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副団長 × アミル

約束にも満たない

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 何度も揺さぶられ快楽を吐き出した身体をぐったりと横たえ息を落ち着ける。
 いつの間にかすっかり夜も更けていてどれだけの間繋がっていたのかわからない。

「大丈夫? ほら、ポーション飲みな」

 そう言って封を開けたポーションを口に突っ込まれる。
 瓶に上級と書かれているのに気づいたが口を付けた後ではどうしようもないのでそのまま飲み下していった。
 底に残った分だけでも疲労回復に効果があるくらいのポーションだ。
 すぐにダルさも抜け、酷使し傷んでいた身体も調子を取り戻していく。

「カイルは大丈夫ですか?」

「俺? 大丈夫だよ」

 体力が戻ると酷くお腹が空いていることに気づき、用意してあった軽食へ手を伸ばす。

 用意周到な準備に呆れつつもありがたかった。

「もう一回する?」

「さすがにそれは……、出発に間に合わなくなりますよ」

 それもそうかと言うカイルに恐れを抱く。
 まだするつもりがあったなんて。
 食べ終えて落ち着くとじゃあ少し寝ようかと言われる。ポーションで体力は回復しても寝ないともたないからと。
 席を立つカイルに疑問をぶつける。

「僕は良いですけれどカイルは眠れるんですか?」

「ん?」

「人がいると眠れないんじゃないですか?」

 あの町で宿に泊まったときもあまり休めていないようだった。

「ああ、大丈夫だよ。
 このくらい休めれば十分かなってくらいは休めてるから」

 また微妙な返答をされる。
 それは休めていないって意味じゃないだろうか。

「アミルは邪魔にはならないから大丈夫」

 本当ですかと問うと嘘は言わないよと返ってきた。

 カイルはわかりにくい言い方をするし煙に巻くような表情で誤魔化すこともある。
 けれど、多分。
 完全な嘘を吐かれたことはない。

 邪魔にならないと言うのなら邪魔ではないのだ。きちんとした休養にはならなくても。


 寝転んだカイルから手招きをされてベッドに膝を付く。

 軽く掛けただけの上掛けからは鍛えられた身体が覗き、見下ろすアミルの視線を引きつけた。
 きれいに拭われた腹筋を見てぞくりと興奮が蘇りそうになる。
 アミルの視線を受けてカイルが笑う。
 何を想像していたのかわかっているみたいに。

「寝るんでしょ?」

 もうしないんじゃないのとからかうような表情。
 体力が回復したとはいえ今日はもう十分だとアミルだって思ってる。
 それと想像する自由は別の話だ。
 いつか飛沫を散らした腹筋に手の平を乗せ願いを口にする。

「いつかカイルの奥を汚させてください」

「…………気が向いたらね」

 たっぷり間があって返事が返される。
 カイルの答えに勝手に笑みが作られる。
 拒否はされなかったことに驚きと喜びが同時に浮かぶ。
 いつかの剣を選んでもらう話に続いて2つ目の願いだ。
 約束ではない、けれど。
 側にいるのが未来まで続くのなら。叶えてくれる日が来るかもしれない。
 そう思うと今を重ねるのが楽しみになる。
 笑っているとカイルの腕が伸ばされベッドの中に引きずり込まれた。

「明日も早いんだからさっさと寝な」

 目元を覆う手に目を閉じる。
 すぐに眠気は訪れた。
 明日目が覚めたときもカイルは同じベッドにいるだろうか。
 目を覚ます楽しみが、眠るのがもったいないという気持ちを静めていく。
 腕に頭を寄せると頬に何かが触れた。
 拘束のような腕を心地よいと感じる自分はおかしな人間かもしれない。
 けれど、そんなことはどうでもよくなる。
 落ちていく眠りに抗う気持ちは皆無だった。


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