βは蚊帳の外で咽び泣く

深淵歩く猫

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限界寸前の理性。

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―――皆瀬…っ、

命が会場を飛び出すと
何故か神代と八咫も命の後を追って、一緒に会場を飛び出し――

「ッ、何でお前達まで着いてくるんだっ?!」
「いやぁ~…俺達も皆瀬ちゃんを無事にかくほ…」
「八咫。」
「あ。ナンデモナイヨー。
 兎に角急いで皆瀬ちゃん見つけないとっ!」
「…?」

―――今…皆瀬を確保とか言ったか…?

あからさまに怪しい言動の八咫に命が訝(いぶか)しむも
今はそれどころでは無いと、命が辺りを見回す

すると命の鼻腔に何時も嗅ぎ慣れた…
しかし何処かαの本能をザワつかせる危険な色を含んだ
洋一の甘い匂いが何処かから漂ってきて――

「――ッ!?皆瀬の…匂い…」
「えっ?!マジで??」
「何も――匂いませんが…」
「――コッチだ!」

―――しかし…、この匂いはまるでΩの…っ!

命が一抹の不安を抱きつつ
洋一の微かな匂いが漂ってくる方へと足を向けた…





「、ゃ…ッ、ン”ぅんッ、やめッ、!」

ソファーの上で、嫌がる洋一の顎を掴み
洋一の唇に涎がたっぷりと垂れた舌をヌラヌラと這わせながら
無理矢理その唇をこじ開けようとする横山の姿が…

「やっ、ン”ン”ッ、やだぁ…ッ、」

洋一は泣きながら必死に横山から顔を逸らし、手で横山の顔を押しながら
嫌悪しか湧かないキスを拒む

「こらっ!大人しくせんかっ!
 折角優しく扱ってやろうと思っておったが…」

横山が拒む洋一の両手を片手で掴み、洋一の頭の上で一纏めにして押えつける

「こうも暴れるのではあれば仕方がない…
 なに…多少乱暴に扱っても壊れはせんだろ。なんせ――」

横山の手が洋一の下半身へと伸び
スラックスの布越しに横山の太い人差し指がグリグリと抉る様にしながら
洋一の尻臀(しりたぶ)の肉を掻き分け
更にその奥――秘められた窄まりへと指をめり込ませていく…

「あっ、あぁッ!やだ…っ、ン”ンぅッ、ソコ、さわっちゃ…っ、あぁあッ、」
「おおっ、おおっ!濡れとる濡れとる!
 布越しにでも分かる程に厭(いや)らしく湿ってきておるわ…
 これなら――慣らさんでもすんなり挿入るだろう…
 それにしても――」

横山がグリグリと洋一の窄まりを布越しに抉りながら
頭(かぶり)を振り
泣き声を抑えるかのように唇を噛みしめ乱れ始めた洋一を見下ろしながら呟く

「自分がβなのが実におしいな…
 αだったら――きっと今頃は皆瀬から溢れだしたΩの発情フェロモンとやらが
 この部屋全体に充満し…
 噎(む)せかえるような甘い匂いを感じる事が出来ただろうに…」

横山の舌が、横山から顔を逸らして泣きじゃくる洋一の首筋をヌラリと這う

「…そろそろ…ココに欲しくなってきただろ?…“男”が…」

グリグリと…布越しに窄まりを弄る指を二本に増やし
熱で浮かされ始めている洋一の耳元で横山が囁く

「ひうぅッ、や、ぁ…、はぁッ…はッ…いら、ないッ、ンぅう…、ほしく、ない…っ!」

洋一は目をギュッと瞑り、歯を食いしばりながら
抗いがたい…身体の奥からズクズクと湧き上がる甘い疼きに懸命に耐える
しかし――


―――ほしい…


薬のせいで強制的にΩのヒート状態にさせられた洋一の身体は
あるはずもない子宮が甘く疼き続ける感覚に耐えきれず
理性の糸がちぎれ始める…

「やだ…、ふっ、うぅぅ…ッ、やだぁ…っ、」

洋一の瞑った瞳からは涙が止め処なく流れ
食いしばった口の端からは溢れ出た涎がタラタラと顎や首筋を濡らす…


―――欲しいよ…もっと奥に…ッ、


「は、あッ、あぁ”あッ、たす…けて…っ、ンうぅ…ッ、」

洋一の腰がもっと強い刺激を求めて耐えきれずに揺れ
孔の縁を布越しに弄る横山の指に強請る様に
洋一が自分から尻を押し付け始める…

「欲しいか…?んん?」
「…ッ、んぅ…ンン”ンッ、」


―――ほしい…っ、硬くて太いのが――





   あきら…さ…






洋一が涙で濡れる瞳をゆっくりと開ける

「ほ…し…」
「ん?」

するとそこには目の前で醜い加虐的な笑みを浮かべる横山の顔があり…

「ほし…ぃ…っ、」
「…何が?」

洋一はもう…我慢の限界で――

「…ッ、よこ…やまさん…の…、」
「――私の?」

洋一の理性の糸がプツッと切れかかり
目の前の男に縋ろうとしたその時





「皆瀬っ!」





バンッッ!!!と部屋のドアが勢いよく蹴破られ
慌てた様子の命が洋一の名を叫びながら、部屋の中へと飛び込んできた――
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