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【33-2】由紀。竜馬お兄ちゃんと結婚するのは由紀なんだからね!
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【33-2】双子の妹の保護者として、今年から共学になった女子高へ通う兄の話
略して『ふたいも』です。
東岡忠良(あずまおか・ただよし)
【33-2】由紀。竜馬お兄ちゃんと結婚するのは由紀なんだからね!
※この小説へのご意見・ご感想・誤字脱字・等がありましたら、お気軽にコメントして下さい。
お待ちしています。
──【33-2】──
「あ? やあ、薫ちゃんと優子じゃないか。どうしたの?」
と竜馬が笑顔で答える。
竜馬にくっついている女子は、二人のことを睨むように見つめている。
「薫と優子じゃない。もしかして家に持ってくるお菓子でも買いにきたの? なら私はケーキが好きよ。お兄ちゃんはカステラが好きよ」
と和葉は聞かれもしないのに言った。
「分かりました。私はケーキを買います」
と薫。
「わっ、私はカステラを買うわ」
と精一杯の元気を出して優子が答えると、
「ねえ? この二人は誰?」
と女の子は明らかに不機嫌そうに、竜馬の腕に身体を寄せた。
「こちらは瀬川薫さん。でこちらは相生優子さん。友達で同級生なんだ」
としがみつく女の子に紹介すると、
「竜馬お兄ちゃんはこの二人のどちらかと付き合っているの?」
と女の子は訊いた。
「な! そんな!」
と竜馬が驚いて否定する前に和葉が、
「この二人はお兄ちゃんにオッパイを揉んでもらう関係なのよ。俗に言う『オッパイフレンド』よ」
と言い出した。
「は~!」と竜馬と優子と薫。
「そんな訳!」と三人の声が合い、
「ないぞ!」と竜馬。
「ないわよ!」と優子。
「ないです!」と薫。
すると、話を聞いていないのか、
「竜馬お兄ちゃん。私もオッパイフレンドになりたい。私のオッパイも揉んで」
と胸を張ると、
「由紀ちゃん、今のサイズはどれくらい?」
と和葉が「ここぞ」とばかりに訊ねると、
「私、Cカップなの。そりゃ、この二人と和葉お姉ちゃんに比べたら小さいけど、お兄ちゃん、触ってくれる?」
とグイグイ胸を竜馬に押しつけてきた。
「知ってるかしら? 女性のオッパイって好きな男性に揉まれると、大きくなるらしいわよ」
と和葉は完全にからかっている表情で言った。
「そうなの! 和葉お姉ちゃん、教えてくれてありがとう! じゃあ、竜馬お兄ちゃん、どうぞ!」
と胸を張った。
すると、
「こら! 由紀ちゃん。僕は、はしたない女の子は好きじゃないよ」
と怒って見せると、
「だって、この二人、お兄ちゃんのオッパイフレンドなんでしょう? 私も仲間に入れてよう~」
と寂しそうに言った。
「そうよ。仲間に入れてあげなよう~。ちなみに私もお兄ちゃんのオッパイフレンドよ」
と和葉がややこしいことを言った。
「こら、和葉。ウソを言わない」
「えっ……。ウソなの?」
「そうだよ。オッパイフレンドなんて和葉のウソだよ。和葉、由紀ちゃんをからかっちゃダメだからな」
と竜馬は言い、
「由紀ちゃんも女の子として、エッチなことやいけないことは、やったり言ったりしちゃダメだろう」
と由紀を見つめた。
「ごめんなさい……。もうはしたないことは言いません……」
と俯いた。
「いいよ。分かったなら。許しましょう」
と竜馬は由紀の頭を撫でた。
「えへへ~」
と照れながら頭を撫でられる由紀という女の子。
それを見た薫はピンと来たのか、
