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番外編
番外編1:腕相撲。
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「ッ…、」
―――う…、っそだろ…?こんな事って…っ、
「フッフッフゥ~…」
テーブルで向き合い…
俺の目の前の席に座る昴君が
俺の右手をガッチリとテーブルに押さえつけながら勝ち誇った笑みを見せ…
「ど~お~?黛さん……
僕ってと~~っても腕相撲が強いでしょう…?」
「くッ…、もっ…、もう一回…!」
「え~…?もう三回目だよ~?
三回やって、三回とも負けたんだから……もう諦めなよ~…」
「ッ…、お願いします…!あと一回だけ…!」
俺はどーしても目の前の華奢な天使に負けたことが認められず…
恥を忍んでテーブルに両手をつき…
額がテーブルに着きそうなくらい深々と頭を下げると――
昴君は「仕方ないなぁ~…」と呆れた笑みを浮かべながら言葉を続け…
「あともう一回だけだよ…?」
「昴君…!」
「!あっ、そだ!
どーせなら条件つけない?」
「…条件…?」
「そ!例えば…」
俺は嫌な予感がしつつも、昴君に聞き返すと
昴君は満面の笑みで応え…
「負けた方が――
勝った方にキスをするってのはどう?」
「キッ…?!駄目ですッ!そんなのっ…、
ッ絶対にダメっ!!」
「え~?ど~してぇ~??別にいいじゃん!キスぐらい…
既にもう――二回もした仲なんだしさ♡」
「ッ!あ…、アレは…!昴君が無理矢理…
と…兎に角!駄目なもんは駄目ですっ!
大体――それだと勝っても負けても昴君が嬉しいだけじゃないですか!」
「え~?そんな事ないよ!
黛さんだって嬉しいハズ!そーでしょう…?」
そう言って昴君が椅子から腰を浮かしながらズイッ!と
その美しいご尊顔を俺の顔を近づけ…
「ッ…、」
「…嬉しいよねぇ…?黛さんも…
なんたってこの僕と…
“推し”と――キス出来るんだからさぁ…」
「そっ…、それは――」
俺はゴクッ…と生唾を飲み込みながら
その視線は無意識のうちに、間近にある昴君の唇に吸い寄せられ…
―――昴君の唇……
葛餅みたいにプルプルとしていて柔らかかったな……って
いかんいかんっ!
「ッ、」
パンッ!パンッ!
「わっ…何っ?!どーしたの??突然…」
「………」
俺は自分の煩悩を振り払う様に、自分の両頬を両手で思い切り叩くと――
座っていた椅子からスクッと立ち上がり…
「…止めます。」
「え…?止めるって何を…」
「腕相撲……もう結構です。
俺、やる事あるんで……それじゃあ――」
そう言って俺はなるべく昴君の方を見ずに
何事もなく、その場から立ち去ろうとしたが――
テーブルから離れようとした俺の手を…
昴君が席から立ち上がりながら、凄い速さで掴んできてて…
「…ダメだよ。そんなの…」
「っ昴君…」
「黛さんの方から「お願いだからもう一回やろう」って言ってきたんだよ…?
なのに自分に都合の悪い条件が出た途端、止めるだなんて…
それは余りにも身勝手すぎない…?」
「ッそれは…」
昴君のあまりの正論に、俺はきょどりながら言葉に詰まる…
するとそんな中…
昴君が掴んでいた俺の手を突然パッと離し――
「――でもま。仕方ないよねぇ~…」
「え…?」
「だって黛さんって“すっごく弱い”もの…
きっともう一回やったって負けると分かっているから――
だからそうやって僕から逃げるんでしょう…?カッコ悪ぅ~…フフッ!」
「…ッ、」
明らかな挑発に…
俺は一瞬…昴君の方を向こうとしたが――
そこを何とかグッ…と堪えると…
俺は引いた椅子を元に戻し、そのままリビングから出ようと歩き出したその時
昴君の方から「ハァ~~…」という大きな溜息が漏れ聞こえ…
「始めっから負けるのが怖くて逃げるだなんて…
所詮元ヤクザといっても意気地が無いんだね。黛さんって…
ガッカリだよ。」
「―――ッ!!」
俺をその気にさせるための挑発だという事は分かり切っていた事だけど…
それよりも昴君に“ガッカリ”と言われた事の方が何だか胸にグサッときて――
俺は出て行こうとした足をその場で止めると
気づけばクルリとその方向を変え――
昴君に向って歩き出していて…
「…あ。今ので怒っちゃった?」
「…………やっぱり……もう一回戦やりましょう。腕相撲。」
「フフッ!いいよ~?そーこなくっちゃ!
