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人の恋路を邪魔する者は――
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命の綺麗に磨き抜かれた靴の踵が
狼の頭目がけ、風を切りながら振り下ろされ
「うおっ!?あっぶねぇっ!!」
洋一に圧し掛かっていた狼は
咄嗟にその踵を上体を逸らして既(すん)での所でかわすが――
―――コイツ…っ!やべぇかも…、
自分に向けて振り下ろされた踵に並々ならぬ殺意を感じ
狼は背筋に冷たいモノが伝うのを感じながら、このままではマズイ…と
洋一のナカを抉り始めていた自身のモノを渋々ズルリと引き抜き
命から視線を逸らさないまま洋一から距離を取る…
「…あぶねーじゃねぇか…何?お前…」
チッ…と狼が忌々し気に舌打ちをし
未だ硬くそそり勃つ自身の一物を苦しそうにジーパンに仕舞いこむと
狼目がけて振り下ろしていた足をその場に静かに下ろし
両足を綺麗に揃えながら実に良い姿勢で目の前に立つ
ダークグレーのスーツを着た命を狼が鋭い視線で睨みつけ
命の方も射殺さんばかりの視線で狼を一瞥するが――
「…とりあえずお前の事は後回しだ…
それよりも今は――」
命はスッと視線を狼から
未だに洋一の両手首を押えつけ、茫然としている男へと移しながら
静かに口を開く
「…お前は何時まで洋一の手首を押えつけているつもりだ?三下(さんした)…
さっさとその手を離せ。さもないと――」
周囲が凍り付きそうな程の冷たい視線で男を睨(ね)めつけながら
命が再び片足を振り上げる素振りを見せる
すると洋一の手首を掴んでいた男は両手をバッと洋一から離し
「ひっ、ひぃぃ~!止めてっ!殺さないでぇぇえええっ!!」
…と、下っ端の負け台詞そのままに
何とも情けない声を上げながら男はその場から逃げだし
命はそれを見届けると、洋一の方へと向き直り
しどけない姿で泣きながら横たわる洋一のその姿に
悲痛な表情を浮かべ、下唇をキュッと噛みしめると
横たわる洋一にそっとその手を差し伸べながら重たい口を開いた…
「…洋一済まない……
俺がもう少し早く駆けつけていればお前をこんな目には…っ、」
命は自分の不甲斐なさにギリッと歯噛みしながらその瞳を伏せる…
すると洋一が震える手で躊躇いながら命の手を握りしめ
ゆっくりとその身体を起こすと
洋一が首を横に振りながら命の言葉を遮った…
「グスッ…あ、きら…さん…っ、謝る、必要なんて無い…っ、
悪いのは…俺のほう…っ、」
「洋一…」
「外…危険だって…言われてたのに…っ、なのに俺っ…外でちゃって…
そしてまた…命さんに迷惑かけて…っ、グスッ…ホント俺…なに…やってんだか…っ!
