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犬猫は、自分が可愛いって分かってる 2
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浩介たちが店内に入るなり、円の姿を見た店主が目を丸くして
焦った様子で浩介に声をかけてきた
「ちょっとちょっと篠原さん!その子篠原さんの連れ?
ダメだよぉ~…こんなところに子供連れてきちゃあ…」
店主がカウンターから浩介の方を困ったような顔をしながら見るが
そんな店主の傍に円がちょこちょこと近寄っていき
「はいこれ、僕の免許証です。子供じゃないです。」
フフン!と、ちょっと誇らしげに円が店主に免許証を開いて見せる
その光景はまるで、刑事ごっこをしている子供が
大人に手帳を開いて見せているみたいでちょっと微笑ましい…
「ぇ…あ…!ど、どうもすいませんっ!
てっきり中学生か高校生くらいの子がウチに入って来ちゃったかな?と…
思ってしまったんでつい…」
―――身長は洋一よりちょっと小さいかな?くらいなんだけど――
いかんせんあの顔がなぁ…子供に見えるよなぁ…やっぱり…
焦りながら目の前の円に謝罪する店主に浩介はちょっと同情しつつ
苦笑を浮かべながらカウンター席に腰を下ろすと、円も浩介に続いて隣に座る
「それで――何になさいます?」
「まだ飲むにはちょっと早いけれど…とりあえずビールで。」
「あ、じゃあ僕もそれで。」
「ビールですね?少々お待ちを。」
そう言うと店主は後ろに置いてあるビールサーバーで
ジョッキにビールを注ぎ始め
浩介は隣でメニューを見ている円に声をかける
「あー…えっと~…大神さん…?」
「円(まどか)でいいよ。同い年なんだし…
僕も篠原さんの事をこれからは“こーちゃん♪”って呼ぶんで。」
「こーちゃ…」
―――マジで言ってんのか?コイツ…
冗談で言っているの本気で言っているのか…
人懐っこい笑みを浮かべ、屈託なく浩介を見ながらそういう円に
浩介が唖然とした表情で円を凝視する
そこに店主がビールを二つカウンターテーブルの上に並べて置き始め
「はい、ビールおまちどーさん。」
「お!あんがとー」
浩介が早速ビールを手に取り、一口飲みながら
円に話題をふってみる
「じゃあえっとぉ…円…?」
「なぁ~に?こーちゃん。」
―――マジでこーちゃん呼びかよ…参ったな…
隣で「ん?」と小首を傾げながら自分の事を見てくる円に
若干戸惑いつつも、浩介は話を続ける
「円は何でコッチに越してきたの…?仕事か何か?」
当り障りのない事を聞きながら、浩介がもうひと口ビールを啜る
「ん~?まあ…そんなとこかな。」
「ふ~ん…」
余り深くは聞かれたくなさそうな円の態度に
浩介もそれ以上深く聞こうとはせずにビールを啜り
円もそれに合わせるように両手でビールジョッキを持ちながら
コクコクと実に美味そうな音を立ててビールを飲む
「ところで円…」
「ぷはーーーっ!んあっ!?、なに…?こーちゃん。」
―――一気に飲み干しやがった…ウソだろっ?!中ジョッキだぞっ!?
自分ですらまだ半分も飲んでいないビールを一気に飲み干した円に
浩介は動揺を隠せない
「…きっ…キミはもう…余り一人で出歩かない方がいい。」
「…どうして?」
「どうしてって…円“も”今日…
αの男達に襲われかけていたじゃないか…
まったく洋一といいキミといい…
どーして俺の周りにはこうも危機意識の薄いやつばっか集まるんだか…」
ハァ~…と溜息をつきながら浩介がビールを煽る
「…よういち…?」
「ん?ああ…洋一っていうのは俺の高校時代からの親友で――」
「ねぇこーちゃん…」
「うん?」
円の銀色の瞳が怪しく揺れ始める…
「もっと詳しく聞きたいなぁ~…“よういちさん”の事…」
焦った様子で浩介に声をかけてきた
「ちょっとちょっと篠原さん!その子篠原さんの連れ?
