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【30】生徒会メンバー。和葉のことよりも竜馬に興味津々。そして優子が金持ちだと知る人物現る。
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【30】双子の妹の保護者として、今年から共学になった女子高へ通う兄の話
略して『ふたいも』です。
東岡忠良(あずまおか・ただよし)
【30】生徒会メンバー。和葉のことよりも竜馬に興味津々。そして優子が金持ちだと知る人物現る。
※この小説へのご意見・ご感想・誤字脱字・等がありましたら、お気軽にコメントして下さい。
お待ちしています。
──1──
「ところで新屋敷和葉さん」
「はい」
「君がこの部屋に入る前にだな。話し声が聞こえたのだが、廊下で友人でも待たせているのかい?」
と生徒会長が訊いた。
「はい。兄と友人を待たせています」
と言うと、
「ほお……」
と会長は微笑み、
「君の潔白は証明された。いかがわしかったり、無断撮影さえなければ自由に写していいぞ」
「そうですか」
と言いながら、生徒会長の机の上にあった『CASIO EX-ZS6』を和葉は手に取った。
「ところでだな。新屋敷さん」
と会長は軽く咳払いをして、
「よかったら呼んでくれないか?」
「? お兄ちゃんだけをですか?」
「お兄さんだけじゃなくてもいいぞ」
「全員、呼ぶのですか?」
「全員、呼んでもいいぞ」
「何ですか? その謎のやり取り」
と副会長。
「分かりました。呼びます」
と言うと、和葉はドアを開けて、
「……みんな。私、もうダメかも……」
と暗い言い方をした。
「? 何がダメなんだ?」
と生徒会長は副会長を見つめたが、
「? さあ、私にも分からないわ」
と困り顔である。
すると、
「私達。もしかして新屋敷さんを大いに傷つけてしまったとか?」
と二年生書紀は焦り気味になった。
大きなノックの音がした。すると背の高い男子が先頭で入室してきた。
長身で中肉中背のバランスの取れた体格に整った顔立ちだが、そこには優しさを感じ取れる誠実そうな男子生徒だった。
勢いのある竜馬に隠れるように、優子と薫も入室した。
「すいません! 妹が『もうダメ』とはどういうことですか!」
と慌て気味に言った。
「お兄ちゃん……」
と言いながら、和葉は竜馬に抱きついた。
抱きついてきた和葉を優しく受け止めると、
「生徒会長!」
と竜馬は険しい顔を向けた。
「な! 何かな?」
と困惑気味な声を生徒会長は出した。
「妹は……。和葉は何か処罰されるのですか?」
と真剣な表情で生徒会長に言ったが、
「ううん。全く」
と会長が首を横に振ると、副会長も書紀も会計の橘(たちばな)も首を横に振った。
「え?」
と何がなんだか分からず、固まってしまった竜馬に抱きついていた和葉は、
「ウソでした。お咎めなし」
と竜馬を見上げながら微笑んで舌を出した。
「ちょ! 和葉、お前な!」
と怒ってはいるが「こいつ、いつものごとく仕方がないヤツだ」という空気感が流れている。
「ということで、私のお兄ちゃんはとても妹思いです」
と会長らの方に振り返って笑った。
「うむ。確かにかなりの妹思いだな」
と言いながら、会長は立ち上がり、抱き合う兄妹の側にやってきた。
「それにしても君は背が高いな。何センチあるんだ?」
と会長。
「はい。一八〇センチくらいです」
「ほお。何かスポーツをやっていたのかな?」
「一応、野球をやっていました」
「一応って。お兄ちゃん、小四からだから六年間ガッツリやっていたのに」
と和葉がつけ足す。
「六年間か。それは本格的だな」
と生徒会長は竜馬を見上げる。生徒会長の身長は和葉と同じくらいの一六〇センチ前後である。
「ところでだな。その……。なんだ。君は胸板が厚いな。腕も太いし……」
と会長は竜馬を見つめると、
「少し触ってもいいか?」
と恥ずかしそうに言うと、
「会長。お触りは腕が百円。胸は五百円です」
と和葉。
「おお! そうか! それは安いな」
と生徒会長はどこからか小さなガマ口財布を取り出すと、
「はい。六百円」
と和葉に渡しながら、
「ところで、ここはいくらだ?」
とズボンの上からだが、竜馬の股間に触れようとすると、
「そこは六百円払った方のみ、セット価格で無料です」
と元気よく言った。
「おお! そうか!」
と今にも触れようと、会長は手を伸ばしたが、
「ダメです! ダメです! エッチなのはダメです!」
とさっきまで竜馬の後ろに立っていた相生優子が止めた。
すると、
「心配するな。冗談だ。ところで」
と生徒会長は優子の容姿をまじまじと見つめる。
「な。何ですか?」
と見られている優子は困惑気味である。
そんな優子を二年生書紀の女生徒が、優子の顔を凝視していた。
「君は飛び抜けた美人だな。それにスタイルもいい」
と今度は優子に興味が移った。
「細い身体なのに、大きな胸だな」
と言うと、顔を赤くして優子は思わず胸を庇(かば)うように腕で隠した。
「お尻も適度に大きいな。それにしても細いウエストだ。羨ましいな」
と会長は優子の身体に触れようとしたが、
「ところで彼女の料金はいくらだ?」
となぜか和葉へ訊(たず)ねた。
「優子へのお触りはお尻が百円。胸は五百円です」
と和葉。
「おお! そうか! それは安いな」
と生徒会長は再び小さなガマ口財布を取り出すと、
「はい。六百円」
となぜか和葉にお金を渡した。
「会長さん。優子に触れるのはやめてあげて下さい。和葉。そのお金は会長さんに返しなさい」
と竜馬が言うと、
「まあ、そうね。何で私がお金を受け取るのかも、よく分からなかったわ」
と千二百円を会長に返した。
──2──
お金を受け取った会長は大いに笑い、
「君たちは楽しいな。よし。ではこのお金でここにいるみんなに飲み物でも買ってやろう。橘。メモしてくれ」
と欲しい飲み物を訊いた。
竜馬と優子と薫は遠慮していたが、
「私はサイダーを!」
と和葉はすぐに手を挙げた。
「皆、遠慮するな。少々迷惑もかけたしな」
と会長は言った。
そして竜馬は普通のコーヒーを、優子と薫はオレンジジュースを頼んだ。
「生徒会のみんなはいつものでいいか?」
