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終わらない長いキス ★
しおりを挟む城に戻ると団長たちへ帰還報告をしたのち片づけを終えてようやく散開となった。
予想外の熊型魔獣が出たせいで討伐期間が延び、やっと帰ってこれたとの思いが強い。
思い思いに散っていく同僚を見ながら自分はどうしようかと考える。
アルヴィスはまだ仕事中だし。
さすがに疲れた。
明日から休みだし少し寝よう。
帰ってきたよと手紙だけ残し自室に戻ることにした。
目を開けて起き上がるとすでに暗くなっていた。ベッドから降りて髪を手で梳く。
喉が渇いた。
水を口に含んだところでノックの音がした。
扉を開けて来訪者をじっと見る。
薄い表情に僅かに浮かぶ安堵。
変わらないアルヴィスに戻ってきた実感が湧いてくる。
頬に手を伸ばすと躱された。誰もいないのに相変わらずだなとただいまのキスをもらうのは諦めた。
部屋に迎え入れるとアルヴィスの眉間に皺が寄る。
「なんで真っ暗なんだ」
「ああ、寝てて」
珍しく昼寝をしたせいか少し頭がぼんやりする。
灯りをつけて水を入れなおす。
冷たい水を飲むと頭がすっきりした気がした。
「無理しないで疲れてるならまだ寝てろ」
アルヴィスの言い様に苦笑する。
心配してるんだとは思うけど。
このまま顔を見ただけで帰ってしまいそうだ。
せっかく手紙の端の『待ってる』に気づいてくれたのに。
「充分寝たよ。
迷惑だった?」
アルヴィスが言葉に詰まった。
ちょっと意地悪な聞き方をしたかな。
「そういうわけじゃない。
そうじゃなくて、今回はずいぶん長かったし他国との合同任務で気を張ることもあったろうし疲れてるだろうと……」
首を傾けてそれから?と目で問いかける。
エイルの瞳に悪戯な光が宿っているのを見つけたのかアルヴィスの言葉が止まる。
「もう終わり?」
もっともっとと期待を込めて見るけど頭を小突かれた。
これ以上は教えてくれないらしい。
残念。
伸びてくる手を引き寄せ頬に当てる。
ああ……、アルヴィスの体温だ。
久しぶりのその熱が心を満たす。
近づいてくる瞳に安堵や心配が混ざっていることに申し訳なさや待っててくれる嬉しさが湧いてくる。
降りてくるくちづけを自ら唇を開いて受け入れる。
優しく舌をなぞる感触に背筋が震えた。
深く受け入れるように唇をゆっくりと開きながら首に手を回す。
舌を絡めながら指先で喉元をくすぐられ、乱れた息が漏れた。
心地よさに細めた目で見上げる青は情欲を湛え、けれど、まだ冷静さを持ってエイルを見つめている。
離れていきそうな舌先を咎めるように舌と唇で食むと、意を得たと緩やかに舌が口内を弄び始めた。
「ふっ……」
いつの間にか首に回していた片手を取られて指を絡められていた。
壁に押し付けられ深いくちづけから逃げられない。
口を塞ぐように舌を差し込まれてさすがに苦しくなってくる。
離して、と訴えるように首を指で叩くと少しだけ離れてくれた。けれどまだ唇は触れ合っている。
じっと青い瞳を見上げると口の端を釣り上げて笑った。外では見せない顔。
「お前が望んだんだろう」
唇を舌先でなぞられて首の後ろに震えが走る。
少しだけ頭を上げるとまた舌が入ってきた。
繋いだのとは違う手で鎖骨をなぞりボタンを外していく。首から肩のラインを撫でる動きが柔らかくて欲を煽られるよりも安心や心地よさを感じる。
服を脱がせていく動きに利き手じゃないのに器用だな、なんてぼんやり考えていたら敏感な場所を掠められて身体が跳ねた。
恨めし気に睨むと宥めるように触れるだけのくちづけをされた。
目元を緩めると弧を描いた唇が首筋に降りていく。
片袖だけ抜かれたシャツの隙間から手を差し入れられ腰をくすぐられる。指先が這う感触がやけに明敏だった。
は、と息を吐くとズボンの上から腿を撫でられる。
直接は触れていないのに酷く官能的な動き。
ボタンを外すまでのゆっくりとした動きに焦らされている気分になる。
青い瞳が灯りに煌めいて光る。今日は殊更脱がすのを楽しんでいるようだ。
衣を剥がれ、空気に晒される度にアルヴィスの指が肌をなぞる。
全てを脱がされベッドに倒されるころには、肌への刺激だけで息が乱れていた。
手を伸ばしてアルヴィスの襟を掴む。
アルヴィスはまだ部屋に入ってきた時のまま、上着すら脱いでない。
乱された息を吐きながら眉を寄せると素早い動きで脱いだ服を投げ捨てる。
いつになく雑な動きにアルヴィスの高ぶりを感じると、エイル自身の体温が上がった気がした。
息を吐きながらアルヴィスを受け入れる。
ゆっくりと腰を進める動きに声を漏らすのを堪えていると首筋を食まれて声を上げてしまう。
揺らすようなゆったりした動きと激しくなる首への愛撫に翻弄され高められる。
息を乱すエイルを見つめる青に唇が勝手に動いた。
『……っと』
もっと、激しくしてと言いたかったのか。
深く、奥に来てと言いたかったのか。
首筋へ強く吸い付かれ激しくなった腰の動きにわからなくなる。
「あっ、ああっ!
くっ、……んぅっ!」
声を抑えたくてアルヴィスの肩にくちづける。
噛みついてしまいそうな衝動を唇で食むことで抑える。
「んっ……、っ、あああっ!!」
直後、一際激しく腰を打ち付けられ奥に放たれた飛沫に、耐えられなかった嬌声が上がった。
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