「三人、仲がいいんですね」
と笑顔になった。
だが優子はまだ分からないようで質問した。
「あのう……。この女の子は誰なの? 中学時代の同級生? それとも一つ下の……。その……別れた恋人……。ううん、知り合い?」
と言うと、
和葉が、
「由紀ちゃんって、お兄ちゃんとどういう関係なの?」
と聞くと、
「私は竜馬お兄ちゃんと結婚するんです!」
と堂々と言い放ち、また竜馬に抱きついた。
「私も結婚するつもりだけど?」
と和葉は半笑いで言う。完全にここにいる皆(みんな)をからかいにきていた。
「和葉、お前なあ~」
竜馬が呆れながら言った時である。
由紀は和葉の方を向いて、
「和葉お姉ちゃん、残念でした~。兄妹ではね、結婚できないんだよ。由紀ね。お母さんに調べてもらったもん」
と言うと、また竜馬に抱きつくと、
「でもね。従兄(いとこ)はね。結婚できるんだよ」
と言い、竜馬の肩に頭を当てて甘えた。
「えっと。いとこさん?」
と訊(たず)ねると、
「僕の父さんの弟の娘さんなんだ。つまり僕から見ても従妹(いとこ)だね」
と強調すると、
「竜馬お兄ちゃん。従兄と従妹はね。結婚できるんだよ」
とまた言いながら、べったりと竜馬にくっついている。
さすがに見かねたのか優子が言った。
「いくら従妹だからって、歳が近くてそのう……。ベタベタするのはどうかと思うんだけど」
と言うと薫は何かに気づいたのか、
「歳、近いんですかね?」
と疑問を含んだ言い方をした。
「この、お姉さん。由紀とどっちが背が高いかな?」
と言うと、
「お姉さん、身長いくつ?」
と由紀。
「私は一六五センチだけど」
と優子。
「私は一六〇よ」
と聞かれてもいないのに、和葉が答える。
「わっ、私が一番小さいです!」
と薫が恥ずかしそうに言った。具体的な身長は言わない。
「へへ~ん。じゃあ、ここにいる女子の中で由紀が一番背が高いんだ~」
「なら何センチなの?」
と聞いた優子の横に立って、由紀は右手を頭の上にして優子と自分の身長を比べるような仕草をして、
「由紀、一六七センチだからね~」
と自慢げに言った。
「で由紀さんは何歳なんですか?」
と薫が訊ねると、
「へへ~ん。いくつに見える~」
と言わないでいると、
「由紀ちゃんは小学五年生だよ」
とあっさり竜馬が言った。
すると、
「ええ~! あなた、小五なの!」
「小学五年生なんですか!」
と優子と薫が驚きの声を上げた。
「へへ~ん。由紀、黙っていたらお姉さんに見えるでしょう。よく高校生や中学生に間違えられるんだ~」
と嬉しそうである。
「だからこれからはアニメ映画を見に行く時は、小学校の学生証を持っていくことにしたんだよね」
と和葉が言うと、急に不機嫌な顔になり、
「そう! 由紀、映画でもらえるミラクルライトがもらえなかったんだよ。それが目当てで行っているのに!」
と頬を膨らませた。
「あ。それ、ついこの前の三月の話しね。あれは面白かったわ」
と和葉は喜んでいる。
「由紀。竜馬お兄ちゃんの受験中は全然遊べなかったから、お母さんに頼んでできるだけ大人っぽくしてもらって行ったら」
「由紀ちゃん、高校生はダメですって言われてね」
と和葉はクスクス笑っている。
「それでどうしたんですか?」
と薫。
「それがね。私がその時、着れるの最後だろうと思って子供っぽい格好で、胸も目立たないようにして行ったらさ。私がもらえたのよ」
と笑いをこらえながら和葉が言った。
「え? 和葉、もらえたの?」
と優子が言うと、
「あ~。分かります……」
と薫。
「ただし、もらったミラクルライトは私の物にしたけど」
と言うと、
ええ~!
