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【29】和葉。『CASIO EX-ZS6』を学校に持ち込む。先生方への説得は成功するが、生徒会から呼び出しを食らう。
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【29】双子の妹の保護者として、今年から共学になった女子高へ通う兄の話
略して『ふたいも』です。
東岡忠良(あずまおか・ただよし)
【29】和葉。『CASIO EX-ZS6』を学校に持ち込む。先生方への説得は成功するが、生徒会から呼び出しを食らう。
※この小説へのご意見・ご感想・誤字脱字・等がありましたら、お気軽にコメントして下さい。
お待ちしています。
──1──
月曜日がやってきた。
新屋敷兄妹は登校のために制服に着替えて、朝食を食べて準備を終えたのだが、
「和葉。お前、本当にその格好で登校するつもりか?」
「ええ。おかしい?」
「いや。それ、ダメだろ!」
と竜馬。
和葉は例のデジカメの入ったポシェットを肩から斜め掛けしたまま、登校しようとしていたのである。制服の上からも分かるGカップの大きい胸の谷間に、ポシェットのベルトが食い込んでいる。
「なに? 何がいけないの?」
分かってやっているのか、それとも分かってないのか? 和葉の表情からは全く読み取れないのである。
「その……。なんというか……」
と俯きながら、竜馬は言葉を濁す。
和葉は兄の竜馬を覗き込むようにして、尋常でないくらい顔を近づけた。制服の上からでも分かるくらいに、強調された胸を押し付けてくる。
「おい! ちょっと!」
と後ろに引く竜馬。
フフン!
と鼻を鳴らして、肩から斜めに掛けてあるポシェットのショルダーベルトを引っ張り、
「お兄ちゃん、このベルトの位置が気に入らないんでしょう?」
と竜馬をからかうように言った。
「分かっているなら、他の方法に変えてくれよ」
と返したが、
「相変わらず、お兄ちゃんは分かってないわね」
と肩をすくめて両手を開くジェスチャーをした。
「相手は変態なのよ。これくらい胸を目立たせないと、向こうから寄ってこないでしょう」
と言い返した。
そう言われると、竜馬としては何も言い返せない。
「もう、分かった。好きにしてくれ……」
と竜馬が玄関のノブを掴んだ時に、チャイムが鳴った。
「お早う! 竜ちゃん! 和ちゃん!」
と声がする。
「小夏か。おはよう」
と竜馬が玄関を開けると、
「カシオEXILIM(エクシリム)セット!」
と言いながら、和葉は一秒ほどでカメラを取り出し、電源スイッチを入れて構えた。
三上小夏は突然カメラを向けられたことに、最初は驚いていたがそこは女子高生らしく、舌をチョロッと出してポーズを取った。
「カシオEXILIM(エクシリム)連射!」
と言うと、ハードオフで二千円のデジカメは、
シャコ~ン。シャコ~ン。
と想像とは違う遅めのシャッター音が聞こえた。
「あれ? やけに連射が遅いな?」
と竜馬。
和葉は大きくため息をついて、
「そうなのよ。私、てっきりお父さんの一眼レフみたいに、カシャカシャって感じで高速連射してくれると思っていたから、そこは正直ガッカリだったわ」
と珍しく肩を落としていた。
「どうしたの、そのカメラ? 新しく買ったの? 見た目高そうだけど二万円くらいしたの~?」
と小夏が質問する。
「ううん。二千円で買ったの」
と和葉が言うと、
「え? 二千円?」と不思議な物体でも見るように、小夏は『CASIO EX-ZS6』を見つめた。
「二千円って、うちでテイクアウトの牛丼四人分頼む時よりも安いじゃん。どこで買ったの?」
と小夏が言うと、
「ハードオフのジャンクコーナーで買ったのよ。あ。二千円と言っても消費税が二百円あったから正確には二千二百円だけどね」
と和葉は訂正した。
「でも写りはなかなか良いのよ」
と先程、撮ったばかりの画像を見せた。
「どれ? あ。本当だ。綺麗に写ってる。あれ? 何、この黒い線?」
とデジカメのモニターを指さした。
「あ。これね。なんか液晶画面が液漏れしているみたいで、こういう黒い線がでるのよ」
と説明する。
「それ、故障品じゃん」
「そう、だからジャンク品なの」
「写真に黒い線が出たらヤダな~」
と小夏が頭を掻きながら言うと、
「それは安心して。写した画像をお兄ちゃんのパソコンに取り入れて見たら、画像には黒い線がなくて綺麗だったわ」
「へえ~。それはよかったねえ~」
と小夏が言ったタイミングで、
「二人共、学校、遅刻する」
との竜馬の言葉に、三人は新屋敷兄妹宅を飛び出して走り出した。
デジカメを持ったまま走っていた和葉は、信号で止まると、
「カシオEXILIM(エクシリム)格納!」
と言いながら、ポシェットにカメラを少し戸惑いながら入れた。
走ったお陰で校門に着いた時にはいつもの時間だったのだが、
「おい、君。何だ、そのポシェットは?」
とすぐに生徒指導のマッチョの西園寺先生に捕まった。
すると和葉はポシェットからデジカメを取り出し、
「西園寺先生。このカメラは私の身近な発見を写真に収めたいと思ってしばらく持ち運ぶことにしたんです」
「ほお。だがな、新屋敷和葉くん。校内にカメラを持ち込むのは、基本禁止なのだがね」
と最もな注意を促す。
「西園寺先生!」
「な、なんだ?」
「先生は毎日をどのように過ごしておられるのですか?」
「どのようにだと? そうだな。学校では生徒らと楽しい学校生活を共有したいとは思っているぞ」
と模範的な意見を言った。
「先生。私もそうです。先生方の熱い授業。体育に没頭する生徒達。それを見守るような草花と自然が見せる虹や夕日」
「うむ」
「その瞬間を私は写してみたいと思い、このカメラを自分のお小遣いで購入したのです」
「ほほう。なるほど」
「スマートフォンでの授業中の撮影は禁止されているのは分かっています。だからこそ、校則違反にならないために!」
と素早く『CASIO EX-ZS6』を取り出し、
「このデジカメを買って、今だけの身近な青春の輝きを残したいと思うことは、間違いなのでしょうか?」
と訴えた。
西園寺先生は「う~ん」と唸り、
「そのような高い志(こころざし)を持って、カメラを持ってきたことは、正直私は感動した。今年の生徒指導の責任者は私だが、一応教頭先生や校長先生にも相談しようと思うのたが……」