と言うと、会計の一年生橘がメモを書きながら、
「分かりました。では会長はいつものブラックコーヒー。副会長の大葉先輩もいつものコーラ。書紀の豊棟(とよむね)先輩もいつもの牛乳ですね」
と言った時に、
「とよむね先輩!」
と言いながら、和葉は書紀の胸を見た。
背は一五五センチだが、制服の上からでも分かるほどに、大きな膨らみがある。
それを和葉は凝視しながら、
「それで飲むのは、牛乳ですか?」
と驚いている。
「豊棟(とよむね)は下の名前も凄いぞ。房江(ふさえ)だ」
と会長は継ぎ足した。
「会長! それを言わないで下さい」
と書紀二年生の豊棟房江は顔が真っ赤である。
赤い顔で俯く房江を、優子はしばらく眺めていたが、急に驚いて目を背けてしまった。
その様子に気づいたのは、房江だけだった。
「それにしても大きな胸だわ。豊棟先輩は確かIカップでしたね。でもこちらも負けていません。Iカップなら瀬川薫ちゃんがいます」
と和葉は薫の手を引っ張って、みんなの全面に出した。
「ちょっと和葉さん!」
と慌てる薫。
「ほお~。これはなかなか。希少価値のあるロリ巨乳ではないか!」
と会長は喜んでいる。すると、
「これは良い機会だ。新屋敷さん。よかったら写真を撮ってくれ」
と言うと、
「Iカップ同士。豊棟と瀬川さんは並んでくれ」
と会長が言うと、仕方なさそうに房江は薫の横に立った。
「では写真を撮ってくれ」
と豊棟房江は瀬川薫と並んで、『CASIO EX-ZS6』のフラッシュを浴びた。
「会長さん」
「なんだい。新屋敷さん」
「私、Gカップなんですけど、よかったら同じGカップ同士ということで、一緒に写りませんか?」
という和葉の提案に、
「おお。一目見て私がGカップだと見抜くとは! よし、いいぞ」
と九条美由紀会長は立ち上がり、新屋敷和葉の横に立った。
「友美。悪いが一枚撮ってくれ」
「お安い御用よ」
と大葉友美副会長はカメラを受け取り、美由紀会長と和葉は仲良くダブルピースをして写った。
「ところで君とも写りたいのだが、いいか?」
と会長は竜馬を見つめながら言った。
「え? 僕ですか?」
「まあ、本当のことを言うと、和葉さんをここに呼んだ理由は『イケメンで有名なウワサの一年生』を、しっかりと眺めて見たかったのだよ」
と美由紀会長は竜馬の肩をポンポンと叩いた。
「え。そんな理由からですか……」
と竜馬は引き気味である。
「そんな顔をしないでくれ。なんせ、私と大葉の二人は二年間も男子のいない学校生活を送っていたのだからな」
「正直、珍しいもの見たさなのよ」
と友美副会長は言った。
「なので私と写ってくれ」
と隣りに立つ会長。
「次は私とも撮ってよ」
と友美も竜馬の側に行った。
「この撮影が終わったら、私がみんなの飲み物を買ってくるからな」
と会長が言った時だった。
「飲み物なら私が今から行ってきます」
と手を上げたのは、房江書紀だった。橘一子会計から飲み物リストのメモと、美由紀会長からお金を受け取ると、
「一人じゃ持てないから、悪いけどあなた、付いてきて」
と相生優子の手を引っ張って、生徒会室を出ていった。
──3──
「あのう。私!」
と言いながら、腕を引っ張られて廊下に出た優子と房江は、自動販売機へ向かう廊下を歩いていると、
「相生優子さん」
と豊棟房江は掴んでいた腕を離して振り返った。
「私、何度か優子さんとパーティで会った事があるわよね?」
と微笑んだ。
「えっ……。あっ。はい……」
と俯いている。
「あら、ごめんなさい。別に責めようとか、指摘しようとかいうつもりじゃないのよ」
と房江。
すると優子の耳元で、
「あの一流企業の相生グループのお嬢さんが地味な身なりなのが、少し気になっただけなの。その靴下って無名ブランドの物よね」
と房江は不思議そうに指摘した。
「はい。そうです」
と小声で返事をする。
「相生グループのご令嬢が、そんな身なりでいいの? 何か問題でも……」
と心配そうにしている。
「そのう……。私……」
と言いにくそうにしていると、
「ごめんなさい。無理に言わなくてもいいのよ。さあ、みんなの飲み物を買いに行きましょう」
と明るく房江は言った。
放課後の廊下には生徒はほとんどいなかった。豊棟財閥の房江とは何度か会ってはいるが、房江の方は兄弟が多いのである。
「確か房江さんは五人兄弟でしたっけ?」
「そうね。正確には七人兄弟なの。上は兄が三人。下は妹三人なのよね」
と笑う。
「そう。そうでした。お顔は見たことがあるのですけど、皆様お顔がよく似てらして、時々しかお会いしないので、お名前とお顔が一致しなくて。ごめんなさい……」
と優子。
「そうよね。おまけにうちは従兄弟も来るからね。誰が誰だが分からないわよね」
と房江は明るく笑う。
「でも相生さんの方は歳の離れたカッコいいお兄さんと、私と一つ違いで美人のあなただけだから、私はよく覚えているわ」
と微笑んだ。
「はい。ありがとうございます……」
と暗い表情で俯いた。
自動販売機の前に着くと、房江はメモを見ながら飲み物を買っていきながら、
「あなた……。やっぱり何か悩み事がありそう?」
と房江。
「ええ。まあ……」
と返すと、
「もしかして、新屋敷兄妹のお二人らが問題なの? もしくは小柄なあの子かしら! そんな風には見えないけど」
と言うと、
「いえ! 和葉と竜馬と薫は問題ないんです。むしろとても仲良くしてくれていて嬉しいくらいです!」
と優子が慌てて返すと、房江は、
「はい。これ、持って。そっか。三人はいい友達なんだ」
と飲み物を優子に渡しながら微笑んだ。
「私、実は……」
と中学時代に遅刻してトイレに入ると、親友だと思っていたクラスメイトらが、優子の悪口を垂れ流すように言ったのを聞いて、教室には入れなくなり、進学と卒業に影響しない程度に休んだり、保健室での登校になったことや、中高一貫の学校であったが、猛勉強して中学時代の生徒が入学しないであろう、この如月学園高校を受験した事を話した。
「そうだったのね……」
と房江は暗い表情で言った。
二人は飲み物の缶を抱えながら、
「実は私もこの如月学園を受けた理由は、相生さんと同じなのよ」
「えっ! そうなんですか!」
と優子は驚いた。
「私、私立の神栄(しんえい)大学付属中学校だったんたけど」
と房江が言うと、
