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芸能事務所の人。
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出社の時間…
俺はアパートを出て、駐車場に停めてある中古の軽に乗ると
ニコニコエブリデーに向け、車を発進させ…
―――思えばコイツ(軽自動車)も――
あの時天崎君から貰った金で買ったんだよな…
俺は車を運転しながら感慨深げにハンドルを擦る。
―――それにしても…
天崎君がアイドルの星駆 昴君と知った時には流石に驚いたなぁ…
ヤクザをやっていた時は、借金の取り立てやらシノギの回収やらで忙しくて
碌にテレビやネットなんて見ていなかったから
アイドルには詳しくなかったけど…
破門され――天崎君から受け取った金で病院で治療を受け…
その後ネカフェなどを点々としていた時に
テレビで天崎君を見た時は本当に驚いた…
とある音楽番組で…
色とりどりにライトアップされたステージの上を――
そんなライトに負けないくらいキラキラに輝きながら歌って踊る天崎君こと
“星駆 昴”君の姿を見て、一瞬で心を奪われてしまった事を思い出し…
俺は運転中にも関わらず、思わずフフッ…と微笑む。
―――それからはもう――吸い込まれるようにして
“αστέρας(アステラス)の星駆 昴”にハマったな…
子供の頃に見た満天の星空に心を奪われたみたいに…
「αστέραςなんて…
まさに昴君の為にあるようなグループ名だよな。ホント…
お!もうすぐ着くな。気を引き締めないと…」
契約書の事もあり……若干緊張気味だった俺は大きく息を吐き出すと――
見えて来たニコニコエブリデーの駐車場に慎重に車を進めた…
※ ※ ※
駐車場に車を停め、俺が事務所に顔を出すと
早速葛西さんがニコニコと笑顔で俺を出迎え…
「待ってたわ~黛さん!――それで?
契約書の方にはちゃんとサインはしてくれた?」
「…はい。こちらをどーぞ。」
そう言って俺は自分の名前が書かれた契約書を葛西さんに差し出すと
葛西さんはソレを満面の笑みで受け取り…
「ちゃんと乙の欄に自分の名前を書いてくれたわね。
ありがと~黛さん!助かったわぁ~…
…それじゃあ――早速で悪いんだけど…
これから天崎さんのマンションに向ってくれる?」
「………は?」
「「は?」じゃないわよ…
契約書にもちゃんと書いてあるでしょ…?
“契約したその日の内から来てください。”って…」
「――ッ!マジかよ…」
―――契約するかどうかにばかり気を取られてて…そこは見逃してた…!
「っでも俺……今日行っても何をしたらいいのか…
契約書には“マネージャーがその日やる事を事前にメールで伝える”と
書かれていましたが
俺のスマホにはそんなメール一件も…」
「ああ!それはホラ…
私はもう既にOKはしたけれども――
貴方自身がまだ契約書にサインするかどうかは分からなかったじゃない?
