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深夜。玄関の磨りガラスの先に男二人が現れ「開けろ! 開けろ! おら〜!」と騒いでいる。
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こんな夢を見た。
時間は真夜中。
磨りガラスの向こうには二人の男の影が見えた。
「おい! 開けろ! 開けろ! おら~!」
と騒いでいる。
「ここにおることは分かっとんねんど! さっさと開けろ! おら~!」
と玄関のガラスを叩く。ガラスが今にも割れそうな勢いである。
「開けないつもりだな!」
と一人の男の影がバットを持っていた。
「こんな戸なんか、これで一撃だからな!」
と笑ったのを聞いて、一緒に居た弟に、
「仕方ない。今から警察に電話しよう。で! これで戦おう!」
と押し入れから木製バットと金属バット数本を出してきた。
弟は木のバットを選ぼうとしたが、
「金属バットを選んだ方がいい。僕も金属バットを選ぶから」
と僕達兄弟は両方、金属バットを選んだ。
警察には『玄関先にバットを持った二人組が「玄関を開けろ!」と騒いでいる』ことを伝えた。
僕らは立ち向かう覚悟をした。
「いいか。玄関を開けたら、手前の男は僕が戦う。お前は後ろの男を頼む」
と小声で言うと、弟は頷いた。
「こら~! 開けろ! 開けんかい!」
と男二人組が言った瞬間だった。
玄関の鍵を開けると同時に飛び出した。
「おい! お前ら! 金、出せ……」
と言い終わらないうちに、僕は木製バットを持った男に、金属バットを打ちつけた。
「こっ! こいつ、何すんねん!」
と騒いでいる。だが怯(ひる)まない!
少しでも休んだら反撃されるかもしれないからだ。
僕は連続で金属バットを一人の男に集中して殴り続けた。
「お前ら、そんなことをしてええと思っているんか! こっちは正当防衛やぞ!」
と言い出した。
見たら弟が殴り続けていた手を止めていた。
「こいつらの言う事なんか無視しろ! 手を止めたら反撃して来るぞ! 正当防衛はこっちなんだ! 殴れ! 息の根が切れるまで殴り続けろ!」
と僕が大声でそう言うと、
「分かった!」
と弟は別の男をもうすでに追い詰めていて、金属バットで殴り続けていた。
弟が殴っている男から悲鳴に似た声が連続で出ていた。
僕が相手をしている男はまだまだ元気だし、自分達が僕らの家を襲おうとした癖に「正当防衛だ!」とか言い出す質の悪い連中だ。
これはもう行くところまで行くしかないと思い、
「ええか! ○○(弟の名前)! 頭を狙え! 警察が来た時には殺しとけ! でないと守っているこっち側が罪にされるぞ!」
すると暴漢である男から悲鳴が上がった。
「頭だ! 頭を叩け! 覚悟を決めろ!」
と言うと、弟の相手はもう動かなくなっていて、頭を思いっきり殴られていた。
僕は無言で、僕の相手を殴り続けていた。相手は何とか木製バットで避けていたが、僕は作戦を変更し、バットを狙わずバットを持つ手を狙って殴った。
すると、
「痛っ!」
と言いながら、暴漢の男がバットを離した。
そこからは、ひたすら思いっきり男を叩き続けた。
男は手で防御していたが、痛くて頭をかかえるようになると、その手も痛くなったのか、下に下ろした。
頭を狙って叩き続けると、段々と動かなくなった。
夢だからだろう。血は一滴も出ずに、顔はもう誰だか分からないくらいに変形していた。
結局、警察は来なかった。
それでももしかして、死んだふりをしているかもしれないと、僕はひたすら殴り続けた。
殴っている途中で、目が覚めた。
起きると、もの凄く後味が悪く、実際にさっきまで男を殴っていた感情と感覚が残っていた。
ちなみに家は磨りガラスの引き戸ではないし、バット一本ありません。
終わり。