「私も神栄大学付属中学です!」
と優子。
「そうだったのね。あそこは正直、学校の設備は最高だし、その分学費も高くて入試レベルもまあまあ高いんだけど。変にプライドが高い生徒や親が多くて、正直うんざりだったわ……」
優子は黙って聞いている。
「陰口なんて日常茶飯事。直接的な嫌がらせはさすがになかったけど、如月高校を受験して合格したことも、担任にお願いして秘密にしてもらって、出席日数が足りた時点で親に頼んで仮病での病欠にしてもらったわ」
と微笑んだ。
「そうだったんですね……」
と優子。
「でもこの学校はクラスメイトも生徒会も楽しくて仕方がないわ。思い切って如月を受けて心底、よかったと思ってる」
と房江が言うと、
「私もです。豊棟先輩」
と優子が返すと、
「ちょっと。その先輩はやめてよ。そうね。豊棟さんとか、房江さんがいいわ。いいでしょう? 優子さん」
と明るく言うと、
「分かりました。では豊棟さんで」
と優子は返した。
「でも、この如月に入学したのに、悩みがあるのでしょう?」
と再び尋ねると、
「いや。そのう……。悩みというか……。私……」
としどろもどろになった。
その様子見て、房江は少し立ち止まり、
「新屋敷竜馬君。凄くカッコよくて、妹思いでとても素敵よね。私、久しぶりに見惚れちゃった」
と言うと、
「とっ! 豊棟さん……」
と優子はあからさまに動揺した。
「フフッ。大丈夫。お友達にはなりたいけど私、年上好みだから恋愛対象としてはパスね」
と微笑むと、
「あなたのその悩み。うまくいくといいわね。応援してる」
とウインクして歩き出した。
優子は耳まで真っ赤になった。
「それとあなたが相生財閥のご令嬢だというのも黙ってるわね」
とも言い、
「優子さんは可愛いわね。ほら、着いたわ」
と房江は大きな胸と自分の腕を使って、飲み物の缶三本を支えながら、器用に生徒会室の扉を開けた。
「さあ。先に入って」
と優子を促してくれて「失礼します」と室内に入ると、
「竜馬君。私ともう一枚撮ってくれ」
と美由紀会長と竜馬が並び、それを和葉が『CASIO EX-ZS6』で写真を撮っていた。
「次は私のスマホで撮ってくれ」
「九条会長。そんなことをしなくても、メールアドレスかSNSのIDを教えて下さい。お兄ちゃんに責任を持って送らせますから」
美由紀会長はパッと顔が明るくなり、
「いいのか? 君らや竜馬君の連絡先を知ることになるのだが」
すると和葉は、
「もちろんです。今日、ここに居る人達全員、連絡先を交換しましょう」
と当たり前だと、言わんばかりに言った。
「おお! それは名案だ!」
と会長はノリノリである。
「さあ。皆さん、飲み物を買ってきたわよ。それと私も一緒に写真に写りたいし、連絡先を交換したいわ」
と房江書紀が訴えると、ブラックコーヒーを受け取った会長は、
「もちろんだとも。さあ、房江君も竜馬君の横で撮ってもらうといい」
と美由紀会長は強引に房江書紀を、竜馬の横に立たせた。
ところが一人だけその輪に入ってこない人物がいた。
「どうした。橘。お前もここの誰かと一緒に撮らんか」
と会長。
「わっ。私は別に……」
と顔を赤らめながら、竜馬を中心としたちょっとした撮影会から目を背けていた。
すると和葉が、
「橘さんとおっしゃるのですね」
「たっ、橘一子です」
と言うと、和葉はあからさまに橘の胸を凝視した。
「なっ! 何ですか?」
と一子が胸を隠す仕草をすると、
「うちの学校って胸の大きな女子生徒が多いと思っていましたけど、こうしてちゃんと平均値は守られているのですね」
と言ったので、一瞬生徒会室の空気が凍りついた。
「悪かったですね~! そうですよ。私はAですよ。ペッタンコのAですよ!」
と和葉を睨んだ。
「新屋敷さん。それは言ってはいけないことよ」
と房江書紀。
「橘ちゃん。あなたまだ、高一じゃない。これからこれから」
と友美副会長。
「そうだそ、橘。君はロリコンを超えたペドフィリア(小児性愛)属性なんだそ。ある意味君は誰よりも希少価値がある!」
と傷口を広げにかかる美由紀会長。
「も~! 新屋敷さんよりも、会長の方が失礼です!」
と怒りで真っ赤になった橘一子は立ち上がる。
「それはすまない。褒めたつもりなんだが……」
「全然、褒めてません!」
と一同を睨みつけた。
「まあ、そんなことよりもAカップはAカップ同士で写真を撮りましょう」
と和葉は一子の側に駆け寄り、手を掴むと竜馬の横に立たせた。
「ちょ、ちょっと。勝手に……」
と言いながら、一子は俯くと顔が見る見る真っ赤に変わった。
「橘さんはAカップ。お兄ちゃんも男だからAカップ。Aカップ同士、並んだ並んだ」
と無理矢理二人を並ばせる。
「はい。橘さん、お兄ちゃん、こっち向いて」
と一枚撮ると、
「お兄ちゃん、橘さんの肩を抱いて、抱き寄せてくれる」
と要求した。
「え! それはダメだろう! ねえ、橘さん」
と竜馬は同意を求めたが、
「……わたしは……。別に……。大丈夫です……」
と小声で言うと、
「はい! お兄ちゃんは躊躇(ちゅうちょ)しない! 早く肩を抱いて! そうそう」
と言いながら、色々な角度から写真を撮った。
顔は赤いが、いつの間にか笑顔になっている橘一子を見た生徒会メンバーは、
「橘さん。ノリノリね」と房江書紀。
「一子ちゃん、もしかして、もしかして?」と友美副会長。
「橘。チョロい」と美由紀会長。
一子を含めた全員の連絡先を交換し終わり、後日画像をそれぞれ送る約束をした。
「ジュース、ご馳走様でした」
と美由紀会長にお礼を言って、生徒会室を出ると、「今、部活が終わった」との三上小夏と園田春樹から連絡があった。
校門で待ち合わせをしていると、小夏と春樹と合流した。
「久しぶりにみんな、揃ったわね」
「ねえ。みんな、カラオケでも行かない?」
と小夏は提案したが、
「暗くなるまでもう、二時間もないんじゃないかな? 今、変態も現れているし、カラオケだと行くだけでも三十分くらいかかるし」
と竜馬。
「確かにそうだわ。カラオケは難しいかも」
と優子。
そんな時だった。
「私に提案があるんだけど?」
と和葉が手を上げた。
全員が一斉に和葉を見た。
「私、今から日が暮れるまで如月公園に居るから、みんなはその様子を見ていて欲しいの」
