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一時間かけて作ってます。
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時刻は午前5時を少し回り――
「ん…」
昨日散々泣いた挙句
夕食も摂らずに爆睡していた洋一がぼんやりとベッドの上で目を覚ます
―――あれ…?俺いつの間に自分のベッドに…
洋一があやふやな感覚の中、暫く何も考えずにぼー…っと天井を眺めていると
徐々に昨日の記憶が蘇り始め…
「…ッ!?」
そのままハッとなって洋一が慌てて布団を頭から被ってベッドの中で悶絶しだす
『しよ?せっくす…』
『もぉっ、ッ…挿れて…』
―――あ”あ”ぁぁあ”あっっ!!!
やめてっ!思いださせないでぇぇえええっっ!!!
熱に浮かされ
感情の赴くまま、暴走するままに自分から命に強請り
泣きながら縋りついていた事を思いだし
洋一は顔から火が出そうな程恥ずかしくって
布団の中でモゾモゾとのたうち回る
―――だって…だってぇ…っ!
怖かったんだもん…不安だったんだもんっ!色んな事がありすぎて…
だから…っ、しょーがないじゃんっ!俺が…ああなっちゃうのは…!
昨日の自分の失態に色々と言いわけをしながら
「う”う”ぅ…」と、洋一が布団の中で低い呻き声を上げる
そこに部屋のドアが静かに開いて――
「洋一…起きている…か…?」
命が躊躇いがちにベッドに居るであろう洋一に向けて声をかける
するとベッドの上でこんもりと盛り上がった布団の山が
モゾモゾと蠢き、のたうつさまが見え
命が呆れながら口を開いた
「…洋一…また芋虫をやっているのかお前は…」
芋虫をやるというパワーワードはさておき
命の声を聞いて
布団の中で悶絶しながらのたうっていた洋一がピタッとその動きを止める
「うぅ…命さん…」
洋一が布団の中で丸まったまま、顔だけひょこっと布団の中から覗かせ
情けない顔をしながら命の方を見る
その様子はさながらアザラシの赤ちゃんみたいで命が思わずフフッと微笑む
「朝から芋虫になったりアザラシになったり…
お前は本当に見ていて飽きないな…ところで洋一…」
「…あぃ…」
若干鼻声気味の洋一が、モゾモゾと布団の中から這い出る
「昨日夕食を摂らなかったから――お腹、空いているだろう?
それで――その…ッ、サンドイッチを…作ってはみたんだが――
た…食べてみては…、くれないか…?」
「さんどいっち…?」
見ると命の手には淹れたてのコーヒーと共にサンドイッチが乗った皿が見え
洋一がのっそりとベッドから起き上がると
命がコーヒーをとりあえずサイドテーブルの上に置き
サンドイッチの乗った皿を洋一に手渡しながら自分はベッドの端に腰を下ろす
「これ…命さんが…?」
洋一が皿の上のサンドイッチをマジマジと見つめる
皿の上には具材を挟んで、ただ半分に切っただけと思われる
具があちこちからはみ出し、形の崩れたサンドイッチが2個乗っていて――
「ああ…今朝4時に目が覚めてしまってな…
昨日夕食を摂らなかったお前に何か食べさせたくてその…、
こ…こういったモノは作った事がないから味は良く無いかもしれないが――
とりあえず…味見だけでもしてみてくれ…、」
珍しく歯切れの悪い命を他所に
洋一は暫くそのサンドイッチをキラキラとした目で見つめた後
大事そうにサンドイッチを手に持つ
「それじゃあ…いただきます。」
パクッ――とまずは一口、洋一がサンドイッチを頬張り
命が固唾を飲み込みながら、その様子を伺う
「…ッ、どうだ…?」
むぐむぐサンドイッチを食べる洋一の姿を
これまた今まで誰にも見せた事も無い様な不安そうな表情をしながら
命が洋一の事を見つめ――
「………」
無言で咀嚼し終え、洋一がコクンとサンドイッチを飲み込むと
小さく微笑みながらその口を開いた…
「…美味しいです。」
「ッ!?そうか…っ!それは良かった…」
洋一のその一言に
命がほっとした表情を浮かべながらはにかんだ笑みを浮かべる…
正直、パンにはバターも何も塗られてはいない上に
具材となっている野菜には何の味付けもなされてはおらず…
塩気らしきものといったら具材のハム一枚という…
シンプルと言えば聞こえはいいが――
正直美味しいとは言い難いそのサンドイッチを
それでも洋一は嬉しそうにモシャモシャと食べ
その様子を洋一の傍ら見つめる命が嬉しそうに顔を綻ばせる…
そんな命の笑顔に
洋一の中でモヤモヤとしていたものが
綺麗さっぱり何処かに吹っ飛んで行くのを感じて
洋一が改めて実感する…
―――ああ…俺やっぱり…
この人の事が好きなんだなって…
このままずっと――何事も無くこの人の傍にいられたらいいのに…
そんな事を想いながら洋一はサンドイッチの最後の一口を頬張ると
幸せを確かめるように噛みしめた…
「ん…」
昨日散々泣いた挙句
夕食も摂らずに爆睡していた洋一がぼんやりとベッドの上で目を覚ます
―――あれ…?俺いつの間に自分のベッドに…
洋一があやふやな感覚の中、暫く何も考えずにぼー…っと天井を眺めていると
徐々に昨日の記憶が蘇り始め…
「…ッ!?」
そのままハッとなって洋一が慌てて布団を頭から被ってベッドの中で悶絶しだす
『しよ?せっくす…』
『もぉっ、ッ…挿れて…』
―――あ”あ”ぁぁあ”あっっ!!!