と二人から声が上がったが、
「冗談よ」と和葉は言い、
「席に着いたらすぐに由紀ちゃんにあげたわ」
と由紀を見ると、
「あの時は和葉お姉ちゃんが女神様に見えたよ」
と手を合わせた。
「実は私も似たようなことが」
と薫。
「薫ちゃんも何かあったのかい?」
と竜馬。
「私、最近五歳の弟と三歳の妹と映画に行ったら、私も特典のカードをもらっちゃって」
と苦笑すると、
なんとなく分かる~。
と和葉と優子は声が合った。
「で、言われるかもと思っていたんで、学生証を持って行ってたんです。見せたらとても驚かれちゃって」
「それでどうしたんだい」
「ワタシは高校生なのでいらないので、一人でも多くの子供達にあげて下さいって言ったの」
「いい子ね。薫は」
と優子。
「そうね。優子だったら、そのまま貰って、家に帰ってからネットに出品ね」
と和葉。
「そんなこと、する訳ないでしょう!」
と優子が言ったところで、
「さあ、こんなところで喋っている暇はないわ。急いで買い物を済ませて帰らなきゃ」
と言う和葉の言葉に、全員大慌てで必要な物を買った。
スーパーから新屋敷宅までの道すがらも、由紀は竜馬にべったりくっつきながら歩いた。
由紀は手ぶらだが、竜馬は両手に一杯の荷物を持っている。
「由紀ちゃん。小五って聞いたら何とも思わないけど」
と優子は右手に買ったカステラを持っている。
「何も知らない人が見たら、恋人同士にしかみえませんよね」
と薫の押している自転車のカゴにはケーキの入った箱がある。だがケーキは四人分しかない。
「由紀ちゃん、去年の今頃は普通より少し大きいくらいだったんだけどね。一年で一気に背が伸びたのよね。私、抜かれちゃったんだよね」
と和葉もケーキの箱を持っていた。
最初、薫は新屋敷家の分四人と、泊まりにくるみんなのケーキを買おうとしたが、
「薫ちゃんは私達、家族の分でいいわよ。みんなの分は私が買うから」
と言うことになったのである。
ただいま!
お邪魔します。
と玄関でそれぞれが言うと、
「あら、お帰り。あら、いらっしゃい」
と竜馬と和葉の母が、優子と薫を迎えてくれた。
「みんな、遅かったわね。園田くんと橘さんと小夏ちゃんがお待ちかねよ」
と竜馬と和葉の母が教えてくれた。
2023年12月13日
※当サイトの内容、テキスト等の無断転載・無断使用を固く禁じます。
また、まとめサイト等への引用をする場合は無断ではなく、こちらへお知らせ下さい。許可するかを判断致します。
略して『ふたいも』です。
東岡忠良(あずまおか・ただよし)
【33-2】由紀。竜馬お兄ちゃんと結婚するのは由紀なんだからね!
※この小説へのご意見・ご感想・誤字脱字・等がありましたら、お気軽にコメントして下さい。
お待ちしています。
──【33-2】──
「あ? やあ、薫ちゃんと優子じゃないか。どうしたの?」
と竜馬が笑顔で答える。
竜馬にくっついている女子は、二人のことを睨むように見つめている。
「薫と優子じゃない。もしかして家に持ってくるお菓子でも買いにきたの? なら私はケーキが好きよ。お兄ちゃんはカステラが好きよ」
と和葉は聞かれもしないのに言った。
「分かりました。私はケーキを買います」
と薫。
「わっ、私はカステラを買うわ」
と精一杯の元気を出して優子が答えると、
「ねえ? この二人は誰?」
と女の子は明らかに不機嫌そうに、竜馬の腕に身体を寄せた。
「こちらは瀬川薫さん。でこちらは相生優子さん。友達で同級生なんだ」
としがみつく女の子に紹介すると、
「竜馬お兄ちゃんはこの二人のどちらかと付き合っているの?」
と女の子は訊いた。
「な! そんな!」
と竜馬が驚いて否定する前に和葉が、
「この二人はお兄ちゃんにオッパイを揉んでもらう関係なのよ。俗に言う『オッパイフレンド』よ」
と言い出した。
「は~!」と竜馬と優子と薫。
「そんな訳!」と三人の声が合い、