とよく分からないことを言い出した。
「おいおい。みんなをそんなことに付き合わせるのかい」
と呆れる竜馬。
「本当はお兄ちゃんと春樹君と小夏ちゃんに頼むつもりだったんだけど」
と言うと、
「えっ? 何々、なんの話?」
と小夏。
「僕かい。まあ、ボクが力になれるのなら手伝うよ」
と春樹。
「ちょっときちんと説明しなさいよ」
と優子。
「私の科学的予想では、如月学園高校に近い、如月公園に今日の夕方に、変態が出る確率は八〇パーセントなのよ」
と言った。そして、
「だからみんな、助けて欲しいの」
と言う事だった。
「え~!」
と驚く女性陣。
「本気ですか?」
と薫。
「いくらなんでも、和葉お前な……」
と竜馬が注意しようとすると、
「やろうよ! 見張っていたらいいのね。分かった」
と小夏が意外にも乗る気なのである。
そして、
「私、何人かの女生徒や、小中学生の女の子も被害に遭っているでしょう。私、許せないのよね」
と強い口調で言った。
「私だけでも手伝うわ。どうしたらいいの?」
と和葉の指示を聞こうとする小夏。
全員が和葉の指示に従って、如月公園で変態を待ち受けることになった。
つづく。
登場人物。
新屋敷竜馬(しんやしきりょうま)。
妹の和葉のボディガードを頼まれて、同じ私立如月(きさらぎ)学園高校へ入学した野球少年。
東道町(ひがしみちまち)に住む。
野球は小四から始めて、公立東道中学校でギリギリレギュラーの実力。勉強は普通。運動も普通。妹からは慕われている。
容姿は身長一八〇センチを越えており、整った顔立ちのために女生徒達から人気なのだが、自己肯定感が低くモテない男だと思い込んでいる。
妹和葉は「和葉」。優子は「優子さん」。小夏は「小夏」。春樹は「春樹」。薫は「薫さん」と呼ぶ。
【28】から相生優子のことは「優子」と呼ぶことになる。
新屋敷和葉(しんやしきかずは)。
新屋敷竜馬の双子の妹。二卵性双生児なので顔はあまり似ていない。勉強と運動共に優秀な美少女。身長は竜馬よりも二十センチ低い一六〇センチ。
容姿は顔が可愛く、肉付きの良い体型で可愛い系の女子。
兄のことは大好きでどうしても兄と同じ高校に通いたいという目標を実現した。冗談を言ったり、兄をからかうのが大好き。一見、ぼんやり系に見られがちだが、実際は誰よりも考えを巡らせている。
相生優子(あいおいゆうこ)。
三組では出席番号一番。入学試験第二位で入学した秀才。ちなみに一位は和葉。一六五センチと女子としては高長身で、やたらと竜馬に絡みにいく。
非常に真面目な性格なのだが、身体は細くバストサイズがHカップなので、エロいと思われるのが嫌で、胸が小さく見える下着をつけていた。今は普通の下着を着用していて、スタイルが飛び抜けて良い。
優子は竜馬に一目惚れしているのだが、素直になれないでいる。
西道町にある大豪邸に住み、財閥の娘であることを隠している。
十歳、年の離れた兄がいる。
竜馬のことを「竜馬さん」と呼ぶ。
就寝する時は、薄い緑色のルームウェアを着用している。
【28】から竜馬のことは「竜馬」と呼ぶことになる。
私立神栄大学付属中学校卒業。二年の書紀の豊棟房江の後輩になる。豊棟房江のことは「豊棟さん」と呼ぶ。
瀬川薫(せがわかおる)
身長一四八センチと小柄だが、顔が可愛くて胸のサイズはIカップある。
とても大人しく人見知りだが、中一の時に竜馬と同じ組になってから、竜馬に思いを寄せている。
勉強は十位前後の成績。出席番号順で竜馬の後ろの後ろの席。だが入学試験では意外な事実が発覚する。
和葉は薫の事を『理想のロリ巨乳』と称している。
竜馬のことは「竜馬君」と呼ぶ。
老舗旅館の次女で、特に週末は旅館の手伝いで忙しい。兄弟は長女(二十歳の大学生)・次女の瀬川薫・長男(五歳)・三女(三歳)がいる。
手伝いというのはほとんどの場合、五歳の長男と三歳の三女の面倒を見ていることが多い。
三上小夏(みかみこなつ)。
新屋敷兄妹の家の向かいに住む幼稚園からの幼なじみ。短距離走で県大会二位の実力で如月高校のスポーツ推薦で入学を果たす。スポーツ科の八組。身長一七〇センチで男っぽい雰囲気なので竜馬は気を許している。
森本源三に出会うまでは小夏は竜馬に淡い好意を抱いていた。新屋敷兄妹を「竜ちゃん」「和ちゃん」と呼ぶ。
陸上部で短距離走をしている。
園田春樹(そのだはるき)
一組の男子生徒。身長は一五〇センチと小柄で、どう見ても中学生にしか見えない。
飛び抜けた美少年で本人はもっと身長が伸びて、男らしさに憧れている。そのため初めて竜馬を見た時から友達になりたいと思っていた。
実は春樹と竜馬で如月学園高校の女子ら九割が二人に好意を寄せていることは、全く気づいていない。自分は男らしくないと思っていて、どちらかというと女子らから嫌われていると思い込んでいる。
一人称は「ボク」。
部活は料理部。食材などの関係で不定期に活動している。
九条美由紀(くじょうみゆき)
如月学園高校生徒会会長であり、現在三年生。身長一六〇センチ。胸のサイズは和葉と同じGカップ。キリッとした美人。
生徒会メンバーの呼び名はTPOで使い分けている。
大葉友美(おおばともみ)
生徒会副会長の三年生。身長は一七〇センチもあり、胸のサイズはHカップ。容姿は優子にも負けないほどの美人である。
豊棟房江(とよむねふさえ)
生徒会書紀のニ年生。身長は一五五センチだが、胸のサイズはIカップもある。容姿は長い髪の可愛い系だが、「とよむねふさこ」という名前と合う大きな胸のせいで、コンプレックスを持っている。
財閥の豊棟グループ社長令嬢であり、相生優子が相生グループの令嬢であることを、如月学園高校内の生徒で、唯一知っている人物である。
私立神栄大学付属中学校出身。相生優子の先輩になるが、まるで友達のように優しく接してくれる。相生優子のことは「優子さん」と呼ぶ。
橘一子(たちばないちこ)
一年二組で生徒会会計。入学試験では相生優子と同点数の次席の成績で、奨学金をもらっている。
徒歩で通えるという理由で如月学園高校へ入学した。竜馬や和葉の隣りの学区で、中学校は別である。
胸のサイズはAカップで身長は一五〇センチないのだが、本人は一五〇センチジャストと言い張っている。
令和5年7月29日
※当サイトの内容、テキスト等の無断転載・無断使用を固く禁じます。
