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【8】竜馬。相生優子の胸の大きさに驚く。
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双子の妹の保護者として、今年から共学になった女子高へ通う兄の話
東岡忠良(あずまおか・ただよし)
※この小説へのご意見・ご感想・誤字脱字・等がありましたら、お気軽にコメントして下さい。
お待ちしています。
──1──
新屋敷兄妹が駆け寄る。山田先生も来た。
「息が上がっているわね。喉が乾いてる?」
肩で大きく息をしながら、首を横に振る。
「受験勉強ばっかりしてきたせいなのか、体育初日はこういう生徒が多いのよ」
「そうなんですか?」
「熱中症じゃないみたいね」
と確認すると、
「二人には悪いんだけど相生さんが楽になるまで、看病してくれるかな?」
と山田先生。
「はい」と同時に返事を返す。
「新屋敷君。取り敢えず、あの日陰のところに連れて行ってあげて」
と旧校舎の出入り口を山田先生は指さした。
「分かりました」
そういうと、竜馬は優子の背中に腕を回し、ハーフパンツの足に腕を入れた。
「あ! あの!」
と驚いている間に、竜馬は軽々と優子を持ち上げた。走っている女生徒から、
あ。いいな~。
私も倒れちゃおうかな?
という声が出る。
「こら! 冗談でもそういう事は言うな!」
と山田先生。
「ちょっと揺れるけど我慢してくれるかな?」
と竜馬が声をかけると、
「うん……。大丈夫……」
と小さく返事をする。
「お兄ちゃん、ちょっといい?」
と横を歩く和葉が話しかける。
「何だ?」
「優子って重い? それとも軽い?」
「ん!」と優子の何とも言えない声がする。
「軽いよ。とても」
「あ。そうなんだ」
「……よかった……」と安堵する。
もうすぐ、旧校舎の出入り口の日陰に着きそうな時だった。
「お兄ちゃん」
「なんだ?」
「優子の生足はスベスベ?」
と言ったものだから、さすがに竜馬は慌ててしまい、優子はもう見るからに顔が真っ赤である。
「和葉。余計なことを言うなよ。危ないだろ!」
さすがの竜馬もつい怒鳴ってしまった。
「ご、ごめん……」
「今は緊急事態なんだ。もし優子さんを落としてしまって怪我でもさせたら取り返しがつかないんだぞ」
「そうよね。ごめんなさい」
「分かればいいんだよ」
そして優しく優子を影のところに下ろした。
「ありがとう。竜馬君」
と言っている相生優子だが、まだ息が整わない。
和葉は舐めるような視線を優子に送る。
「な? なに?」
「優子。あなたまさか、あの例の小さく見せるヤツを付けて体育をしてるの?」
「えっ。う、うん」
と頷いた。
「それ、絶対にダメよ。そんなので柔軟体操をやって走ったりしたら、息が出来なくなって当たり前よ」
と優子の後ろに回った。
「な!何をするの?」
「そんなの決まっているじゃない。下着のホックを外すのよ」
優子の顔色が変わる。
「嫌よ! ちょっと止めて!」
「何を言っているの。このままだと下手をしたら呼吸困難にもなりかねないわよ」
「おい。何をするつもりなんだ!」
竜馬は和葉に言う。
「優子が呼吸出来ない理由が分かったのよ。だからすぐに楽にしてあげようと思うの」
「そうなのかい」
と優子の顔を見る。まだ、苦しそうだ。
竜馬は、
「優子さん、そこは和葉に任せてよ。このままだと本当に大変なことになりかねないから」
「嫌よ……」と頭を振る。
「どうして?」と竜馬。
「竜馬君が私の本当の姿を見たら、きっと嫌われちゃうかも……。私、嫌われたくない……」
相生優子は涙声になっていた。
「……本当の姿?」
「そこは気にしないで」
と和葉。
「大丈夫。嫌いになったりしないから……」
と竜馬は優しく言う。
「本当に……」
「本当だよ。さあ、何をするかは分からないけれど、和葉、頼むよ」
「分かったわ。そこでお兄ちゃんにお願いなんだけど」
「なんだ?」
「お前は何者なんだ、って言ってくれる?」
「は? 何だそれ?」
「いいから早く! 時間がないわ!」
竜馬はなにが何だか分からず、
「何のことだかさっぱり分からないけど? 時間がないんだよな。分かった。優子さんのためだ」
と一呼吸置いて、
「お前は何者なんだ!」
と竜馬が言うと、
「女子の敵。そして男子の味方。相生優子は新屋敷和葉に代わっておっぱいの頂点に立つHカップ! お見せしよう! Hカップ!」
と言いながら、和葉は素早く優子の下着のホックを外した。
相生優子も新屋敷竜馬も、一体何が始まるのかと、ポカンとしていたが、優子のブラジャーが外れた瞬間だった。
優子の胸の辺りの体操服が、モリモリと上に盛り上がってきて、見事なお椀型の高い山が現れた。
「うわ!」
「キャッ!」