ダメだよぉ~…こんなところに子供連れてきちゃあ…」
店主がカウンターから浩介の方を困ったような顔をしながら見るが
そんな店主の傍に円がちょこちょこと近寄っていき
「はいこれ、僕の免許証です。子供じゃないです。」
フフン!と、ちょっと誇らしげに円が店主に免許証を開いて見せる
その光景はまるで、刑事ごっこをしている子供が
大人に手帳を開いて見せているみたいでちょっと微笑ましい…
「ぇ…あ…!ど、どうもすいませんっ!
てっきり中学生か高校生くらいの子がウチに入って来ちゃったかな?と…
思ってしまったんでつい…」
―――身長は洋一よりちょっと小さいかな?くらいなんだけど――
いかんせんあの顔がなぁ…子供に見えるよなぁ…やっぱり…
焦りながら目の前の円に謝罪する店主に浩介はちょっと同情しつつ
苦笑を浮かべながらカウンター席に腰を下ろすと、円も浩介に続いて隣に座る
「それで――何になさいます?」
「まだ飲むにはちょっと早いけれど…とりあえずビールで。」
「あ、じゃあ僕もそれで。」
「ビールですね?少々お待ちを。」
そう言うと店主は後ろに置いてあるビールサーバーで
ジョッキにビールを注ぎ始め
浩介は隣でメニューを見ている円に声をかける
「あー…えっと~…大神さん…?」
「円(まどか)でいいよ。同い年なんだし…
僕も篠原さんの事をこれからは“こーちゃん♪”って呼ぶんで。」
「こーちゃ…」
―――マジで言ってんのか?コイツ…
冗談で言っているの本気で言っているのか…
人懐っこい笑みを浮かべ、屈託なく浩介を見ながらそういう円に
浩介が唖然とした表情で円を凝視する
そこに店主がビールを二つカウンターテーブルの上に並べて置き始め
「はい、ビールおまちどーさん。」
「お!あんがとー」
浩介が早速ビールを手に取り、一口飲みながら
円に話題をふってみる
「じゃあえっとぉ…円…?」
「なぁ~に?こーちゃん。」
―――マジでこーちゃん呼びかよ…参ったな…
隣で「ん?」と小首を傾げながら自分の事を見てくる円に
若干戸惑いつつも、浩介は話を続ける
「円は何でコッチに越してきたの…?仕事か何か?」
当り障りのない事を聞きながら、浩介がもうひと口ビールを啜る
「ん~?まあ…そんなとこかな。」
「ふ~ん…」
余り深くは聞かれたくなさそうな円の態度に
浩介もそれ以上深く聞こうとはせずにビールを啜り
円もそれに合わせるように両手でビールジョッキを持ちながら
コクコクと実に美味そうな音を立ててビールを飲む
「ところで円…」
「ぷはーーーっ!んあっ!?、なに…?こーちゃん。」
―――一気に飲み干しやがった…ウソだろっ?!中ジョッキだぞっ!?
自分ですらまだ半分も飲んでいないビールを一気に飲み干した円に
浩介は動揺を隠せない
「…きっ…キミはもう…余り一人で出歩かない方がいい。」
「…どうして?」
「どうしてって…円“も”今日…
αの男達に襲われかけていたじゃないか…
まったく洋一といいキミといい…
どーして俺の周りにはこうも危機意識の薄いやつばっか集まるんだか…」
ハァ~…と溜息をつきながら浩介がビールを煽る
「…よういち…?」
「ん?ああ…洋一っていうのは俺の高校時代からの親友で――」
「ねぇこーちゃん…」
「うん?」
円の銀色の瞳が怪しく揺れ始める…
「もっと詳しく聞きたいなぁ~…“よういちさん”の事…」
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