と言うと、
「分かりました。では今から私、校長室に行ってきます」
と西園寺先生に一礼をして、
「お兄ちゃんと小夏ちゃん。先に教室に行っといて」
と駆け出した。
和葉が素早く上履きに履き替えて、教室とは反対方向にある校長室側へ消えていくのを、竜馬と小夏は見届けると、
「和葉のやつ、必死だな」
と竜馬が呟く。
「青春の輝きを写真に残したいからって、デジカメを持ってくるなんで、和ちゃんも感動させることをするね~」
と何も知らない小夏は純粋に感心している。
「じゃあ、また帰りに」
と小夏と別れた竜馬は一人で、
「和葉の口の上手さは尋常じゃないな。何が『身近な青春の輝きを写す』だよ。あのカメラを買った本当の理由は『変態のおちんちんを写すこと』なんだからな」
と小声で言い、
「呆れてものが言えないな」
と大きなため息をついた。
そして授業が始まる直前に、和葉は帰ってきた。
「むやみやたらに撮っちゃダメだけど、校内で写した写真を校長先生に見せるという条件で、許してもらえたわ」
と満足そうに微笑んだ。
「許してもらえたのか……。凄いな」
と竜馬が言うと、
「まあ、これでも入学試験は首席だしね。新しい試みに挑戦して行きたい、と言ったら校長先生は感動して、教頭先生は泣いていたわ」
と胸を張った。
「和葉。お前、大人になったら、安物の布団を五十万円で売ったりするなよな」
と竜馬は眉をひそめ、
「校長先生も教頭先生も『変態のおちんちんを撮影する』という和葉の真の目的を知ったら、どんな顔をするんだろうな……」
と小声で言うと、
「お兄ちゃん。それはシークレットでお願い」
と立てた右人差し指を、唇につけた。
──2──
そこに「お早う」と入ってきたのは、相生優子である。
和葉は優子を見るなり、
「カシオEXILIM(エクシリム)セット!」
と言いながら、いきなりカメラを向けると、
「カシオEXILIM(エクシリム)連射!」
とシャコ~ン、シャコ~ンと優子を撮影する。
「ちょっと! いきなり何よ!」
と右手で顔を隠すようにして怒る優子。
まあ、普通はこういう反応だろう。
「お早うございます。あれ? デジカメですか?」
と瀬川薫もやってきた。
和葉は今度は薫の方へレンズを向けて、
「カシオEXILIM(エクシリム)被写体変更!」
と言い、
「カシオEXILIM(エクシリム)連射!」
とまたシャコ~ン、シャコ~ンと写真を撮った。薫は突然のことで直立したまま動かなくなった。
「カシオEXILIM(エクシリム)画像確認!」
と『CASIO EX-ZS6』の再生ボタンを押して、撮れた画像を確認する。
「薫ちゃんのは良く撮れているわ。それに比べて優子は手で顔が隠れてしまっているわ」
と被写体である優子が悪いというような言い方をした。
「だっていきなり撮るんですもの。びっくりするのは当たり前じゃない」
と膨(ふく)れっ面になった。
「それにしてもさっきから何なの? そのカシカシ、エクス、なんとかって?」
と優子。
すると、
「カシオEXILIM(エクシリム)セット!」
とまた、優子にカメラを向けた。
「そうよ。それそれ。何なのそれ」
と指摘すると、
「何を言っているの? 古いアニメを見てよ。武器を使う時は、使う武器の名前を言うのは常識なのよ。全く優子は基本が分かってないわね」
とこの人は何も分かっていないと言うニュアンスで話し、ため息をついた。
「ええ~。それって私が悪いの!」
と驚きが隠せない優子。
「カシオEXILIM(エクシリム)連射!」
と和葉は再び、優子にレンズを向けた。
シャコ~ン。シャコ~ン。
という機械音が教室に響く。
「だ~か~ら~! 勝手に撮るな~!」
と優子は怒った顔を、和葉に撮られてしまった。
この日の和葉は、何かを見つける度(たび)に、
「カシオEXILIM(エクシリム)セット!」
と言ってカメラを向けた。それは生徒だけではなく、先生方にも向けられた。
担任の前田千恵先生は、
「教頭先生から話は聞いてます。でもそんなにむやみやたらに、撮影してはいけませんよ」
と和葉よりも小柄ながら、腰に手を当てて威厳を出来るだけ出して注意した。
「分かりました。ではこのクラスの普段の様子は先生が撮って下さいませんか?」
と『CASIO EX-ZS6』を前田先生に渡した。
「え~! 私が撮るのですか?」
と驚いていたが、
「はい。お願いします。あ。先生、容量は心配しないで下さい。『16GBのSDカード』が入っているので大丈夫なんで」
すると、
「あら。そうなの?」
と言うと、前田先生は何度もシャッターを押し始めた。
「前田先生も一緒に撮りましょうよ」
と見た目に凄く気を使っているグループの中心的存在の石森楓から誘われると、
「あら。そう」
と言ってそのグループの女生徒らと並んだ。
「先生。私が撮ります」
と和葉が前田先生からカメラを受け取ると、写真を撮った。
「さっき、先生。『むやみやたらに、撮影してはいけません』って言っていたような……」
と竜馬は前田先生を呆れ気味に眺めていると、
「竜馬君。よかったら私達と一緒に写ってよ」
と普段は余り話さない明るいグループの中心的存在の赤塚聡美が声をかけた。竜馬の周りには赤塚グループが集まってきた。
「ねえ。和葉さん。こっちも撮ってよ」
と赤塚聡美は前田先生を撮影していた和葉に声をかけた。
「分かったわ。先生、少し待って下さい。こっちを先に撮りますんで」
と声をかけて振り返る。
そこには竜馬を真ん中にして十数人の赤塚グループの女の子達が集まってピースをしている。
「カシオEXILIM(エクシリム)シャッターオン!」
と言って、ニ枚ほど撮影すると、
「ねえ。竜馬君。よかったら私と二人だけで写ってくれない?」
と赤塚聡美が頬を赤くして竜馬の横に立った。
「え? あ? ああ。いいよ」
と竜馬も立ち上がる。
赤塚聡美は竜馬を見上げて、
「竜馬君って背が高いのね……」
と言いながら、少し竜馬にもたれかかった。
すると、
「カシオEXILIM(エクシリム)撮影終了! 格納!」
と素早く和葉はポシェットに仕舞い込んでしまった。
「ちょっと! 和葉さん、撮ってよ!」
と赤塚聡美が頬を膨らませると、
「お兄ちゃんへのタッチは禁止されています!」
と赤塚聡美に掌を向けた。
──3──
その週の木曜日までは例の変態は現れることはなかった。というよりも、この週でのちょっとした事件と言えば、和葉が校内で写真を撮りまくっていることだった。