と二人は同時に驚く。咄嗟に優子は胸を隠したが、
「隠しちゃダメ。ほら、しっかりと胸を張って深呼吸して」
と強引に腕を後ろに回すように掴んで、胸を張らせた。
「やだあ! あ。でも呼吸が楽になった」
と清々しい表情で深呼吸した。
「うん、これでもう大丈夫みたいね」
「ああ。外したらこんなに楽なんだ……」
「でしょう。外してよかったでしょう」
「うん……。あ!」
と優子は竜馬を見た。
竜馬は驚いたまま固まっていた。とても不思議な何かを見てしまった、という顔をしていた。
「お兄ちゃん、アメリカに旅立ってUMA(ユーマ)でも見たような顔してる」
「え? 私の胸はUMA(ユーマ)扱いなの?」
「さ。もう楽になったでしょう」
と和葉は体操服の背中に手を入れて、器用に下着を付けてくれた。
「優子。今日は無理をしないで見学していなさい。そして自分に合った下着を買うこと。もし一人で行けないなら私とお兄ちゃんがついて行ってあげるから」
「おい! ちょっと待て! 何で男の僕が女性の下着を一緒に買いに行くんだよ」
「なに言ってんの。超デカパイ伝説優子の秘密を知ってしまった仲でしょう」
「超デカパイ伝説優子って……」
と恥ずかしそうに顔を隠した。
「いかがわしいAVかよ」
「え? いかがわしいAV? お兄ちゃん、そんな感じの題名のDVDをレンタル店で借りたことあるの?」
「ある訳ないだろ!」
「あのう!」
という優子の声に二人は止まった。
「竜馬君」
「えっ、なに?」
俯いていたが、優子は意を決して赤い頬のまま、
「胸の大きい女の子は好きですか?」
と訊いた。
竜馬はすぐさま、
「そんなの決まっているじゃないか。大好きだよ!」
と右手親指を上に出してグッドをした。
「大好きって……。嬉しい」
と顔を伏せると、悶え始めた。
「バカップルってきっとこんな感じよね」
としらけた様子の和葉が言った。
結局、相生優子は今日の体育は見学させる方がよいと、新屋敷兄妹は山田先生に報告した。そして報告が終わると、遅れた分を取り戻すかのように、グランドを三周した。
男子で野球部だった竜馬は軽々と終え、和葉も並んでゴールした。
「新屋敷さんは中学時代は何かやっていたの?」
とクラスの女子に聞かれて、
「主には陸上かな。長距離が得意だったんだけど、幼なじみの小夏ちゃんには結局、一度も勝てなかったけどね」
と微笑んだ。
そして授業が終わりかけの時に、園田春樹はゴールした。竜馬は思わず駆け寄って、頑張りを讃えていた。それを見た和葉は、
「どう見てもあの二人は出来てるわね」
と言い、山田先生からまたも注意を受けた。
──2──
昼休みのことである。
「ちょっと」と和葉は優子に呼ばれた。
「お昼でしょう。一緒に食べようか」
と和葉が言うと、
「それもだけど早速なんだけど放課後、一緒に付いてきてくれないかな?」
「ああ。下着」と言いかけると優子は和葉の口を押さえた。
「ちょっと、聞かれたらどうするの?」
優子の手を退けて、
「そんなに恥ずかしくないわよ」
「恥ずかしいわよ! あ」
と周りの女生徒らが弁当を取り出したまま、注目している。
「優子、声が大きい」
「ごめんなさい」
「ところで」
と和葉の後ろの席に竜馬がいない。
「竜馬さんは?」
「お兄ちゃんは授業が終わってダッシュで、弁当箱を持って最愛の人と一緒に中庭でお弁当を食べに行ったわ」
優子の表情が一気に険しくなる。
「ウソ?」
「ウソよ。冗談に決まっているでしょう」
「もう、酷いよ。和葉」
「ごめんごめん。正直、私もちょっと焼いちゃっててさあ」
そこで優子は悪い目になり、
「もしかして、妹として『お兄ちゃんを取られちゃう』的な感じ?」
「あ~。ちょっと惜しいかも」
と言いながら和葉は、
「お兄ちゃん、中学時代は私と家で勉強する以外は、一緒に遊んだりほとんどしなかったんだよね」
「えっ。そうなの?」
「基本、陰キャラなんたけど、優しくて性格もいいし野球仲間も多かったし」
そして、
「この前も話したけど友達が上級生に絡まれた時も、助けに行くくらいだから、男友達が多かったんだよね」
「そうなのねえ~。頼もしいわ」
と優子は完全に恋する目になっている。
「だから新しい男友達が出来たら、妹の私なんてまた遊んでもらえなくなるかなって、ちょっと不安なんだよねって優子?」
優子は左手を自分の頬に当て、右手には自分の弁当を持ったままニヤケていた。そして、
「ああ。優しくて性格もいい。野球少年で、友人のピンチに駆けつけるなんて。ああ。私、どうしましょう……」
「どうしましょうって優子」
と和葉は苦笑する。
そして白々しく聞いてみた。
「もしかして、優子はお兄ちゃんのこと、好きなの?」
「えっ! なぜそれを!」
と言ったから、和葉は吹きそうになった。
「誰が見てもバレバレよ。いや、違うかも」
