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新しい私は唯我独尊
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今日は両親が訪れる日という事もあり、朝から憂鬱になりながらも
日課の薬草の勉強と採取を行い、ランチを食べお昼寝と称した魔力操作の末の気絶を行った。
目が覚めるとイクサから両親が到着した事を聞かされたが、こちらから伺うのは癪なのでディナーまではいつものように作業部屋で過ごしながらもアイツらの訪問理由を考えていた。
イクサに訪問理由を尋ねてみても
「お嬢様に会いに来られたのでしょう。」と適当な事しか言わないし
お祖父様に尋ねた所で本当の所は判らないだろう。
情報が圧倒的に少ないわね。
3歳児の私には使える人材も居ないし
居たとしても他人は信用できない。
魔術を習得できれば、離れていても声が聞けたり、姿を消して忍び込む事も出来ると聞く。
一刻も早く習得しなければ安心して生活も出来ないわ。
最近漸く魔力を任意の場所に動かす事も出来る様になり、魔力量も増えてきた。
3歳児の中では既にずば抜けた量と質を持っているだろうが、まだまだ足りない。
魔力量の増加に伴い気を失う時間も増えてきた。
まだ誤差の範囲ではあるが、年齢を増す事にお昼寝時間も削られ、勉強が増える事もわかっているので、どうしたものか。
焦っても仕方ないとは思いつつも、何も出来ない不甲斐無さに落ち込みそうになる。
「一度お祖父様に相談してみようかしら?」
お祖父様なら無下にせず、きちんと話を聞いてくれる気がするし、きっとアドバイスも下さるはずだわ。
気持ちを切り替え薬草の処理をしていると
いつの間にかディナーの時間になっていた様で、イクサを伴い晩餐の間へ行くと既に祖父が待っており、優しく迎えてくれた。
まだアイツらの姿は無かったもののいつもの様に席に着き、お祖父様と談笑していると
ついに両親が入室して来た。
「父上、ご無沙汰してます。お待たせしてしまった様で申し訳ありません。」
疑いの眼差しで見ているせいか、いやに恭しく話す父親に違和感を感じる。
実の父親であるはずが、私と祖父の関係よりも一層距離を感じる親子関係。
視界には入っているはずなのに私へ視線を向けない両親。
この家族はこんなにも歪だったかしら?
前の人生では10歳以前の記憶が朧気であり、それ以降も勉強ばかりしていたので人の機微には疎かった自覚はある。
そうでなければ、あんなに簡単に意味も判らず殺される事も無かったであろう。
「お久しぶりです。お父様、お母様。」
こちらを見ようともしない両親に挨拶をしてみるも、軽く視線を向け頷くだけである。
はぁ⁉︎何なのこの態度?
表情が崩れぬよう笑顔を貼り付けつつも内心はイライラしていると着席しようとした両親に祖父が激昂した。
「帰れ‼︎何しに来たか知らんが、マリーが倒れた時にも見舞いにさえ来なかった上に、久々に会ってもその様な態度しか出来ないのであれば貴様らと同じ食卓になど着きとうもないわ‼︎」
こんなに怒っているお祖父様を見るのは初めてだったので少し驚いたが、胸が空く思いだ。
「申し訳ありません。どの様に話しかければ良いか思案していたのです。仕事が忙しく見舞いにはこれませんでしたが、快復したと連絡もありましたし…」
焦ってしどろもどろになりながら言い訳を並べる父を見ながら、こんな小物に殺された自分を恥じた。
きっと祖父も死ぬ事がわかっていれは同じ気持ちになった事だろうと冷めた目で観察する。
「何が仕事だ!お前にはそこ迄の裁量を与えておらん‼︎どうせ金の無心に来たのだろうが、お前らには働いた分の給金以外にビタ一文もやる気は無い‼︎」
わお!領地に住んで仕事をしてると聞かされていたので、領主代理として働いてるとばかり思っていたが、まさかの衝撃の事実だ。
「父上‼︎何故ですか‼︎私はあなたの1人息子、時期伯爵家当主ですよ‼︎あんな端金じゃ生活もできません!私達が笑われても構わないのですか?」
「かまわん!この際だから言っておくが、我がエスペラント家の時期当主はお前では無い。努力を怠り、仕事を任せてもマトモにできず、そのくせ悪知恵だけは働き横領まで行う。私がが気づいていないと思ったか?