だから昨日来た芸能事務所の人には
貴方のメールアドレスを教えるのを控えていたのだけど…
でも昨日来た芸能事務所の人曰く
『…大丈夫。黛さんはこの仕事を断りはしませんよ。』との事だったので
既に昨日の内に――
その芸能事務所の方から天崎さんのマンションの住所と
共有玄関のオートロックの暗証番号…
それと部屋の鍵と今日やる事のリストを受け取っておいたから…無くさないでね?」
そう言って葛西さんは俺にマンションの鍵と――
住所と暗証番号…それと今日やる事のリストが書かれたメモを俺に渡すと
笑顔で俺に手を振り…
「それじゃあ――頑張って来てね!」
「えっ…、あ……はい…」
俺はなぁ~んか腑に落ちないまま、葛西さんに背中を押されながら事務所を後にし…
「フゥ~……行ったわね。
それにしても昨日此処を訪れた芸能事務所の人……綺麗だったわねぇ~…
芸能事務所の人って雑用をこなす人まで皆あんなに綺麗なのかしら…?」
俺はアパートを出て、駐車場に停めてある中古の軽に乗ると
ニコニコエブリデーに向け、車を発進させ…
―――思えばコイツ(軽自動車)も――
あの時天崎君から貰った金で買ったんだよな…
俺は車を運転しながら感慨深げにハンドルを擦る。
―――それにしても…
天崎君がアイドルの星駆 昴君と知った時には流石に驚いたなぁ…
ヤクザをやっていた時は、借金の取り立てやらシノギの回収やらで忙しくて
碌にテレビやネットなんて見ていなかったから
アイドルには詳しくなかったけど…
破門され――天崎君から受け取った金で病院で治療を受け…
その後ネカフェなどを点々としていた時に
テレビで天崎君を見た時は本当に驚いた…
とある音楽番組で…
色とりどりにライトアップされたステージの上を――
そんなライトに負けないくらいキラキラに輝きながら歌って踊る天崎君こと
“星駆 昴”君の姿を見て、一瞬で心を奪われてしまった事を思い出し…
俺は運転中にも関わらず、思わずフフッ…と微笑む。
―――それからはもう――吸い込まれるようにして
“αστέρας(アステラス)の星駆 昴”にハマったな…
子供の頃に見た満天の星空に心を奪われたみたいに…
「αστέραςなんて…
まさに昴君の為にあるようなグループ名だよな。ホント…
お!もうすぐ着くな。気を引き締めないと…」
契約書の事もあり……若干緊張気味だった俺は大きく息を吐き出すと――
見えて来たニコニコエブリデーの駐車場に慎重に車を進めた…
※ ※ ※
駐車場に車を停め、俺が事務所に顔を出すと
早速葛西さんがニコニコと笑顔で俺を出迎え…
「待ってたわ~黛さん!――それで?
契約書の方にはちゃんとサインはしてくれた?」
「…はい。こちらをどーぞ。」
そう言って俺は自分の名前が書かれた契約書を葛西さんに差し出すと
葛西さんはソレを満面の笑みで受け取り…
「ちゃんと乙の欄に自分の名前を書いてくれたわね。
ありがと~黛さん!助かったわぁ~…
…それじゃあ――早速で悪いんだけど…
これから天崎さんのマンションに向ってくれる?」
「………は?」
「「は?」じゃないわよ…
契約書にもちゃんと書いてあるでしょ…?
“契約したその日の内から来てください。”って…」
「――ッ!マジかよ…」
―――契約するかどうかにばかり気を取られてて…そこは見逃してた…!
「っでも俺……今日行っても何をしたらいいのか…
契約書には“マネージャーがその日やる事を事前にメールで伝える”と
書かれていましたが
俺のスマホにはそんなメール一件も…」
「ああ!それはホラ…
私はもう既にOKはしたけれども――
貴方自身がまだ契約書にサインするかどうかは分からなかったじゃない?
だから昨日来た芸能事務所の人には
貴方のメールアドレスを教えるのを控えていたのだけど…
でも昨日来た芸能事務所の人曰く
『…大丈夫。黛さんはこの仕事を断りはしませんよ。』との事だったので
既に昨日の内に――
その芸能事務所の方から天崎さんのマンションの住所と
共有玄関のオートロックの暗証番号…
それと部屋の鍵と今日やる事のリストを受け取っておいたから…無くさないでね?」
そう言って葛西さんは俺にマンションの鍵と――
住所と暗証番号…それと今日やる事のリストが書かれたメモを俺に渡すと
笑顔で俺に手を振り…
「それじゃあ――頑張って来てね!」
「えっ…、あ……はい…」
俺はなぁ~んか腑に落ちないまま、葛西さんに背中を押されながら事務所を後にし…
「フゥ~……行ったわね。
それにしても昨日此処を訪れた芸能事務所の人……綺麗だったわねぇ~…
芸能事務所の人って雑用をこなす人まで皆あんなに綺麗なのかしら…?」
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