負けたらキスね。」
「ッ……はい。」
そう言うと――
俺と昴君は再び向かい合って席に着き…
互いにガッチリと手を組ながらお互の顔を見つめ合うと――
不敵な笑みを浮かべる昴君が「Ready……」と呟き…
次の瞬間「Go!」という合図と共に、俺と昴君は相手の手をテーブルに着けるべく
全力でお互いの腕を自分の方へと引き込みあった…
※ ※ ※
10分後。
テーブルに突っ伏しながら震える片方の腕を茫然と見つめる俺の姿がそこにはあり…
「…さっきの三回戦よりかは――随分と粘ったね。」
「ッ…どーして…」
「ん…?」
「どうして昴君はこんなにも…」
「強いのかって?」
「………」
身長は大差ないとはいえ…
それでも力と体力に自信のあった俺は、一見華奢に見える昴君に負けたことに
心底驚きを隠せなくて…
「実は僕さ。公式のプロフィールには載せてないんだけどね?
小さい頃からお祖父ちゃんの影響で――
極真空手と合気道を習っててさ…
そのお陰で結構強いんだよね~…僕…
あ!ちなみにどっちも黒帯で、空手の方は黒帯弐段となっております。」
「え…」
―――極真空手の黒帯弐段ってマジかよ……とてもそうには――
…ん?でも待てよ…?
そこで俺は不意に――
昴君にベッドに押し倒された時の事を思い出し…
―――確かにあの時…
俺がどんなに昴君の胸や肩を押してもビクともしなかったし…
それにあの時は焦りすぎて気にも留めなかったけど――
昴君の胸や肩……今思い返せば確かにガッチリとした厚みがあったような…
「…………」
「…まだ信じらんない?だったら見てみる?
僕の自慢の六つに割れた腹筋を…」
そう言って昴君はおもむろに自分の着ているトレーナーの裾を捲り上げ…
俺は慌てて止めに入る。
「わーーーっ!結構です結構ですっ!!
昴君が強いのはもう十分に分かりましたからっ!」
「…そ~お~?残念だな~…
黛さんに見て欲しかったのに……僕の身体。」
「ッ…、」
「…ま、いっか。これから先――
黛さんに僕の身体を見てもらう機会なんて、いくらでもある筈だし…
そんな事よりも今は――」
「…?」
昴君はテーブルの上に投げ出され――
今は碌に力の入らない俺の利き手を、そっと両手で包み込むように握りしめると
目を閉じながらズイッとその顔を俺に近づけ…
「…はい、黛さん。」
「…??」
「…黛さん?」
「っあのぉ~……何か…?」
「んもうっ!忘れちゃったのっ?!
負けた方から勝った方にキスするの!」
「あっ…」
「ホラ~!早く早く!」
「ッ…」
―――キス待ち顔の昴君……可愛い…っ!
ッ、しかし…
俺はゴクッ…と生唾を飲み込みながら、キスを待つ昴君の顔に
意を決して自分の顔を近づけると――
目を閉じながら一思いに…
チュッ…
「………え?」
「じゃ!俺は仕事があるんでコレで失礼します!」
「ちょっ、、ちょっと待ってよ黛さん!キスは?!?」
「今ほっぺにしたでしょ?」
「はあっ!?普通キスといったら唇でしょう?!」
「…唇にキスするなんて……誰が言いました?」
「う”…、そっ、それは――」
「ほっぺでもキスはキスです。それじゃあ俺はもう――行きますね?」
「あっ……待って…!」
昴君が止めるのも聞かず…
俺は気恥ずかしさで顔を真っ赤にしながら、足早にリビングを後にすると――
―――ほっぺも柔らかかったな……昴君…
などと思いながら風呂掃除をするために、バスルームへと向かった…
―――う…、っそだろ…?こんな事って…っ、
「フッフッフゥ~…」
テーブルで向き合い…
俺の目の前の席に座る昴君が
俺の右手をガッチリとテーブルに押さえつけながら勝ち誇った笑みを見せ…
「ど~お~?黛さん……
僕ってと~~っても腕相撲が強いでしょう…?」
「くッ…、もっ…、もう一回…!」
「え~…?もう三回目だよ~?
