ご主人様と猫少年

みき

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切なめな話

ナオくんともう一匹の猫2

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「お帰りなさ…っ!……だ…だれですか……」
「急にごめんねナオくん。この子はクロ」
「…あ、新しいペットですか…?俺、もういらない…?」

何を勘違いしたのかナオくんは目をウルウルさせだした。
僕はあわてて説明する。

「違うよ。ナオくんを捨てたりなんか絶対しないから、大丈夫。この子は捨て猫なんだけど、行く場所がまだ見つからなくてね。何日間かだけ泊めてあげたいんだけど…」
「…っ…」
「はじめまして。えっと、ナオだっけ?」
「……はい」
「俺クロ。何日かだけ一緒に住むけど、すぐ出てく予定だから、安心して」
「…いいかな?ナオくん」
「……」

ナオくんは控えめに、コクリと頷いてくれた。

こうして、僕とナオくん、クロの三人での生活が始まった。




*ナオ視点


家の中に、俺以外の見知らぬ猫がいる。
俺より年上で、大人だ。
自分の家の中なのに落ち着かない。
 
朝、ご主人様は急に仕事になったとかで、すごく申し訳なさそうに謝ってから、俺とその猫を置いて出て行った。

二人きり、だ。

緊張しながらリビングのイスに座る。

クロはソファに座ってテレビの画面を見ながら声をあげた。

「うわ、なつかしー」
「?」

画面を見ると、俺が一度家出をする原因になった玩具が映ってた。商品宣伝のコマーシャルらしい。

「俺達用の電動オナホじゃん。俺これすげー苦手…」
「っ!……おれも…苦手だった…」
「あ、わかる?」

クロは俺の方を振り返って聞いてきた。
俺はコクリと頷く。

「これ前のご主人様にお仕置きのときに散々使われてさー、ちょっとトラウマ」
「……」
「何回イッても止めてくんないし、ほんとイキっぱにさせられたなぁ…。気持ちいーけど刺激強すぎるんだよな、コレ」

うんうん頷く。
思わぬところで意気投合してしまった。


それから、俺は少しずつクロと話をするようになった。

クロは大人で、物知りだった。
俺の知らないことをたくさん教えてくれた。優しかった。
なんか、お兄ちゃんがいたら、こんな感じなのかなって、思った。

クロが来てから2日が過ぎて、3日が経った。…雨は、止むことなく降り続いていた。
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