ごめんなさい命さん…、うぅ…ごめんなさい…っ、」
自分の浅はかな行動が情けなくて恥ずかしくて…
洋一は唇を噛みしめ、ボタンが全て弾けとんだワイシャツの裾を握りしめながら
命から顔を隠すように俯く…
すると命が自分の上着を脱ぎ、洋一の肩に脱いだ自分の上着をかけると
その身体を優しく抱き寄せながら命がそっと洋一の耳元で囁いた…
「…兎に角…お前が無事で良かった…」
「…命さん…」
命と洋一が完全に二人だけの世界を構築し始めた中で――
「何二人だけの世界に浸ってやがんだよ糞がっ!」
狼が命の背後に回り込み、持っていたナイフで命に切り掛かる
「――ッ!?命さ――」
洋一が目を見開き、声を上げたその瞬間
「貴様は本当に無粋だな…」
命がため息交じりにそう呟くと素早く狼の方へと振り返り――
「…ッ!?」
怯んだ狼の脇腹に、振り向きざまに放った命の回し蹴りが綺麗にめり込んだ…
狼の頭目がけ、風を切りながら振り下ろされ
「うおっ!?あっぶねぇっ!!」
洋一に圧し掛かっていた狼は
咄嗟にその踵を上体を逸らして既(すん)での所でかわすが――
―――コイツ…っ!やべぇかも…、
自分に向けて振り下ろされた踵に並々ならぬ殺意を感じ
狼は背筋に冷たいモノが伝うのを感じながら、このままではマズイ…と
洋一のナカを抉り始めていた自身のモノを渋々ズルリと引き抜き
命から視線を逸らさないまま洋一から距離を取る…
「…あぶねーじゃねぇか…何?お前…」
チッ…と狼が忌々し気に舌打ちをし
未だ硬くそそり勃つ自身の一物を苦しそうにジーパンに仕舞いこむと
狼目がけて振り下ろしていた足をその場に静かに下ろし
両足を綺麗に揃えながら実に良い姿勢で目の前に立つ
ダークグレーのスーツを着た命を狼が鋭い視線で睨みつけ
命の方も射殺さんばかりの視線で狼を一瞥するが――
「…とりあえずお前の事は後回しだ…
それよりも今は――」
命はスッと視線を狼から
未だに洋一の両手首を押えつけ、茫然としている男へと移しながら
静かに口を開く
「…お前は何時まで洋一の手首を押えつけているつもりだ?三下(さんした)…
さっさとその手を離せ。さもないと――」
周囲が凍り付きそうな程の冷たい視線で男を睨(ね)めつけながら
命が再び片足を振り上げる素振りを見せる
すると洋一の手首を掴んでいた男は両手をバッと洋一から離し
「ひっ、ひぃぃ~!止めてっ!殺さないでぇぇえええっ!!」
…と、下っ端の負け台詞そのままに
何とも情けない声を上げながら男はその場から逃げだし
命はそれを見届けると、洋一の方へと向き直り
しどけない姿で泣きながら横たわる洋一のその姿に
悲痛な表情を浮かべ、下唇をキュッと噛みしめると
横たわる洋一にそっとその手を差し伸べながら重たい口を開いた…
「…洋一済まない……
俺がもう少し早く駆けつけていればお前をこんな目には…っ、」
命は自分の不甲斐なさにギリッと歯噛みしながらその瞳を伏せる…
すると洋一が震える手で躊躇いながら命の手を握りしめ
ゆっくりとその身体を起こすと
洋一が首を横に振りながら命の言葉を遮った…
「グスッ…あ、きら…さん…っ、謝る、必要なんて無い…っ、
悪いのは…俺のほう…っ、」
「洋一…」
「外…危険だって…言われてたのに…っ、なのに俺っ…外でちゃって…
そしてまた…命さんに迷惑かけて…っ、グスッ…ホント俺…なに…やってんだか…っ!
ごめんなさい命さん…、うぅ…ごめんなさい…っ、」
自分の浅はかな行動が情けなくて恥ずかしくて…
洋一は唇を噛みしめ、ボタンが全て弾けとんだワイシャツの裾を握りしめながら
命から顔を隠すように俯く…
すると命が自分の上着を脱ぎ、洋一の肩に脱いだ自分の上着をかけると
その身体を優しく抱き寄せながら命がそっと洋一の耳元で囁いた…
「…兎に角…お前が無事で良かった…」
「…命さん…」
命と洋一が完全に二人だけの世界を構築し始めた中で――
「何二人だけの世界に浸ってやがんだよ糞がっ!」
狼が命の背後に回り込み、持っていたナイフで命に切り掛かる
「――ッ!?命さ――」
洋一が目を見開き、声を上げたその瞬間
「貴様は本当に無粋だな…」
命がため息交じりにそう呟くと素早く狼の方へと振り返り――
「…ッ!?」
怯んだ狼の脇腹に、振り向きざまに放った命の回し蹴りが綺麗にめり込んだ…
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