「え?」と優子は止まる。
「お兄ちゃんだけが気づいてないかもよ」
「え? ウソでしょう?」
「多分、間違いないわ。なんせ、中学時代の小夏ちゃんの好き好きアピールでも、気づかなかったんだから」
「そうなの!」
「お兄ちゃん、意外と自己評価が低くてね。小夏ちゃんってかなりかわいいじゃない」
「う~。悔しいけど確かに」
「かなりかわいい」
「あ~! やめて~!」
予想通りのリアクションに和葉は笑った。
そして、
「でも何で優子が悔しがっているの?」
すると、
「だって私、小夏ちゃんと比べたら、背は低いし、陰キャだし、運動は苦手だし、矯正下着を着けてたし。まあ、まだ着けているけど」
「矯正下着は別にいいんじゃない」
「昨日までは和葉に騙されて、竜馬さんが大きい胸の子は嫌いって聞いていたし。あれ、凄く落ち込んだんだから」
「あれは悪かったわよ」
「まあ、それはいいわ。竜馬さんから『胸の大きい女の子』は大好きって言ってもらったから」
「あ。それ、なんかムカつく」
二人は顔を合わせて笑った。
「私、竜馬さんから『大好き』って言われたこと、一生忘れないわ」
と言うと、
「え? 何を言っているの? お兄ちゃんが『大好き』って言ったのは、優子も含むけどおっぱいの大きい女の子全部を指しているのよ」
「ああ! そうだわ!」
と優子はショックを受けていた。
それを見た和葉は、
「優子は本当に面白い子ね」
と言った。
一方、竜馬は体育が終わった着替えのさいに、園田春樹と一緒に中庭で昼食を食べる約束をしたのだった。
「誘ってくれてありがとう。ボク、今日は一人でお弁当を食べることになるだろうって、覚悟していたんだ」
「僕でよかったらいつでも言ってよ。ここ、いいところだよな」
中庭にある芝生に直接、座って弁当を広げる。竜馬は胡座(あぐら)をかいて、春樹は正座している。
「今度はレジャーシートを持ってくるよ」
「そんな、ボクが持ってくるよ」
「それにしても、シンプルだけど綺麗な弁当だね」
「そうかなあ」
と園田春樹は恥ずかしそうにしている。
「これ、ボクが作ったんだよ」
「え! そうなのかい」
丁寧に巻かれた、だし巻き玉子にウインナーはタコだけでなくカニや猫の顔もある。鶏の唐揚げや他にも詳しく名前の分からない美味しそうなおかずが並んでいる。
「料理、好きなんだ」
「うん。将来は料理人になりたいって思っててね。とても囁(ささや)かな夢だけど」
竜馬はちょっとからかうように、
「あれ、特に何もやることがないから、勉強していたって言ってなかったっけ?」
と微笑んだ。春樹は、
「ごめんよ。男で料理に興味があるなんて言ったら、ボクより運動神経のいい竜馬君に嫌われるんじゃないかって思っちゃって」
と申し訳なさそうに俯いた。
「何を言っているんだよ。まだ高校に入学したばかりなのに、もう自分の将来の目標を持っているなんて凄いよ」
「そうかな」と春樹は顔を赤くした。
「もしよかったら、このだし巻き食べてみて? 感想を聞かせてよ」
「おう。いいぞ」
「じゃあ」と春樹が竜馬の弁当箱に、だし巻きを置こうとすると、
「面倒くさいからよかったら口に入れてくれたらいいよ」
「えっ」と驚いていたが、
「うん。分かったよ。はい」と大きく開いた竜馬の口の中に入れた。
しばらく噛んでいたら、
「おっ。このだし巻き本当に美味しいな」
「本当に! 嬉しい!」
と言い、
「よかったらもっと食べてよ」
と鶏肉の唐揚げも竜馬の口の中に入れた。
「これもうまいな。食べたら肉汁が広がるよ」
「それ、ちょっとした工夫なんだよね」
と嬉しそうである。
「僕ばかり食べたらおかずがなくなるだろ。母さんが作ったものだけど食べてよ」
「うん。頂くよ」
竜馬はミートボールを箸で摘んで春樹の口に入れた。しばらく味わっていると、
「これは市販のイシマツのミートボールだね」
「そうだよ。よく分かったな」
「味に少し特徴があるからね。湯煎で温めずに、レンジで温めたんだね。竜馬君のお母さんは」
「へえ~。そんな事も分かるのかい。凄いや」
「そんな。たまたまだよ」
「そうそう。この野菜炒めは美味しいから食べなよ」
「竜馬君、この自作ハンバーグも食べてみて」
二人は全く気づいていないのだが、周りの女子から注目されていた。この様子はアッと言う間に噂(うわさ)になった。
──3──
昼休みは時間ギリギリに教室へ戻ってきた竜馬は、和葉から
「お兄ちゃん、遅い」
と言われた。
「時間は大丈夫だろう。特に問題ないだろう?」
と言ったが、
「まさかと思うけど、優子の事を忘れてないよね?」
「え? あの下着を買うのに一緒に行く話かい?」
「それ以外、何があるの?」
竜馬は周りを気にしながら、
「和葉。僕は男だから出来れば行きたくないんだけど?」
和葉は首を振り、
「それはダメよ。だってお兄ちゃん」
