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団長 × アミル

逃がせない熱 ★

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 ――。

 誰も通らない夜。外の水くみ場で水を被る。
 静まらない高ぶりをどうにか押さえたくて何度も水を被るのに、熱は一向に引く様子を見せない。
 昼に団長と話したことで、あの日を思い出してしまったことも一因なんだろう。
 団長の視線を思い出してぶるりと震える。
 それとも触れたら楽になるんだろうか。
 ちらりと昂りに視線を落とす。
 あの討伐の日から欲望に負けて何度か触れた。
 けれどどれだけ昂りに快楽を与えても、吐き出すことはできなかった。

 今日も同じだろう。
 辛くなるだけだとわかっている。
 なのに、また欲望に負けそうになる。

 手を下ろしかけた時、背後から声を掛けられた。

「何をやってるんだ?」

 訝し気な声に振り向くと怪訝な顔を浮かべた団長が歩いて来るところだった。

「団長……」

「アミルか、こんな時間に何をしてるんだ。
 ずぶ濡れで……、水浴びするような季節じゃないだろ」

 寒い時期とは言えなくても、こんな夜更けに水浴びをしているのがおかしい。
 風邪を引くぞと僕が用意していたタオルを投げてよこす。
 受け取ったタオルで軽く頭を拭き、首にかける。
 髪を拭く様子を見ていた団長が思案気に口を開く。

「やっぱりお前変だぞ?
 何かあるなら言え」

「何もありません」

 同じ返事をするアミルに団長が溜息を吐いた。

「どうしても俺に言うのが嫌ならカイルにでもいい、ちゃんと……」

「どうしてそこでカイルの名前が出るんですか?」

 自分が発したとは思えない冷たい声が出た。
 僕の反発に団長が驚いたような顔をしている。

「いや、カイルならお前の状態を知っているんじゃないかと思ってな」

 団長はただ案じているだけなのにどうしようもなく苛立ちが湧き上がる。

「知っていたらどうなると言うんですか。
 カイルに縋って助けてもらえとでも?」

 何を言ってるんだろう。
 何も知らない団長に苛立ちをぶつけてもどうにもならないのに。

「すみません、失礼します」

 このまま留まっていたら何を言うかわからない。
 立ち去ろうとしたアミルの肩を団長が掴んだ。

「待てっ、アミル!」

 振り向かされ掴まれた両肩を振り払うこともできない。
 団長の焼けるような真剣な瞳に痺れるような感覚に襲われた。
 肩を掴む強い力と真っ直ぐに射抜いてくる視線。

「離して、ください……」

 それだけを言うのがやっとだった。

 お願いです……、掠れるような声が届くより先に立っていられない足が崩れ落ちた。

「アミル……っ」

 慌てた様子の団長の声に返す余裕はない。
 はぁっ、と零した吐息はそれだけで宿した興奮を表すほど濡れていた。

 座り込んだ僕の足の間に兆すモノに気づいたのか、息を呑む音が聞こえる。

「アミル……」

 呆然とした声で僕の名前を呼ぶ団長を見上げ暴かれた欲望を認める。

「苦しいんです。
 高ぶるのに、どうにもできなくて苦しい。
 自分で触れてもイけなくて、水を被っても静まらない。
 なのに……」

 見下ろすと張り詰めたそこは先走りすら零して団長の視線に喜んでいた。

 羞恥のためか興奮故か潤む瞳で団長を見上げる。
 ごくりと喉を鳴らす音が聞こえた気がした。

 座り込むアミルの横に団長が膝を付く。
 団長の手がベルトに伸びるのを身じろぎも出来ずに見つめる。
 ぐり、と布の上から押されて腰が跳ねた。

「あっ、団長……っ」

 押し返そうと腕にかけた手が縋り付くように制服を掴む。
 それだけの快感で痛いくらいに張り詰めていた。

 無言でベルトを外され、寛げた部分から醜い欲望が露出する。
 先ほどの刺激だけでアミルのペニスはすっかり勃ち上がっていた。

 団長のごつごつした指がペニスに伸びる。
 かさついた指が触れただけで悩ましい声が出た。

「ひゃあんっ!」

 先走りで濡れたペニスを掴み擦り上げる。
 ただそれだけの官能的でもない動きなのに、熱を燻らせ続けた身体はすぐにも快感に弾けそうだった。

「団長……っ」

 快楽の滲む声で呼ぶと団長の手の動きが激しくなる。
 ダメ、と止める間もなく飛沫が舞った。

「ああああっっ!」

 久々の射精に快感の声を上げて身体を震わす。
 最後の一滴まで吐き出させるように下からゆっくりと扱き上げていく動きに腰を浮かせて快感の悲鳴を上げる。

「あっ、あっ、ああっ!」

 声を上げる度に団長の手がペニスを柔く刺激し快感が終わらないことを教えていく。
 口を押えて快感に耐えているとようやく長い射精が終わった。

 荒く息を漏らすアミルに団長の視線が注がれる。
 ペニスを掴む手はまだ離れない。

「あうっ」

 何を思ったのか団長の指が先端を撫でる。
 くりくりと穴の付近を刺激する指に快楽を得たペニスが硬さを取り戻していく。

「ああっ、団長、どうして……っ」

 団長の視線に籠った熱に問う言葉が止まった。

「あっ、ダメ、見ないで……っ」

「どうしてだ?」

 団長の低い声が問いかける。
 その間も手の動きは止まらない。

「ぅくっ……!」

 堪えようとしても堪えられない。団長の手の動きと、見つめる視線の熱さに快感が高まっていく。

「見られ、て、ると恥ずかし……っ」

 大きな手に全体を包み込まれて息が止まった。

「それだけか?」

 やわやわとペニスを揉む手つきは優しいのに容赦ない。
 まるで嘘を吐いていることを咎めるような動きだ。

「……っ!!」

 僕のペニスを優しく攻めながら視線は顔に注がれ表情の変化を見つめている。
 本当のことを言うまで離さないというような視線に泣きそうになりながら言葉を零す。

「だ、団長に、見られてると……っ。
 身体が熱くなって、……っん。
 感じてしまうっ、ので、これ以上見ないでっ……ぅ、ほしい、です」

 切れ切れの答えに団長は口を綻ばせ、緩く作った輪で扱き下ろす。
 よく言えたと褒めるような、満足そうな喜びの顔に見つめられながら僕は2度目の絶頂を迎えた。

「あああああっっ!」

 白濁が作る小さな水たまりに団長の膝が乗せられる。
 汚れてしまう、そう言いたいのに連続の深い絶頂に飛んだ意識は上手く言葉を発せない。

 快楽に打ち震え吐息を漏らす僕をしばらく見ていた団長は、やがてペニスから手を離すといつの間にか落ちていたタオルを水ですすぎ汗や白濁で汚れた僕を拭ってくれた。

 されるがままに身を清められ自室まで送られてもなお、僕ははっきりしない意識の中にいた。
 ベッドに倒れ込んで疲れからかすうっと眠りに落ちる。
 久方ぶりの眠りは深く穏やかで。
 すっきりとした頭で目を覚ました僕は翌日になってようやく何が起こったのか理解した。


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