校長と教頭が認めているだけに、教師らからは苦情などは出なかったのだが、肖像権だの、学業に支障が出るなどと、学校へ問題を提出したのは、当然というべき生徒会だった。
金曜日すべての授業が終わると、和葉は生徒会から、
「一年三組の新屋敷和葉さん。放課後、生徒会室に来て下さい。お話したいことがあります」
と呼び出しを食らったのである。
兄の竜馬は和葉を心配して、放課後に残ることにした。三上小夏と園田春樹は部活動があり、遅くなりそうだった。
「僕ら、遅くなるかもしれないので、先に帰っていいよ」
と相生優子と瀬川薫に竜馬は言ったが、
「私達、今日は大丈夫なので」
と優子と薫は、竜馬と和葉と一緒に生徒会室の前までやってきた。
「ありがとう。でも帰っていいのよ。お兄ちゃんを除いて」
と和葉は申し訳なさそうに言う。
「僕は除かれるのか……」
と竜馬。
「大丈夫。今日は遅くなるから、椎名さんのグループの子達には、先に帰ってもらっていいって伝えたから」
と優子。
「私も今日は週末だけど、めずらしく時間があるんです」
と薫は微笑んだ。
「旅館の手伝いはいいのかい?」
と竜馬が心配すると、
「今週末は弟と妹の幼稚園がお泊り会なんです。それでちょうどいいからと、業者に頼んで旅館のお風呂のメンテナンスをやるんです」
「そうなのかい?」
「ええ。つまり私、早く帰ってもやることがないんです」
と薫は嬉しそうに言った。いつも一人で急いで帰っていただけに、こうして放課後に友達らといられるのが楽しいのだろう。
「そうなんだね。分かった。二人共、僕が家の近くまで送っていくよ。心配いらないから」
と竜馬が微笑むと、
「じゃあ」と優子が恥ずかしそうに薫を見ると、「お言葉に甘えて」と薫も優子を見つめながら言った。
「じゃあ、行ってくるわ」
と和葉は生徒会室をノックする。
「どうぞ」
と威厳のある女性の声がした。
「失礼します」
と和葉は部屋へ入った。
ここからは生徒会室に入った和葉の報告になるのだが、肖像権だの、勉学に支障をきたすだの、三年生の生徒会長と二年生の副会長と書紀。そして一年生の会計のメンバーに、責められたのだが、
「これを見て下さい」
と三年生の生徒会長が座っている立派な机の上にカメラを置いて、今日撮影した画像を見せた。
「ふむ。なかなか良く撮れているわね」
と会長は感心していた。
「青春の輝きを写真に残したいというのと、学校での日常を残してみたいというのが目的なんです」
と画像を見せながら言う。
「小学校や中学校の卒業アルバムだと、業者の大人のカメラマンが写すので、どうしても生徒らの表情が固くなるのよね。でもここに写っている生徒らは皆、表情が豊かですね」
と副会長。
「見たところ、おかしな写真は見当たりませんね」
と書紀。
ところが、
「皆さん、何を言っているんですか! 校内にデジカメを持ち込んで、写真を撮りまくる行為なんて、校則違反に決まっています!」
と一人怒りをあらわにする一年生の会計。
「しかし、橘(たちばな)。私も少し調べさせてもらったが、この新屋敷和葉さんは入学試験が首席だったそうじゃないか。ということは勉学への支障はなさそうだけど」
と会長は椅子に座ったまま、腕組みをした。胸が大きいので、腕で胸を支えるような格好になった。
「そうね。私も会長と同意見だわ」
と机に置かれた『CASIO EX-ZS6』のモニター画面を、身体を曲げて覗き込む副会長。副会長の大きな胸が引力に引っ張られて、制服の上から強調される。
「私も悪い試みだとは思えませんね。いや、逆に良く撮れていていいんじゃないですかね」
と書紀の二年生も好感を持ったようだった。そして書紀の彼女が生徒会の中でも、飛び抜けて胸が大きかった。
思わず和葉は、
「書紀の先輩はIカップですか?」
と訊いた。
「あら。よく分かったわね。その通りよ」
と和葉に微笑んだ。
「ちなみに私はGカップ。副会長はHカップだ」
と生徒会長が教えてくれた。
「奇遇ですね。私もGカップなんです」
と和葉が言うと、
「もう! 胸の話はいいです!」
と一年生会計の橘(たちばな)が大きな声を出した。
「橘。そうムキになるな。女の価値は胸の大きさじゃないんだからな」
と会長が言うと、
「そっ! そんなの当たり前です!」
と橘と呼ばれた一年生は叫んでいた。
和葉は小柄で細い会計の橘の胸を凝視してから、
「あなた、Aカップなの?」
と言った。すると橘の顔が見る見る赤くなり、
「なっ! 何よ! Aカップで悪かったわね!」
と怒り出した。
和葉は沈黙しながらも、憐れむような目線を送ってきたことに、橘一子(たちばないちこ)は気づき、
「何よ! 何とか言ったらどうなの?」
と和葉に詰め寄ると、
「なるほど。橘さん。あなたのような存在が平均値を下げているのね」
と言ったために、
「な! ……わっ、私だって好きで平均値を下げているんじゃないわよ!」
と激怒した。
「でもまだ、橘さんって高一でしょう。これから成長するかもしれないから、今の姿を写真に収めましょう」
と言い、
「カシオEXILIM(エクシリム)! セット! 連射!」
と言いながら、橘一子にレンズを向けて、
シャコ~ン。シャコ~ン。
と写真を撮った。
それを見た三年生の会長は、
「こら!」
と勢いよく椅子から立ち上がり、
「私も撮らんか!」
と腕組みポーズをして身体を少し斜めにした。
つづく。
登場人物。※令和5年7月15日修正版。
新屋敷竜馬(しんやしきりょうま)。
妹の和葉のボディガードを頼まれて、同じ私立如月(きさらぎ)学園高校へ入学した野球少年。
東道町(ひがしみちまち)に住む。
野球は小四から始めて、公立東道中学校でギリギリレギュラーの実力。勉強は普通。運動も普通。妹からは慕われている。
妹和葉は「和葉」。優子は「優子さん」。小夏は「小夏」。春樹は「春樹」。薫は「薫さん」と呼ぶ。
【28】から相生優子のことは「優子」と呼ぶことになる。
新屋敷和葉(しんやしきかずは)。
新屋敷竜馬の双子の妹。二卵性双生児なので顔はあまり似ていない。勉強と運動共に優秀な美少女。身長は竜馬よりも二十センチ低い一六〇センチ。
兄のことは大好きでどうしても兄と同じ高校に通いたいという目標を実現した。冗談を言ったり、兄をからかうのが大好き。一見、ぼんやり系に見られがちだが、実際は誰よりも考えを巡らせている。