また、まとめサイト等への引用をする場合は無断ではなく、こちらへお知らせ下さい。許可するかを判断致します。
略して『ふたいも』です。
東岡忠良(あずまおか・ただよし)
【30】生徒会メンバー。和葉のことよりも竜馬に興味津々。そして優子が金持ちだと知る人物現る。
※この小説へのご意見・ご感想・誤字脱字・等がありましたら、お気軽にコメントして下さい。
お待ちしています。
──1──
「ところで新屋敷和葉さん」
「はい」
「君がこの部屋に入る前にだな。話し声が聞こえたのだが、廊下で友人でも待たせているのかい?」
と生徒会長が訊いた。
「はい。兄と友人を待たせています」
と言うと、
「ほお……」
と会長は微笑み、
「君の潔白は証明された。いかがわしかったり、無断撮影さえなければ自由に写していいぞ」
「そうですか」
と言いながら、生徒会長の机の上にあった『CASIO EX-ZS6』を和葉は手に取った。
「ところでだな。新屋敷さん」
と会長は軽く咳払いをして、
「よかったら呼んでくれないか?」
「? お兄ちゃんだけをですか?」
「お兄さんだけじゃなくてもいいぞ」
「全員、呼ぶのですか?」
「全員、呼んでもいいぞ」
「何ですか? その謎のやり取り」
と副会長。
「分かりました。呼びます」
と言うと、和葉はドアを開けて、
「……みんな。私、もうダメかも……」
と暗い言い方をした。
「? 何がダメなんだ?」
と生徒会長は副会長を見つめたが、
「? さあ、私にも分からないわ」
と困り顔である。
すると、
「私達。もしかして新屋敷さんを大いに傷つけてしまったとか?」
と二年生書紀は焦り気味になった。
大きなノックの音がした。すると背の高い男子が先頭で入室してきた。
長身で中肉中背のバランスの取れた体格に整った顔立ちだが、そこには優しさを感じ取れる誠実そうな男子生徒だった。
勢いのある竜馬に隠れるように、優子と薫も入室した。
「すいません! 妹が『もうダメ』とはどういうことですか!」
と慌て気味に言った。
「お兄ちゃん……」
と言いながら、和葉は竜馬に抱きついた。
抱きついてきた和葉を優しく受け止めると、
「生徒会長!」
と竜馬は険しい顔を向けた。
「な! 何かな?」
と困惑気味な声を生徒会長は出した。
「妹は……。和葉は何か処罰されるのですか?」
と真剣な表情で生徒会長に言ったが、
「ううん。全く」
と会長が首を横に振ると、副会長も書紀も会計の橘(たちばな)も首を横に振った。
「え?」
と何がなんだか分からず、固まってしまった竜馬に抱きついていた和葉は、
「ウソでした。お咎めなし」
と竜馬を見上げながら微笑んで舌を出した。
「ちょ! 和葉、お前な!」
と怒ってはいるが「こいつ、いつものごとく仕方がないヤツだ」という空気感が流れている。
「ということで、私のお兄ちゃんはとても妹思いです」
と会長らの方に振り返って笑った。
「うむ。確かにかなりの妹思いだな」
と言いながら、会長は立ち上がり、抱き合う兄妹の側にやってきた。
「それにしても君は背が高いな。何センチあるんだ?」
と会長。
「はい。一八〇センチくらいです」
「ほお。何かスポーツをやっていたのかな?」
「一応、野球をやっていました」
「一応って。お兄ちゃん、小四からだから六年間ガッツリやっていたのに」
と和葉がつけ足す。
「六年間か。それは本格的だな」
と生徒会長は竜馬を見上げる。生徒会長の身長は和葉と同じくらいの一六〇センチ前後である。
「ところでだな。その……。なんだ。君は胸板が厚いな。腕も太いし……」
と会長は竜馬を見つめると、
「少し触ってもいいか?」
と恥ずかしそうに言うと、
「会長。お触りは腕が百円。胸は五百円です」
と和葉。
「おお! そうか! それは安いな」
と生徒会長はどこからか小さなガマ口財布を取り出すと、
「はい。六百円」
と和葉に渡しながら、
「ところで、ここはいくらだ?」
とズボンの上からだが、竜馬の股間に触れようとすると、
「そこは六百円払った方のみ、セット価格で無料です」
と元気よく言った。
「おお! そうか!」
と今にも触れようと、会長は手を伸ばしたが、
「ダメです! ダメです! エッチなのはダメです!」
とさっきまで竜馬の後ろに立っていた相生優子が止めた。
すると、
「心配するな。冗談だ。ところで」
と生徒会長は優子の容姿をまじまじと見つめる。
「な。何ですか?」
と見られている優子は困惑気味である。
そんな優子を二年生書紀の女生徒が、優子の顔を凝視していた。
「君は飛び抜けた美人だな。それにスタイルもいい」
と今度は優子に興味が移った。
「細い身体なのに、大きな胸だな」
と言うと、顔を赤くして優子は思わず胸を庇(かば)うように腕で隠した。
「お尻も適度に大きいな。それにしても細いウエストだ。羨ましいな」
と会長は優子の身体に触れようとしたが、
「ところで彼女の料金はいくらだ?」
となぜか和葉へ訊(たず)ねた。
「優子へのお触りはお尻が百円。胸は五百円です」
と和葉。
「おお! そうか! それは安いな」
と生徒会長は再び小さなガマ口財布を取り出すと、
「はい。六百円」
となぜか和葉にお金を渡した。
「会長さん。優子に触れるのはやめてあげて下さい。和葉。そのお金は会長さんに返しなさい」
と竜馬が言うと、
「まあ、そうね。何で私がお金を受け取るのかも、よく分からなかったわ」
と千二百円を会長に返した。
──2──
お金を受け取った会長は大いに笑い、
「君たちは楽しいな。よし。ではこのお金でここにいるみんなに飲み物でも買ってやろう。橘。メモしてくれ」
と欲しい飲み物を訊いた。
竜馬と優子と薫は遠慮していたが、
「私はサイダーを!」
と和葉はすぐに手を挙げた。
「皆、遠慮するな。少々迷惑もかけたしな」
と会長は言った。
そして竜馬は普通のコーヒーを、優子と薫はオレンジジュースを頼んだ。
「生徒会のみんなはいつものでいいか?」
と言うと、会計の一年生橘がメモを書きながら、
「分かりました。では会長はいつものブラックコーヒー。副会長の大葉先輩もいつものコーラ。書紀の豊棟(とよむね)先輩もいつもの牛乳ですね」
と言った時に、
「とよむね先輩!」
と言いながら、和葉は書紀の胸を見た。