三回やって、三回とも負けたんだから……もう諦めなよ~…」
「ッ…、お願いします…!あと一回だけ…!」
俺はどーしても目の前の華奢な天使に負けたことが認められず…
恥を忍んでテーブルに両手をつき…
額がテーブルに着きそうなくらい深々と頭を下げると――
昴君は「仕方ないなぁ~…」と呆れた笑みを浮かべながら言葉を続け…
「あともう一回だけだよ…?」
「昴君…!」
「!あっ、そだ!
どーせなら条件つけない?」
「…条件…?」
「そ!例えば…」
俺は嫌な予感がしつつも、昴君に聞き返すと
昴君は満面の笑みで応え…
「負けた方が――
勝った方にキスをするってのはどう?」
「キッ…?!駄目ですッ!そんなのっ…、
ッ絶対にダメっ!!」
「え~?ど~してぇ~??別にいいじゃん!キスぐらい…
既にもう――二回もした仲なんだしさ♡」
「ッ!あ…、アレは…!昴君が無理矢理…
と…兎に角!駄目なもんは駄目ですっ!
大体――それだと勝っても負けても昴君が嬉しいだけじゃないですか!」
「え~?そんな事ないよ!
黛さんだって嬉しいハズ!そーでしょう…?」
そう言って昴君が椅子から腰を浮かしながらズイッ!と
その美しいご尊顔を俺の顔を近づけ…
「ッ…、」
「…嬉しいよねぇ…?黛さんも…
なんたってこの僕と…
“推し”と――キス出来るんだからさぁ…」
「そっ…、それは――」
俺はゴクッ…と生唾を飲み込みながら
その視線は無意識のうちに、間近にある昴君の唇に吸い寄せられ…
―――昴君の唇……
葛餅みたいにプルプルとしていて柔らかかったな……って
いかんいかんっ!
「ッ、」
パンッ!パンッ!
「わっ…何っ?!どーしたの??突然…」
「………」
俺は自分の煩悩を振り払う様に、自分の両頬を両手で思い切り叩くと――
座っていた椅子からスクッと立ち上がり…
「…止めます。」
「え…?止めるって何を…」
「腕相撲……もう結構です。
俺、やる事あるんで……それじゃあ――」
そう言って俺はなるべく昴君の方を見ずに
何事もなく、その場から立ち去ろうとしたが――
テーブルから離れようとした俺の手を…
昴君が席から立ち上がりながら、凄い速さで掴んできてて…
「…ダメだよ。そんなの…」
「っ昴君…」
「黛さんの方から「お願いだからもう一回やろう」って言ってきたんだよ…?
なのに自分に都合の悪い条件が出た途端、止めるだなんて…
それは余りにも身勝手すぎない…?」
「ッそれは…」
昴君のあまりの正論に、俺はきょどりながら言葉に詰まる…
するとそんな中…
昴君が掴んでいた俺の手を突然パッと離し――
「――でもま。仕方ないよねぇ~…」
「え…?」
「だって黛さんって“すっごく弱い”もの…
きっともう一回やったって負けると分かっているから――
だからそうやって僕から逃げるんでしょう…?カッコ悪ぅ~…フフッ!」
「…ッ、」
明らかな挑発に…
俺は一瞬…昴君の方を向こうとしたが――
そこを何とかグッ…と堪えると…
俺は引いた椅子を元に戻し、そのままリビングから出ようと歩き出したその時
昴君の方から「ハァ~~…」という大きな溜息が漏れ聞こえ…
「始めっから負けるのが怖くて逃げるだなんて…
所詮元ヤクザといっても意気地が無いんだね。黛さんって…
ガッカリだよ。」
「―――ッ!!」
俺をその気にさせるための挑発だという事は分かり切っていた事だけど…
それよりも昴君に“ガッカリ”と言われた事の方が何だか胸にグサッときて――
俺は出て行こうとした足をその場で止めると
気づけばクルリとその方向を変え――
昴君に向って歩き出していて…
「…あ。今ので怒っちゃった?」
「…………やっぱり……もう一回戦やりましょう。腕相撲。」
「フフッ!いいよ~?そーこなくっちゃ!