そんな人間を当主に据えれば数年で潰れる。なので次期当主はマリーにする。
わかったな?」
次々と判明する両親の小物っぷりに軽く目眩を感じながらも
これが殺害動機かなと当たりをつけるのだった。
日課の薬草の勉強と採取を行い、ランチを食べお昼寝と称した魔力操作の末の気絶を行った。
目が覚めるとイクサから両親が到着した事を聞かされたが、こちらから伺うのは癪なのでディナーまではいつものように作業部屋で過ごしながらもアイツらの訪問理由を考えていた。
イクサに訪問理由を尋ねてみても
「お嬢様に会いに来られたのでしょう。」と適当な事しか言わないし
お祖父様に尋ねた所で本当の所は判らないだろう。
情報が圧倒的に少ないわね。
3歳児の私には使える人材も居ないし
居たとしても他人は信用できない。
魔術を習得できれば、離れていても声が聞けたり、姿を消して忍び込む事も出来ると聞く。
一刻も早く習得しなければ安心して生活も出来ないわ。
最近漸く魔力を任意の場所に動かす事も出来る様になり、魔力量も増えてきた。
3歳児の中では既にずば抜けた量と質を持っているだろうが、まだまだ足りない。
魔力量の増加に伴い気を失う時間も増えてきた。
まだ誤差の範囲ではあるが、年齢を増す事にお昼寝時間も削られ、勉強が増える事もわかっているので、どうしたものか。
焦っても仕方ないとは思いつつも、何も出来ない不甲斐無さに落ち込みそうになる。
「一度お祖父様に相談してみようかしら?」
お祖父様なら無下にせず、きちんと話を聞いてくれる気がするし、きっとアドバイスも下さるはずだわ。
気持ちを切り替え薬草の処理をしていると
いつの間にかディナーの時間になっていた様で、イクサを伴い晩餐の間へ行くと既に祖父が待っており、優しく迎えてくれた。
まだアイツらの姿は無かったもののいつもの様に席に着き、お祖父様と談笑していると
ついに両親が入室して来た。
「父上、ご無沙汰してます。お待たせしてしまった様で申し訳ありません。」
疑いの眼差しで見ているせいか、いやに恭しく話す父親に違和感を感じる。
実の父親であるはずが、私と祖父の関係よりも一層距離を感じる親子関係。
視界には入っているはずなのに私へ視線を向けない両親。
この家族はこんなにも歪だったかしら?
前の人生では10歳以前の記憶が朧気であり、それ以降も勉強ばかりしていたので人の機微には疎かった自覚はある。
そうでなければ、あんなに簡単に意味も判らず殺される事も無かったであろう。
「お久しぶりです。お父様、お母様。」
こちらを見ようともしない両親に挨拶をしてみるも、軽く視線を向け頷くだけである。
はぁ⁉︎何なのこの態度?
表情が崩れぬよう笑顔を貼り付けつつも内心はイライラしていると着席しようとした両親に祖父が激昂した。
「帰れ‼︎何しに来たか知らんが、マリーが倒れた時にも見舞いにさえ来なかった上に、久々に会ってもその様な態度しか出来ないのであれば貴様らと同じ食卓になど着きとうもないわ‼︎」
こんなに怒っているお祖父様を見るのは初めてだったので少し驚いたが、胸が空く思いだ。
「申し訳ありません。どの様に話しかければ良いか思案していたのです。仕事が忙しく見舞いにはこれませんでしたが、快復したと連絡もありましたし…」
焦ってしどろもどろになりながら言い訳を並べる父を見ながら、こんな小物に殺された自分を恥じた。
きっと祖父も死ぬ事がわかっていれは同じ気持ちになった事だろうと冷めた目で観察する。
「何が仕事だ!お前にはそこ迄の裁量を与えておらん‼︎どうせ金の無心に来たのだろうが、お前らには働いた分の給金以外にビタ一文もやる気は無い‼︎」
わお!領地に住んで仕事をしてると聞かされていたので、領主代理として働いてるとばかり思っていたが、まさかの衝撃の事実だ。
「父上‼︎何故ですか‼︎私はあなたの1人息子、時期伯爵家当主ですよ‼︎あんな端金じゃ生活もできません!私達が笑われても構わないのですか?」
「かまわん!この際だから言っておくが、我がエスペラント家の時期当主はお前では無い。努力を怠り、仕事を任せてもマトモにできず、そのくせ悪知恵だけは働き横領まで行う。私がが気づいていないと思ったか?
そんな人間を当主に据えれば数年で潰れる。なので次期当主はマリーにする。
わかったな?」
次々と判明する両親の小物っぷりに軽く目眩を感じながらも
これが殺害動機かなと当たりをつけるのだった。
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