背は一五五センチだが、制服の上からでも分かるほどに、大きな膨らみがある。
それを和葉は凝視しながら、
「それで飲むのは、牛乳ですか?」
と驚いている。
「豊棟(とよむね)は下の名前も凄いぞ。房江(ふさえ)だ」
と会長は継ぎ足した。
「会長! それを言わないで下さい」
と書紀二年生の豊棟房江は顔が真っ赤である。
赤い顔で俯く房江を、優子はしばらく眺めていたが、急に驚いて目を背けてしまった。
その様子に気づいたのは、房江だけだった。
「それにしても大きな胸だわ。豊棟先輩は確かIカップでしたね。でもこちらも負けていません。Iカップなら瀬川薫ちゃんがいます」
と和葉は薫の手を引っ張って、みんなの全面に出した。
「ちょっと和葉さん!」
と慌てる薫。
「ほお~。これはなかなか。希少価値のあるロリ巨乳ではないか!」
と会長は喜んでいる。すると、
「これは良い機会だ。新屋敷さん。よかったら写真を撮ってくれ」
と言うと、
「Iカップ同士。豊棟と瀬川さんは並んでくれ」
と会長が言うと、仕方なさそうに房江は薫の横に立った。
「では写真を撮ってくれ」
と豊棟房江は瀬川薫と並んで、『CASIO EX-ZS6』のフラッシュを浴びた。
「会長さん」
「なんだい。新屋敷さん」
「私、Gカップなんですけど、よかったら同じGカップ同士ということで、一緒に写りませんか?」
という和葉の提案に、
「おお。一目見て私がGカップだと見抜くとは! よし、いいぞ」
と九条美由紀会長は立ち上がり、新屋敷和葉の横に立った。
「友美。悪いが一枚撮ってくれ」
「お安い御用よ」
と大葉友美副会長はカメラを受け取り、美由紀会長と和葉は仲良くダブルピースをして写った。
「ところで君とも写りたいのだが、いいか?」
と会長は竜馬を見つめながら言った。
「え? 僕ですか?」
「まあ、本当のことを言うと、和葉さんをここに呼んだ理由は『イケメンで有名なウワサの一年生』を、しっかりと眺めて見たかったのだよ」
と美由紀会長は竜馬の肩をポンポンと叩いた。
「え。そんな理由からですか……」
と竜馬は引き気味である。
「そんな顔をしないでくれ。なんせ、私と大葉の二人は二年間も男子のいない学校生活を送っていたのだからな」
「正直、珍しいもの見たさなのよ」
と友美副会長は言った。
「なので私と写ってくれ」
と隣りに立つ会長。
「次は私とも撮ってよ」
と友美も竜馬の側に行った。
「この撮影が終わったら、私がみんなの飲み物を買ってくるからな」
と会長が言った時だった。
「飲み物なら私が今から行ってきます」
と手を上げたのは、房江書紀だった。橘一子会計から飲み物リストのメモと、美由紀会長からお金を受け取ると、
「一人じゃ持てないから、悪いけどあなた、付いてきて」
と相生優子の手を引っ張って、生徒会室を出ていった。
──3──
「あのう。私!」
と言いながら、腕を引っ張られて廊下に出た優子と房江は、自動販売機へ向かう廊下を歩いていると、
「相生優子さん」
と豊棟房江は掴んでいた腕を離して振り返った。
「私、何度か優子さんとパーティで会った事があるわよね?」
と微笑んだ。
「えっ……。あっ。はい……」
と俯いている。
「あら、ごめんなさい。別に責めようとか、指摘しようとかいうつもりじゃないのよ」
と房江。
すると優子の耳元で、
「あの一流企業の相生グループのお嬢さんが地味な身なりなのが、少し気になっただけなの。その靴下って無名ブランドの物よね」
と房江は不思議そうに指摘した。
「はい。そうです」
と小声で返事をする。
「相生グループのご令嬢が、そんな身なりでいいの? 何か問題でも……」
と心配そうにしている。
「そのう……。私……」
と言いにくそうにしていると、
「ごめんなさい。無理に言わなくてもいいのよ。さあ、みんなの飲み物を買いに行きましょう」
と明るく房江は言った。
放課後の廊下には生徒はほとんどいなかった。豊棟財閥の房江とは何度か会ってはいるが、房江の方は兄弟が多いのである。
「確か房江さんは五人兄弟でしたっけ?」
「そうね。正確には七人兄弟なの。上は兄が三人。下は妹三人なのよね」
と笑う。
「そう。そうでした。お顔は見たことがあるのですけど、皆様お顔がよく似てらして、時々しかお会いしないので、お名前とお顔が一致しなくて。ごめんなさい……」
と優子。
「そうよね。おまけにうちは従兄弟も来るからね。誰が誰だが分からないわよね」
と房江は明るく笑う。
「でも相生さんの方は歳の離れたカッコいいお兄さんと、私と一つ違いで美人のあなただけだから、私はよく覚えているわ」
と微笑んだ。
「はい。ありがとうございます……」
と暗い表情で俯いた。
自動販売機の前に着くと、房江はメモを見ながら飲み物を買っていきながら、
「あなた……。やっぱり何か悩み事がありそう?」
と房江。
「ええ。まあ……」
と返すと、
「もしかして、新屋敷兄妹のお二人らが問題なの? もしくは小柄なあの子かしら! そんな風には見えないけど」
と言うと、
「いえ! 和葉と竜馬と薫は問題ないんです。むしろとても仲良くしてくれていて嬉しいくらいです!」
と優子が慌てて返すと、房江は、
「はい。これ、持って。そっか。三人はいい友達なんだ」
と飲み物を優子に渡しながら微笑んだ。
「私、実は……」
と中学時代に遅刻してトイレに入ると、親友だと思っていたクラスメイトらが、優子の悪口を垂れ流すように言ったのを聞いて、教室には入れなくなり、進学と卒業に影響しない程度に休んだり、保健室での登校になったことや、中高一貫の学校であったが、猛勉強して中学時代の生徒が入学しないであろう、この如月学園高校を受験した事を話した。
「そうだったのね……」
と房江は暗い表情で言った。
二人は飲み物の缶を抱えながら、
「実は私もこの如月学園を受けた理由は、相生さんと同じなのよ」
「えっ! そうなんですか!」
と優子は驚いた。
「私、私立の神栄(しんえい)大学付属中学校だったんたけど」
と房江が言うと、
「私も神栄大学付属中学です!」
と優子。
「そうだったのね。あそこは正直、学校の設備は最高だし、その分学費も高くて入試レベルもまあまあ高いんだけど。変にプライドが高い生徒や親が多くて、正直うんざりだったわ……」
優子は黙って聞いている。