と間をおいて、
「優子の秘密を知ってしまった上に、見ちゃったんだからね」
「それは……」と言いながら、優子の方を見た。
優子は少し照れながら手を振っている。
「行くよ。行けばいいんでしょう」
「よろしい!」
と和葉が言ったところで先生が入ってきた。
「ほら、ちゃんと教科書を出す」
竜馬は慌てて、鞄をまさぐった。
放課後になると、すぐに優子がやってきた。
「竜馬くん、今日は付いてきてくれるかしら?」
と微笑む。竜馬は、
「うん。その、構わないけど、僕がついて行っていいのかな、と……」
俯き加減で、小さな声で言った。
「……もしかして、私と行くのが嫌?」
と悲しそうな表情で見つめてくる。
「いやいや。優子さんと行くのはいいんだ。むしろ、色々なところに一緒に行きたいくらいだから」
「ホントに!」と優子はとても嬉しそうだ。
「ただ、その……」と口籠(ごも)ると、
「お兄ちゃんは女性下着専門店に行ったことがないから、男が行くととても肩身が狭いんじゃないかって思っているのよ」
と和葉がズバッと代弁してくれた。
「あっ、そうか!」
と優子は本当に今、気づいたようだった。
「なんせ、お兄ちゃんはスーパーの小さな下着売り場でも、恥ずかしそうに避けていくものね」
と和葉また余計な情報を伝える。
「ふ~ん。竜馬君、シャイなんだ」
「シャイとかじゃないよ。普通、行かないだろ」
と言っていた時に、
「竜馬君」
という声が黒板側の出入り口から聞こえた。そこから春樹が覗いていた。
一組の春樹は「お邪魔します」と遠慮気味に入って、すぐに竜馬の近くへ来た。
「僕も方向は同じだからさ。よかったら途中まで一緒に帰らない」
と微笑んだ。
「それがさあ」
と竜馬は春樹に事情を説明した。もちろん、優子の下着を買いに行くとはいえないので、優子と和葉の三人で日用品を買いに行くと言った。
「確かに日用品だけどね」
と和葉。
「そうなんだね。いいよ」
「ごめんよ。明日は一緒に帰ろうよ」
「わかった。それじゃ」
と三人に手を振り別れた。
「園田君、偉いね。理由を詮索(せんさく)しないんだ」
と和葉は言った。
「男同士って気楽で絆が深いって感じなのかな?」
と優子。
「私だったら、女友達がなぜ私と買い物に行けないか、納得出来るまで訊くけどね」
「和葉はそうかもね」
と優子は頷いている。
「どうしたの? みんなで寄り道するの?」
いつの間にか当たり前のように三組に小夏が入ってきていた。
「小夏ちゃんもついて来る?」
「どこいくの?」
「ここから歩いて一〇分ちょっとのところにある下着専門店」
「あそこかあ~。あそこは比較的手頃な値段だからいいけどさあ~」
と余り小夏は乗る気ではない。
「でどういう理由で行くの? 和ちゃん、また寄せて上げるヤツを買うの?」
「そんな訳ないでしょうが!」
「私のサイズにきちんと合ったブラを買いに行くのよ」
「あ~。相生さんのサイズに合ったブラジャーを買いに行くんだね」
「ちょ! 声が大きい!」
と小夏の口を閉じる。
「あそこは手頃な値段の店だからねえ~。行ってもどうかなあ~」
と小夏は胸の下で腕を組んで頭を傾げた。
「そう言えば、竜ちゃんはどうするの?」
「えっ。僕かい」
「うん」
「え~っと。一応、ついて行くけど……」
「へえ~。竜ちゃん、行くんだ。面白そうだから私も行こう」
「面白そうってどういう意味だよ!」
こうして相生優子の下着を買うために、新屋敷和葉・川上小夏、そしてなぜか男の新屋敷竜馬も女性下着専門店へ行くことになったのである。
つづく。
2022年7月5日
※当サイトの内容、テキスト等の無断転載・無断使用を固く禁じます。
また、まとめサイト等への引用をする場合は無断ではなく、こちらへお知らせ下さい。許可するかを判断致します。
東岡忠良(あずまおか・ただよし)
※この小説へのご意見・ご感想・誤字脱字・等がありましたら、お気軽にコメントして下さい。
お待ちしています。
──1──
新屋敷兄妹が駆け寄る。山田先生も来た。
「息が上がっているわね。喉が乾いてる?」
肩で大きく息をしながら、首を横に振る。
「受験勉強ばっかりしてきたせいなのか、体育初日はこういう生徒が多いのよ」
「そうなんですか?」
「熱中症じゃないみたいね」
と確認すると、
「二人には悪いんだけど相生さんが楽になるまで、看病してくれるかな?」
と山田先生。
「はい」と同時に返事を返す。
「新屋敷君。取り敢えず、あの日陰のところに連れて行ってあげて」
と旧校舎の出入り口を山田先生は指さした。
「分かりました」
そういうと、竜馬は優子の背中に腕を回し、ハーフパンツの足に腕を入れた。
「あ! あの!」
と驚いている間に、竜馬は軽々と優子を持ち上げた。走っている女生徒から、
あ。いいな~。
私も倒れちゃおうかな?