相生優子(あいおいゆうこ)。
三組では出席番号一番。入学試験第二位で入学した秀才。ちなみに一位は和葉。一六五センチと女子としては高長身で、やたらと竜馬に絡みにいく。
非常に真面目な性格なのだが、身体は細くバストサイズがHカップなので、エロいと思われるのが嫌で、胸が小さく見える下着をつけていた。今は普通の下着を着用している。
優子は竜馬に一目惚れしているのだが、素直になれないでいる。
西道町にある大豪邸に住み、財閥の娘であることを隠している。
十歳、年の離れた兄がいる。
竜馬のことを「竜馬さん」と呼ぶ。
就寝する時は、薄い緑色のルームウェアを着用している。
【28】から竜馬のことは「竜馬」と呼ぶことになる。
三上小夏(みかみこなつ)。
新屋敷兄妹の家の向かいに住む幼稚園からの幼なじみ。短距離走で県大会二位の実力で如月高校のスポーツ推薦で入学を果たす。スポーツ科の八組。身長一七〇センチで男っぽい雰囲気なので竜馬は気を許している。
森本源三に出会うまでは小夏は竜馬に淡い好意を抱いていた。新屋敷兄妹を「竜ちゃん」「和ちゃん」と呼ぶ。
瀬川薫(せがわかおる)
身長一四八センチと小柄だが、顔が可愛くて胸のサイズはIカップある。
とても大人しく人見知りだが、中一の時に竜馬と同じ組になってから、竜馬に思いを寄せている。
勉強は十位前後の成績。出席番号順で竜馬の後ろの後ろの席。だが入学試験では意外な事実が発覚する。
和葉は薫の事を『理想のロリ巨乳』と称している。
竜馬のことは「竜馬君」と呼ぶ。
老舗旅館の次女で、特に週末は旅館の手伝いで忙しい。兄弟は長女(二十歳の大学生)・次女の瀬川薫・長男(五歳)・三女(三歳)がいる。
手伝いというのはほとんどの場合、五歳の長男と三歳の三女の面倒を見ていることが多い。
園田春樹(そのだはるき)
一組の男子生徒。身長は一五〇センチと小柄で、どう見ても中学生にしか見えない。
飛び抜けた美少年で本人はもっと身長が伸びて、男らしさに憧れている。そのため初めて竜馬を見た時から友達になりたいと思っていた。
実は春樹と竜馬で如月学園高校の女子ら九割が二人に好意を寄せていることは、全く気づいていない。どちらかというと女子らから嫌われていると思い込んでいる。
一人称は「ボク」。
部活は料理部。食材などの関係で不定期に活動している。
前田千恵。
竜馬と和葉のいる一年三組の小柄な担任教師。
二十五歳で可憐に見える。幼稚園から大学まで女子校だったこともあり、男性が苦手。
竜馬に対して上手くやろうとし過ぎて、慌てる事が多い。
手塚香織(てづかかおり)。
勉強が得意で、お嬢様ばかりが集まったグループのリーダー的存在。
学年一位の和葉と、学年二位の優子と友人になりたいと思っている。
竜馬には異性として好意を寄せている。
石森楓(いしもりかえで)。
容姿にこだわりを持ち、オシャレやファッションに詳しいグループのリーダー的存在。
容姿端麗の優子と、黙っていると可憐な美少女の和葉と仲良くしたいと思っている。
竜馬には異性として好意を寄せている。
赤塚聡美(あかつかさとみ)。
明るく楽しく学校生活をやって行こうというグループのリーダー的存在。ただし、勉強は苦手な者が多いグループ。
人当たりのよい竜馬を異性として好意を寄せている。
椎名弘美(しいなひろみ)
体育が同じの一組の女子。百メートル走でのタイム計測のグループで竜馬と同じになる。
明るい性格。身長は一五五センチくらい。ロングヘアで、どちらかと言うと美人ではあるが、相生優子と比べたら地味。
バストサイズはCカップ。年上の男兄弟が二人いるため、男を恐れない。
優子が変態に襲われた際に、弘美と真弓とコウの三人で助けた。
春樹と仲が良いが恋愛感情は、今のところない。
竜馬には異性として好意を寄せている。
出川真弓(でがわまゆみ)
体育が同じの一組の女子。百メートル走でのタイム計測のグループで竜馬と同じになる。
眼鏡をかけていてセミロング。男子とは上手く喋れない。男子は好きなのだが、そのせいか男子の前だとより一層緊張する性格。
バストサイズはDカップ。
竜馬には異性として好意を寄せている。
井山コウ(いやまこう)
体育が同じの一組の女子。百メートル走でのタイム計測のグループで竜馬と同じになる。
ギリギリ聞き取れるくらいの声。顔を隠すような長めの前髪のせいで、目がはっきり見えない。
少しぽっちゃり型で色白。暗めの性格なのを気にしている。
バストサイズはEカップ。
竜馬には異性として好意を寄せている。
橘一子(たちばないちこ)
一年生で生徒会会計。入学試験では相生優子と同点数の次席の成績で、奨学金をもらっている。
徒歩で通えるという理由で如月学園高校へ入学した。学区は竜馬や和葉の隣りの学区で、中学校は別である。
胸のサイズはAカップで身長は一五〇センチないのだが、本人は一五〇センチジャストと言い張っている。
令和5年7月15日
※当サイトの内容、テキスト等の無断転載・無断使用を固く禁じます。
また、まとめサイト等への引用をする場合は無断ではなく、こちらへお知らせ下さい。許可するかを判断致します。
略して『ふたいも』です。
東岡忠良(あずまおか・ただよし)
【29】和葉。『CASIO EX-ZS6』を学校に持ち込む。先生方への説得は成功するが、生徒会から呼び出しを食らう。
※この小説へのご意見・ご感想・誤字脱字・等がありましたら、お気軽にコメントして下さい。
お待ちしています。
──1──
月曜日がやってきた。
新屋敷兄妹は登校のために制服に着替えて、朝食を食べて準備を終えたのだが、
「和葉。お前、本当にその格好で登校するつもりか?」
「ええ。おかしい?」
「いや。それ、ダメだろ!」
と竜馬。
和葉は例のデジカメの入ったポシェットを肩から斜め掛けしたまま、登校しようとしていたのである。制服の上からも分かるGカップの大きい胸の谷間に、ポシェットのベルトが食い込んでいる。
「なに? 何がいけないの?」
分かってやっているのか、それとも分かってないのか? 和葉の表情からは全く読み取れないのである。
「その……。なんというか……」
と俯きながら、竜馬は言葉を濁す。
和葉は兄の竜馬を覗き込むようにして、尋常でないくらい顔を近づけた。制服の上からでも分かるくらいに、強調された胸を押し付けてくる。
「おい! ちょっと!」
と後ろに引く竜馬。
フフン!
