βは蚊帳の外で咽び泣く

深淵歩く猫

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お前はお前のままで…

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「ん…ン…」

洋一は命にしがみつき、夢中で命の舌に自分の舌を絡め
命もそんな洋一の舌に答えながら
その手は自分の上に跨り、切なげに腰を揺らし始めた洋一の臀部を弄り始める…

「ん…は、ン…」

互いの唾液を吸ったり絡めたりしながら…
二人の唇の間からは上がり始めた互いの熱い息と
ピチャピチャと互いの舌が絡まり合う卑猥な水音が漏れ聞こえ

二人の気分をますます昂らせていく…

「あ…はっ…、命、さん…っ、」

洋一の腰が、自分の尻を弄っている命の手に強請るように擦り寄り
命の手が、いよいよ洋一の着ているバスローブをたくしあげ
下に何もは穿いていない洋一の臀部を直に揉みしだき始め――

「ンぁ…ぁ…、も…早く…っ、」

熱を帯びた、洋一の強請る甘い声に煽られ
命の手が尻臀に隠された洋一の孔にそっと触れるが…

「ぃッ…、ぅ~…、」

洋一の身体がビクンッと跳ね
洋一が思わずギュッと目を瞑り、小さく呻く

「…腫れているな。」

昨日から今日にかけ初めて男を…命を受け入れ続けた上に
更には狼に襲われ…
Ωと違い、本来受け入れるべき場所では無い洋一のソコは
可愛そうなくらいぷっくりと腫れている…

そんな洋一の腫れている孔の表面を、命が指の腹で軽く撫でると
その表情を曇らせる…

「ッ、だい、じょうぶ…だから…っ、ンぅ…ちゃんと…、
 解したし…もぉっ、ッ…挿れて…」

孔に触れられるだけでも
身体をビクビクと震わせながら痛がっているにも関わらず
洋一は命を受け入れようと必死に強請る…
しかし命は洋一の孔から指を離すと――

「駄目だ。」
「ッ!命さ…、」
「今日はしない。」
「な…んで…っ?!俺は…、だいじょぶだから…っ!」

洋一が涙を浮かべながら縋る様な目で命を見つめ
命がそっと洋一の耳元に唇を寄せて囁く

「さっきから…何をそんなに焦っている?」
「…ッ!」

洋一の身体が命の一言に思わず強張る

「お前がこんな行動に出たのは大方…
 倉庫であの狼とかいう男に言われた事を気にしてのことなのだろう…?」
「ッ、ぅ…」

洋一の反応に、命がハァ~…と溜息を吐く

「いいか?洋一…お前が何かに追い目を感じる必要はない。
 アイツが何と言おうと、俺にはお前が必要だし
 お前はお前のまま…
 ずっと俺だけの傍にいればいい。」
「…けど…、」
「口答えはなしだ。…分かったな?」
「っ…は…ぃ…」
「良い子だ。」

そういうと命は洋一を抱きよせ
洋一は命の胸に頬を寄せながらスン…とその匂いを嗅ぐと
安心したかのようにその瞳を閉じた…



暫く経ち、命が完全に眠りに落ちた洋一を自分のベッドへと運び
目元を真っ赤にしながらベッドの上で横たわる洋一の髪を命が優しく撫でるが
その表情は辛そうに歪む…

『何の価値も無い俺なんかの為に“運命”に抗わないで…』
『“オモチャ”でもいいから命さんの傍に居させて…おね…がい…っ、』

―――価値がないなんて言うな…オモチャでもいいなんて言うな…

命が洋一の涙の後を指でなぞる

―――誰が何と言おうとお前は――
   俺が初めて自分の意志でずっと傍にいて欲しいと願った人なんだから…

命はそっと洋一の目蓋に口づけると
暫くの間洋一の手を握りしめたまま洋一の寝顔を見つめ続けた…


※※※※※※※※※


浩介が自分のマンションの駐車場に車を停め、車から降りる
するとマンション向かいの公園で、何者かが複数人に囲まれているのが見え――

―――何だ…?不良か何かがカツアゲでもしてんのか…?

浩介はもしそうならほっとけない…!と、公園の方へと歩きだす

「へぇ~…キミ可愛いねぇ~…Ω?w」
「は、離してください…!触らないで…っ、」
「コレ、ラッキーじゃね?wこんなに可愛くてΩだったら――
 どーする?wちょっとそこのトイレで輪姦(まわ)して孕ませちゃう?w」
「いいねぇ~w」

男達が卑下た笑い声を上げながら
一人のαとおもしき大柄の男が
嫌がる人物を無理矢理抱え上げようとしたその時

「オイッ!そこで何してるっ!?」

浩介が男達に声をかける

「チッ…メンドクセーのが…」
「どーする?一人だし…やっちまうか?」
「ん~…だな。」

男達が浩介の方に向き、歩きだそうとした時
男達に絡まれていた人物が、男達の背後で小さく呟く

「“どっかいけ”。」
「ッ!?」

すると男達の顔から表情が消え――

「どっかいくか。」
「…ああ…」

男達は近づいて来た浩介に急に背を向けると
そのままフラフラと何処かに向かって歩きだす…

「え…」

―――何だアレ…

急に自分から背を向けて歩きだした男達に、浩介が戸惑う
そこに――

「あの…!助けていただき…有難うございます…!」
「え?いや、俺は…何も…っ?」

浩介が自分に駆け寄って来た人物を見て、益々戸惑う

―――銀色の髪に銀色の瞳って…しかもスッゲー可愛いし…女の子?
   いやでも声を聞いた感じだと高いとはいえ男のような…どっちだ?

浩介がマジマジと目の前の銀髪の子を見つめていると
銀髪の子は物凄く人懐っこい笑みを浮かべ
浩介の手を握りながらその形の良い、桜色の唇を開いた



「僕、大神 円(おおかみ まどか)って言います。貴方は?」
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