「ないぞ!」と竜馬。
「ないわよ!」と優子。
「ないです!」と薫。
すると、話を聞いていないのか、
「竜馬お兄ちゃん。私もオッパイフレンドになりたい。私のオッパイも揉んで」
と胸を張ると、
「由紀ちゃん、今のサイズはどれくらい?」
と和葉が「ここぞ」とばかりに訊ねると、
「私、Cカップなの。そりゃ、この二人と和葉お姉ちゃんに比べたら小さいけど、お兄ちゃん、触ってくれる?」
とグイグイ胸を竜馬に押しつけてきた。
「知ってるかしら? 女性のオッパイって好きな男性に揉まれると、大きくなるらしいわよ」
と和葉は完全にからかっている表情で言った。
「そうなの! 和葉お姉ちゃん、教えてくれてありがとう! じゃあ、竜馬お兄ちゃん、どうぞ!」
と胸を張った。
すると、
「こら! 由紀ちゃん。僕は、はしたない女の子は好きじゃないよ」
と怒って見せると、
「だって、この二人、お兄ちゃんのオッパイフレンドなんでしょう? 私も仲間に入れてよう~」
と寂しそうに言った。
「そうよ。仲間に入れてあげなよう~。ちなみに私もお兄ちゃんのオッパイフレンドよ」
と和葉がややこしいことを言った。
「こら、和葉。ウソを言わない」
「えっ……。ウソなの?」
「そうだよ。オッパイフレンドなんて和葉のウソだよ。和葉、由紀ちゃんをからかっちゃダメだからな」
と竜馬は言い、
「由紀ちゃんも女の子として、エッチなことやいけないことは、やったり言ったりしちゃダメだろう」
と由紀を見つめた。
「ごめんなさい……。もうはしたないことは言いません……」
と俯いた。
「いいよ。分かったなら。許しましょう」
と竜馬は由紀の頭を撫でた。
「えへへ~」
と照れながら頭を撫でられる由紀という女の子。
それを見た薫はピンと来たのか、
「三人、仲がいいんですね」
と笑顔になった。
だが優子はまだ分からないようで質問した。
「あのう……。この女の子は誰なの? 中学時代の同級生? それとも一つ下の……。その……別れた恋人……。ううん、知り合い?」
と言うと、
和葉が、
「由紀ちゃんって、お兄ちゃんとどういう関係なの?」
と聞くと、
「私は竜馬お兄ちゃんと結婚するんです!」
と堂々と言い放ち、また竜馬に抱きついた。
「私も結婚するつもりだけど?」
と和葉は半笑いで言う。完全にここにいる皆(みんな)をからかいにきていた。
「和葉、お前なあ~」
竜馬が呆れながら言った時である。
由紀は和葉の方を向いて、
「和葉お姉ちゃん、残念でした~。兄妹ではね、結婚できないんだよ。由紀ね。お母さんに調べてもらったもん」
と言うと、また竜馬に抱きつくと、
「でもね。従兄(いとこ)はね。結婚できるんだよ」
と言い、竜馬の肩に頭を当てて甘えた。
「えっと。いとこさん?」
と訊(たず)ねると、
「僕の父さんの弟の娘さんなんだ。つまり僕から見ても従妹(いとこ)だね」
と強調すると、
「竜馬お兄ちゃん。従兄と従妹はね。結婚できるんだよ」
とまた言いながら、べったりと竜馬にくっついている。
さすがに見かねたのか優子が言った。
「いくら従妹だからって、歳が近くてそのう……。ベタベタするのはどうかと思うんだけど」
と言うと薫は何かに気づいたのか、
「歳、近いんですかね?」
と疑問を含んだ言い方をした。
「この、お姉さん。由紀とどっちが背が高いかな?」
と言うと、
「お姉さん、身長いくつ?」
と由紀。
「私は一六五センチだけど」
と優子。
「私は一六〇よ」
と聞かれてもいないのに、和葉が答える。
「わっ、私が一番小さいです!」
と薫が恥ずかしそうに言った。具体的な身長は言わない。
「へへ~ん。じゃあ、ここにいる女子の中で由紀が一番背が高いんだ~」
「なら何センチなの?」
と聞いた優子の横に立って、由紀は右手を頭の上にして優子と自分の身長を比べるような仕草をして、
「由紀、一六七センチだからね~」
と自慢げに言った。