と鼻を鳴らして、肩から斜めに掛けてあるポシェットのショルダーベルトを引っ張り、
「お兄ちゃん、このベルトの位置が気に入らないんでしょう?」
と竜馬をからかうように言った。
「分かっているなら、他の方法に変えてくれよ」
と返したが、
「相変わらず、お兄ちゃんは分かってないわね」
と肩をすくめて両手を開くジェスチャーをした。
「相手は変態なのよ。これくらい胸を目立たせないと、向こうから寄ってこないでしょう」
と言い返した。
そう言われると、竜馬としては何も言い返せない。
「もう、分かった。好きにしてくれ……」
と竜馬が玄関のノブを掴んだ時に、チャイムが鳴った。
「お早う! 竜ちゃん! 和ちゃん!」
と声がする。
「小夏か。おはよう」
と竜馬が玄関を開けると、
「カシオEXILIM(エクシリム)セット!」
と言いながら、和葉は一秒ほどでカメラを取り出し、電源スイッチを入れて構えた。
三上小夏は突然カメラを向けられたことに、最初は驚いていたがそこは女子高生らしく、舌をチョロッと出してポーズを取った。
「カシオEXILIM(エクシリム)連射!」
と言うと、ハードオフで二千円のデジカメは、
シャコ~ン。シャコ~ン。
と想像とは違う遅めのシャッター音が聞こえた。
「あれ? やけに連射が遅いな?」
と竜馬。
和葉は大きくため息をついて、
「そうなのよ。私、てっきりお父さんの一眼レフみたいに、カシャカシャって感じで高速連射してくれると思っていたから、そこは正直ガッカリだったわ」
と珍しく肩を落としていた。
「どうしたの、そのカメラ? 新しく買ったの? 見た目高そうだけど二万円くらいしたの~?」
と小夏が質問する。
「ううん。二千円で買ったの」
と和葉が言うと、
「え? 二千円?」と不思議な物体でも見るように、小夏は『CASIO EX-ZS6』を見つめた。
「二千円って、うちでテイクアウトの牛丼四人分頼む時よりも安いじゃん。どこで買ったの?」
と小夏が言うと、
「ハードオフのジャンクコーナーで買ったのよ。あ。二千円と言っても消費税が二百円あったから正確には二千二百円だけどね」
と和葉は訂正した。
「でも写りはなかなか良いのよ」
と先程、撮ったばかりの画像を見せた。
「どれ? あ。本当だ。綺麗に写ってる。あれ? 何、この黒い線?」
とデジカメのモニターを指さした。
「あ。これね。なんか液晶画面が液漏れしているみたいで、こういう黒い線がでるのよ」
と説明する。
「それ、故障品じゃん」
「そう、だからジャンク品なの」
「写真に黒い線が出たらヤダな~」
と小夏が頭を掻きながら言うと、
「それは安心して。写した画像をお兄ちゃんのパソコンに取り入れて見たら、画像には黒い線がなくて綺麗だったわ」
「へえ~。それはよかったねえ~」
と小夏が言ったタイミングで、
「二人共、学校、遅刻する」
との竜馬の言葉に、三人は新屋敷兄妹宅を飛び出して走り出した。
デジカメを持ったまま走っていた和葉は、信号で止まると、
「カシオEXILIM(エクシリム)格納!」
と言いながら、ポシェットにカメラを少し戸惑いながら入れた。
走ったお陰で校門に着いた時にはいつもの時間だったのだが、
「おい、君。何だ、そのポシェットは?」
とすぐに生徒指導のマッチョの西園寺先生に捕まった。
すると和葉はポシェットからデジカメを取り出し、
「西園寺先生。このカメラは私の身近な発見を写真に収めたいと思ってしばらく持ち運ぶことにしたんです」
「ほお。だがな、新屋敷和葉くん。校内にカメラを持ち込むのは、基本禁止なのだがね」
と最もな注意を促す。
「西園寺先生!」
「な、なんだ?」
「先生は毎日をどのように過ごしておられるのですか?」
「どのようにだと? そうだな。学校では生徒らと楽しい学校生活を共有したいとは思っているぞ」
と模範的な意見を言った。
「先生。私もそうです。先生方の熱い授業。体育に没頭する生徒達。それを見守るような草花と自然が見せる虹や夕日」
「うむ」
「その瞬間を私は写してみたいと思い、このカメラを自分のお小遣いで購入したのです」
「ほほう。なるほど」
「スマートフォンでの授業中の撮影は禁止されているのは分かっています。だからこそ、校則違反にならないために!」
と素早く『CASIO EX-ZS6』を取り出し、
「このデジカメを買って、今だけの身近な青春の輝きを残したいと思うことは、間違いなのでしょうか?」
と訴えた。
西園寺先生は「う~ん」と唸り、
「そのような高い志(こころざし)を持って、カメラを持ってきたことは、正直私は感動した。今年の生徒指導の責任者は私だが、一応教頭先生や校長先生にも相談しようと思うのたが……」
と言うと、
「分かりました。では今から私、校長室に行ってきます」
と西園寺先生に一礼をして、
「お兄ちゃんと小夏ちゃん。先に教室に行っといて」
と駆け出した。
和葉が素早く上履きに履き替えて、教室とは反対方向にある校長室側へ消えていくのを、竜馬と小夏は見届けると、
「和葉のやつ、必死だな」
と竜馬が呟く。
「青春の輝きを写真に残したいからって、デジカメを持ってくるなんで、和ちゃんも感動させることをするね~」
と何も知らない小夏は純粋に感心している。
「じゃあ、また帰りに」
と小夏と別れた竜馬は一人で、
「和葉の口の上手さは尋常じゃないな。何が『身近な青春の輝きを写す』だよ。あのカメラを買った本当の理由は『変態のおちんちんを写すこと』なんだからな」
と小声で言い、
「呆れてものが言えないな」
と大きなため息をついた。
そして授業が始まる直前に、和葉は帰ってきた。
「むやみやたらに撮っちゃダメだけど、校内で写した写真を校長先生に見せるという条件で、許してもらえたわ」
