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共通ルート
身代わりの抱き方 ★
しおりを挟むしばらくぶりに訪れた男の姿に目を瞬く。
ここ数か月は男を見ていなかった。
数週間に一度は来ていたからずいぶん久しく感じる。
男の方もそう思っていたのか久しぶりだねと挨拶をされた。
いつものように男の要望を聞く。
毎回聞くものの男の要望はいつも同じ――、そのはずだった。
今日も俺を求めないで、受け入れないでと言われるのかと思っていた私は予想外のセリフに目をわずかに見開いた。
――俺に言うことに従ってくれる?
客相手に拒否する理由がない私は黙って頷いた。
瞳を合わせ、手に触れる。
魅了をかけるのはいつも通り、違っていたのはその後の扱いだった。
脱いで、と命じる声はいつもよりも低い。
言われるままにドレスを脱ぎ落しベッドに座ると男の目がぎらりと光った。
「ああ、美しい装飾だね、趣味が良い」
男が褒めたのは身に着けている下着のこと。
男の想い人は既婚者のようだったので落ち着いた色をベースにしているが、あまり落ち着きすぎても興が削がれると思ったので濃い色で刺繍を施し、品がありながらも扇情的にも見える一品を選んでいる。
いつも着衣のまま抱くことを好んでいたので下着について言及されたのはこれが初めてだった。
「その格好のまま、自分で高めてみて」
男の要求が意外で一瞬だけ固まり用意してある滑りをよくするための香油を手に取り、零す。
蓋を取った瓶からとろりとした液体が鎖骨から胸、臍、脚へと零れ、流れていく。
男は椅子に座ったままこちらを見ているだけで動こうとはしない。
いつもと趣向が違うことに戸惑いはするけれど、望まれるまま演じるだけ。
肌を舐める香油を広げるように指を滑らせ自分の体を撫でる。
こういう要望も受けたことはある。
想い人が自身を慰める姿を見たい。幻影であっても自分が触ることを厭う人からの要望だった。
決して自分を見ないでほしいと願い、自慰に耽る想い人の幻影を見つめ掴んだ自分の欲望から何度も精を吐き出させながらも苦しそうだった。
「ふっ……」
雑念を払い指先に集中する。
刺繍の上から胸の頂に触れ擦ると、段々と固く尖っていくのを感じる。
男の視線を受けながらもう片方の手を下に伸ばす。
すりっと薄布の上から花芯を刺激すると思わず腰が跳ねる。
気持ち良くて指の先で何度も刺激する。
「んんっ」
上の手が疎かになりかけ、美しい刺繍の上から尖りのある部分を刺激する。
下着越しの刺激がもどかしい。片胸だけ布をずらして香油でヌルつく指で尖りを撫でる。
てらりと光る赤い尖りが酷く淫らだった。
花芯を弄りながらもう片方の手で布に覆われたままの胸を掴み形を変えながら時折固くなった部分を押し、刺激する。
「んっ、んぁっ」
指先で花芯を押し、トロリと零れた蜜を秘所に塗りつけ指を中に滑り入れた。
「はっ、あ」
息を漏らし、一人で高めていく。
くちゅりと鳴る音が部屋に響いて、自らの行為のはしたなさを思い出させる。
二本の指を受け入れる秘所は、香油と蜜が混ざりとろとろと淫らな雫を零していた。
自らの指でいつも男の欲望を受け入れている中を広げると、男が嘲りの言葉を舌に乗せる。
「イイ格好だね、そうやって男を誘ってたんだ」
「……!」
ベッドの側まで来た男が酷薄な顔でミリアレナを見下ろす。
「そんなに蜜を溢れさせて、男のモノが待ちきれないみたいじゃない」
「……っぁ」
何も言わずに男を見上げた。
視線だけで、懇願するように。
「いいよ?
その口で淫らに誘って?
そうしたら欲しいモノを上げる」
取り出した男の欲望の証に何度も貫かれた中がひくりと動いた。
「中が、疼いてしかたないの。
あなたの、逞しいモノで慰めて?」
ミリアレナの台詞を男は鼻で笑う。
「違うでしょ。
俺の、じゃなくて男なら誰でもいいんでしょ?
ちゃんとそう言ってよ。
誰のでも良いから男のモノを咥えたくて仕方がないってさ」
何時になく嗜虐的な言葉で命じる男に、ミリアレナは言われるままに口を開いた。
「いいから早く頂戴……!
満たしてくれるなら誰でもいいの!
主人じゃなくても、あなたでなくても。
ただここに欲望を注いでくれれば!
ねえお願い、焦らさないで……。
早くその熱くて硬い欲望を頂戴……!」
待ちきれないと言うように大きく脚を開いて誘う。
「とんだ阿婆擦れだね。
でもいいよ、正直に言えたから上げる」
そのまま自分で脚開いててと冷たく言うと男は熱く滾った欲望を押し当てた。
「ああ……っ!!」
一気に入り込んできた欲望に悲鳴を上げる。
見上げた男は常にない冷たい瞳で想い人を見下ろし……。
荒々しい動きでミリアレナを突き上げた。
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