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「す、すみませんっ…変な声聞こえたからなんとかしなきゃと思って、先生呼ぶフリしました…俺、先輩だとは思わなくて……俺、そのっ……邪魔しました、よね?」

どうやら俺のウリの邪魔をしたと思っているらしい。平身低頭謝られた。律儀だ。

「ううん…今回はまじで無理やりヤられるとこだったから助かった…ありがと…」
「え…無理やりって、大丈夫なんですかっ!?」

無理やりという単語を聞いてすぐに傍に駆け寄られた。目線を合わせるようにしゃがみこまれる。

「未遂だから…だいじょうぶ…」
「ほんとに先生、呼んできましょうか。相談した方が…」
「いや…いいよ…自業自得だし。第一説明できないし」
「……」

破れた服の俺を見て、玉城くんは辛そうに眉根を寄せた。
自分の着ていたカーディガンをおもむろに脱ぐと、玉城くんは俺の肩にフワリと掛けてくれた。

「…立てますか?保健室に替えの服あるかも。着くまで俺の、着ててください。サイズ合わないかもしれませんけど…」

「ありがと…」

優しさが、胸に沁みた。

少し大きめの彼のカーディガンからは、玉城くんらしい爽やかな、いい香りがした。








保健室に着いた。ありがたいことに鍵もかかっておらず、保険医の姿もない。
整然と並ぶ棚を開け、二人で備品を漁る。
そのうちに玉城くんがシャツを見つけて手渡してくれた。

破れたシャツを脱ぎ、着替える。合間に雑談。

「それにしても久しぶりだよね。元気だった?」
「はい。…すみません…ほんとは会いに、行きたかったんですけど…」

玉城くんは申し訳なさそうに目を伏せた。
ん?……もしかして…

「…誰かに、何かされた?」
「…っ……」
「されたんだね」

…どうせ皆瀬辺りが俺の知らぬ間に脅迫紛いの嫌がらせでもしたのだろう。
ほんとにもう…。もう少しだけ会うの避けようかな。もし偶然会ってもセックスは断ろう。そうしよう。

「あ、そうだ…助けてくれたお礼何かしなきゃね」
「そんな、いいですよお礼なんて。無事でほんとに良かったです」

そういうわけにはいかない。
何がいいだろうか。
俺があげられるものなんて限られてる。
一度とめたシャツのボタンを俺は再び外していく。


「ヤろっか。玉城くん」

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