と満足そうに微笑んだ。
「許してもらえたのか……。凄いな」
と竜馬が言うと、
「まあ、これでも入学試験は首席だしね。新しい試みに挑戦して行きたい、と言ったら校長先生は感動して、教頭先生は泣いていたわ」
と胸を張った。
「和葉。お前、大人になったら、安物の布団を五十万円で売ったりするなよな」
と竜馬は眉をひそめ、
「校長先生も教頭先生も『変態のおちんちんを撮影する』という和葉の真の目的を知ったら、どんな顔をするんだろうな……」
と小声で言うと、
「お兄ちゃん。それはシークレットでお願い」
と立てた右人差し指を、唇につけた。
──2──
そこに「お早う」と入ってきたのは、相生優子である。
和葉は優子を見るなり、
「カシオEXILIM(エクシリム)セット!」
と言いながら、いきなりカメラを向けると、
「カシオEXILIM(エクシリム)連射!」
とシャコ~ン、シャコ~ンと優子を撮影する。
「ちょっと! いきなり何よ!」
と右手で顔を隠すようにして怒る優子。
まあ、普通はこういう反応だろう。
「お早うございます。あれ? デジカメですか?」
と瀬川薫もやってきた。
和葉は今度は薫の方へレンズを向けて、
「カシオEXILIM(エクシリム)被写体変更!」
と言い、
「カシオEXILIM(エクシリム)連射!」
とまたシャコ~ン、シャコ~ンと写真を撮った。薫は突然のことで直立したまま動かなくなった。
「カシオEXILIM(エクシリム)画像確認!」
と『CASIO EX-ZS6』の再生ボタンを押して、撮れた画像を確認する。
「薫ちゃんのは良く撮れているわ。それに比べて優子は手で顔が隠れてしまっているわ」
と被写体である優子が悪いというような言い方をした。
「だっていきなり撮るんですもの。びっくりするのは当たり前じゃない」
と膨(ふく)れっ面になった。
「それにしてもさっきから何なの? そのカシカシ、エクス、なんとかって?」
と優子。
すると、
「カシオEXILIM(エクシリム)セット!」
とまた、優子にカメラを向けた。
「そうよ。それそれ。何なのそれ」
と指摘すると、
「何を言っているの? 古いアニメを見てよ。武器を使う時は、使う武器の名前を言うのは常識なのよ。全く優子は基本が分かってないわね」
とこの人は何も分かっていないと言うニュアンスで話し、ため息をついた。
「ええ~。それって私が悪いの!」
と驚きが隠せない優子。
「カシオEXILIM(エクシリム)連射!」
と和葉は再び、優子にレンズを向けた。
シャコ~ン。シャコ~ン。
という機械音が教室に響く。
「だ~か~ら~! 勝手に撮るな~!」
と優子は怒った顔を、和葉に撮られてしまった。
この日の和葉は、何かを見つける度(たび)に、
「カシオEXILIM(エクシリム)セット!」
と言ってカメラを向けた。それは生徒だけではなく、先生方にも向けられた。
担任の前田千恵先生は、
「教頭先生から話は聞いてます。でもそんなにむやみやたらに、撮影してはいけませんよ」
と和葉よりも小柄ながら、腰に手を当てて威厳を出来るだけ出して注意した。
「分かりました。ではこのクラスの普段の様子は先生が撮って下さいませんか?」
と『CASIO EX-ZS6』を前田先生に渡した。
「え~! 私が撮るのですか?」
と驚いていたが、
「はい。お願いします。あ。先生、容量は心配しないで下さい。『16GBのSDカード』が入っているので大丈夫なんで」
すると、
「あら。そうなの?」
と言うと、前田先生は何度もシャッターを押し始めた。
「前田先生も一緒に撮りましょうよ」
と見た目に凄く気を使っているグループの中心的存在の石森楓から誘われると、
「あら。そう」
と言ってそのグループの女生徒らと並んだ。
「先生。私が撮ります」
と和葉が前田先生からカメラを受け取ると、写真を撮った。
「さっき、先生。『むやみやたらに、撮影してはいけません』って言っていたような……」
と竜馬は前田先生を呆れ気味に眺めていると、
「竜馬君。よかったら私達と一緒に写ってよ」
と普段は余り話さない明るいグループの中心的存在の赤塚聡美が声をかけた。竜馬の周りには赤塚グループが集まってきた。
「ねえ。和葉さん。こっちも撮ってよ」
と赤塚聡美は前田先生を撮影していた和葉に声をかけた。
「分かったわ。先生、少し待って下さい。こっちを先に撮りますんで」
と声をかけて振り返る。
そこには竜馬を真ん中にして十数人の赤塚グループの女の子達が集まってピースをしている。
「カシオEXILIM(エクシリム)シャッターオン!」
と言って、ニ枚ほど撮影すると、
「ねえ。竜馬君。よかったら私と二人だけで写ってくれない?」
と赤塚聡美が頬を赤くして竜馬の横に立った。
「え? あ? ああ。いいよ」
と竜馬も立ち上がる。
赤塚聡美は竜馬を見上げて、
「竜馬君って背が高いのね……」
と言いながら、少し竜馬にもたれかかった。
すると、
「カシオEXILIM(エクシリム)撮影終了! 格納!」
と素早く和葉はポシェットに仕舞い込んでしまった。
「ちょっと! 和葉さん、撮ってよ!」
と赤塚聡美が頬を膨らませると、
「お兄ちゃんへのタッチは禁止されています!」
と赤塚聡美に掌を向けた。
──3──
その週の木曜日までは例の変態は現れることはなかった。というよりも、この週でのちょっとした事件と言えば、和葉が校内で写真を撮りまくっていることだった。
校長と教頭が認めているだけに、教師らからは苦情などは出なかったのだが、肖像権だの、学業に支障が出るなどと、学校へ問題を提出したのは、当然というべき生徒会だった。
金曜日すべての授業が終わると、和葉は生徒会から、
