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【9】高校時代にバイトをしていた工場は霊の出るところだった。
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【9】高校時代にバイトをしていた工場は霊の出るところだった。
※この小説へのご意見・ご感想・誤字脱字・等がありましたら、お気軽にコメントして下さい。
お待ちしています。
──【9】──
実家で経験したくない霊体験が続いていた。
そういう時だからか、たまたま見つけたアルバイト先が『出る』工場だった。
それは初日に体験することになる。
その工場の建物は、一階が鉄工所。
二階は作業場兼事務所。
三階は倉庫になっていた。
当然だが初日、この会社がそのようになっているとは全く僕達は知らなかった。
僕と友人の二人同時に、その工場で働くことになった。
初日、何も分からず淡々と友人二人で二階で作業をしていた。
すると天井から、パタパタと人が歩き回る音が延々とするのだ。
何も知らない僕は、
「ああ。三階も作業場で誰かが働いているんだな」
と思いながら、商品を箱に詰めていく仕事を続けた。
定時が近づくと社員の方が、
「それじゃあ、ジャンケンしようか」
と言ってくる。
「ん? ジャンケン?」
と不思議に思っていると、
「ジャンケンで負けた人は、三階の倉庫の窓を閉めに行くこと」
とのことだった。
僕と友人と社員さんはジャンケンをして、友人が負けて、悔しそうに三階の階段を上っていった。
僕は、
「どうしてですか? 三階にいる人に窓を閉めてもらえばいいんじゃないですか?」
と社員さんに言うと、
「三階には誰もいないよ」
という意外な返事が返ってきた。
僕は笑いながら、
「冗談はやめて下さいよ。ずっと三階から足音がしていたじゃないですか。からかわないで下さいよ」
と言うと、社員さんは真面目な顔で、
「そうなんだよ。ここの工場って見えない何者かが歩き回っているんだよ」
と言った。
「え? それってどういう意味ですか?」
と半信半疑な僕がそう言うと、
「つまり、これが居るってことだよ」
と両手を前に垂らして幽霊の真似をした。
すると友人が帰ってきた。
「あのう。三階の倉庫って何なんですか? 足音はするのに誰もいないんですけど? 窓を閉めるのに隅々まで見たんですけど、足音はするのに人がいませんよ」
と不思議そうな顔をした。
ちなみに友人は幽霊の存在を全く信じておらず、僕が経験した霊体験を話すと、
「そんなの気のせい、気のせい」
と一笑する頼もしいヤツだった。
ここでは敢えて過去形にさせてもらうが……。
友人は、
「変ですね? 何でかな?」
と不思議がっていたが、
「でも幽霊なんてこの世に絶対にいないので、きっと何か原因があるんですよ。僕が足音の原因を見つけてみせますよ」
と言って笑うのだった。
初日はこうして終わったのだった。
この会社は忙しい時と、暇な時との差が激しく数日後に僕と友人は深夜まで仕事をさせられることになるのだが、その残業の時も二人は同時に不思議な体験をすることになるのだった。
2024年3月26日
※当サイトの内容、テキスト等の無断転載・無断使用を固く禁じます。
また、まとめサイト等への引用をする場合は無断ではなく、こちらへお知らせ下さい。許可するかを判断致します。
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そういう時だからか、たまたま見つけたアルバイト先が『出る』工場だった。
それは初日に体験することになる。
その工場の建物は、一階が鉄工所。
二階は作業場兼事務所。
三階は倉庫になっていた。
当然だが初日、この会社がそのようになっているとは全く僕達は知らなかった。
僕と友人の二人同時に、その工場で働くことになった。
初日、何も分からず淡々と友人二人で二階で作業をしていた。
すると天井から、パタパタと人が歩き回る音が延々とするのだ。
何も知らない僕は、
「ああ。三階も作業場で誰かが働いているんだな」
と思いながら、商品を箱に詰めていく仕事を続けた。
定時が近づくと社員の方が、
「それじゃあ、ジャンケンしようか」
と言ってくる。
「ん? ジャンケン?」
と不思議に思っていると、
「ジャンケンで負けた人は、三階の倉庫の窓を閉めに行くこと」
とのことだった。
僕と友人と社員さんはジャンケンをして、友人が負けて、悔しそうに三階の階段を上っていった。
僕は、
「どうしてですか? 三階にいる人に窓を閉めてもらえばいいんじゃないですか?」
と社員さんに言うと、
「三階には誰もいないよ」
という意外な返事が返ってきた。
僕は笑いながら、
「冗談はやめて下さいよ。ずっと三階から足音がしていたじゃないですか。からかわないで下さいよ」
と言うと、社員さんは真面目な顔で、
「そうなんだよ。ここの工場って見えない何者かが歩き回っているんだよ」
と言った。
「え? それってどういう意味ですか?」
と半信半疑な僕がそう言うと、
「つまり、これが居るってことだよ」
と両手を前に垂らして幽霊の真似をした。
すると友人が帰ってきた。
「あのう。三階の倉庫って何なんですか? 足音はするのに誰もいないんですけど? 窓を閉めるのに隅々まで見たんですけど、足音はするのに人がいませんよ」
と不思議そうな顔をした。
ちなみに友人は幽霊の存在を全く信じておらず、僕が経験した霊体験を話すと、
「そんなの気のせい、気のせい」
と一笑する頼もしいヤツだった。
ここでは敢えて過去形にさせてもらうが……。
友人は、
「変ですね? 何でかな?」
と不思議がっていたが、
「でも幽霊なんてこの世に絶対にいないので、きっと何か原因があるんですよ。僕が足音の原因を見つけてみせますよ」
と言って笑うのだった。
初日はこうして終わったのだった。
この会社は忙しい時と、暇な時との差が激しく数日後に僕と友人は深夜まで仕事をさせられることになるのだが、その残業の時も二人は同時に不思議な体験をすることになるのだった。
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