ご主人様と猫少年

ナオくんの家出２

「…っ…お、おこる…？」

ナオくんは涙目で不安そうに僕を見上げてきた。
安心させるように頭を撫でてやる。

「怒らないよ」

ナオくんは言い出しづらそうに口を開いた。


「……あ、あの…おもちゃ……」
「？…おもちゃ？」
「俺の誕生日に、くれた…」
「ああ。プレゼントの電動オナホ？あれがどうかした？」
「……も、あの玩具いや…です…こわ、い…」
「……」
「さ、触るなら、ご主人様の手がいい…です…機械は…やです……」


予想外だ。
てっきり喜んでいるものだとばかり思っていた。
家出するほど嫌だったなんて…全然気付かなかった。

「……わかった。あれはもう使わないよ」
「ほんと、ですか？」
「うん。ごめんね。嫌だったのに気付けなくて。僕は飼い主失格だね…」
「ごしゅじんさま…」

ナオくんは僕の手のひらに自分からスリスリと頭を擦りよせてきた。
ナオくんの柔らかい髪の毛と、猫耳が触れる。
温かくて、ふわふわして、気持ちいい。


「…今から、ナオくんの好きなもの、買いにいこうか。」
「えっ？」
「ご飯でも、ゲームでも、なんでも好きなもの買ってあげる。新しいプレゼントだよ」
「な、なんでもいいんですかっ！？」
「うん」
「わーいっ！」

ご主人様だいすきーっと飛び跳ねながら喜ぶナオくん。
泣いたり笑ったり、素直な君が、僕も大好きだよ。