「一年三組の新屋敷和葉さん。放課後、生徒会室に来て下さい。お話したいことがあります」
と呼び出しを食らったのである。
兄の竜馬は和葉を心配して、放課後に残ることにした。三上小夏と園田春樹は部活動があり、遅くなりそうだった。
「僕ら、遅くなるかもしれないので、先に帰っていいよ」
と相生優子と瀬川薫に竜馬は言ったが、
「私達、今日は大丈夫なので」
と優子と薫は、竜馬と和葉と一緒に生徒会室の前までやってきた。
「ありがとう。でも帰っていいのよ。お兄ちゃんを除いて」
と和葉は申し訳なさそうに言う。
「僕は除かれるのか……」
と竜馬。
「大丈夫。今日は遅くなるから、椎名さんのグループの子達には、先に帰ってもらっていいって伝えたから」
と優子。
「私も今日は週末だけど、めずらしく時間があるんです」
と薫は微笑んだ。
「旅館の手伝いはいいのかい?」
と竜馬が心配すると、
「今週末は弟と妹の幼稚園がお泊り会なんです。それでちょうどいいからと、業者に頼んで旅館のお風呂のメンテナンスをやるんです」
「そうなのかい?」
「ええ。つまり私、早く帰ってもやることがないんです」
と薫は嬉しそうに言った。いつも一人で急いで帰っていただけに、こうして放課後に友達らといられるのが楽しいのだろう。
「そうなんだね。分かった。二人共、僕が家の近くまで送っていくよ。心配いらないから」
と竜馬が微笑むと、
「じゃあ」と優子が恥ずかしそうに薫を見ると、「お言葉に甘えて」と薫も優子を見つめながら言った。
「じゃあ、行ってくるわ」
と和葉は生徒会室をノックする。
「どうぞ」
と威厳のある女性の声がした。
「失礼します」
と和葉は部屋へ入った。
ここからは生徒会室に入った和葉の報告になるのだが、肖像権だの、勉学に支障をきたすだの、三年生の生徒会長と二年生の副会長と書紀。そして一年生の会計のメンバーに、責められたのだが、
「これを見て下さい」
と三年生の生徒会長が座っている立派な机の上にカメラを置いて、今日撮影した画像を見せた。
「ふむ。なかなか良く撮れているわね」
と会長は感心していた。
「青春の輝きを写真に残したいというのと、学校での日常を残してみたいというのが目的なんです」
と画像を見せながら言う。
「小学校や中学校の卒業アルバムだと、業者の大人のカメラマンが写すので、どうしても生徒らの表情が固くなるのよね。でもここに写っている生徒らは皆、表情が豊かですね」
と副会長。
「見たところ、おかしな写真は見当たりませんね」
と書紀。
ところが、
「皆さん、何を言っているんですか! 校内にデジカメを持ち込んで、写真を撮りまくる行為なんて、校則違反に決まっています!」
と一人怒りをあらわにする一年生の会計。
「しかし、橘(たちばな)。私も少し調べさせてもらったが、この新屋敷和葉さんは入学試験が首席だったそうじゃないか。ということは勉学への支障はなさそうだけど」
と会長は椅子に座ったまま、腕組みをした。胸が大きいので、腕で胸を支えるような格好になった。
「そうね。私も会長と同意見だわ」
と机に置かれた『CASIO EX-ZS6』のモニター画面を、身体を曲げて覗き込む副会長。副会長の大きな胸が引力に引っ張られて、制服の上から強調される。
「私も悪い試みだとは思えませんね。いや、逆に良く撮れていていいんじゃないですかね」
と書紀の二年生も好感を持ったようだった。そして書紀の彼女が生徒会の中でも、飛び抜けて胸が大きかった。
思わず和葉は、
「書紀の先輩はIカップですか?」
と訊いた。
「あら。よく分かったわね。その通りよ」
と和葉に微笑んだ。
「ちなみに私はGカップ。副会長はHカップだ」
と生徒会長が教えてくれた。
「奇遇ですね。私もGカップなんです」
と和葉が言うと、
「もう! 胸の話はいいです!」
と一年生会計の橘(たちばな)が大きな声を出した。
「橘。そうムキになるな。女の価値は胸の大きさじゃないんだからな」
と会長が言うと、
「そっ! そんなの当たり前です!」
と橘と呼ばれた一年生は叫んでいた。
和葉は小柄で細い会計の橘の胸を凝視してから、
「あなた、Aカップなの?」
と言った。すると橘の顔が見る見る赤くなり、
「なっ! 何よ! Aカップで悪かったわね!」
と怒り出した。
和葉は沈黙しながらも、憐れむような目線を送ってきたことに、橘一子(たちばないちこ)は気づき、
「何よ! 何とか言ったらどうなの?」
と和葉に詰め寄ると、
「なるほど。橘さん。あなたのような存在が平均値を下げているのね」
と言ったために、
「な! ……わっ、私だって好きで平均値を下げているんじゃないわよ!」
と激怒した。
「でもまだ、橘さんって高一でしょう。これから成長するかもしれないから、今の姿を写真に収めましょう」
と言い、
「カシオEXILIM(エクシリム)! セット! 連射!」
と言いながら、橘一子にレンズを向けて、
シャコ~ン。シャコ~ン。
と写真を撮った。
それを見た三年生の会長は、
「こら!」
と勢いよく椅子から立ち上がり、
「私も撮らんか!」
と腕組みポーズをして身体を少し斜めにした。
つづく。
登場人物。※令和5年7月15日修正版。
新屋敷竜馬(しんやしきりょうま)。
妹の和葉のボディガードを頼まれて、同じ私立如月(きさらぎ)学園高校へ入学した野球少年。
東道町(ひがしみちまち)に住む。
野球は小四から始めて、公立東道中学校でギリギリレギュラーの実力。勉強は普通。運動も普通。妹からは慕われている。
妹和葉は「和葉」。優子は「優子さん」。小夏は「小夏」。春樹は「春樹」。薫は「薫さん」と呼ぶ。
【28】から相生優子のことは「優子」と呼ぶことになる。
