君は僕がいなくても大丈夫だろう……、ってそんなの当たり前じゃないかしら。

紗綺

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幼い約束ではない

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子供と言われるには将来が見え始めていた頃、私は彼と約束をした。
幼い頃から天才的な閃きで周囲を驚かせていた彼の才を埋もれさせるのは惜しいと思っていた私は彼を支えたいと願い、彼も私に応えると言ってくれてとても嬉しかった。


「僕は必ずやり遂げてみせる」

力強く誓う彼の手を握って私も決意を強くした。
きっと彼の力になるって。

「応援するわ。
私が全力で支えるから!」



その約束を胸に全力で支えていたのだけれど、その関係は長く続かなかった。




婚約を結び彼が研究用の小さな家に移ったのを機に私は実家を出た。
その方が彼を支えるには良いと思ったから。
本当は一緒に住みたかったけれど彼の邪魔をしてはいけないと思って別に部屋を借り、働き始めた。

最初の綻びは婚約を結んでからすぐのこと。

「家を出たって」

「実家とは距離をおいた方が良いと思って」

ちょっと悪どい方法……。
いえ、強引な方法で商売を広げるので家名は邪魔なだけ。
実家の商会の迷惑にもならないし身軽で良い。

けれど唖然とした彼の表情の奥の奥に、かすかな失望を見つけてしまった時に思ったの。
私の実家の力を当てにしていたのね、って。


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