という声が出る。
「こら! 冗談でもそういう事は言うな!」
と山田先生。
「ちょっと揺れるけど我慢してくれるかな?」
と竜馬が声をかけると、
「うん……。大丈夫……」
と小さく返事をする。
「お兄ちゃん、ちょっといい?」
と横を歩く和葉が話しかける。
「何だ?」
「優子って重い? それとも軽い?」
「ん!」と優子の何とも言えない声がする。
「軽いよ。とても」
「あ。そうなんだ」
「……よかった……」と安堵する。
もうすぐ、旧校舎の出入り口の日陰に着きそうな時だった。
「お兄ちゃん」
「なんだ?」
「優子の生足はスベスベ?」
と言ったものだから、さすがに竜馬は慌ててしまい、優子はもう見るからに顔が真っ赤である。
「和葉。余計なことを言うなよ。危ないだろ!」
さすがの竜馬もつい怒鳴ってしまった。
「ご、ごめん……」
「今は緊急事態なんだ。もし優子さんを落としてしまって怪我でもさせたら取り返しがつかないんだぞ」
「そうよね。ごめんなさい」
「分かればいいんだよ」
そして優しく優子を影のところに下ろした。
「ありがとう。竜馬君」
と言っている相生優子だが、まだ息が整わない。
和葉は舐めるような視線を優子に送る。
「な? なに?」
「優子。あなたまさか、あの例の小さく見せるヤツを付けて体育をしてるの?」
「えっ。う、うん」
と頷いた。
「それ、絶対にダメよ。そんなので柔軟体操をやって走ったりしたら、息が出来なくなって当たり前よ」
と優子の後ろに回った。
「な!何をするの?」
「そんなの決まっているじゃない。下着のホックを外すのよ」
優子の顔色が変わる。
「嫌よ! ちょっと止めて!」
「何を言っているの。このままだと下手をしたら呼吸困難にもなりかねないわよ」
「おい。何をするつもりなんだ!」
竜馬は和葉に言う。
「優子が呼吸出来ない理由が分かったのよ。だからすぐに楽にしてあげようと思うの」
「そうなのかい」
と優子の顔を見る。まだ、苦しそうだ。
竜馬は、
「優子さん、そこは和葉に任せてよ。このままだと本当に大変なことになりかねないから」
「嫌よ……」と頭を振る。
「どうして?」と竜馬。
「竜馬君が私の本当の姿を見たら、きっと嫌われちゃうかも……。私、嫌われたくない……」
相生優子は涙声になっていた。
「……本当の姿?」
「そこは気にしないで」
と和葉。
「大丈夫。嫌いになったりしないから……」
と竜馬は優しく言う。
「本当に……」
「本当だよ。さあ、何をするかは分からないけれど、和葉、頼むよ」
「分かったわ。そこでお兄ちゃんにお願いなんだけど」
「なんだ?」
「お前は何者なんだ、って言ってくれる?」
「は? 何だそれ?」
「いいから早く! 時間がないわ!」
竜馬はなにが何だか分からず、
「何のことだかさっぱり分からないけど? 時間がないんだよな。分かった。優子さんのためだ」
と一呼吸置いて、
「お前は何者なんだ!」
と竜馬が言うと、
「女子の敵。そして男子の味方。相生優子は新屋敷和葉に代わっておっぱいの頂点に立つHカップ! お見せしよう! Hカップ!」
と言いながら、和葉は素早く優子の下着のホックを外した。
相生優子も新屋敷竜馬も、一体何が始まるのかと、ポカンとしていたが、優子のブラジャーが外れた瞬間だった。
優子の胸の辺りの体操服が、モリモリと上に盛り上がってきて、見事なお椀型の高い山が現れた。
「うわ!」
「キャッ!」
と二人は同時に驚く。咄嗟に優子は胸を隠したが、
「隠しちゃダメ。ほら、しっかりと胸を張って深呼吸して」
と強引に腕を後ろに回すように掴んで、胸を張らせた。
「やだあ! あ。でも呼吸が楽になった」
と清々しい表情で深呼吸した。
「うん、これでもう大丈夫みたいね」
「ああ。外したらこんなに楽なんだ……」
「でしょう。外してよかったでしょう」
「うん……。あ!」
と優子は竜馬を見た。
竜馬は驚いたまま固まっていた。とても不思議な何かを見てしまった、という顔をしていた。
「お兄ちゃん、アメリカに旅立ってUMA(ユーマ)でも見たような顔してる」
「え? 私の胸はUMA(ユーマ)扱いなの?」
「さ。もう楽になったでしょう」