「で由紀さんは何歳なんですか?」
と薫が訊ねると、
「へへ~ん。いくつに見える~」
と言わないでいると、
「由紀ちゃんは小学五年生だよ」
とあっさり竜馬が言った。
すると、
「ええ~! あなた、小五なの!」
「小学五年生なんですか!」
と優子と薫が驚きの声を上げた。
「へへ~ん。由紀、黙っていたらお姉さんに見えるでしょう。よく高校生や中学生に間違えられるんだ~」
と嬉しそうである。
「だからこれからはアニメ映画を見に行く時は、小学校の学生証を持っていくことにしたんだよね」
と和葉が言うと、急に不機嫌な顔になり、
「そう! 由紀、映画でもらえるミラクルライトがもらえなかったんだよ。それが目当てで行っているのに!」
と頬を膨らませた。
「あ。それ、ついこの前の三月の話しね。あれは面白かったわ」
と和葉は喜んでいる。
「由紀。竜馬お兄ちゃんの受験中は全然遊べなかったから、お母さんに頼んでできるだけ大人っぽくしてもらって行ったら」
「由紀ちゃん、高校生はダメですって言われてね」
と和葉はクスクス笑っている。
「それでどうしたんですか?」
と薫。
「それがね。私がその時、着れるの最後だろうと思って子供っぽい格好で、胸も目立たないようにして行ったらさ。私がもらえたのよ」
と笑いをこらえながら和葉が言った。
「え? 和葉、もらえたの?」
と優子が言うと、
「あ~。分かります……」
と薫。
「ただし、もらったミラクルライトは私の物にしたけど」
と言うと、
ええ~!
と二人から声が上がったが、
「冗談よ」と和葉は言い、
「席に着いたらすぐに由紀ちゃんにあげたわ」
と由紀を見ると、
「あの時は和葉お姉ちゃんが女神様に見えたよ」
と手を合わせた。
「実は私も似たようなことが」
と薫。
「薫ちゃんも何かあったのかい?」
と竜馬。
「私、最近五歳の弟と三歳の妹と映画に行ったら、私も特典のカードをもらっちゃって」
と苦笑すると、
なんとなく分かる~。
と和葉と優子は声が合った。
「で、言われるかもと思っていたんで、学生証を持って行ってたんです。見せたらとても驚かれちゃって」
「それでどうしたんだい」
「ワタシは高校生なのでいらないので、一人でも多くの子供達にあげて下さいって言ったの」
「いい子ね。薫は」
と優子。
「そうね。優子だったら、そのまま貰って、家に帰ってからネットに出品ね」
と和葉。
「そんなこと、する訳ないでしょう!」
と優子が言ったところで、
「さあ、こんなところで喋っている暇はないわ。急いで買い物を済ませて帰らなきゃ」
と言う和葉の言葉に、全員大慌てで必要な物を買った。
スーパーから新屋敷宅までの道すがらも、由紀は竜馬にべったりくっつきながら歩いた。
由紀は手ぶらだが、竜馬は両手に一杯の荷物を持っている。
「由紀ちゃん。小五って聞いたら何とも思わないけど」
と優子は右手に買ったカステラを持っている。
「何も知らない人が見たら、恋人同士にしかみえませんよね」
と薫の押している自転車のカゴにはケーキの入った箱がある。だがケーキは四人分しかない。
「由紀ちゃん、去年の今頃は普通より少し大きいくらいだったんだけどね。一年で一気に背が伸びたのよね。私、抜かれちゃったんだよね」
と和葉もケーキの箱を持っていた。
最初、薫は新屋敷家の分四人と、泊まりにくるみんなのケーキを買おうとしたが、
「薫ちゃんは私達、家族の分でいいわよ。みんなの分は私が買うから」
と言うことになったのである。
ただいま!
お邪魔します。
と玄関でそれぞれが言うと、
「あら、お帰り。あら、いらっしゃい」
と竜馬と和葉の母が、優子と薫を迎えてくれた。
「みんな、遅かったわね。園田くんと橘さんと小夏ちゃんがお待ちかねよ」
と竜馬と和葉の母が教えてくれた。
2023年12月13日
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