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???side
会場で彼を見た瞬間…“運命”だって感じた…
ああ…“運命”って――こんな風に感じる事が出来るんだって…
心臓がドクンッて跳ね上がって
周りの色が彼以外全て色あせて見えて
更に全神経が総毛立ちながらこう叫ぶんだ…
『彼が“運命”だ!』って…
会場で誰かを探して慌てふためいている彼を見て
今直ぐにでも駆け寄りたかったけど…余りに人が多くて…
非力な僕じゃ…人波を掻き分ける何てとても出来なくて…
悔しかった…あんなに近くに“運命”を感じる事が出来た人がいるっていうのに
彼に近づけなかった事が…
きっとちょっとでもフェロモンを出す事が出来ていたら
彼は僕に気づいてくれたかもしれないけれど…
Ωは会場に入る際には強制的に抑制剤を飲まされるからそれも叶わなくって…
酷いよね?“運命”の出会いの邪魔をするなんてさ…
それにしても…彼は本当にカッコイイ…
野生のチーターみたいでしなやかで綺麗で…
そんな彼の動向を一瞬たりとも逃がしたくなくて
会場を慌てて飛び出した彼の後を、僕もこっそりと後をつけてみたんだ
ひょっとしたら二人きりに…
それは無理でも彼が一瞬たりとも僕の方を見てくれれば
彼が気づいてくれるんじゃないかと思って…
僕が彼の“運命”だって事に…
そんな淡い期待を抱きつつ彼の後を追ったら
何故か会場で彼と言い争っいたα二人と彼が一緒に凄い勢いで廊下を駆け出して――
僕はあっという間に彼を見失ってしまって途方に暮れた…
しばらくして、ロビー付近をうろついていたら
αのラットに近いフェロモンが漂ってきて
僕は瞬時に『あ!あの人の匂い!』って感じとる事が出来た
残念ながら抑制剤のせいで彼のフェロモンで欲情する事は出来なかったけど…
僕は匂いを頼りに彼を探した
そしたら思いの他早く彼を見つける事が出来たけど――
「――命様…部屋の――鍵です…」
「…ッ、すま…ない…」
ソレ、誰?
彼はお付きの人と思われる女性と
何やら深刻そうな表情をしながらやり取りをしているけど
僕はそれよりも彼に大事そうに抱えられている冴えない男の存在に気を取られ
二人のやり取りに集中できず…
僕はただひたすら、彼が大事そうに抱えている男を睨み続ける
ねぇ…そいつ何なの?Ω…?
いや違う…
よくわかんないけどΩじゃない…多分β…
だって…何のオーラも華もない普通の男に見えるんだもの…
なんなのソレ。
何でそんな冴えないただのβの男をそんなに大事そうに抱えているの?
何で――
そんな慈しむ様な眼差しで冴えないそいつの事を見つめているの…?
今まで嫉妬なんてされた事はあってもした事の無い僕の中で
沸々と煮えたぎる感情が湧き上がり
僕の身体を覆い尽くして震わせる…
そいつ…何なの?ねぇ…ねぇってば…っ!
嫉妬で震える僕の目の前で
二人を乗せたエレベーターのドアが閉まる…
許せない…
あんな冴えない…
ましてやΩでもない普通のβの男が彼の傍にいるのが許せない…!
彼の傍にいていいのは僕だけ…
彼の“運命”である僕こそが
彼に大事にされ、彼の傍にいるのが相応しいのに…!
僕は今一度、彼に大事そうに抱えられていたあの冴えないβの顔を思いだし
嫉妬で腸(はらわた)が煮えくり返り
叫び出しそうになるのをグッと堪えながら
二人が乗り込んだエレベーターのドアを睨み続けた…
邪魔だな…あの男…
どうにかして――彼から引き離さないと…
会場で彼を見た瞬間…“運命”だって感じた…
ああ…“運命”って――こんな風に感じる事が出来るんだって…
心臓がドクンッて跳ね上がって
周りの色が彼以外全て色あせて見えて
更に全神経が総毛立ちながらこう叫ぶんだ…
『彼が“運命”だ!』って…
会場で誰かを探して慌てふためいている彼を見て
今直ぐにでも駆け寄りたかったけど…余りに人が多くて…
非力な僕じゃ…人波を掻き分ける何てとても出来なくて…
悔しかった…あんなに近くに“運命”を感じる事が出来た人がいるっていうのに
彼に近づけなかった事が…
きっとちょっとでもフェロモンを出す事が出来ていたら
彼は僕に気づいてくれたかもしれないけれど…
Ωは会場に入る際には強制的に抑制剤を飲まされるからそれも叶わなくって…
酷いよね?“運命”の出会いの邪魔をするなんてさ…
それにしても…彼は本当にカッコイイ…
野生のチーターみたいでしなやかで綺麗で…
そんな彼の動向を一瞬たりとも逃がしたくなくて
会場を慌てて飛び出した彼の後を、僕もこっそりと後をつけてみたんだ
ひょっとしたら二人きりに…
それは無理でも彼が一瞬たりとも僕の方を見てくれれば
彼が気づいてくれるんじゃないかと思って…
僕が彼の“運命”だって事に…
そんな淡い期待を抱きつつ彼の後を追ったら
何故か会場で彼と言い争っいたα二人と彼が一緒に凄い勢いで廊下を駆け出して――
僕はあっという間に彼を見失ってしまって途方に暮れた…
しばらくして、ロビー付近をうろついていたら
αのラットに近いフェロモンが漂ってきて
僕は瞬時に『あ!あの人の匂い!』って感じとる事が出来た
残念ながら抑制剤のせいで彼のフェロモンで欲情する事は出来なかったけど…
僕は匂いを頼りに彼を探した
そしたら思いの他早く彼を見つける事が出来たけど――
「――命様…部屋の――鍵です…」
「…ッ、すま…ない…」
ソレ、誰?
彼はお付きの人と思われる女性と
何やら深刻そうな表情をしながらやり取りをしているけど
僕はそれよりも彼に大事そうに抱えられている冴えない男の存在に気を取られ
二人のやり取りに集中できず…
僕はただひたすら、彼が大事そうに抱えている男を睨み続ける
ねぇ…そいつ何なの?Ω…?
いや違う…
よくわかんないけどΩじゃない…多分β…
だって…何のオーラも華もない普通の男に見えるんだもの…
なんなのソレ。
何でそんな冴えないただのβの男をそんなに大事そうに抱えているの?
何で――
そんな慈しむ様な眼差しで冴えないそいつの事を見つめているの…?
今まで嫉妬なんてされた事はあってもした事の無い僕の中で
沸々と煮えたぎる感情が湧き上がり
僕の身体を覆い尽くして震わせる…
そいつ…何なの?ねぇ…ねぇってば…っ!
嫉妬で震える僕の目の前で
二人を乗せたエレベーターのドアが閉まる…
許せない…
あんな冴えない…
ましてやΩでもない普通のβの男が彼の傍にいるのが許せない…!
彼の傍にいていいのは僕だけ…
彼の“運命”である僕こそが
彼に大事にされ、彼の傍にいるのが相応しいのに…!
僕は今一度、彼に大事そうに抱えられていたあの冴えないβの顔を思いだし
嫉妬で腸(はらわた)が煮えくり返り
叫び出しそうになるのをグッと堪えながら
二人が乗り込んだエレベーターのドアを睨み続けた…
邪魔だな…あの男…
どうにかして――彼から引き離さないと…
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