階から思い切って飛び降りることにした。
勝算は正直、全くない。
しかし大型のガラス窓は固定されていて、開けることは出来ない。
ゾンビの群れはそこまで迫ってきている。
僕は狭い木製のベンチの下に身体を潜り込ませた。
扉が勢いよく開いて、ゾンビ達が入ってきた。その場に居た人達は逃げ惑い、男性の叫びと女性らの悲鳴が、肉と骨を齧り取る音に混じって聞こえてくる。
僕は上を向いたままベンチ下にいたが、何かが僕の左手を掴んだ。そちらに目をやると、老人のゾンビだった。
どうしたらいいか分からない。声を出したらゾンビ達に見つかり、殺到するだろう。
老人のゾンビは、ベンチの下に自分の頭を入れてきた。僕の腕を喰うつもりなのだ。
僕は咄嗟に特に理由もなく勝算もないのに、腹式呼吸をした。
すると僕の左腕に触れていたゾンビが悲鳴を上げた。何事かとそちらを見てみると、僕の左腕を掴んでいたゾンビの腕が溶け始めて、ドロドロの液体に変わっていた。
どういう理由かさっぱり分からなかったが、老人ゾンビの頭を掴んで、また腹式呼吸をすると、老人ゾンビは悲鳴と共に、頭が溶けて、そのまま液状になっていった。
その叫びを聞きつけた他のゾンビらが、僕が隠れている木製ベンチへ集まろうとしていた。
僕は急いでベンチから飛び出した。
迫ってくるゾンビ達。
走ると腹式呼吸が出来ないので、ゆっくりと歩きながら腹で息を吸い込み、ゆっくりと息を吐いていく。
すると僕に触れたゾンビ達は、一人残らず溶けて言った。ただただ、本能のように迫ってくるゾンビ達を、ひたすら溶かしながら出入り口に歩いて行く。
突然、噛み付いてくるゾンビらは一瞬で頭部が溶けて、僕を掴もうとするゾンビらは腕が溶ける。前方を塞ごうとしたゾンビらは、ぶつかった胸から溶けて崩れる。
出入り口を抜けて、ゆっくり歩いて廊下に向かう。
喰われた死体が点在しているが、何体かは死んでゾンビとなって生き返ろうとしていた。
それを気にしないように、ひたすら腹式呼吸で歩き続ける。
その時に気がついた。
「これって、もしや波紋では!」
と思ったところで、目が覚めました。
終わり。
令和5年6月10日。
※当サイトの内容、テキスト等の無断転載・無断使用を固く禁じます。
また、まとめサイト等への引用をする場合は無断ではなく、こちらへお知らせ下さい。許可するかを判断致します。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【Vtuberさん向け】1人用フリー台本置き場《ネタ系/5分以内》
小熊井つん
大衆娯楽
Vtuberさん向けフリー台本置き場です
◆使用報告等不要ですのでどなたでもご自由にどうぞ
◆コメントで利用報告していただけた場合は聞きに行きます!
◆クレジット表記は任意です
※クレジット表記しない場合はフリー台本であることを明記してください
【ご利用にあたっての注意事項】
⭕️OK
・収益化済みのチャンネルまたは配信での使用
※ファンボックスや有料会員限定配信等『金銭の支払いをしないと視聴できないコンテンツ』での使用は不可
✖️禁止事項
・二次配布
・自作発言
・大幅なセリフ改変
・こちらの台本を使用したボイスデータの販売

うつ病WEBライターの徒然なる日記
ラモン
エッセイ・ノンフィクション
うつ病になったWEBライターの私の、日々感じたことやその日の様子を徒然なるままに書いた日記のようなものです。
今まで短編で書いていましたが、どうせだし日記風に続けて書いてみようと思ってはじめました。
うつ病になった奴がどんなことを考えて生きているのか、興味がある方はちょっと覗いてみてください。
少しでも投稿インセンティブでお金を稼げればいいな、なんてことも考えていたり。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる