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〜甘い学園生活送ります〜
待ち遠しくも
しおりを挟む学園が始まり、また王弟殿下に絡まれたりグレイス様とお互いの領地の話などしたりとごく普通の学生生活を楽しんでいる。
やはりというか元婚約者が退学になったことは広まっていないようだった。
領地とは手紙でやり取りをしていて、レポートで取り上げた取り組みの進捗を教えてくれている。
叔父上によるといくつか領地が快諾をしてくれたという。
その中にデイガルド侯爵家を挟んだ先にある領地の名前があって、些か意外な気持ちで詳しい内容を読み進めていく。
あちらの領主からおもしろい提案してくれた。
ハイラル伯爵領の北西にある領地も巻き込んで共同の保管場所を作らないかという話だ。
そこの領地は毎年デイガルド侯爵家から小麦を買っていたのに、水害があった年は販売を断られて水害は免れたのに食べる物に困ったという。
より高く購入する方に売るためにいつもの取引先を蔑ろにするのは、その年は儲かっても長い目で見れば多方向に恨まれる悪手なのに。
私たちが危機感を覚えたのと同じようにそこの当主もデイガルド侯爵家だけに販路を頼るのは危険だと思ったようだ。
こちらとしては願ったり叶ったりなので話を進めてくれるよう叔父上にお願いする手紙を書いていく。
指示するべきことを書き終えてペンを置こうか悩む。
『ルークが暴走してるんだけどどうしようか』
手紙の最後には暴走の内容が書いてあった。
溜息を抑えつつペンを滑らせる。
『ルークの好きにさせてください。
でもドレスの色は……』
卒業してすぐに結婚式を挙げられるように準備をしてくれるのは嬉しいしありがたい。
けれど黒に紫のドレスって……、挙式の後の食事会の席だとしても、ちょっと……。
色の割合によっては葬式みたいじゃない?
自分の色を纏わせたい気持ちが暴走している。
普段からもっとルークの色を身に着けた方が良いのかな?
悩んだ末に最後の言葉を書き換える。
『二人で相談するので話を止めておいてください』
ルークがどんな反応をするだろう。
ただダメとは言いたくない。
でも、黒と紫のウエディングドレスは……――。
可能な限り避けたい。
いや、でもそれほど親族もいないし恥は最低限で済むかも。
いやいや、叔父上だって『無い』と思ったから教えてくれたんだよね。
とりあえず話をしてみないとわからない。
次にルークが学園に来たら真っ先にその話をしようと決めて手紙に封をする。
なんだかちょっと不安になってきた。
ちなみにウエディングドレスはルークとの交渉の結果。あっさりと白を基調とした物になった。
だいぶ身を削った説得になったけれど。
ルークいわく、私に領地に帰らないと言われたショックで混乱してた時に発注した物で本意ではなかったと言っていたけれど。
私が聞かなかったらそのまま進める気だったんだよね?
任せたらまたおかしなことになるかもしれないとの不安を感じて、ドレスに関しては希望を細かく伝えることにした。
順調に進む学園生活に変化があったのは、肌寒くなってきた頃だった。
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