と和葉は体操服の背中に手を入れて、器用に下着を付けてくれた。
「優子。今日は無理をしないで見学していなさい。そして自分に合った下着を買うこと。もし一人で行けないなら私とお兄ちゃんがついて行ってあげるから」
「おい! ちょっと待て! 何で男の僕が女性の下着を一緒に買いに行くんだよ」
「なに言ってんの。超デカパイ伝説優子の秘密を知ってしまった仲でしょう」
「超デカパイ伝説優子って……」
と恥ずかしそうに顔を隠した。
「いかがわしいAVかよ」
「え? いかがわしいAV? お兄ちゃん、そんな感じの題名のDVDをレンタル店で借りたことあるの?」
「ある訳ないだろ!」
「あのう!」
という優子の声に二人は止まった。
「竜馬君」
「えっ、なに?」
俯いていたが、優子は意を決して赤い頬のまま、
「胸の大きい女の子は好きですか?」
と訊いた。
竜馬はすぐさま、
「そんなの決まっているじゃないか。大好きだよ!」
と右手親指を上に出してグッドをした。
「大好きって……。嬉しい」
と顔を伏せると、悶え始めた。
「バカップルってきっとこんな感じよね」
としらけた様子の和葉が言った。
結局、相生優子は今日の体育は見学させる方がよいと、新屋敷兄妹は山田先生に報告した。そして報告が終わると、遅れた分を取り戻すかのように、グランドを三周した。
男子で野球部だった竜馬は軽々と終え、和葉も並んでゴールした。
「新屋敷さんは中学時代は何かやっていたの?」
とクラスの女子に聞かれて、
「主には陸上かな。長距離が得意だったんだけど、幼なじみの小夏ちゃんには結局、一度も勝てなかったけどね」
と微笑んだ。
そして授業が終わりかけの時に、園田春樹はゴールした。竜馬は思わず駆け寄って、頑張りを讃えていた。それを見た和葉は、
「どう見てもあの二人は出来てるわね」
と言い、山田先生からまたも注意を受けた。
──2──
昼休みのことである。
「ちょっと」と和葉は優子に呼ばれた。
「お昼でしょう。一緒に食べようか」
と和葉が言うと、
「それもだけど早速なんだけど放課後、一緒に付いてきてくれないかな?」
「ああ。下着」と言いかけると優子は和葉の口を押さえた。
「ちょっと、聞かれたらどうするの?」
優子の手を退けて、
「そんなに恥ずかしくないわよ」
「恥ずかしいわよ! あ」
と周りの女生徒らが弁当を取り出したまま、注目している。
「優子、声が大きい」
「ごめんなさい」
「ところで」
と和葉の後ろの席に竜馬がいない。
「竜馬さんは?」
「お兄ちゃんは授業が終わってダッシュで、弁当箱を持って最愛の人と一緒に中庭でお弁当を食べに行ったわ」
優子の表情が一気に険しくなる。
「ウソ?」
「ウソよ。冗談に決まっているでしょう」
「もう、酷いよ。和葉」
「ごめんごめん。正直、私もちょっと焼いちゃっててさあ」
そこで優子は悪い目になり、
「もしかして、妹として『お兄ちゃんを取られちゃう』的な感じ?」
「あ~。ちょっと惜しいかも」
と言いながら和葉は、
「お兄ちゃん、中学時代は私と家で勉強する以外は、一緒に遊んだりほとんどしなかったんだよね」
「えっ。そうなの?」
「基本、陰キャラなんたけど、優しくて性格もいいし野球仲間も多かったし」
そして、
「この前も話したけど友達が上級生に絡まれた時も、助けに行くくらいだから、男友達が多かったんだよね」
「そうなのねえ~。頼もしいわ」
と優子は完全に恋する目になっている。
「だから新しい男友達が出来たら、妹の私なんてまた遊んでもらえなくなるかなって、ちょっと不安なんだよねって優子?」
優子は左手を自分の頬に当て、右手には自分の弁当を持ったままニヤケていた。そして、
「ああ。優しくて性格もいい。野球少年で、友人のピンチに駆けつけるなんて。ああ。私、どうしましょう……」
「どうしましょうって優子」
と和葉は苦笑する。
そして白々しく聞いてみた。
「もしかして、優子はお兄ちゃんのこと、好きなの?」
「えっ! なぜそれを!」
と言ったから、和葉は吹きそうになった。
「誰が見てもバレバレよ。いや、違うかも」
「え?」と優子は止まる。
「お兄ちゃんだけが気づいてないかもよ」
「え? ウソでしょう?」
