入学初日の婚約破棄! ~画策してたより早く破棄できたのであの人と甘い学園生活送ります~

紗綺

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番外編 ~ひたすら甘い新婚生活 & これからの二人 ~ など

アレクシスの真剣な助言

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結婚式を卒業式と同日に行う。
普通なら考えられない。
フェリシアから離れてルークに注意をする。

「お前なあ、普通に考えて学園から領地に戻ったその日に結婚式はないだろ!」

「卒業したらもう一秒たりとも待ちたくないんです」

俺がどれだけ長い間待っていたと思ってるんですかと俺を睨む目がマジでヤバイ。殺気が籠っている気がする。
たった一日すら伸ばしたくないとかどんだけ急ぐつもりなんだ。

「冷静になれ!
学園からお前たちの領地まで結構時間があるだろ。
着いたら日はもう暮れている!」

「ええ、暗くなっていても式に影響はありませんし、問題ないかと」

「花嫁のお披露目はどうするんだよ」

「お嬢のことなんて子供の頃から皆知っています。
今さら披露する必要なんてないのにわざわざ呼んでやるんだから一言ずつお祝いを述べれば十分でしょう」

誰も気にしませんよというルークの言葉を否定もできない。
元々は親族のみの予定で、俺とグレイスが参加するのは異例なんだとか。

「結婚式は一生のものだぞ。
グレイスも俺も参加を楽しみにしているし。
フェリシアだってウエディングドレスを着てお前の隣に並ぶのを楽しみにしているんじゃないのか」

「ウエディングドレスはちゃんとお嬢の希望を取り入れて作りましたし、俺も楽しみにしてます。
だから一刻も早く見たいんじゃないですか」

まあ、気持ちはわからんでもない。
他人のものになる寸前で自分の元に戻ってきたんだからもう離したくないのは当然だ。
自分のために着てくれるウエディングドレス姿を早く見たいのも理解はできる。
だがな……――。

「いいか、よーく考えろ。
アイツのことを想うなら」

急ぐばかりが良いわけじゃないと忠告をする俺に、心外だと言わんばかりの目を向けてくる。

「俺以上にお嬢のことを考えている人間はいませんよ」

「いや、絶対に今のお前は冷静じゃない」

真剣に忠告をする。
表情は平静にしか見えないが、行動を見る限り絶対に冷静さを失っていた。

「卒業式に出ないとしても、朝出て夕方ついて結婚式は無茶だろ」

ルークは先に戻って準備をしているらしいが。
時間通りに旅程が進むとも限らないわけだし、何よりも大切なことに気づいていない。

「いいか、よーく考えろ。
馬車に揺られて疲れ切った状態で結婚式は身体的にキツイだろ。
アイツの体力が許さない」

否を唱えそうなルークへ手を上げて言葉を止める。

「そんな疲れ果てたアイツ相手にお前は最後まで優しくできるのか。
暴走しないと誓えるのか?」

ルークが黙った。
自信がない、と……。
そうだろうな。
ここまでの言動を見ていて俺も危険しか感じない。

「一晩休んで落ち着いてからの方が絶対に良い!!
断言する!」

「……否定できません」

どれほど疲労困憊を訴えられても俺の腕の中にいるフェリシア様に何もしないでいられるわけがないとルークが頭を抱える。
何もしない選択肢はないし、何かしたら止められないと。

「じゃあ決定だな」

話は決まった。
これで酷いことにはならないだろう。
多分、恐らく。何もしなかったよりは。


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