やめてっ!思いださせないでぇぇえええっっ!!!
熱に浮かされ
感情の赴くまま、暴走するままに自分から命に強請り
泣きながら縋りついていた事を思いだし
洋一は顔から火が出そうな程恥ずかしくって
布団の中でモゾモゾとのたうち回る
―――だって…だってぇ…っ!
怖かったんだもん…不安だったんだもんっ!色んな事がありすぎて…
だから…っ、しょーがないじゃんっ!俺が…ああなっちゃうのは…!
昨日の自分の失態に色々と言いわけをしながら
「う”う”ぅ…」と、洋一が布団の中で低い呻き声を上げる
そこに部屋のドアが静かに開いて――
「洋一…起きている…か…?」
命が躊躇いがちにベッドに居るであろう洋一に向けて声をかける
するとベッドの上でこんもりと盛り上がった布団の山が
モゾモゾと蠢き、のたうつさまが見え
命が呆れながら口を開いた
「…洋一…また芋虫をやっているのかお前は…」
芋虫をやるというパワーワードはさておき
命の声を聞いて
布団の中で悶絶しながらのたうっていた洋一がピタッとその動きを止める
「うぅ…命さん…」
洋一が布団の中で丸まったまま、顔だけひょこっと布団の中から覗かせ
情けない顔をしながら命の方を見る
その様子はさながらアザラシの赤ちゃんみたいで命が思わずフフッと微笑む
「朝から芋虫になったりアザラシになったり…
お前は本当に見ていて飽きないな…ところで洋一…」
「…あぃ…」
若干鼻声気味の洋一が、モゾモゾと布団の中から這い出る
「昨日夕食を摂らなかったから――お腹、空いているだろう?
それで――その…ッ、サンドイッチを…作ってはみたんだが――
た…食べてみては…、くれないか…?」
「さんどいっち…?」
見ると命の手には淹れたてのコーヒーと共にサンドイッチが乗った皿が見え
洋一がのっそりとベッドから起き上がると
命がコーヒーをとりあえずサイドテーブルの上に置き
サンドイッチの乗った皿を洋一に手渡しながら自分はベッドの端に腰を下ろす
「これ…命さんが…?」
洋一が皿の上のサンドイッチをマジマジと見つめる
皿の上には具材を挟んで、ただ半分に切っただけと思われる
具があちこちからはみ出し、形の崩れたサンドイッチが2個乗っていて――
「ああ…今朝4時に目が覚めてしまってな…
昨日夕食を摂らなかったお前に何か食べさせたくてその…、
こ…こういったモノは作った事がないから味は良く無いかもしれないが――
とりあえず…味見だけでもしてみてくれ…、」
珍しく歯切れの悪い命を他所に
洋一は暫くそのサンドイッチをキラキラとした目で見つめた後
大事そうにサンドイッチを手に持つ
「それじゃあ…いただきます。」
パクッ――とまずは一口、洋一がサンドイッチを頬張り
命が固唾を飲み込みながら、その様子を伺う
「…ッ、どうだ…?」
むぐむぐサンドイッチを食べる洋一の姿を
これまた今まで誰にも見せた事も無い様な不安そうな表情をしながら
命が洋一の事を見つめ――
「………」
無言で咀嚼し終え、洋一がコクンとサンドイッチを飲み込むと
小さく微笑みながらその口を開いた…
「…美味しいです。」
「ッ!?そうか…っ!それは良かった…」
洋一のその一言に
命がほっとした表情を浮かべながらはにかんだ笑みを浮かべる…
正直、パンにはバターも何も塗られてはいない上に
具材となっている野菜には何の味付けもなされてはおらず…
塩気らしきものといったら具材のハム一枚という…
シンプルと言えば聞こえはいいが――
正直美味しいとは言い難いそのサンドイッチを
それでも洋一は嬉しそうにモシャモシャと食べ
その様子を洋一の傍ら見つめる命が嬉しそうに顔を綻ばせる…
そんな命の笑顔に
洋一の中でモヤモヤとしていたものが
綺麗さっぱり何処かに吹っ飛んで行くのを感じて
洋一が改めて実感する…
―――ああ…俺やっぱり…
この人の事が好きなんだなって…
このままずっと――何事も無くこの人の傍にいられたらいいのに…
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