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仕置きの翌日
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朝、寮部屋のインターホンが鳴らされる。
昨日の仕置きのせいで気怠い身体を起こし扉を開けると、そこにいたのは俺の飼い主だった。
「おはよう。」
「……なんで…」
主人が俺の部屋に来るときは大抵調教の時だ。昨日の仕置きを思い出して体が強張る。もしかして、今日は朝から何かされるのだろうか。
「何してるの?行くよ」
「………どこに…」
「学校に決まってるでしょ」
「……一緒に、か?」
「そうだけど。…何?俺と一緒に登校するの嫌なわけ?」
「…そういうわけじゃ…ない、けど…」
普段は一緒に行ったりなんてしないだろ。
一体どういう風の吹き回しだろう。
状況を飲み込めない俺を見て、主人はため息をついた。
「…昨日は俺の勘違いで無理させたから様子見のついでだよ。もし登校中に倒れられでもしたら飼い主の俺の責任になるし。
それにまた黒沼みたいな奴に勝手に手出されちゃたまんないから朝は一緒に行くことにしたの。…まだ何か文句ある?」
「……」
…なんなんだ。つまり気まぐれということなのだろうか。気持ちが悪い。
が、そんなことは口が裂けても言えないので、俺は制服に着替えると主人と共に肩を並べて学校へ向かった。
「お?2人で仲良く登校とか珍しーな。」
校舎に入って廊下を歩き、教室へと向かっている途中に主人の友人…間宮玲と遭遇した。
「ついにヤって情でも湧いちゃった?」
「違うし。」
「でも昨日2人とも休んだんだろ?黒沼がなんか嬉しそうに言ってたけど」
「…玲ってなんであんな性格悪い奴と友達なわけ?」
「黒沼のことか?まぁクラスメートだし同じ飼い主だしなぁ。あいつ不良だけどたまにペット貸してくれるから俺は好き」
「…どうせそのペットにもフェラさせてるんでしょ」
「えっ何でわかんの?」
「あ?なんだ…一緒にいんじゃねぇか」
「っ!」
そこにさらに増えた声は、間違えようもなく。
「噂をすれば黒沼だ。はよっ」
「よー間宮。と、竜前と…竜前のペット」
黒沼は俺達に順番に視線を投げると、俺に一歩近付き顔を寄せニヤリと笑った。
「…意外と元気そうだな。昨日は竜前に何された?」
「…っ…」
「…散々犯されて捨てられたら俺が拾ってやろうと思ってたのによぉ……作戦失敗か……残念だ」
不意に黒沼から伸ばされた手が俺の顎を掴む。クイッと上向けられ、蛇のように狡猾そうな瞳が俺を射抜く。
ゾクリと、全身に怖気が走った。
「!」
その様子を見た主人はすぐさまその手を弾き俺と黒沼の間に割り込むと、黒沼をギッと睨み上げた。
「死ね」
「ククッ…開口一番それかよ竜前」
「当たり前でしょ。俺のこと騙した上に俺のペットに勝手に手出そうとするし。しばらく俺と奏多に近付かないでよ。」
「ハッ、約束は出来ねぇなぁ。俺もお前のペットに興味湧いちまったもんで」
「…また何かしたら、許さないから」
「…へぇ?許さないって、一体何してくれんだよ?ひ弱な竜前ちゃん」
「…喧嘩売ってんの?お前」
「まーまー。飼い主同士ケンカすんなって。ほら、もうすぐ教室だし。行こうぜ黒沼、またなー凪」
間宮が場をいさめるようにそう言って黒沼の腕を引く。
渋々と言った様子で引っ張られていく黒沼は、最後にまた俺を見てニヤリと笑い、ひらひらと手を振りながら教室の中へと消えていった。
残された主人は俺に背を向けたまま、冷たい声音で言った。
「…ねー奏多ぁ」
「…はい」
「…飼い主の俺の許可無く俺のペットに触るのって、校則違反だよね?」
「…?…ああ。」
「…ちょっと職員室行ってくる。先に教室入ってて」
「……わかった」
そう言ってその場から消えた主人。
俺は言いつけ通り自分の教室に入り席へと座った。
朝のホームルームの途中に教室に戻ってきた主人は、先ほどとは打って変わって機嫌が良さそうに見えた。
…?…なんだ…?
