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入学初日の婚約破棄!
身辺調査は入念に
しおりを挟むまとめられた報告書をぱらぱらと捲りながら苛立ちを口に乗せる。
「学生の身でよくこんな場所に入り浸れるものだ」
報告書に書かれた素行に眉を顰める。
女性のいる酒場だけでなくいかがわしい店にまで出入りをしているとは。
婚約者のいる身で汚らわしい。
こんな男が身内になるのかと思うとぞっとする。
絶対に婚約を解消してやると改めて誓う。
家を乗っ取られる危機だからだけじゃなく関わりたくない人間だった。
「しかし残念だがこれは婚約を解消する理由にならないな」
何がなんでも解消してやりたくはなったが。
相手の有責にするには弱い。
「今のところただの遊びでしかないですからね」
黒髪の青年が、自身の持ってきた報告書を読む主に同意する。
「旺盛なのは向こうの家にとっては良いことなんでしょうが、
このまま手をこまねいていたらお嬢が危険ですね。
絶対に顔を合わせないでくださいよ」
「わかってる。 フェリシアとは会わせない」
一緒に学園に通ってなくて良かったと心から思う。
本来ならば同じ学年だった。
数年前、領地で起こった災害の復興がまだ半ばであったため入学を見合わせたけど、学園に通っていたらアイツの餌食になっていたかもしれない。
自分が言うのもなんだけど絶世の美女と言っても過言ではないと思う。
ちょっと微笑んだだけで理性を飛ばす者もいたくらいだ。
既成事実を作られて婚姻を早められたらこちらとしては非常に困ることになる。
「なんとか良い方法がないかな」
女関係が派手なだけでは難しい。
しかも商売をしている相手なら猶更。
家同士の契約に綻びを入れるには足りない。
ならば――……。
「理由なんて作ればいい」
口の端に笑みを浮かべて青年を見ると、笑みを深めて同意を示した。
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