令和5年5月24日
※当サイトの内容、テキスト等の無断転載・無断使用を固く禁じます。
また、まとめサイト等への引用をする場合は無断ではなく、こちらへお知らせ下さい。許可するかを判断致します。
時間は真夜中。
磨りガラスの向こうには二人の男の影が見えた。
「おい! 開けろ! 開けろ! おら~!」
と騒いでいる。
「ここにおることは分かっとんねんど! さっさと開けろ! おら~!」
と玄関のガラスを叩く。ガラスが今にも割れそうな勢いである。
「開けないつもりだな!」
と一人の男の影がバットを持っていた。
「こんな戸なんか、これで一撃だからな!」
と笑ったのを聞いて、一緒に居た弟に、
「仕方ない。今から警察に電話しよう。で! これで戦おう!」
と押し入れから木製バットと金属バット数本を出してきた。
弟は木のバットを選ぼうとしたが、
「金属バットを選んだ方がいい。僕も金属バットを選ぶから」
と僕達兄弟は両方、金属バットを選んだ。
警察には『玄関先にバットを持った二人組が「玄関を開けろ!」と騒いでいる』ことを伝えた。
僕らは立ち向かう覚悟をした。
「いいか。玄関を開けたら、手前の男は僕が戦う。お前は後ろの男を頼む」
と小声で言うと、弟は頷いた。
「こら~! 開けろ! 開けんかい!」
と男二人組が言った瞬間だった。
玄関の鍵を開けると同時に飛び出した。
「おい! お前ら! 金、出せ……」
と言い終わらないうちに、僕は木製バットを持った男に、金属バットを打ちつけた。
「こっ! こいつ、何すんねん!」
と騒いでいる。だが怯(ひる)まない!
少しでも休んだら反撃されるかもしれないからだ。
僕は連続で金属バットを一人の男に集中して殴り続けた。
「お前ら、そんなことをしてええと思っているんか! こっちは正当防衛やぞ!」
と言い出した。
見たら弟が殴り続けていた手を止めていた。
「こいつらの言う事なんか無視しろ! 手を止めたら反撃して来るぞ! 正当防衛はこっちなんだ! 殴れ! 息の根が切れるまで殴り続けろ!」
と僕が大声でそう言うと、
「分かった!」
と弟は別の男をもうすでに追い詰めていて、金属バットで殴り続けていた。
弟が殴っている男から悲鳴に似た声が連続で出ていた。
僕が相手をしている男はまだまだ元気だし、自分達が僕らの家を襲おうとした癖に「正当防衛だ!」とか言い出す質の悪い連中だ。
これはもう行くところまで行くしかないと思い、
「ええか! ○○(弟の名前)! 頭を狙え! 警察が来た時には殺しとけ! でないと守っているこっち側が罪にされるぞ!」
すると暴漢である男から悲鳴が上がった。
「頭だ! 頭を叩け! 覚悟を決めろ!」
と言うと、弟の相手はもう動かなくなっていて、頭を思いっきり殴られていた。
僕は無言で、僕の相手を殴り続けていた。相手は何とか木製バットで避けていたが、僕は作戦を変更し、バットを狙わずバットを持つ手を狙って殴った。
すると、
「痛っ!」
と言いながら、暴漢の男がバットを離した。
そこからは、ひたすら思いっきり男を叩き続けた。
男は手で防御していたが、痛くて頭をかかえるようになると、その手も痛くなったのか、下に下ろした。
頭を狙って叩き続けると、段々と動かなくなった。
夢だからだろう。血は一滴も出ずに、顔はもう誰だか分からないくらいに変形していた。
結局、警察は来なかった。
それでももしかして、死んだふりをしているかもしれないと、僕はひたすら殴り続けた。
殴っている途中で、目が覚めた。
起きると、もの凄く後味が悪く、実際にさっきまで男を殴っていた感情と感覚が残っていた。
ちなみに家は磨りガラスの引き戸ではないし、バット一本ありません。
終わり。
令和5年5月24日
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