「陰口なんて日常茶飯事。直接的な嫌がらせはさすがになかったけど、如月高校を受験して合格したことも、担任にお願いして秘密にしてもらって、出席日数が足りた時点で親に頼んで仮病での病欠にしてもらったわ」
と微笑んだ。
「そうだったんですね……」
と優子。
「でもこの学校はクラスメイトも生徒会も楽しくて仕方がないわ。思い切って如月を受けて心底、よかったと思ってる」
と房江が言うと、
「私もです。豊棟先輩」
と優子が返すと、
「ちょっと。その先輩はやめてよ。そうね。豊棟さんとか、房江さんがいいわ。いいでしょう? 優子さん」
と明るく言うと、
「分かりました。では豊棟さんで」
と優子は返した。
「でも、この如月に入学したのに、悩みがあるのでしょう?」
と再び尋ねると、
「いや。そのう……。悩みというか……。私……」
としどろもどろになった。
その様子見て、房江は少し立ち止まり、
「新屋敷竜馬君。凄くカッコよくて、妹思いでとても素敵よね。私、久しぶりに見惚れちゃった」
と言うと、
「とっ! 豊棟さん……」
と優子はあからさまに動揺した。
「フフッ。大丈夫。お友達にはなりたいけど私、年上好みだから恋愛対象としてはパスね」
と微笑むと、
「あなたのその悩み。うまくいくといいわね。応援してる」
とウインクして歩き出した。
優子は耳まで真っ赤になった。
「それとあなたが相生財閥のご令嬢だというのも黙ってるわね」
とも言い、
「優子さんは可愛いわね。ほら、着いたわ」
と房江は大きな胸と自分の腕を使って、飲み物の缶三本を支えながら、器用に生徒会室の扉を開けた。
「さあ。先に入って」
と優子を促してくれて「失礼します」と室内に入ると、
「竜馬君。私ともう一枚撮ってくれ」
と美由紀会長と竜馬が並び、それを和葉が『CASIO EX-ZS6』で写真を撮っていた。
「次は私のスマホで撮ってくれ」
「九条会長。そんなことをしなくても、メールアドレスかSNSのIDを教えて下さい。お兄ちゃんに責任を持って送らせますから」
美由紀会長はパッと顔が明るくなり、
「いいのか? 君らや竜馬君の連絡先を知ることになるのだが」
すると和葉は、
「もちろんです。今日、ここに居る人達全員、連絡先を交換しましょう」
と当たり前だと、言わんばかりに言った。
「おお! それは名案だ!」
と会長はノリノリである。
「さあ。皆さん、飲み物を買ってきたわよ。それと私も一緒に写真に写りたいし、連絡先を交換したいわ」
と房江書紀が訴えると、ブラックコーヒーを受け取った会長は、
「もちろんだとも。さあ、房江君も竜馬君の横で撮ってもらうといい」
と美由紀会長は強引に房江書紀を、竜馬の横に立たせた。
ところが一人だけその輪に入ってこない人物がいた。
「どうした。橘。お前もここの誰かと一緒に撮らんか」
と会長。
「わっ。私は別に……」
と顔を赤らめながら、竜馬を中心としたちょっとした撮影会から目を背けていた。
すると和葉が、
「橘さんとおっしゃるのですね」
「たっ、橘一子です」
と言うと、和葉はあからさまに橘の胸を凝視した。
「なっ! 何ですか?」
と一子が胸を隠す仕草をすると、
「うちの学校って胸の大きな女子生徒が多いと思っていましたけど、こうしてちゃんと平均値は守られているのですね」
と言ったので、一瞬生徒会室の空気が凍りついた。
「悪かったですね~! そうですよ。私はAですよ。ペッタンコのAですよ!」
と和葉を睨んだ。
「新屋敷さん。それは言ってはいけないことよ」
と房江書紀。
「橘ちゃん。あなたまだ、高一じゃない。これからこれから」
と友美副会長。
「そうだそ、橘。君はロリコンを超えたペドフィリア(小児性愛)属性なんだそ。ある意味君は誰よりも希少価値がある!」
と傷口を広げにかかる美由紀会長。
「も~! 新屋敷さんよりも、会長の方が失礼です!」
と怒りで真っ赤になった橘一子は立ち上がる。
「それはすまない。褒めたつもりなんだが……」
「全然、褒めてません!」
と一同を睨みつけた。
「まあ、そんなことよりもAカップはAカップ同士で写真を撮りましょう」
と和葉は一子の側に駆け寄り、手を掴むと竜馬の横に立たせた。
「ちょ、ちょっと。勝手に……」
と言いながら、一子は俯くと顔が見る見る真っ赤に変わった。
「橘さんはAカップ。お兄ちゃんも男だからAカップ。Aカップ同士、並んだ並んだ」
と無理矢理二人を並ばせる。
「はい。橘さん、お兄ちゃん、こっち向いて」
と一枚撮ると、
「お兄ちゃん、橘さんの肩を抱いて、抱き寄せてくれる」
と要求した。
「え! それはダメだろう! ねえ、橘さん」
と竜馬は同意を求めたが、
「……わたしは……。別に……。大丈夫です……」
と小声で言うと、
「はい! お兄ちゃんは躊躇(ちゅうちょ)しない! 早く肩を抱いて! そうそう」
と言いながら、色々な角度から写真を撮った。
顔は赤いが、いつの間にか笑顔になっている橘一子を見た生徒会メンバーは、
「橘さん。ノリノリね」と房江書紀。
「一子ちゃん、もしかして、もしかして?」と友美副会長。
「橘。チョロい」と美由紀会長。
一子を含めた全員の連絡先を交換し終わり、後日画像をそれぞれ送る約束をした。
「ジュース、ご馳走様でした」
と美由紀会長にお礼を言って、生徒会室を出ると、「今、部活が終わった」との三上小夏と園田春樹から連絡があった。
校門で待ち合わせをしていると、小夏と春樹と合流した。
「久しぶりにみんな、揃ったわね」
「ねえ。みんな、カラオケでも行かない?」
と小夏は提案したが、
「暗くなるまでもう、二時間もないんじゃないかな? 今、変態も現れているし、カラオケだと行くだけでも三十分くらいかかるし」
と竜馬。
「確かにそうだわ。カラオケは難しいかも」
と優子。
そんな時だった。
「私に提案があるんだけど?」
と和葉が手を上げた。
全員が一斉に和葉を見た。
「私、今から日が暮れるまで如月公園に居るから、みんなはその様子を見ていて欲しいの」
とよく分からないことを言い出した。
「おいおい。みんなをそんなことに付き合わせるのかい」
と呆れる竜馬。
「本当はお兄ちゃんと春樹君と小夏ちゃんに頼むつもりだったんだけど」
と言うと、
「えっ? 何々、なんの話?」
と小夏。
「僕かい。まあ、ボクが力になれるのなら手伝うよ」