負けたらキスね。」
「ッ……はい。」
そう言うと――
俺と昴君は再び向かい合って席に着き…
互いにガッチリと手を組ながらお互の顔を見つめ合うと――
不敵な笑みを浮かべる昴君が「Ready……」と呟き…
次の瞬間「Go!」という合図と共に、俺と昴君は相手の手をテーブルに着けるべく
全力でお互いの腕を自分の方へと引き込みあった…
※ ※ ※
10分後。
テーブルに突っ伏しながら震える片方の腕を茫然と見つめる俺の姿がそこにはあり…
「…さっきの三回戦よりかは――随分と粘ったね。」
「ッ…どーして…」
「ん…?」
「どうして昴君はこんなにも…」
「強いのかって?」
「………」
身長は大差ないとはいえ…
それでも力と体力に自信のあった俺は、一見華奢に見える昴君に負けたことに
心底驚きを隠せなくて…
「実は僕さ。公式のプロフィールには載せてないんだけどね?
小さい頃からお祖父ちゃんの影響で――
極真空手と合気道を習っててさ…
そのお陰で結構強いんだよね~…僕…
あ!ちなみにどっちも黒帯で、空手の方は黒帯弐段となっております。」
「え…」
―――極真空手の黒帯弐段ってマジかよ……とてもそうには――
…ん?でも待てよ…?
そこで俺は不意に――
昴君にベッドに押し倒された時の事を思い出し…
―――確かにあの時…
俺がどんなに昴君の胸や肩を押してもビクともしなかったし…
それにあの時は焦りすぎて気にも留めなかったけど――
昴君の胸や肩……今思い返せば確かにガッチリとした厚みがあったような…
「…………」
「…まだ信じらんない?だったら見てみる?
僕の自慢の六つに割れた腹筋を…」
そう言って昴君はおもむろに自分の着ているトレーナーの裾を捲り上げ…
俺は慌てて止めに入る。
「わーーーっ!結構です結構ですっ!!
昴君が強いのはもう十分に分かりましたからっ!」
「…そ~お~?残念だな~…
黛さんに見て欲しかったのに……僕の身体。」
「ッ…、」
「…ま、いっか。これから先――
黛さんに僕の身体を見てもらう機会なんて、いくらでもある筈だし…
そんな事よりも今は――」
「…?」
昴君はテーブルの上に投げ出され――
今は碌に力の入らない俺の利き手を、そっと両手で包み込むように握りしめると
目を閉じながらズイッとその顔を俺に近づけ…
「…はい、黛さん。」
「…??」
「…黛さん?」
「っあのぉ~……何か…?」
「んもうっ!忘れちゃったのっ?!
負けた方から勝った方にキスするの!」
「あっ…」
「ホラ~!早く早く!」
「ッ…」
―――キス待ち顔の昴君……可愛い…っ!
ッ、しかし…
俺はゴクッ…と生唾を飲み込みながら、キスを待つ昴君の顔に
意を決して自分の顔を近づけると――
目を閉じながら一思いに…
チュッ…
「………え?」
「じゃ!俺は仕事があるんでコレで失礼します!」
「ちょっ、、ちょっと待ってよ黛さん!キスは?!?」
「今ほっぺにしたでしょ?」
「はあっ!?普通キスといったら唇でしょう?!」
「…唇にキスするなんて……誰が言いました?」
「う”…、そっ、それは――」
「ほっぺでもキスはキスです。それじゃあ俺はもう――行きますね?」
「あっ……待って…!」
昴君が止めるのも聞かず…
俺は気恥ずかしさで顔を真っ赤にしながら、足早にリビングを後にすると――
―――ほっぺも柔らかかったな……昴君…
などと思いながら風呂掃除をするために、バスルームへと向かった…
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