上 下
2 / 26

しおりを挟む
「…なぁおい」
「ん?」
「今日…いいか」
「…いくらくれんの?今日もう他に指名されちゃったから、そいつより多く出してくれんならヤるけど」
「っ…、3万」
「…ふーん。うん。いいよ。じゃあ今日の放課後、2階の化学準備室で待ってる」
「…ああ」

なんとも言えない複雑そうな表情を浮かべた先輩を残して、俺はその場を去った。




放課後。

チュ…クチュ…
「っは……んんっ…」
「……っ……廉」

俺は同性にモテる。
その証拠に、今接吻している相手も男だ。

キスをしながら俺のネクタイをほどき、少しもたつきながら俺のシャツのボタンを外していく先輩。
先輩はどこか必死で、なんだか可愛い。
思わずふふっと笑みがこぼれてしまった。

「…なんだよ」
「いーえ別に?」

先輩は苛ついたように眉根を寄せ、俺にまた深く口づけてきた。

名前は…たしか中山…だったか。
この学校ではなかなかの位置にいる不良で、けっこう多くの生徒に恐れられていた…と思う。
俺はあまりそういうことに興味がないし、金をもらえて、かつ気持ちいいなら別に相手が誰だろうと気にしない。

先輩がキスをしながら膝を俺の股間にグリグリ押し付けてきて、気持ちよさに俺の身体がビクリと跳ねた、まさにその時、ガラッと準備室の扉が開けられた。

「!?」
「えっ?」
「…」

先輩が驚きでビクッと震え、バッと扉の方をみる。
俺もつられてそちらを見る。
そこには、いかにも平凡といった風の1人の生徒が立っていた。
手に何冊ものノートを抱えて、目を丸くして、もつれ合う俺たちを見てた。

「…え…えと、あの…」
「…何見てんだよてめぇっ」
「ひっ!」

先輩は俺から離れるとその生徒に近寄り胸倉をつかんだ。
生徒は悲鳴を上げ、バサバサと手に持ったノートが落ち、床に広がった。

「誰だてめぇ…ここに何しにきたんだ?あ?」
「っ…ごめ、なさ」

先輩のドスのきいた声に震え上がる生徒。
短気な先輩はすでに腕を振り上げ、殴る一歩手前だ。

あーあ。めんどくさいけど、目の前で流血沙汰は困る。助けてやろう。

「せーんぱい」
「っ…」

乱れた服のまま先輩に近づき、振り上げた先輩の手に自分の手を絡ませる。
その時身体をすり寄せるのも忘れない。

「殴んなくってもいいでしょ。どうせ、もうここじゃヤレないし」
「はぁ?ふざけんなよ。金払っただろ。今更なしとか、」
「金もらった分はきちんとサービスするって…外でヤろうよって意味。ほら、前行ったホテル。あそこでいいじゃん。先に行っててよ」
「…絶対来いよ」
「うん。俺だってもう我慢出来ないし…そこで気持ちよくしてよ。…ね?」
「…っ」

耳元で囁くように言うと、先輩は少し顔を赤らめ、目の前の生徒から手を離した。
そして生徒を睨むと、落ちたノートを踏みつけ舌打ちをしながら準備室を出て行った。

その場には、乱れた服の俺と、平凡顔の生徒だけが残された。

俺はとりあえずシャツのボタンを止め、ネクタイを締め、服を整えた。

「…ごめんね?」
「ぇ…」
「先輩乱暴だからさぁ…よっと」

落ちたノートを拾い上げて、生徒に差し出す。

「はい」
「あ…あり、がとう」
「いーえ。それじゃあねー」

俺は生徒の横を通り過ぎ、準備室を出た。

廊下を歩きながらふと思った。

誰だったんだろ…あの子。ま、もう会わないだろーし、別にいっかぁ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

ヤンデレ化していた幼稚園ぶりの友人に食べられました

ミルク珈琲
BL
幼稚園の頃ずっと後ろを着いてきて、泣き虫だった男の子がいた。 「優ちゃんは絶対に僕のものにする♡」 ストーリーを分かりやすくするために少しだけ変更させて頂きましたm(_ _)m ・洸sideも投稿させて頂く予定です

隷属の証

Hypnos
BL
全寮制の男子校に入学した子が、寮のルームメイト達に調教されていくだけのお話。

部室でアナニーさせられた後に犯された話

煉瓦
BL
野球部の部室で副部長が不良に脅され、アナニーさせられた後に犯されます。

バイトで騙された男子大学生が連続絶頂する話

てけてとん
BL
簡単に稼げるバイトという文字に騙された男子大学生が、スライムらしき液体に絶頂させられ続けます

僕に溺れて。

ヨツロ
BL
無自覚美人の主人公が、ヤンデレ系幼馴染に溺愛される話です。初手監禁、そのまま射精管理、小スカ、アナル開発になります。基本的にR18シーンですが、特に際どいものには※をつけてあります。暴力は一切ありません。どろどろに愛されてる受けと、受けが好きすぎてたまらない攻めを書きます。薬の使用頻度高めです。

【完結】なぜ、王子の僕は幽閉されてこの男に犯されているのだろう?

ひよこ麺
BL
「僕は、何故こんなに薄汚い場所にいるんだ??」 目が覚めた、僕は何故か全裸で拘束されていた。記憶を辿るが何故ここに居るのか、何が起きたのかが全く思い出せない。ただ、誰かに僕は幽閉されて犯されていたようだ。ショックを受ける僕の元に見知らぬ男が現れた。 なぜ、王子で最愛の婚約者が居たはずの僕はここに閉じ込められて、男に犯されたのだろう? そして、僕を犯そうとする男が、ある提案をする。 「そうだ、ルイス、ゲームをしよう。お前が俺にその体を1回許す度に、記憶のヒントを1つやろう」 拘束されて逃げられない僕にはそれを拒む術はない。行為を行う度に男が話す失われた記憶の断片。少しずつ記憶を取り戻していくが……。 ※いままでのギャクノリと違い、シリアスでエロ描写も割とハード系となります。タグにもありますが「どうあがいても絶望」、メリバ寄りの結末の予定ですので苦手な方はご注意ください。また、「※」付きがガッツリ性描写のある回ですが、物語の都合上大体性的な雰囲気があります。

4人の乙女ゲーサイコパス従者と逃げたい悪役令息の俺

りゅの
BL
おそらく妹が買ったであろうR18の乙女ゲーの世界に入り込んでしまった俺は、気がついたらその世界の悪役として登場していた。4人のサイコパス従者に囲まれ絶体絶命ーーーやだ、視線が怖い!!帰りたい!!! って思ってたら………あれ?って話です。 一部従者に人外要素ある上バリバリ主人公総受けです。対戦よろしくお願いします。 ⚠️主人公の「身体の持ち主」かなりゲスいことやってます。苦手な方はお気をつけください 広告視聴・コメント・ブクマ大変励みになります。いつもありがとうございます。 HOT女性向けランキング 39位 BLランキング 22位  ありがとうございます 2024/03/20

知らないお兄さんたちに拉致監禁される男の子の話

まい
BL
高校1年生の碧(あお)はバイト帰りに拉致されてしまう。それから監禁され無理矢理、男たちにヤられる話です。

処理中です...