「多分、間違いないわ。なんせ、中学時代の小夏ちゃんの好き好きアピールでも、気づかなかったんだから」
「そうなの!」
「お兄ちゃん、意外と自己評価が低くてね。小夏ちゃんってかなりかわいいじゃない」
「う~。悔しいけど確かに」
「かなりかわいい」
「あ~! やめて~!」
予想通りのリアクションに和葉は笑った。
そして、
「でも何で優子が悔しがっているの?」
すると、
「だって私、小夏ちゃんと比べたら、背は低いし、陰キャだし、運動は苦手だし、矯正下着を着けてたし。まあ、まだ着けているけど」
「矯正下着は別にいいんじゃない」
「昨日までは和葉に騙されて、竜馬さんが大きい胸の子は嫌いって聞いていたし。あれ、凄く落ち込んだんだから」
「あれは悪かったわよ」
「まあ、それはいいわ。竜馬さんから『胸の大きい女の子』は大好きって言ってもらったから」
「あ。それ、なんかムカつく」
二人は顔を合わせて笑った。
「私、竜馬さんから『大好き』って言われたこと、一生忘れないわ」
と言うと、
「え? 何を言っているの? お兄ちゃんが『大好き』って言ったのは、優子も含むけどおっぱいの大きい女の子全部を指しているのよ」
「ああ! そうだわ!」
と優子はショックを受けていた。
それを見た和葉は、
「優子は本当に面白い子ね」
と言った。
一方、竜馬は体育が終わった着替えのさいに、園田春樹と一緒に中庭で昼食を食べる約束をしたのだった。
「誘ってくれてありがとう。ボク、今日は一人でお弁当を食べることになるだろうって、覚悟していたんだ」
「僕でよかったらいつでも言ってよ。ここ、いいところだよな」
中庭にある芝生に直接、座って弁当を広げる。竜馬は胡座(あぐら)をかいて、春樹は正座している。
「今度はレジャーシートを持ってくるよ」
「そんな、ボクが持ってくるよ」
「それにしても、シンプルだけど綺麗な弁当だね」
「そうかなあ」
と園田春樹は恥ずかしそうにしている。
「これ、ボクが作ったんだよ」
「え! そうなのかい」
丁寧に巻かれた、だし巻き玉子にウインナーはタコだけでなくカニや猫の顔もある。鶏の唐揚げや他にも詳しく名前の分からない美味しそうなおかずが並んでいる。
「料理、好きなんだ」
「うん。将来は料理人になりたいって思っててね。とても囁(ささや)かな夢だけど」
竜馬はちょっとからかうように、
「あれ、特に何もやることがないから、勉強していたって言ってなかったっけ?」
と微笑んだ。春樹は、
「ごめんよ。男で料理に興味があるなんて言ったら、ボクより運動神経のいい竜馬君に嫌われるんじゃないかって思っちゃって」
と申し訳なさそうに俯いた。
「何を言っているんだよ。まだ高校に入学したばかりなのに、もう自分の将来の目標を持っているなんて凄いよ」
「そうかな」と春樹は顔を赤くした。
「もしよかったら、このだし巻き食べてみて? 感想を聞かせてよ」
「おう。いいぞ」
「じゃあ」と春樹が竜馬の弁当箱に、だし巻きを置こうとすると、
「面倒くさいからよかったら口に入れてくれたらいいよ」
「えっ」と驚いていたが、
「うん。分かったよ。はい」と大きく開いた竜馬の口の中に入れた。
しばらく噛んでいたら、
「おっ。このだし巻き本当に美味しいな」
「本当に! 嬉しい!」
と言い、
「よかったらもっと食べてよ」
と鶏肉の唐揚げも竜馬の口の中に入れた。
「これもうまいな。食べたら肉汁が広がるよ」
「それ、ちょっとした工夫なんだよね」
と嬉しそうである。
「僕ばかり食べたらおかずがなくなるだろ。母さんが作ったものだけど食べてよ」
「うん。頂くよ」
竜馬はミートボールを箸で摘んで春樹の口に入れた。しばらく味わっていると、
「これは市販のイシマツのミートボールだね」
「そうだよ。よく分かったな」
「味に少し特徴があるからね。湯煎で温めずに、レンジで温めたんだね。竜馬君のお母さんは」
「へえ~。そんな事も分かるのかい。凄いや」
「そんな。たまたまだよ」
「そうそう。この野菜炒めは美味しいから食べなよ」
「竜馬君、この自作ハンバーグも食べてみて」
二人は全く気づいていないのだが、周りの女子から注目されていた。この様子はアッと言う間に噂(うわさ)になった。
──3──