新屋敷和葉(しんやしきかずは)。
新屋敷竜馬の双子の妹。二卵性双生児なので顔はあまり似ていない。勉強と運動共に優秀な美少女。身長は竜馬よりも二十センチ低い一六〇センチ。
兄のことは大好きでどうしても兄と同じ高校に通いたいという目標を実現した。冗談を言ったり、兄をからかうのが大好き。一見、ぼんやり系に見られがちだが、実際は誰よりも考えを巡らせている。
相生優子(あいおいゆうこ)。
三組では出席番号一番。入学試験第二位で入学した秀才。ちなみに一位は和葉。一六五センチと女子としては高長身で、やたらと竜馬に絡みにいく。
非常に真面目な性格なのだが、身体は細くバストサイズがHカップなので、エロいと思われるのが嫌で、胸が小さく見える下着をつけていた。今は普通の下着を着用している。
優子は竜馬に一目惚れしているのだが、素直になれないでいる。
西道町にある大豪邸に住み、財閥の娘であることを隠している。
十歳、年の離れた兄がいる。
竜馬のことを「竜馬さん」と呼ぶ。
就寝する時は、薄い緑色のルームウェアを着用している。
【28】から竜馬のことは「竜馬」と呼ぶことになる。
三上小夏(みかみこなつ)。
新屋敷兄妹の家の向かいに住む幼稚園からの幼なじみ。短距離走で県大会二位の実力で如月高校のスポーツ推薦で入学を果たす。スポーツ科の八組。身長一七〇センチで男っぽい雰囲気なので竜馬は気を許している。
森本源三に出会うまでは小夏は竜馬に淡い好意を抱いていた。新屋敷兄妹を「竜ちゃん」「和ちゃん」と呼ぶ。
瀬川薫(せがわかおる)
身長一四八センチと小柄だが、顔が可愛くて胸のサイズはIカップある。
とても大人しく人見知りだが、中一の時に竜馬と同じ組になってから、竜馬に思いを寄せている。
勉強は十位前後の成績。出席番号順で竜馬の後ろの後ろの席。だが入学試験では意外な事実が発覚する。
和葉は薫の事を『理想のロリ巨乳』と称している。
竜馬のことは「竜馬君」と呼ぶ。
老舗旅館の次女で、特に週末は旅館の手伝いで忙しい。兄弟は長女(二十歳の大学生)・次女の瀬川薫・長男(五歳)・三女(三歳)がいる。
手伝いというのはほとんどの場合、五歳の長男と三歳の三女の面倒を見ていることが多い。
園田春樹(そのだはるき)
一組の男子生徒。身長は一五〇センチと小柄で、どう見ても中学生にしか見えない。
飛び抜けた美少年で本人はもっと身長が伸びて、男らしさに憧れている。そのため初めて竜馬を見た時から友達になりたいと思っていた。
実は春樹と竜馬で如月学園高校の女子ら九割が二人に好意を寄せていることは、全く気づいていない。どちらかというと女子らから嫌われていると思い込んでいる。
一人称は「ボク」。
部活は料理部。食材などの関係で不定期に活動している。
前田千恵。
竜馬と和葉のいる一年三組の小柄な担任教師。
二十五歳で可憐に見える。幼稚園から大学まで女子校だったこともあり、男性が苦手。
竜馬に対して上手くやろうとし過ぎて、慌てる事が多い。
手塚香織(てづかかおり)。
勉強が得意で、お嬢様ばかりが集まったグループのリーダー的存在。
学年一位の和葉と、学年二位の優子と友人になりたいと思っている。
竜馬には異性として好意を寄せている。
石森楓(いしもりかえで)。
容姿にこだわりを持ち、オシャレやファッションに詳しいグループのリーダー的存在。
容姿端麗の優子と、黙っていると可憐な美少女の和葉と仲良くしたいと思っている。
竜馬には異性として好意を寄せている。
赤塚聡美(あかつかさとみ)。
明るく楽しく学校生活をやって行こうというグループのリーダー的存在。ただし、勉強は苦手な者が多いグループ。
人当たりのよい竜馬を異性として好意を寄せている。
椎名弘美(しいなひろみ)
体育が同じの一組の女子。百メートル走でのタイム計測のグループで竜馬と同じになる。
明るい性格。身長は一五五センチくらい。ロングヘアで、どちらかと言うと美人ではあるが、相生優子と比べたら地味。
バストサイズはCカップ。年上の男兄弟が二人いるため、男を恐れない。
優子が変態に襲われた際に、弘美と真弓とコウの三人で助けた。
春樹と仲が良いが恋愛感情は、今のところない。
竜馬には異性として好意を寄せている。
出川真弓(でがわまゆみ)
体育が同じの一組の女子。百メートル走でのタイム計測のグループで竜馬と同じになる。
眼鏡をかけていてセミロング。男子とは上手く喋れない。男子は好きなのだが、そのせいか男子の前だとより一層緊張する性格。
バストサイズはDカップ。
竜馬には異性として好意を寄せている。
井山コウ(いやまこう)
体育が同じの一組の女子。百メートル走でのタイム計測のグループで竜馬と同じになる。
ギリギリ聞き取れるくらいの声。顔を隠すような長めの前髪のせいで、目がはっきり見えない。
少しぽっちゃり型で色白。暗めの性格なのを気にしている。
バストサイズはEカップ。
竜馬には異性として好意を寄せている。
橘一子(たちばないちこ)
一年生で生徒会会計。入学試験では相生優子と同点数の次席の成績で、奨学金をもらっている。
徒歩で通えるという理由で如月学園高校へ入学した。学区は竜馬や和葉の隣りの学区で、中学校は別である。
胸のサイズはAカップで身長は一五〇センチないのだが、本人は一五〇センチジャストと言い張っている。
令和5年7月15日
※当サイトの内容、テキスト等の無断転載・無断使用を固く禁じます。
また、まとめサイト等への引用をする場合は無断ではなく、こちらへお知らせ下さい。許可するかを判断致します。
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