と春樹。
「ちょっときちんと説明しなさいよ」
と優子。
「私の科学的予想では、如月学園高校に近い、如月公園に今日の夕方に、変態が出る確率は八〇パーセントなのよ」
と言った。そして、
「だからみんな、助けて欲しいの」
と言う事だった。
「え~!」
と驚く女性陣。
「本気ですか?」
と薫。
「いくらなんでも、和葉お前な……」
と竜馬が注意しようとすると、
「やろうよ! 見張っていたらいいのね。分かった」
と小夏が意外にも乗る気なのである。
そして、
「私、何人かの女生徒や、小中学生の女の子も被害に遭っているでしょう。私、許せないのよね」
と強い口調で言った。
「私だけでも手伝うわ。どうしたらいいの?」
と和葉の指示を聞こうとする小夏。
全員が和葉の指示に従って、如月公園で変態を待ち受けることになった。
つづく。
登場人物。
新屋敷竜馬(しんやしきりょうま)。
妹の和葉のボディガードを頼まれて、同じ私立如月(きさらぎ)学園高校へ入学した野球少年。
東道町(ひがしみちまち)に住む。
野球は小四から始めて、公立東道中学校でギリギリレギュラーの実力。勉強は普通。運動も普通。妹からは慕われている。
容姿は身長一八〇センチを越えており、整った顔立ちのために女生徒達から人気なのだが、自己肯定感が低くモテない男だと思い込んでいる。
妹和葉は「和葉」。優子は「優子さん」。小夏は「小夏」。春樹は「春樹」。薫は「薫さん」と呼ぶ。
【28】から相生優子のことは「優子」と呼ぶことになる。
新屋敷和葉(しんやしきかずは)。
新屋敷竜馬の双子の妹。二卵性双生児なので顔はあまり似ていない。勉強と運動共に優秀な美少女。身長は竜馬よりも二十センチ低い一六〇センチ。
容姿は顔が可愛く、肉付きの良い体型で可愛い系の女子。
兄のことは大好きでどうしても兄と同じ高校に通いたいという目標を実現した。冗談を言ったり、兄をからかうのが大好き。一見、ぼんやり系に見られがちだが、実際は誰よりも考えを巡らせている。
相生優子(あいおいゆうこ)。
三組では出席番号一番。入学試験第二位で入学した秀才。ちなみに一位は和葉。一六五センチと女子としては高長身で、やたらと竜馬に絡みにいく。
非常に真面目な性格なのだが、身体は細くバストサイズがHカップなので、エロいと思われるのが嫌で、胸が小さく見える下着をつけていた。今は普通の下着を着用していて、スタイルが飛び抜けて良い。
優子は竜馬に一目惚れしているのだが、素直になれないでいる。
西道町にある大豪邸に住み、財閥の娘であることを隠している。
十歳、年の離れた兄がいる。
竜馬のことを「竜馬さん」と呼ぶ。
就寝する時は、薄い緑色のルームウェアを着用している。
【28】から竜馬のことは「竜馬」と呼ぶことになる。
私立神栄大学付属中学校卒業。二年の書紀の豊棟房江の後輩になる。豊棟房江のことは「豊棟さん」と呼ぶ。
瀬川薫(せがわかおる)
身長一四八センチと小柄だが、顔が可愛くて胸のサイズはIカップある。
とても大人しく人見知りだが、中一の時に竜馬と同じ組になってから、竜馬に思いを寄せている。
勉強は十位前後の成績。出席番号順で竜馬の後ろの後ろの席。だが入学試験では意外な事実が発覚する。
和葉は薫の事を『理想のロリ巨乳』と称している。
竜馬のことは「竜馬君」と呼ぶ。
老舗旅館の次女で、特に週末は旅館の手伝いで忙しい。兄弟は長女(二十歳の大学生)・次女の瀬川薫・長男(五歳)・三女(三歳)がいる。
手伝いというのはほとんどの場合、五歳の長男と三歳の三女の面倒を見ていることが多い。
三上小夏(みかみこなつ)。
新屋敷兄妹の家の向かいに住む幼稚園からの幼なじみ。短距離走で県大会二位の実力で如月高校のスポーツ推薦で入学を果たす。スポーツ科の八組。身長一七〇センチで男っぽい雰囲気なので竜馬は気を許している。
森本源三に出会うまでは小夏は竜馬に淡い好意を抱いていた。新屋敷兄妹を「竜ちゃん」「和ちゃん」と呼ぶ。
陸上部で短距離走をしている。
園田春樹(そのだはるき)
一組の男子生徒。身長は一五〇センチと小柄で、どう見ても中学生にしか見えない。
飛び抜けた美少年で本人はもっと身長が伸びて、男らしさに憧れている。そのため初めて竜馬を見た時から友達になりたいと思っていた。
実は春樹と竜馬で如月学園高校の女子ら九割が二人に好意を寄せていることは、全く気づいていない。自分は男らしくないと思っていて、どちらかというと女子らから嫌われていると思い込んでいる。
一人称は「ボク」。
部活は料理部。食材などの関係で不定期に活動している。
九条美由紀(くじょうみゆき)
如月学園高校生徒会会長であり、現在三年生。身長一六〇センチ。胸のサイズは和葉と同じGカップ。キリッとした美人。
生徒会メンバーの呼び名はTPOで使い分けている。
大葉友美(おおばともみ)
生徒会副会長の三年生。身長は一七〇センチもあり、胸のサイズはHカップ。容姿は優子にも負けないほどの美人である。
豊棟房江(とよむねふさえ)
生徒会書紀のニ年生。身長は一五五センチだが、胸のサイズはIカップもある。容姿は長い髪の可愛い系だが、「とよむねふさこ」という名前と合う大きな胸のせいで、コンプレックスを持っている。
財閥の豊棟グループ社長令嬢であり、相生優子が相生グループの令嬢であることを、如月学園高校内の生徒で、唯一知っている人物である。
私立神栄大学付属中学校出身。相生優子の先輩になるが、まるで友達のように優しく接してくれる。相生優子のことは「優子さん」と呼ぶ。
橘一子(たちばないちこ)
一年二組で生徒会会計。入学試験では相生優子と同点数の次席の成績で、奨学金をもらっている。
徒歩で通えるという理由で如月学園高校へ入学した。竜馬や和葉の隣りの学区で、中学校は別である。
胸のサイズはAカップで身長は一五〇センチないのだが、本人は一五〇センチジャストと言い張っている。
令和5年7月29日
※当サイトの内容、テキスト等の無断転載・無断使用を固く禁じます。
また、まとめサイト等への引用をする場合は無断ではなく、こちらへお知らせ下さい。許可するかを判断致します。
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