昼休みは時間ギリギリに教室へ戻ってきた竜馬は、和葉から
「お兄ちゃん、遅い」
と言われた。
「時間は大丈夫だろう。特に問題ないだろう?」
と言ったが、
「まさかと思うけど、優子の事を忘れてないよね?」
「え? あの下着を買うのに一緒に行く話かい?」
「それ以外、何があるの?」
竜馬は周りを気にしながら、
「和葉。僕は男だから出来れば行きたくないんだけど?」
和葉は首を振り、
「それはダメよ。だってお兄ちゃん」
と間をおいて、
「優子の秘密を知ってしまった上に、見ちゃったんだからね」
「それは……」と言いながら、優子の方を見た。
優子は少し照れながら手を振っている。
「行くよ。行けばいいんでしょう」
「よろしい!」
と和葉が言ったところで先生が入ってきた。
「ほら、ちゃんと教科書を出す」
竜馬は慌てて、鞄をまさぐった。
放課後になると、すぐに優子がやってきた。
「竜馬くん、今日は付いてきてくれるかしら?」
と微笑む。竜馬は、
「うん。その、構わないけど、僕がついて行っていいのかな、と……」
俯き加減で、小さな声で言った。
「……もしかして、私と行くのが嫌?」
と悲しそうな表情で見つめてくる。
「いやいや。優子さんと行くのはいいんだ。むしろ、色々なところに一緒に行きたいくらいだから」
「ホントに!」と優子はとても嬉しそうだ。
「ただ、その……」と口籠(ごも)ると、
「お兄ちゃんは女性下着専門店に行ったことがないから、男が行くととても肩身が狭いんじゃないかって思っているのよ」
と和葉がズバッと代弁してくれた。
「あっ、そうか!」
と優子は本当に今、気づいたようだった。
「なんせ、お兄ちゃんはスーパーの小さな下着売り場でも、恥ずかしそうに避けていくものね」
と和葉また余計な情報を伝える。
「ふ~ん。竜馬君、シャイなんだ」
「シャイとかじゃないよ。普通、行かないだろ」
と言っていた時に、
「竜馬君」
という声が黒板側の出入り口から聞こえた。そこから春樹が覗いていた。
一組の春樹は「お邪魔します」と遠慮気味に入って、すぐに竜馬の近くへ来た。
「僕も方向は同じだからさ。よかったら途中まで一緒に帰らない」
と微笑んだ。
「それがさあ」
と竜馬は春樹に事情を説明した。もちろん、優子の下着を買いに行くとはいえないので、優子と和葉の三人で日用品を買いに行くと言った。
「確かに日用品だけどね」
と和葉。
「そうなんだね。いいよ」
「ごめんよ。明日は一緒に帰ろうよ」
「わかった。それじゃ」
と三人に手を振り別れた。
「園田君、偉いね。理由を詮索(せんさく)しないんだ」
と和葉は言った。
「男同士って気楽で絆が深いって感じなのかな?」
と優子。
「私だったら、女友達がなぜ私と買い物に行けないか、納得出来るまで訊くけどね」
「和葉はそうかもね」
と優子は頷いている。
「どうしたの? みんなで寄り道するの?」
いつの間にか当たり前のように三組に小夏が入ってきていた。
「小夏ちゃんもついて来る?」
「どこいくの?」
「ここから歩いて一〇分ちょっとのところにある下着専門店」
「あそこかあ~。あそこは比較的手頃な値段だからいいけどさあ~」
と余り小夏は乗る気ではない。
「でどういう理由で行くの? 和ちゃん、また寄せて上げるヤツを買うの?」
「そんな訳ないでしょうが!」
「私のサイズにきちんと合ったブラを買いに行くのよ」
「あ~。相生さんのサイズに合ったブラジャーを買いに行くんだね」
「ちょ! 声が大きい!」
と小夏の口を閉じる。
「あそこは手頃な値段の店だからねえ~。行ってもどうかなあ~」
と小夏は胸の下で腕を組んで頭を傾げた。
「そう言えば、竜ちゃんはどうするの?」
「えっ。僕かい」
「うん」
「え~っと。一応、ついて行くけど……」
「へえ~。竜ちゃん、行くんだ。面白そうだから私も行こう」
「面白そうってどういう意味だよ!」
こうして相生優子の下着を買うために、新屋敷和葉・川上小夏、そしてなぜか男の新屋敷竜馬も女性下着専門店へ行くことになったのである。
つづく。
2022年7月5日
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