その様子を訝しんでいた、その時。
「はぁっ!?なんで俺が3日間の寮部屋謹慎なんだよっ!?~~~ッテメェ竜前!あることないこと先公に吹き込みやがったな!?」
他クラスから響いてきた黒沼の絶叫。
俺の隣の席に座る主人はケラケラと愉快そうに笑った。
「俺が泣き寝入りとかするわけないじゃん。ざまぁみろ、ばーか」
「…」
寮部屋謹慎…校則違反とはいえ教師の対応が早い。恐らく昨日の時点、俺が意識を失った後にも、主人は何らかの手を打っていたのではないだろうか。
抜け目のない飼い主。
…俺の主人はやはり、恐ろしい。
昨日の仕置きのせいで気怠い身体を起こし扉を開けると、そこにいたのは俺の飼い主だった。
「おはよう。」
「……なんで…」
主人が俺の部屋に来るときは大抵調教の時だ。昨日の仕置きを思い出して体が強張る。もしかして、今日は朝から何かされるのだろうか。
「何してるの?行くよ」
「………どこに…」
「学校に決まってるでしょ」
「……一緒に、か?」
「そうだけど。…何?俺と一緒に登校するの嫌なわけ?」
「…そういうわけじゃ…ない、けど…」
普段は一緒に行ったりなんてしないだろ。
一体どういう風の吹き回しだろう。
状況を飲み込めない俺を見て、主人はため息をついた。
「…昨日は俺の勘違いで無理させたから様子見のついでだよ。もし登校中に倒れられでもしたら飼い主の俺の責任になるし。
それにまた黒沼みたいな奴に勝手に手出されちゃたまんないから朝は一緒に行くことにしたの。…まだ何か文句ある?」
「……」
…なんなんだ。つまり気まぐれということなのだろうか。気持ちが悪い。
が、そんなことは口が裂けても言えないので、俺は制服に着替えると主人と共に肩を並べて学校へ向かった。
「お?2人で仲良く登校とか珍しーな。」
校舎に入って廊下を歩き、教室へと向かっている途中に主人の友人…間宮玲と遭遇した。
「ついにヤって情でも湧いちゃった?」
「違うし。」
「でも昨日2人とも休んだんだろ?黒沼がなんか嬉しそうに言ってたけど」
「…玲ってなんであんな性格悪い奴と友達なわけ?」
「黒沼のことか?まぁクラスメートだし同じ飼い主だしなぁ。あいつ不良だけどたまにペット貸してくれるから俺は好き」
「…どうせそのペットにもフェラさせてるんでしょ」
「えっ何でわかんの?」
「あ?なんだ…一緒にいんじゃねぇか」
「っ!」
そこにさらに増えた声は、間違えようもなく。
「噂をすれば黒沼だ。はよっ」
「よー間宮。と、竜前と…竜前のペット」
黒沼は俺達に順番に視線を投げると、俺に一歩近付き顔を寄せニヤリと笑った。
「…意外と元気そうだな。昨日は竜前に何された?」
「…っ…」
「…散々犯されて捨てられたら俺が拾ってやろうと思ってたのによぉ……作戦失敗か……残念だ」
不意に黒沼から伸ばされた手が俺の顎を掴む。クイッと上向けられ、蛇のように狡猾そうな瞳が俺を射抜く。
ゾクリと、全身に怖気が走った。
「!」
その様子を見た主人はすぐさまその手を弾き俺と黒沼の間に割り込むと、黒沼をギッと睨み上げた。
「死ね」
「ククッ…開口一番それかよ竜前」
「当たり前でしょ。俺のこと騙した上に俺のペットに勝手に手出そうとするし。しばらく俺と奏多に近付かないでよ。」
「ハッ、約束は出来ねぇなぁ。俺もお前のペットに興味湧いちまったもんで」
「…また何かしたら、許さないから」
「…へぇ?許さないって、一体何してくれんだよ?ひ弱な竜前ちゃん」
「…喧嘩売ってんの?お前」
「まーまー。飼い主同士ケンカすんなって。ほら、もうすぐ教室だし。行こうぜ黒沼、またなー凪」
間宮が場をいさめるようにそう言って黒沼の腕を引く。
渋々と言った様子で引っ張られていく黒沼は、最後にまた俺を見てニヤリと笑い、ひらひらと手を振りながら教室の中へと消えていった。
残された主人は俺に背を向けたまま、冷たい声音で言った。
「…ねー奏多ぁ」
「…はい」
「…飼い主の俺の許可無く俺のペットに触るのって、校則違反だよね?」
「…?…ああ。」
「…ちょっと職員室行ってくる。先に教室入ってて」
「……わかった」
そう言ってその場から消えた主人。
俺は言いつけ通り自分の教室に入り席へと座った。
朝のホームルームの途中に教室に戻ってきた主人は、先ほどとは打って変わって機嫌が良さそうに見えた。
…?…なんだ…?
その様子を訝しんでいた、その時。
「はぁっ!?なんで俺が3日間の寮部屋謹慎なんだよっ!?~~~ッテメェ竜前!あることないこと先公に吹き込みやがったな!?」
他クラスから響いてきた黒沼の絶叫。
俺の隣の席に座る主人はケラケラと愉快そうに笑った。
「俺が泣き寝入りとかするわけないじゃん。ざまぁみろ、ばーか」
「…」
寮部屋謹慎…校則違反とはいえ教師の対応が早い。恐らく昨日の時点、俺が意識を失った後にも、主人は何らかの手を打っていたのではないだろうか。
抜け目のない飼い主。
…俺の主人はやはり、恐ろしい。
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